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潜水服は蝶の夢を見る
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潜水服は蝶の夢を見る

ジャン=ドミニックボービー(著者), 河野万里子(訳者)

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潜水服は蝶の夢を見る

定価 ¥1,760

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 講談社
発売年月日 1998/03/07
JAN 9784062088671

潜水服は蝶の夢を見る

¥385

商品レビュー

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2025/09/28

再読。 脳出血で『ロックトイン症候群』になってしまった『ELLE』の編集長の著者。 病院で横たわったまま、唯一動かせる左目の瞬きだけで言葉を伝え、この本を書いた。 頭の中で何度も練られた文章だから、すごく読みやすい。 別れた妻とまだ幼い子供たちがお見舞いに来る『カーテン』というエ...

再読。 脳出血で『ロックトイン症候群』になってしまった『ELLE』の編集長の著者。 病院で横たわったまま、唯一動かせる左目の瞬きだけで言葉を伝え、この本を書いた。 頭の中で何度も練られた文章だから、すごく読みやすい。 別れた妻とまだ幼い子供たちがお見舞いに来る『カーテン』というエッセイは、子供たちへの愛に溢れていて悲しく、美しい。

Posted by ブクログ

2025/05/10

Jean-Dominique Bauby (1952-1997)。1995年12月、月刊誌Elleの編集長をしていた時に、脳梗塞を発症。なんとか回復したものの、身体はまったく動かせなくなっていた。意識はしっかりしている。いわゆる閉じ込め症候群。重い潜水服のなかに閉じ込められたかの...

Jean-Dominique Bauby (1952-1997)。1995年12月、月刊誌Elleの編集長をしていた時に、脳梗塞を発症。なんとか回復したものの、身体はまったく動かせなくなっていた。意識はしっかりしている。いわゆる閉じ込め症候群。重い潜水服のなかに閉じ込められたかのようだ。かろうじて片目は動く。まわりの者には、視線と瞬きによって、意思を伝える。入院先は北フランスの海岸、カレー近くの保養地ベルクの病院。 29の短い章。その日常が、過去の出来事が、見た夢が(夢のなかでは体が動かせる!)、脳梗塞を発症した日の一部始終が、ある意味詩的に綴られる。 強く印象に残ったのは「聖処女像」。喧嘩ばかりしていた恋人ジョゼフィーヌと聖地ルルドへと車で旅をした。天気は雨。運転は彼女、自分は助手席でルポルタージュ本に夢中になる。ホテルで喧嘩して、夜ひとり雨のなか外に出て戻ると、その本には2章にわたって、大きな赤い字でメッセージが書かれていた。「カーテン」。父の日に10歳のテオフィルと8歳のセレストが病院に訪ねてきてくれる。テオフィルとはクロスワードで競い合う。セレストが口ずさむフレーズから、クロード・フランソワのレコードを買った時のことを思い出す。西日があふれるように差し込む頃、彼らと母親は行ってしまった。カーテンを閉め忘れたまま。「二十倍」。こちらに車で向かっている友人ヴァンサンがいまどこを走っているか。それを逐次想像しながら、ある冬の日に彼と一緒に行ったヴァンセンヌの競馬の一部始終を思い出す。そうするうちに、ヴァンサンがいまそこまでやってきた。二重写しが見事。 書きとったのはライターのクロード・マンデビル。毎日3時間の書きとり、それを2カ月。本は1997年3月に出版された。その3日後に肺炎で死去。44歳。

Posted by ブクログ

2025/01/28

これも凄い本。 本書の著者、ジャン=ドミニック・ボービーは、世界的なファッション雑誌ELLEの、本家本元の編集長としてパリで活躍していたある日、突然、脳出血で倒れた。昏睡状態に陥り、およそ二十日間生死の間をさまよったが、体が完全に麻連してしまった。ただ左のまぶたが動くだけで、自...

これも凄い本。 本書の著者、ジャン=ドミニック・ボービーは、世界的なファッション雑誌ELLEの、本家本元の編集長としてパリで活躍していたある日、突然、脳出血で倒れた。昏睡状態に陥り、およそ二十日間生死の間をさまよったが、体が完全に麻連してしまった。ただ左のまぶたが動くだけで、自力で呼吸することも声を出すこともできない。こんな最悪な状況だったが、肉体以外、意識や知力は完璧に元のままだったのだ。この本は、アルファベット表に対して「まばたきの回数」で単語を選んで書かれた本だという。 閉じ込め症候群、ロックトイン症候群と言うらしい。植物人間とは少し違うのだろうか。もしかすると、金縛りの状態に近いのかもしれない。意識はあるが、体は動かない。そんな状態を著者は「潜水服を着た状態」と表現するのだが、想像するだけで胸が苦しくなる。外界の様子が分かるのに、自分が関与できない。自分の体なのに、それを動かすことはできないし、そこから抜け出せもしない。水槽の中に沈んだ脳になった気分だ。 意識は肉体に付随して、健全な食欲や性欲などの欲求が宿る。従い、肉体が機能せずに内受容感覚が感知されないならば、意識がどこまで生じるのだろうかという点には興味がある。もっとも、本書のケースは「見えている」という点で、完全に知覚が遮断されているという事ではないので、これに当てはまらないということか。 この状態で生きたという事、本を書いたという事実からは勇気を貰う。目も開いていない植物人間だとどうなるのだろうか。このようなケースのように希望を捨てたくないという思いと、こちら側のエゴでの延命が真に患者にとって幸せな事なのか、本人の回答が得られない状態では葛藤はつきない。そうした状態からひねり出された言葉に触れられるという事もまた、読書の奥深さだ。

Posted by ブクログ