という、はなし の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
フジモトマサルさんと吉田篤弘さんのバトンリレーで書かれた短編集。おもしろかった✨ なんの疑いもなく文章が先だと思っていたら、まさかのイラストに合わせて、挿絵ならぬ「挿文」とのこと。先に知ってたらより楽しめたかも☺︎ あとがきのあとがきもよかった! 読者への回復 “そのときの本たちの、なんと寡黙で優しげなことか。置き去りにされていたことを恨むことなく、静かにこちらの記憶をほぐしながら、忘れていたことをひとつひとつ示してくれる。” “しだいに、みずみずしいものが身体中にめぐらされて息を吹き返す。” 眠くない こんな人好きだなぁ。 影の休日 これがいちばん好きかも。 ひとり 星新一みたいな世界観。 背中合わせ これもよかった! ”しかしあるとき、俺たちは「なるほど」とつぶやき始めた。「そういうことか」と頷き、「それは違うな」と本を閉じることもあった。” とにかく これも好き!好きばっかりになってるけど。 “どうして人は、そんなにも「我を忘れたい」のか?(中略)どうやらこの問いは「人はなぜ恋をするのか」と同義であると酔いの中で思いついた。” “とにかく理屈ではない。とにかく好きなものは好き。とにかく気になって、とにかく熱中して、とにかく夢中になって、とにかく虜になってしまった。ーーというのが恋である。「とにかく」である。 そして、人は「とにかく」を何より信じている。理屈を超えて信じることが、つまり「我を忘れる」であり、「我」とはすなわち「理屈」のことに他ならない。とかく理屈ばかりを掲げてそれに縛られていると、縛りをほどいて「我」の核心にある「本能」に立ち返りたくなるーーそう思いませんか?" この「とにかく」を読んで、対象が人であるか、ことであるか、ものであるかにかかわらず、夢中になれるものがあるのは幸せだったなぁと沁みた。 日曜日の終わりに "読むほどに、夏休みの終わりの憂愁が濃くなってくる。それでいて、何かをひとつ終えたような、それゆえに小さく一歩、前へ踏み出したような、一週間の区切りをつける小さな再生を覚える。 日曜日の夜の台所では、憂愁と再生とがページをめくるたびに入れ替わってゆく。" 恋と発見 ものを書く人はすごいなぁと常々思っていたけど、この本のあちこちにそのすごさが見え隠れしてる感じ。 "思えば、書くのも同じこと。 下心あろうが、なんだろうが、結局のところ人は何かに恋をして本を書く。そして、うまくゆけば、その恋が連鎖したり伝染したりして、本は形を成す。 発見はきっと人と人をつなぐ。恋がそうであるように。"
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吉田さんの本は結構好きでいくつか読んでる。これは結構ほんわかしてるというか、小説というより絵本という感じ。2ページとかで完結するような、掌編小説というのはこういう本のことかな…? 物語感が薄かったので、個人的にはあんまりハマらなかった。文字追うのがしんどい時とかに読んだらまた違う...
吉田さんの本は結構好きでいくつか読んでる。これは結構ほんわかしてるというか、小説というより絵本という感じ。2ページとかで完結するような、掌編小説というのはこういう本のことかな…? 物語感が薄かったので、個人的にはあんまりハマらなかった。文字追うのがしんどい時とかに読んだらまた違うかも。
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最初はなかなか読み進まなかったが、途中からだんだん面白くなってきた。ふふっと思いながら読んだり不思議な気持ちになったり。
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挿絵が可愛かった。寝耳に水が好きだった。コンセプトを知らずに読んだのであとがきを見てなんだかいまいちハマりきれなかった理由がわかった。
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"本は死なない。 どうやらこの一行を誰かに伝えたくて、またあたらしい本をつくる。毎日、あたらしい次の本を想い、書いたり、編集したり、装飾したり、印刷したり、販売したり、宣伝したりする。 本は人よりずいぶん長く生きる。 「そうです、そのとおり」ーー若くして古書店の店主とな...
"本は死なない。 どうやらこの一行を誰かに伝えたくて、またあたらしい本をつくる。毎日、あたらしい次の本を想い、書いたり、編集したり、装飾したり、印刷したり、販売したり、宣伝したりする。 本は人よりずいぶん長く生きる。 「そうです、そのとおり」ーー若くして古書店の店主となった友人が、秘密を打ち明けるときのニヤニヤ顔で教えてくれた。"[p.100_恋と発見]
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フジモトマサルさんの絵に弱く、表紙買い。 一話ごとに収録されている絵もカラーで 登場する動物たちがいちいち愛らしく、 見ていて飽きない。 絵物語集というだけあって、マサルさんの 絵ありきで書かれたお話たちなんだそう。 普通逆だと思うし、そう思って読んでいたので あとがきでその事...
フジモトマサルさんの絵に弱く、表紙買い。 一話ごとに収録されている絵もカラーで 登場する動物たちがいちいち愛らしく、 見ていて飽きない。 絵物語集というだけあって、マサルさんの 絵ありきで書かれたお話たちなんだそう。 普通逆だと思うし、そう思って読んでいたので あとがきでその事実を知ってびっくり。 改めて、絵から想像してお話を読んでみるのも 面白いかもしれない。 すべて読書についての物語で、エッセイ? と思わせて意外な人物が語り手だったりして、 吉田さんワールドに惹き込まれました。 3ページ構成という短い文章の中で こんなにまとまりのあるお話を描けるとは…。 小一時間でさらっと読めるんだけど、 手元に置いてマサルさんの絵とともに、 思い出したように何度も読みたい本。
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文章が先にあってそこに絵をつける「挿絵」ではなく、フジモトマサルさんの絵に吉田篤弘さんが文章をつけるという「挿文」。シュールでクセになり、毎日少しずつ読みました。お気に入りはキツネの「眠くない」です。
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フジモトマサル氏の絵の方が強いイメージで,あとがきを読んで納得.絵が先にありきだったのです.ショートショートで,どれも本に関わりのある思いがけない面白さがある.
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「ちくま」の表紙、すごく好きだった。どれも誰かが本を読んでいる風景。フジモトマサルの絵には、これに限らず本棚がよく出てきて、その格好を真似して本を読んでみたくなる。
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ここから先は俺の時間。 来年もたくさん読もうと思わせてくれました。 フジモトマサルさん、ご冥福をお祈りしています。あなたのイラスト大好きでした。
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