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土の中の子供 の商品レビュー

3.3

121件のお客様レビュー

  1. 5つ

    13

  2. 4つ

    35

  3. 3つ

    45

  4. 2つ

    14

  5. 1つ

    7

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2013/12/02

未熟なまま、自己で処理しきれない不条理にさらされて、哲学に墜ちただけなのだ。 土から生まれた子供なんて、特異なはずなのに、多くの人がこの話にシンパシーを感じるのではないかということ。 それでも、この世から虐待はなくならないし、暴力も消えない。 根源的なものなのだろう。

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2013/09/16

2005年芥川賞受賞作「土の中の子供」と、「蜘蛛の声」という短編がおさめられたもの。どちらも内的対話が主であり、外側の理不尽な暴力にまみれた世界との距離をはかりかねているような印象。中村文則の文章は非常に読みやすいのですが、なんだかのっぺらぼうというか無個性で、語られる物語も惜し...

2005年芥川賞受賞作「土の中の子供」と、「蜘蛛の声」という短編がおさめられたもの。どちらも内的対話が主であり、外側の理不尽な暴力にまみれた世界との距離をはかりかねているような印象。中村文則の文章は非常に読みやすいのですが、なんだかのっぺらぼうというか無個性で、語られる物語も惜しいというか、いろいろと物足りない気がするのだけれども、彼が表現したいと願っていること、暴力のこと、にわたしは強く惹かれる。暴力がなぜ起きるのか、それは他人だからだ、というその結論。わたしはわたし以外であれず、他のだれも究極的にはわたしになれないことを思うと、世界はほんとうに暴力に満ち満ちていて、中村文則は才能が追い付いていないけれどもそういう暴力をきっと描こうとしていて、わたしはもうすこしだけ、その挑戦を見てみたいなあとおもう。白湯子の存在の使えてなさには腹が立ったんだけど、ともかく。

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2013/05/25

中村さんの作品は、色でいうならどれも灰色っぽい感じがする。 風景は無機質。 けれど途中途中で一瞬温かみを感じるところがある。 主人公は自殺したいのではなく、生きたいがために、自分を落としていったのではないだろうか。

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2013/05/07

中村文則さんの作品は昨年『悪と仮面のルール』と『掏摸』の二作品を読んだが両作品とも楽しめたので、彼が芥川賞をとった本作品を買ったのだと思う(ずいぶん前に買ったので購入のきっかけは忘れてしまいました)。二編の短編がおさめられていて、その二つともこの著者の本質の部分を描き出していると...

中村文則さんの作品は昨年『悪と仮面のルール』と『掏摸』の二作品を読んだが両作品とも楽しめたので、彼が芥川賞をとった本作品を買ったのだと思う(ずいぶん前に買ったので購入のきっかけは忘れてしまいました)。二編の短編がおさめられていて、その二つともこの著者の本質の部分を描き出していると思うのだが、それがとてつもなく暗く、哀しいので読んでいてまたまたつらくなってしまった。この本の前に読んだ小谷野敦さんの作品『母子寮前』が暗い小説でやられたのだが、この小説もある意味暗く、二連続で気持ちが沈んでしまった。選択ミスをしたのは自分なのだから仕方ないが、少し選び方に気をつけねば。せっかくの春なのに。 もちろん小説としては力を感じるのだが、去年読んだ作品とのギャップが大きく同じ著者と思う事が難しいので、もう少し彼の作品を読んでみたいので、少し注目して行こう。

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2013/04/10

芥川賞第133回受賞作。 圧倒的な暗さ。絶望感。やるせなさ。死がものすごく近くにある。一線をすぐにでも越えてしまいそうなあやうさ。でも最後主人公が歩き去る場面では「生」に向かう力強さを感じることができた。引き込まれた。 施設にいた頃一緒だったトクのことを思い出すシーン。強く印象...

芥川賞第133回受賞作。 圧倒的な暗さ。絶望感。やるせなさ。死がものすごく近くにある。一線をすぐにでも越えてしまいそうなあやうさ。でも最後主人公が歩き去る場面では「生」に向かう力強さを感じることができた。引き込まれた。 施設にいた頃一緒だったトクのことを思い出すシーン。強く印象に残った。 ーそれじゃあ思うつぼだよ あいつらの思う通りじゃないか 彼の言う「あいつら」とは、何を指していたのか。ー

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2013/04/04

表題作と「蜘蛛の声」の2篇収録。いずれも死をテーマに置いた小説です。 前者は死への渇望が強く、後者は生への渇望が強いように感じました。 ただ終始中村さんらしい、ぬめっとした湿気の高い強烈な文章。 例えば「蜘蛛の声」で、主人公が起床し、会社へ行く準備をしながら精神的におかしくなって...

表題作と「蜘蛛の声」の2篇収録。いずれも死をテーマに置いた小説です。 前者は死への渇望が強く、後者は生への渇望が強いように感じました。 ただ終始中村さんらしい、ぬめっとした湿気の高い強烈な文章。 例えば「蜘蛛の声」で、主人公が起床し、会社へ行く準備をしながら精神的におかしくなって行く様子、こういった錯乱状態に陥る可能性は誰しも孕んでいて、 出来れば目を背けていたいこういうテーマに真摯に向き合っている 著者は、一体どれだけ苦しい思いをして書き上げたのかとか、そういったことが終始気になってしまう。 本作は他の中村作品と比べ特に救いのないように思うので尚更。 けれど後書きにもあるように、本に対して中村さんの、本に対する依存度や信頼感、一種のドラッグのようなキリキリした捉え方が小説内でも垣間見れたことに感動しました。 「まあ、救われる気がするんだよ。いろいろ考え込んだり、世界とやっていくのを難しく思ってるのが、自分だけじゃないってこもがわかるだけでも」 凄かった。相変わらず内容以外の部分でも強く印象を残す小説です。

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2013/03/31

第133回芥川賞受賞作。 著者独特の世界。重く暗い雰囲気が漂い、主人公は屈折しているが、何故だか応援したくなる。

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2013/03/06
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

「銃」、「遮光」に引き続きどっぷりという感じ。 途中、缶コーヒーを落とすシーンの描写、 あの感覚からものすごく引き込まれた。 恐怖・不安に憑りつかれた、もしくは魅せられた主人公。 その主人公が恐怖・不安を「生」に「死」に感じ、考えることでみえてくる自分自身。 この恐怖・不安は「死」によるものなのか、「生」によるものなのか、 主人公の過去を振り返りながら、いまの現象と結びつき、深く掘り下げられていく。 どんなかたちであれ、土の中の子供にとって白湯は光なのだと思う。 その生温かさを感じさせてくれるラスト。 個人的に中村さんの作品は、答えがある話ではないと思うが、 読者が持っているが深くに眠っているそれを浮かび上がらせるために、 暗く重い話を投じてくれているような感じだと思う。

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2013/03/04
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

芥川賞受賞の純文学らしく、暗くて重い。 引き取られた両親に、毎日のように虐待されていた幼少期を引きづり、社会から疎外感を感じながら、何のために生きているのか、未来に希望が見いだせない主人公。しかし、タクシー強盗にあったとき、土の中から這い出した自分を思い出す。「うんざりだ」この瞬間、恐怖を自分の糧として力強く立ち上がる。やはり、中村文則さんの小説には希望がある。

Posted byブクログ

2012/12/20

ピースの又吉さんがこの作家が好きだと何かに書いていたので読んでみました。最初のハードボイルドっぽさについていけない感じがしましたが、最後はそれなりに入り込んで読むことができました。

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