土の中の子供 の商品レビュー
なんだか琴線に触れた。 なんだろう( 'ω')破滅衝動というものか・・・ 「そうなる前に自分から」というやつか? 不思議だ。 暴力描写は陰惨だし、内容も愉快なもんじゃないのに、なんか魅力的。 私って暴力描写好きだったのかなぁ・・・と思ってしまう。 もう1度読も...
なんだか琴線に触れた。 なんだろう( 'ω')破滅衝動というものか・・・ 「そうなる前に自分から」というやつか? 不思議だ。 暴力描写は陰惨だし、内容も愉快なもんじゃないのに、なんか魅力的。 私って暴力描写好きだったのかなぁ・・・と思ってしまう。 もう1度読もう。 なんでか気になる。 ちなみに暴れん坊本屋さんの番子さんのお友達が、芥川賞受賞したというマンガを読んでこの本を知る。
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「土の中の子供」マゾヒストではないのだが、恐怖を感じることを心のどこかで確実に求めている男性が主人公。自分でも自分が理解できず悩み苦しむが、全ての源は彼の成育歴にあり、ある事件をきっかけに自分の心と向き合う。 「蜘蛛の声」橋の下で全てから逃れるように生活する男性が主人公の短編...
「土の中の子供」マゾヒストではないのだが、恐怖を感じることを心のどこかで確実に求めている男性が主人公。自分でも自分が理解できず悩み苦しむが、全ての源は彼の成育歴にあり、ある事件をきっかけに自分の心と向き合う。 「蜘蛛の声」橋の下で全てから逃れるように生活する男性が主人公の短編小説。 中編・短編の2作品を収録する。表題作「土の中の子供」は第133回芥川賞受賞作。 「教団X」「私の消滅」を読み著者・中村文則に興味を抱いて読んでみたのだが、とにかく暗い!2作品とも負のオーラが終始漂っている。でも嫌いじゃない。特に「土の中の子供」は、残酷な世界で苦しみ悶えながらも、その苦しみの中から「自分自身の輪郭」を見出し、ほんの少しでも前を見て生きようとする主人公の姿勢に心を動かされた。 自分自身が一番よくわからない生き物である。人は「わからないもの」に不安や恐怖を抱く。自分を形作る過去がおぞましく歪められたものであったなら、なおさら自分自身が「不気味」であり、強烈な不安と恐怖に押しつぶされそうになる。それを解消する方法はたったひとつ。自分自身と向き合い続けること。それによりゆっくりと自分の輪郭が明らかになり、不安と恐怖は小さくなっていくのではないか。 やはり中村文則という人は、「自分」という存在認識に様々な角度からメスを入れて解剖している作家なのかもしれない。全ての手術の最小公約数が何なのか、これからも彼の作品を読んで見届けたい。
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鬱々と狂ったような内面描写がすごい。「土の中の子供」主人公は幼い頃に虐待されていたせいで、大人になった今も精神面に問題がある。暴力や恐怖を求めてしまったり、些細なことで過去を思い出し不安に駆られたりする。暗くて鬱屈していて息苦しく、まるで土の中にいるかのよう。それでこのタイトルな...
鬱々と狂ったような内面描写がすごい。「土の中の子供」主人公は幼い頃に虐待されていたせいで、大人になった今も精神面に問題がある。暴力や恐怖を求めてしまったり、些細なことで過去を思い出し不安に駆られたりする。暗くて鬱屈していて息苦しく、まるで土の中にいるかのよう。それでこのタイトルなのかと思えば、幼少期に本当に土の中に埋められていたからだった。酷すぎる。でも、最後には少し希望が見えたから良かった。「蜘蛛の声」土の中から続けて読むとしんどかった。息がつまる。十二国記の陽子と猿の対話シーンを思い出した。
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中編1編,短編1編 「表題作」落下への希求,それはほとんど叶えられない再生への希望.閉塞感あふれる世界で,最後にすっと光が差したかのような印象. 「蜘蛛の声」妄想 うーん.
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心を掘り進めてどうしようもなく暗い部分にたどり着いて、それでもなお掘り進めていく。 その過程でふいに手に入れる快楽に似た感触。 その感触にふと同調しかけてしまう危うさ。 そんな不思議な読書感。
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※このレビューにはネタバレを含みます
『土の中の子供』 幼児期に非道い虐待を受けた青年が、同じく心に傷を持つ女と出会う。どれだけ深い絶望の中でも、揺り戻す力が人間には備わってるのかも。土の中から外へ顔を出して生きていくんだ、というエネルギーが、最後は優しい世界に導いてくれたと信じたい。 『蜘蛛の声』 橋の下の窪みで暮らす若い男。会社員だったのか、同棲した女がいたのか、16歳なのか、通り魔犯なのか、本当のことは何もわからないけど、ただただ狂気だけが伝わってくる。人間には、肉体がある。傍観者だけになることはできない。 第133回芥川龍之介賞受賞作。 世界の成り立ちや人間を深く掘り下げようとし、突き詰めて開示するような物語、そういったものに出会っていなければ、僕の人生は違ったものになっていたと思う(あとがきより)、という著者。ここまでの闇を書くには、どれだけスケールのでかい鬱積を抱えていたんやろう。しんどかったやろうなあと思うとともに、自分の浅はかさが恥ずかしいと感じた。
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暗い・・・と読み始めは、参ってくるくらいでした。 が、しかし、始めのなんとなく読んでいた一人称わたしのクレイジーさというか、恐怖を欲する心の闇が中盤からじわじわと形となって、物語にひきこまれました。 自分の心と頭が離れている。と感じるのは誰しもあることだけれど、このわたしは、幼少...
暗い・・・と読み始めは、参ってくるくらいでした。 が、しかし、始めのなんとなく読んでいた一人称わたしのクレイジーさというか、恐怖を欲する心の闇が中盤からじわじわと形となって、物語にひきこまれました。 自分の心と頭が離れている。と感じるのは誰しもあることだけれど、このわたしは、幼少期の体験したことによって、その二つは通常の人よりも激しく乖離していて、こういう風に生きたいと思っても、こうしか生きれない、といったことがひしひしと伝わってきました。 「わたしはその間、店の夫婦が様子をさぐるほど、ぶつぶつと何か呟いていたようだった」 とかいてあって、はじめ、あれちょっとコメディ?と思ったのだけど、全然違いましたね。 蜘蛛の声も、警官がでてきた時点で、あれコメディ?と思ってしまった。 あと、あとがきがあって嬉しかったです。
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父母に捨てられ、引き取られた先で虐待の末 殺されそうになった青年の闇 死に惹かれ、それでも生きようとする主人公の 重さがのしかかってくるような作品
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図書館で借りた本。 「土の中の子供」タクシードライバーの主人公が、暴走族に襲われている場面から始まる。どんよりとした話 「蜘蛛の声」誰だかわからない主人公は、隠れている。とにかく隠れている。結局どんな人物なのか、一切分からないままだった。 どちらもどんよりとした作品です。
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死を望み、死に近いところで暮らし、それでも生きたいと願う。理不尽な悪意の中で育った主人公の、静かな哀しみが少しずつ、少しずつのしかかって来るようで、とても重かった。共感できる想いがあるのも、つらい。「僕は土の中で生まれたんですよ」自身で作り上げた新しい人生を選んだ、主人公の言葉が...
死を望み、死に近いところで暮らし、それでも生きたいと願う。理不尽な悪意の中で育った主人公の、静かな哀しみが少しずつ、少しずつのしかかって来るようで、とても重かった。共感できる想いがあるのも、つらい。「僕は土の中で生まれたんですよ」自身で作り上げた新しい人生を選んだ、主人公の言葉が印象的。
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