土の中の子供 の商品レビュー
中村文則の芥川賞受賞作を今更。 この人の作品はいつも地獄からの這い上がり。 壊れてしまった人間でも生き返れる。 主人公が土の中から生き返ったように。
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暗い。小説全体が暗い。主人公が置かれている状況も暗い。ただ、その暗い中から、明るさとは言えないけど明るさのようなものを見いだしていくことに共感してしまう。 主人公が述べたある言葉がとても気になった。 「常に内向的に成長し続けた私は、本を読むようになった。先人の書いた物語を読みなが...
暗い。小説全体が暗い。主人公が置かれている状況も暗い。ただ、その暗い中から、明るさとは言えないけど明るさのようなものを見いだしていくことに共感してしまう。 主人公が述べたある言葉がとても気になった。 「常に内向的に成長し続けた私は、本を読むようになった。先人の書いた物語を読みながら、この世界が何であるのか、この表象の奥にあるものが、一体何であるのかを探ろうとした。」 当然、答えは安々と見つかるわけではないのだけれど、上記のことが本作品でまさに味わえる。これこそ、純文学だなぁと言った作品です。
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『第二図書係補佐』でこの作者を見て、借りてみた。 「うーん」って感じかな。 今の時代の人は、こういう極限にしか、深いテーマを見いだせないのかな、 といのが感想。
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友達と又吉が好きらしいので気になってた本。図書館で借りてきて読んだ。 中村文則は3作目だけど、いまのところどれもおもしろいし、もやっとする話が多いのに結構読んだ後けっこう気分がいい。 生きてるってなんだろう…
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子供をもつものとしてはあまりにつらい物語で、読みきることができないかと思いましたが、心理描写にひきこまれ、一気に読みきってしまいました。圧倒的な暴力にうちひしがれても、小さな希望の光がみえるだけで、人間は生きていける どうかすべてのこどもたちが、そんな光を見つけられる世界であってほしいと思いました
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幼少期の虐待、不条理な暴力 その傷を背負いながら 乗り越えられるわけもなく 墜ちていく主人公。 主人公の女、も辛い堕胎経験から 生きる喜びを忘れ 崩れそうな生活を共におくる。 やるせない…
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職場の同僚が貸してくれました。2編収録されていますが、うち『土の中の子供』が芥川賞受賞作です。 ですので、自然と『土の中の子供』に重点を置いて読みました。僕はこの物語、好きです。ネット上では暗い暗いとあまり評判がよくありませんが、あんまり誰も彼もが同じことを言っているので、僕などは例によって天邪鬼に「暗くたって別にいいじゃん」と思っています。 かつて虐待を受けて、山に生き埋めにされて助かったという過去を持つ青年が主人公です。 彼はまあ、とにかく暗い。高いところから落ちることを想像して恍惚としていたり、暴走族にわざと因縁をつけたり、なんかもう根っからの破滅型です。でも一方で、そんな自分をかなり客観的に見ている。 んでいろんなことがあって(笑)、彼は最後に再生への第一歩を踏み出すのです。「僕は土の中から生まれたんです」という台詞がよかったですね。土の中に埋められて、人生がすっかり歪み切ってしまった男。だけど自分自身で「自分はまさにそこから生まれた」と口にする、この時の彼の感慨はどんなものだったのか。それについて想像していると、これは実は愛と勇気と希望の物語なのではないかとすら思えます。 とにかくずーっと暗い話が続くので、最後の1ページの、希望の光が垣間見えるような部分は本当にぐっと来ました。それはやはり、これでもかとばかりに暗いエピソードばっかりだったからこその感動だったのだと思います。 同棲相手の女性との、友情というか恋愛感情というか、とにかく彼女との心の繋がりもなんだか妙に美しい。傷をなめ合っているようでもあり、いたわり合っているようでもあり。言葉にならない絆を感じます。
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この世界観は嫌いじゃない。 表題作よりも「蜘蛛の声」の方が惹かれた。 「土の中の子供」もいいんだけど同じ表現が何度も出てくると 興ざめしてしまって残念な感じ。
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あまりに暗すぎて、読めなかった。とてもリアリティがある。主人公の背景から出る心情動作が、臨場感があって凄みを感じた。ただ怖い。
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