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破戒 の商品レビュー

4.1

200件のお客様レビュー

  1. 5つ

    66

  2. 4つ

    68

  3. 3つ

    33

  4. 2つ

    4

  5. 1つ

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2021/03/24

「蓮華寺では下宿を兼ねた」の、書き出しがいい。 「全く、私は穢多です、調里です、不浄な人間です」という、破戒のシーンも秀逸。 日本に根深く残る部落差別の問題を、切ないほど見事に描きだした作品。社会問題に対する正義とは何なのか?破戒の果てに光が見えるのか? 再読必至。

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2021/02/23

差別など社会問題を描く作品を好きだと公言するのはなんだか気が咎めるけれど、好きなんだよな…映画版もよかった。

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2021/02/06

まさしく「破戒」でした。 破戒の先の世界は自由で素晴らしいものであって欲しい。世間体や周りの目を気にするあまり、自分を押し殺して、無難に生き長らえることを是とする社会、さも息苦しいでしょう。 ほんの少し前まであった苛烈なる部落差別、想像以上でした。現在では逆差別のような利権にな...

まさしく「破戒」でした。 破戒の先の世界は自由で素晴らしいものであって欲しい。世間体や周りの目を気にするあまり、自分を押し殺して、無難に生き長らえることを是とする社会、さも息苦しいでしょう。 ほんの少し前まであった苛烈なる部落差別、想像以上でした。現在では逆差別のような利権になっているけど、どちらか極端に振り過ぎているような気がします。特に意識することも無く、普通の在り方は出来ないものでしょうか?

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2021/01/29

 読んだのは文庫本ではなく「名著復刻版」ですが、島崎藤村はすごい作家であると再認識しました。夏目漱石に比べると実際にはあまり読まれていないのじゃないでしょうか?  実際に読むとこれは漱石級ですね。風景や心理描写の巧みさは半端ないですね。「夜明け前」も読まなきゃと思いメルカリでポチ...

 読んだのは文庫本ではなく「名著復刻版」ですが、島崎藤村はすごい作家であると再認識しました。夏目漱石に比べると実際にはあまり読まれていないのじゃないでしょうか?  実際に読むとこれは漱石級ですね。風景や心理描写の巧みさは半端ないですね。「夜明け前」も読まなきゃと思いメルカリでポチりました。日本人として生まれたからには読まなきゃならない本の一つでした。

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2021/01/07

人生は無慈悲な、残酷なものだ。ーー 穢多(えた)に生まれた教師である主人公が、紆余曲折あって、その身分を隠せという父の戒めを破るお話。(本の後ろのあらすじにも書いてあるからネタバレではない) 差別描写が理不尽で胸くそ悪くて、そのまますっきりせんまま終わるバッドエンド。いち読み...

人生は無慈悲な、残酷なものだ。ーー 穢多(えた)に生まれた教師である主人公が、紆余曲折あって、その身分を隠せという父の戒めを破るお話。(本の後ろのあらすじにも書いてあるからネタバレではない) 差別描写が理不尽で胸くそ悪くて、そのまますっきりせんまま終わるバッドエンド。いち読み手としてはすっきりせんけど、学問的にはその時代の考察できる資料として価値があるやろし、上述の「紆余曲折」の部分での主人公の葛藤がええ感じに描かれててその点はいいんやろなあって思った。 ただやっぱり、胸くそ悪いまま終わるし、びびるくらい話進むん遅いから、本としては、読むん疲れるなあって感じた。

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2020/07/29
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

被差別部落出身の主人公。 そのことを世間に知られぬよう、父の言葉を胸に、学問に励み、小学校の先生をしながら、長野の雪深い町飯山に暮らす。 言わまいと決めていたはずなのに、少しずつその秘密が周囲に知られはじめ、耐えきれず最後には自分の教え子や身の回りの人に告白する。 それにも関わらず、教え子は先生を続けて欲しいと、共にに暮らしていた寺の娘はいつか一緒になりたいと、友はできることなら何でもしてあげようと、彼を大事な人のひとりとして見ることをやめない。 日頃から良い行いをしていれば、その人にどんな過去があろうと、人はその人を今までどおりに受け入れようとする。 嫌な奴もいるのが人生だけど、信頼できる人には最初から頼ったほうが、道は開けるのかもしれない。

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2020/05/24

いつも通り、図書館のリサイクル市から入手。長年、積読状態。このところ、休みが多く、本屋に行く機会は少なく、よって手に取ってみた次第。昔、母は「破壊」って部落の話やろ、などと言っていた。だから、そのことだけを知っていた。三島の本を読んでいると言うと、「えー」という反応であった。昭和...

いつも通り、図書館のリサイクル市から入手。長年、積読状態。このところ、休みが多く、本屋に行く機会は少なく、よって手に取ってみた次第。昔、母は「破壊」って部落の話やろ、などと言っていた。だから、そのことだけを知っていた。三島の本を読んでいると言うと、「えー」という反応であった。昭和1ケタ生まれの母親のことである。さて、本書の内容に引き込まれるうちに、私自身も本書を読んでいることを隠すべきではないかと思えたりしてきた。電車の中では、表紙の文字が見えないようにしないと、と気にしたりもした。変な話である。中盤過ぎまで、私は「丑松、隠し通せ」と胸の奥で思っていた。それが、良い悪いは別として。しかし、最終盤、生徒の前で告白する場面に至っては、「よくぞ言った、丑松」と、心の中で拍手をしていた。時代背景を知ることで、いろいろと読み方が変わる部分はあるかもしれないが、いまでも、自分の全存在を否定されるような場面に出くわすことはあるし、自分のために、家族のために、何か隠し通さなければならない秘密を抱え込んでしまう状況に陥ることもあるだろう。自分がそうでなくとも、誰かがそうなることもあるだろう。「想像力を養う」これが小説を読むことの一つの効用でもあるのだろう。

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2020/05/04

「蓮華寺では下宿を兼ねた。」 という簡潔な出だしが秀逸 「部落出身者」に対する世間の差別と 本人が出身を隠して世間に出て(教師をして)いることを 見つかる恐れと、正直に言うべき正義感とに 迷い悩みにゆきくれるという 明治時代の自然主義文学の先駆け作品 文章は簡潔にして歯切れ...

「蓮華寺では下宿を兼ねた。」 という簡潔な出だしが秀逸 「部落出身者」に対する世間の差別と 本人が出身を隠して世間に出て(教師をして)いることを 見つかる恐れと、正直に言うべき正義感とに 迷い悩みにゆきくれるという 明治時代の自然主義文学の先駆け作品 文章は簡潔にして歯切れがよいし、今読んでも解りやすい 近代国文学史で皆が習うが、読む人は少ないかもしれない まえに読んだのは20代であったから いろいろ世間を知った今は複雑な思いになる 連綿として差別はあるし、あるからこそ差別に怒りを覚えるのだが この藤村の作品を 丑松という主人公個人の悩みを描いていると見るか 社会的問題提起を作者がしていると思うのか どちらにウエートをおいているのか 解説では 作者は個人の悩み「隠しているつらさ」の憂鬱を表現したいのであって 差別問題提起しているのではないと言っている むしろ藤村自身も差別意識があったのではないかと しかし 読み手が差別といじめに義憤するならそれでいいと思う 丑松が父親の戒めを破ってついに 自分は「エタである」「不浄である」と告白して土下座する場面の 不愉快さがなんとも言えないやりきれなさのパンチが 読み手に生きてこないと思う この21世紀 差別やいじめは亡霊のごとく現れたり消えたり 世間には、あいもかわらずあるのである

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2020/03/28

隠せ。 部落差別問題の渦中で身を焼く瀬川丑松。父の教え。活動家猪子の生き様。「忘れるな」。狭量な社会。不遇の娘お志保。友の存在。 丑松が破戒した瞬間、暗く惨めな過去から新しい未来へ放たれた希望の音が聞こえた気がしました。

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2020/02/23

日本人とは、無意識に洗脳されまいと、日頃強い警戒心をもって自分の言葉で主張する人を冷めた目でみるが、その実不覚にも洗脳されやすい集団だという思いを新たにした。その時代に生きていたら、聡明さと勇気に欠ける私もそのうちの1人であった可能性は高い。現代でもその差別が残っていると聞いたが...

日本人とは、無意識に洗脳されまいと、日頃強い警戒心をもって自分の言葉で主張する人を冷めた目でみるが、その実不覚にも洗脳されやすい集団だという思いを新たにした。その時代に生きていたら、聡明さと勇気に欠ける私もそのうちの1人であった可能性は高い。現代でもその差別が残っていると聞いたが、信じられない。明治の時代にあって、島崎藤村が普遍的ヒューマニズムの視点を持っていたこと、それを小説として発表したことの偉大さを再確認。

Posted byブクログ