項羽と劉邦(中) の商品レビュー
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秦帝国が滅亡したあとの話。先に関中に辿り着いた劉邦は関中王となり、項羽と敵対することとなる。元々敵対するつもりはなかったが劉邦の側近に函谷関を閉じれば関中は手に入ると唆されたことで項羽と争うこととなる。その後項羽に謝罪をし中国の山の中である漢、巴蜀に封じられることとなった劉邦はそこで挙兵し再び関中を制圧し漢王と名乗ることとなる。前回関中に入った際に、劉邦軍は秦の人たちに対して略奪をしておらず逆に項羽軍は掠奪強姦をしたことで秦の人たちは劉邦軍を歓迎することとなる。その後劉邦は項羽軍の本拠地である彭城を一度は占拠するも留守から戻ってきた項羽によって返り討ちに遭い劉邦は敗走し、滎陽にて籠城する。この敗走する場面で劉邦は自分の子供を馬車から投げ捨て車を軽くしようとするがあまりにも必死すぎる。 最後籠城から抜け出すために同郷の紀信を影武者として項羽に降伏する間に劉邦は滎陽から抜け出し関中へと向かう。 なんでもできる項羽に対して何もできない劉邦の対比が面白い。前者は有能な部下がいても重宝せず、身内を才能に関わらず信用していたため大事な軍師である范増が抜けてしまう。逆に後者は張良、韓信、蕭何と言った有能な人材をしっかり登用していく。何もできないのもどうかと思うが人を信じて適用するのも才能の一つか、
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項羽と劉邦の対比が鮮やかだ。圧倒的な戦闘力と威圧感を示す項羽。圧倒的に戦下手で田舎の親父感満載の劉邦。しかし、子どもじみた項羽と人たらしの劉邦。自分の力を示し続けなければならない項羽に対し、人たらしの劉邦には様々な人が引き寄せられる。劉邦の身代わりとなり項羽を罵倒しながら焼き殺さ...
項羽と劉邦の対比が鮮やかだ。圧倒的な戦闘力と威圧感を示す項羽。圧倒的に戦下手で田舎の親父感満載の劉邦。しかし、子どもじみた項羽と人たらしの劉邦。自分の力を示し続けなければならない項羽に対し、人たらしの劉邦には様々な人が引き寄せられる。劉邦の身代わりとなり項羽を罵倒しながら焼き殺された紀信のエピソードなどその最たるものだろう。 漢中に追いやられた劉邦がどのように反転し、関中に戻ってきたのか。ちゃんと描かれていないと思う。
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張良や韓信らが出てきて、鴻門の会などもある。陳平の毒も中国戦乱期の権謀術数の真髄という感じで面白い。韓信があれほど取り立てられたのは何故なのだろうか。
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項羽、劉邦それぞれが勢力をなし戦乱を繰り広げる中巻。各陣営内部の関係性やその中で誰がどのような能力を発揮するのかを通してトップとしての二人の資質の違いが表される。 組織にはどちらのタイプの代表もいる。コンサルしがいがあるのはやっぱり劉邦タイプがトップの組織。
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秦を破ってすぐに項羽と劉邦の戦いが始まるとは。 2人の人となりの違いが面白い。 2000年以上前の物語がこうして残されていること自体すごいことだ。 昔の方が、食事にありつくために生きなきゃいけないという状況は大きかったんだろう。 昔の人は暇だったから戰をしたのかもしれない。
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※2003.12.31購入@読書のすすめ 2004.1.19読書開始 2004.1.24読了 売却済み
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教科書でやったのを途中で思い出した! 劉邦はなんにもないけど、だからこそいい仲間に恵まれてるな。でも仲間そこまで大事にしないのに、みんなついてくるのには、なんかおもしろいと感じた。可愛らしさがあるんだろうなと思う。
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p.197 酒があなたの体を得てよろこんで跳ねまわっているのです。 天下の統一も人間の欲や妬みも、現代と大きく変わらず、そして、それが歴史を作っていくんだなーとしみじみ考えさせられてしまいます。
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【感想】 「上」に続く筆者の常套構成方法として、パートを大きく2つに分け、それぞれに役割を持たせているように思う。 1つが物語を進めるパートで、もう1つが新しい人物が登場するパートである。そして、どちらもそれぞれの良さがある。 物語を進めるパートでは、無論話が進むため内容は濃ゆく、地図を確認しながら話を追ってゆくことになる。それだけ、ゆっくり読む必要もある。 人物が登場するパートでは、新たに登場人物が登場するのであるが、登場するキャラ1人1人が非常に濃厚でノンフィクションではと思ってしまうほどだ。著者も本書内にて記しているが、それだけ当時の中国では様々な個性が認められていたのであろう。 【要約】 どちらが先に関中に入るかについて争う項羽と劉邦。劉邦は先に関中を手にしたあまり、つまらない抵抗を項羽に見せてしまい、彼の怒りを買うも鴻門の会にてどうにか乗り切る。その後、劉邦は一時漢に退くも、再び関中に戻り漢王国をつくる。その後項羽の虚をつき彭城を占拠するも、すぐに追い返され遁走。再び兵を集めて滎陽で1年籠城するもジリ貧により退却。(下巻に続く) 【引用】 p9 この大陸でいうところの徳という説明しがたいものを人格化したのが長者であり、劉邦にはそういうものがあった。 p10 戦国の現出の先駆的な条件は、古代社会にくらべ、農業生産力が飛躍的にあがり、自作農が圧倒的に増え、ひとびとは農奴的状況から解放され、それをふまえての自立精神ができあがったということを見ねばならない。これによってアジア的な意味での個が成立し、この個の成立からさまざまな思想、発明が、沸くように出てきた。戦国前時代の春秋期をふくめて諸子百家がぞくぞくとあらわれ、中国思想史上、後代にもない絢爛とした時代を現出するのも、以上のような土壌に由来する。 p18 韓非子はいうまでもなく法家思想の大成者であったが、かれの思想とその国家学は韓の内部的現実の中からうまれたといっていい。 p46 諸子百家の時代から遥かにはへだらないこの時代にあっては、百家の思想はそれぞれ教団のような形で継承され、孔子を教祖とする儒教の教団も、そのうちのひとつにすぎず、後世のような中国的素養そのものにはなっていない。むしろ儒者は、他人の服装、容儀、行儀にやかましく、いちいち指摘する癖があったから、一般から煙たがれるか、嫌われる傾向があった。 p57 劉邦はただ、 「おのれの能くせざるところは、人にまかせる」 という一事だけで、回転してきた。 →DMM の亀山さんと似ている。 p67 自己の意見を古わらじのように捨て、張良が十分に説明を終えないうちにとりあえず全軍に停止を命じた。 p77 お教えしなかったからこそ私の生命がいままで無事だったのでございます、もし申し上げていれば、趙高どのを信ずることあつい陛下は私をお殺しになったでしょう。 p97 秦政権そのものが罪人の製造機械のようなところがあった。 p187 戦いの基本は補給であり、いくら兵の進退に長じた将軍でも補給を思考の主要要素に入れなければしろうとにすぎず、しろうとの戦さ上手に戦争をやらせるととんでもない惨禍を味方に蒙らせてしまうことを蕭何はあらゆる人間と局面を見てきてよく知っていた。 p369 (この小僧の癖がはじまったわ) 老范増は、もはや、そういう項羽を憎悪した。 →爆笑 p390 この男は、このように惨烈な状況になってもそのけい室に婦人をたやしたことがない。 【ハッシュタグ】 #中国史 #漢の建国史 #リーダーシップ #儒家思想 #法家思想 #キャラの個性 #難語習得
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再読。 個性あふれる数多の登場人物、その各々の逸話が読んでいて興味深い。 紀信、周苛のエピソードに胸を熱くする。 ささ、次巻へ。
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