菊と刀 の商品レビュー
1940年代の日本(…
1940年代の日本(人)を文化人類学的考察から正確に伝えている。一部誤記ではないかと思われる部分もあるが、来日したこともないのに、その調査たるや驚くばかりである。義理と人情、子供の教育等についての記述はおもしろい。
文庫OFF
40年以上前からこの本の存在は知っていたが縁があってようやく手にした。想像以上に大著であり集めた資料の多さに感服した。内容は概ね的を射ているように思った。ただ80年前の著作なので人種、民族については白人は優れているというフィルタがかかっているように思える。それが結論を一部歪めてい...
40年以上前からこの本の存在は知っていたが縁があってようやく手にした。想像以上に大著であり集めた資料の多さに感服した。内容は概ね的を射ているように思った。ただ80年前の著作なので人種、民族については白人は優れているというフィルタがかかっているように思える。それが結論を一部歪めているように思った。中国が日本を倭と呼びさげすんだことと傾向が似通っていると感じた。それが無ければ歴史的名著だと感じた。少し残念
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アメリカ人著者が日本を分析した本書。礼儀正しさと傲慢さなど頷ける部分がある一方、疑問点や難しくてまだ理解しきれていない部分もある。 しかし当時の日本人の多くがアメリカについて外道、鬼畜米英などと呼ばわり、盲目であったのに対し、ベネディクトの視線は人を捉えている。‥と感じた。 敵と...
アメリカ人著者が日本を分析した本書。礼儀正しさと傲慢さなど頷ける部分がある一方、疑問点や難しくてまだ理解しきれていない部分もある。 しかし当時の日本人の多くがアメリカについて外道、鬼畜米英などと呼ばわり、盲目であったのに対し、ベネディクトの視線は人を捉えている。‥と感じた。 敵として戦った国にも文化があり、歴史、暮らしがあり、人々には信念があると。 相手の文化を知ろうとすること自体が素晴らしいと思った。 例え国同士が争いの中にあっとしても、こうした視点は人と人とを強く繋ぐように思う。 ナショナリズムが再び台頭しているように見える昨今、果たして自分はベネディクトのような視点を持てているだろうか?
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アメリカが日本を統治する際に必要な情報として、日本人の特徴の調査結果をまとめた本。著者は日本に行かず、アメリカにいる日本人からの話を基に本書を作っているが、日本人である私から見ても、礼節を大事にする点やお互いの責任、名誉を尊重する行動を深く分析できていて、外国から見た日本人は、...
アメリカが日本を統治する際に必要な情報として、日本人の特徴の調査結果をまとめた本。著者は日本に行かず、アメリカにいる日本人からの話を基に本書を作っているが、日本人である私から見ても、礼節を大事にする点やお互いの責任、名誉を尊重する行動を深く分析できていて、外国から見た日本人は、非常に異質な性質を持っていることがよく分かる。 調査前の日本人の印象は、奇怪であり、「しかし、また~」がつくように矛盾した行動が随所にみられる。例えば、「忠実である。しかし、不忠実で意地悪」「礼儀正しい。しかし、不遜である」などが挙げられる。 このような印象は、封建制度と「恩」の概念によるところが大きいと考えられる。社会全体の傾向として、階層がある程度決まっているのが昔から続いていたため、心持ちやそれを示す所作が民衆や武士の中で確立されていったのではないだろうか。恩は幼少期から”恥辱”を教育されることで形成され、自らの尊厳と実益を天秤にかけた結果、矛盾した行動指針があるように見えてしまったのではないだろうか。 以下に、本書で読んだメモを書き記す。 恩は負債であって必ず返済しなければならない。恩は二種類ある。義理と義務だ。義理は負債を返済すればその場限りで終わる。しかし、義務は一生つきまとう無限の返済である。さらに、義務は忠(天皇や目上の人に対する恩返し)と孝(両親に対する恩返し)に分類される。日本ではこれらの性質から、恩恵に対して恩返しをすることが一般的となっているが、アメリカでは自分のことは自分で処理することになっており、ここに双方の遵法精神の解釈の違いがある。 戦時中の日本人は、地位と名誉を守るためにどんな行動も他国から見られていると捉える傾向にあった。例えば、アメリカに島を占拠された際には、「これは作戦の内で、ここから反撃が始まるのだ」と言ったのだそう。 教育に関して日本人は義理の精神と名誉を守るために、アメリカのような競争による教育ではなく、どの学生も平行した教育がもたらされる。競争によって”恥辱”を受けるからだ。 薩摩藩はイギリスと交戦した結果、イギリスの良いところを取り入れようとした。名声を得るために驚くべき現実主義を発揮したのである。 アメリカは睡眠や食事を必要なものを動くのに必要なものとしていた。一方、日本ではこれらを楽しむもの(快楽)として位置付けていた。そして、入浴中の姿を西欧人は恥ずかしいものとする一方で、日本人はそうではなかった。 明治維新の時期に倒幕によって、西洋諸国とも渡り合える国を作るために王政復古が行われた。その結果、天皇のために戦う国民の図が完成した。
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視点はすごく鋭いと思うし、一人の米人として日本の玉砕や敗戦をどう見ていたか、何に対し疑問を感じたかが知れて興味深い。「明治に幕府から執政権を奪って天皇に復権させ、国を興隆させ、アジアを侵略し、南洋で米軍と死闘を繰り広げた、日本人はかくも勇猛果敢で交戦的であったのに、敗戦後は魂の抜...
視点はすごく鋭いと思うし、一人の米人として日本の玉砕や敗戦をどう見ていたか、何に対し疑問を感じたかが知れて興味深い。「明治に幕府から執政権を奪って天皇に復権させ、国を興隆させ、アジアを侵略し、南洋で米軍と死闘を繰り広げた、日本人はかくも勇猛果敢で交戦的であったのに、敗戦後は魂の抜けた腑抜け同然に無気力になり、連合軍の進駐を笑顔で迎え、村村の子供や婦女さえも手を振って歓迎する、この豹変ぶりは何なんだ」(第八章から要約) これにはこちらも「何でなんでしょうね」と言いたくなった。 --- 直訳調子がとても読みづらい (序盤が特に酷い)。「きっと原文ではHe His Himが◯回でてきたんだな」とわかるくらい彼は、彼の、彼を、彼が、のオンパレード。 おそらく厖大な数の史料や文献や著書を調べたであろうし、それは本文や註釈を読んでいてわかる分、こんな小さな文庫本サイズでも翻訳は大変だったろうと労いの言葉もかけたくなるが、日本語もう少しどうにかならなっかたかなと少し残念に思う。
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欧米人は内面の罪を恐れ、絶対的な規範に従って行動する。日本人は世間や他人の評価を気づかい恥を恐れて行動する。欧米人は個人が神に向き合い、日本人は自己の属する集団に恥をかかせないよう己を規制する。『菊と刀』1946 ※単純化、差異の本質化との批判。思弁的(経験の助けをかりず純理論的...
欧米人は内面の罪を恐れ、絶対的な規範に従って行動する。日本人は世間や他人の評価を気づかい恥を恐れて行動する。欧米人は個人が神に向き合い、日本人は自己の属する集団に恥をかかせないよう己を規制する。『菊と刀』1946 ※単純化、差異の本質化との批判。思弁的(経験の助けをかりず純理論的)との批判。 ※cf.リースマン。アメリカ人の社会的性格は他人指向型1950 他者に接近して、その他者と一体になりたいという感情や行動(甘え)。他者を常に必要するため、集団から個人が独立することがない。本来、母と子に限定される幼児的な甘えの心理が、社会全体に広がっている。甘えを許すウチと、甘えを許さないソトを区別。「甘え」は世界共通の普遍的な心理だが、それを表す言葉が欧米にはない。日本の精神文化。土居建郎どい・たけお『甘えの構造』1971 日本人は論理や合理性よりも、その場の空気に従って意思決定している。物や言葉がなにかしらの力をもつと感じる心理(臨在感)、無機物も含めてすべての物に霊魂宿るという考え(アニミズム)が背景にある。空気に支配されないためには、蔓延する空気を批判する(水を差す)ことが大切。山本七平『空気の研究』1977
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戦争中の日本人 『われわれのからだが辛ければ辛いほど、ますますわれわれの意志、われわれの精神は肉体を凌駕する』 『ヘトヘトになればなるほど良い訓練になる』 日本人は、人は特別な修行によってその精神を至高のものにすることができる、と信じている
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アメリカ人から見た日本人の行動分析。 日本人の行動原理を客観的に把握することができる。 現代社会において変わってしまった生活様式もあるが、原理原則を知る上で役立った。
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教養ある方が突然キレて「大したことではないと思われる行為を猛烈に非難し、無法と思われる行為を平気で是認する(p.18)」姿は日常的によく目にする。この本を読んでそういった言動への理解が少しだけ深まった。同時代の坂口安吾の堕落論も読んでみたくなった。
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文化人類学の名著。 日本人的な思考体系を理解する手助けになる。 60年前の本なので必ずしも現代に完全に一致するわけではないけれど、その理論は現代に通じるところもある。
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