ブラフマンの埋葬 の商品レビュー
静かで美しい物語
夏のある日に出会った、「僕」と「ブラフマン」。人間と、小さな生き物の日常を淡々と綴りながら、ゆっくりと「終わり」へと近づいてゆく物語。著者の、優しさと毒をあわせもつ持ち味が生きた、静かで美しい物語だ。
abtm
物語の進み方は好きなのに、最後がわからんすぎて残念やった。 何が言いたいのかわかんない話だった。 あんなに大事に想ってくれてたブラフマンほっぽって…わたし的には後味悪かった。
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静かすぎる。まるで長い詩みたいだ。たいてい小川洋子作品には彼岸と此岸を繋ぐ異形のものがメインキャラに添えられるが今回は人ではない。あれかもしれない、いやこっちの方が近いと想像は膨らむが、生物分類学上の設定などは何も意味がない。だからその生き物がなにかは最後まで明確に提示されない。...
静かすぎる。まるで長い詩みたいだ。たいてい小川洋子作品には彼岸と此岸を繋ぐ異形のものがメインキャラに添えられるが今回は人ではない。あれかもしれない、いやこっちの方が近いと想像は膨らむが、生物分類学上の設定などは何も意味がない。だからその生き物がなにかは最後まで明確に提示されない。正解だ。 孤独と清謐にわずかにしかし明確にある暴力と裏切り。涙こそ流れないが、胸を突き刺してくる。
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名を持つのは唯一ブラフマンだけ。どこともつかぬ空想の世界。ひんやりした、少しざらついた石肌を感じさせる小説。小さく繊細なものの愛しさと人間のおろかさと。
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ブラフマン、かわうそかな?レース編み作家が一晩でブラフマンのおくるみを編んでくれたことが、なんだかうれしい。
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つい50年前まで川を下る他には来る手段がなかった小さな村。そこに芸術家たちのために無償で提供されている家がある。創作者の家と呼ばれるその建物に住み込みの管理人している僕とある夏の夜迷い込んできた小さな動物、ブラフマンとの物語。 ブラフマンは犬としか思えないのだがそうは書かれない...
つい50年前まで川を下る他には来る手段がなかった小さな村。そこに芸術家たちのために無償で提供されている家がある。創作者の家と呼ばれるその建物に住み込みの管理人している僕とある夏の夜迷い込んできた小さな動物、ブラフマンとの物語。 ブラフマンは犬としか思えないのだがそうは書かれない。 一体なんなのか?何故言ってくれないのか?そればかりが気になってしまい集中できなかった。ブラフマン目線のカギカッコつきのセリフの部分も必要だったのか疑問。 土地と建物と人物と出来事の関係がうまく絡み合っていないような気がした。それぞれはとても魅力的なので余計に惜しい。後日談があれば読みたいくらいだ。 小川作品にはもう少しの熱量とさらに癖のある人物を求めている。
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数時間で読めてしまった。やっぱりこの人の世界観が好き。奇想天外なストーリーがある訳ではないけど、心がスーッと落ち着く。
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結局ブラフマンって何だったんだろう。私は犬だと思ったけれど…。淡々と流れるブラフマンとの生活はとても穏やかで、きっとそうなんだろうな、という躾の過程も微笑ましくて。時おり出てくる彼女と彼の描写は少し生々しかったし、石棺の描写は神秘的でもあり、おどろおどろしくもあり。それでも流れる...
結局ブラフマンって何だったんだろう。私は犬だと思ったけれど…。淡々と流れるブラフマンとの生活はとても穏やかで、きっとそうなんだろうな、という躾の過程も微笑ましくて。時おり出てくる彼女と彼の描写は少し生々しかったし、石棺の描写は神秘的でもあり、おどろおどろしくもあり。それでも流れる時間はとても穏やかに感じました。最後に来なかった彼女には苛立ちを感じずにはいられませんでした。車の運転のあたりから、あまり好きにはなれない人ではありましたが…。
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他の人の頼みならブラフマンを優先したろうに、娘のことが好きだったから、ブラフマンをひとりにしてしまった。悔やんだろうな。良い意味で人物像が掴みにくく、余韻の残る不思議な話だった。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
美しい文章で綴られる、主人公と謎の生き物との短い交流。 とりあえず、すぐ読めた。 ブラフマンは結局なんだったの?カワウソ? ブラフマンはちょっと可愛くて、愛らしくて、別荘の皆に見送ってもらえたのはよかった。ただ、主人公の男が若干気持ち悪い。好きな女の子のストーカーみたい。彼氏とちちくりあってる場所の詳細とかどうして知ってんのさ(ドン引き)。 美しいようで薄気味悪く、泣くまでも笑うまでもない微妙なバランスを保った不思議な小説でした。 泉鏡花賞といわれると、確かにな、といった感じです。 ただ、現実世界とは解離したどこかの世界のお話風の展開は、どこか梨木香歩や川上弘美を連想させ、この手の話は先鋒がたくさんいるのにな、といった感想。 彼女の言葉使いには惹かれましたが、内容はあまり残らなかったです。
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