ブラフマンの埋葬 の商品レビュー
ブラフマンがどんな生き物か想像できなくって、最初はすごい奇妙な姿を想像してしまった… きっとビーバー? なら可愛い! 淡々として、静かな中に人の温かさを感じます。 碑文彫刻師と僕の関係なんだか素敵です。 ブラフマンの描写も可愛い… 生き物と一緒にすごす日々が丁寧に描かれてい...
ブラフマンがどんな生き物か想像できなくって、最初はすごい奇妙な姿を想像してしまった… きっとビーバー? なら可愛い! 淡々として、静かな中に人の温かさを感じます。 碑文彫刻師と僕の関係なんだか素敵です。 ブラフマンの描写も可愛い… 生き物と一緒にすごす日々が丁寧に描かれていて、私も生き物飼いたくなってきた。 雑貨屋の娘は…なんか好きになれません…
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「ブラフマンの埋葬」 夏のはじめのある日、ブラフマンが僕の元にやってきた。朝日はまだ弱々しく、オリーブ林の向こうの空には沈みきらない月が残っているような時刻で、僕以外に目を覚ました者は誰もいなかった。 サンスクリット語でブラフマン、それが彫刻師と僕で付けた名前。大勢の人々がやってきて去る創作者の家にブラフマンもやってきた、そしていつかブラフマンも去っていくと僕は思ったのだろうか。だから僕はブラフマンの石棺などを考えたのだろうか。 これはブラフマンが僕の元にやってきて去るまでの夏の物語です。しかし、ブラフマンが死を以って僕の元から去ってしまうのは非常に残念です。それもブラフマンと意思を交わそうとしない娘と僕との一連の出来事を起因としているのも正直言って納得出来ません。さらに言ってしまうと、僕がブラフマンをそのまま置いていくとは思いもしませんでした。だって、ブラフマンはいつでも僕を必死に心配し、探し回ってきたではないですか。 ブラフマンを認めていたのは彫刻師と僕だけだった気がします。彼ら2人と対照的な存在として挙がる娘とレース編み作家はまさしく人間だったのだと思います(そう考えると、レース編み作家は何故埋葬に参加したのかは謎)。 ブラフマンの謎は次第に少しずつ明かされていきます。しかし、それでもブラフマンは一体何者だったのかまでは決して分かりませんし、声も僕が一度きり聴けるだけ。そんなブラフマンが最後に振り絞って出した言葉は何だったのか。 ブラフマンが紡ぎ出す童話のような雰囲気に引っ張られる物語です。
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生活臭を消し去ったような小説。 謎の生物ブラフマンとの出会いから喪失までを書いているのだけど肉体性の希薄な文章なので寂しさや悲しさはない。淡々としている。 こういうなにも描かない小説を文学作品というのかもしれない。 主人公の僕にただ一つ間違いが有るとすれば雑貨屋の娘を好きにな...
生活臭を消し去ったような小説。 謎の生物ブラフマンとの出会いから喪失までを書いているのだけど肉体性の希薄な文章なので寂しさや悲しさはない。淡々としている。 こういうなにも描かない小説を文学作品というのかもしれない。 主人公の僕にただ一つ間違いが有るとすれば雑貨屋の娘を好きになったことだろう。
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ブラフマンは犬ではない。 以前、作者の講演会に出席した時に「ブラフマンというのは犬なのですか?」という質問に関して、彼女は「犬ではありません。あえて謎の存在にする為に サンスクリット語のブラフマンという単語を使ったのです」と言っていた。 物語は一切人物の名前は明かされず、三人称...
ブラフマンは犬ではない。 以前、作者の講演会に出席した時に「ブラフマンというのは犬なのですか?」という質問に関して、彼女は「犬ではありません。あえて謎の存在にする為に サンスクリット語のブラフマンという単語を使ったのです」と言っていた。 物語は一切人物の名前は明かされず、三人称のみで進んでゆく。 そして、ブラフマンがどんな生き物かさえ分からずに。 彼女は言う。 小説とは、死者との会話なのだと。 そして作家は、死への行進の最後尾を集めるのだそうだ。 死んでいった人々が遺した道具を使いながら。
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小川洋子さんの本ばかり選んで読んでしまうのは このひとの、こんな色彩感覚にも似たこの文才にあるとおもう。 ブラフマンという ネコなのか、犬なのか、はたまたイタチなのかも わからない「謎」の動物の存在が「僕」の家に傷を負ってあらわれる。 小川洋子さんの文章によく使われるのだけれど このかたの文章には「いち個人」の具体的な名前をつけない。 わたしは「私」であって、ぼくは「ぼく」 少女は「娘」であって、ほかを「彫刻師」など職業で表現する。 またその職業もうつくしいし、外国か日本か そんなことはどうでもよくて、そこの世界観に生きる「ひとびと」という 存在がある。 もっとも好きなのが今回のような「僕」の存在や語りかけかただ。 「無理しちゃダメだ」 僕は頭を撫でた。 「君は怪我をしているんだ」 喧騒の中で生きているのをわすれるこの時間の静けさと対話のなんとやさしいことだろう。「僕」の存在というのは決してしかりつけたりなどしない。 けれど謎の動物のいたずらにも「これは机といって、本を読んだり、食事をしたり、手紙を書いたりするものなんだ・・」と説明をする。 人はこの説明という作業にどれだけ心が救われるかわからない。 ここに「愛情」というものをとても感じるのだ。 どうしてこんな風にすてきな言葉をえらぶんだろう。 小川洋子さんの世界というのは色彩のように生まれて、水彩のように水を多く含んでいる。鮮やかな色をぼんやりと描き、ときには油絵のようにねっとりとけれど、全体はやさしく物語る。 ブラフマンの最後ですら、彼女は「僕」としての注釈をつけた。 けれど最後の一文に、電車の中で涙してしまうのだった。
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静かな河口の町で、芸術家に、創作に専念したり休息したりするための環境を与える『創作者の家』の管理人をしている主人公が、ある日、小さな生き物を拾う。この、「ブラフマン」と名付けられた生き物と管理人との交流が描かれる。 この生き物が一体何の動物であるのか、物語のなかでは特定されないので、最初、この生き物は何の動物なのだろうと考えながら読んでいたけれど、途中からどうでもよくなった。この小さな生き物が、自らの存在全てを管理人に委ねている姿が、じんと心に染みた。最後のブラフマンの死の場面では、自分でも意外なほど、痛ましさを感じた。ただひたすら、この小さな命が愛おしく思えた。 この河口の町は古くから川を流されてきた遺体の埋葬場所になっていたということで、全編にわたって「死」の影が漂っていると思った。管理人や芸術家たちの「孤独、静寂、死」のイメージと、『創作の家』に日用雑貨等を配達する雑貨店の娘の「生(性)」のイメージの対比。 色々なテーマが重層的に積み重なって、内容に深みが出ていると思った。
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ブラフマン、小さな子犬。〈創作者の家〉の管理人である僕がひそかに飼っている。吠えないし鳴きもしないがとても愛しい存在。
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小川洋子さんらしい、静かな作品。 タイトルが『埋葬』だから、ブラフマンが死んでしまうことはわかっていたんだけど、ラストはやっぱり切ない。 ブラフマンのけなげな可愛らしさがたまらない。 で、結局ブラフマンって何なの?水かきって……?
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すごく悲しかった。 たくさんの人が書いている通り、ブラフマンはとても可愛い。でもそれ以上に悲しくて。 タイトルからブラフマンが死んでしまうことはわかる、でも、このように死ぬのか、とおもった。 主人公は真面目で素敵で、でも主人公が想いを寄せている娘は他の人が好きで。ブラフマンとの...
すごく悲しかった。 たくさんの人が書いている通り、ブラフマンはとても可愛い。でもそれ以上に悲しくて。 タイトルからブラフマンが死んでしまうことはわかる、でも、このように死ぬのか、とおもった。 主人公は真面目で素敵で、でも主人公が想いを寄せている娘は他の人が好きで。ブラフマンとの関係や、主人公の優しさ、真面目さが気にいっていて主人公のことがとても好きだったのに、可哀想だった。 主人公の娘への想いがどんどん高まってゆくのがわかった。そして最後、その想いのせいでブラフマンと別れることになるとは。結局、主人公は愛するものを両方とも失ったのだな、と思って悲しかった。 埋葬の場面は穏やかで、悲しみに満ちていて、美しいとおもった。 でも、読み手が、タイトルからブラフマンが死ぬことを知りつつ、主人公とブラフマンの毎日を愛すること、それ自体がなんだか悲しいことだと思う。 物語の最初から最後まで、ブラフマンは「ブラフマン」という生き物だった。
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ブラフマンという謎の生き物と、創作者の家の管理人の話。 不思議な話で童話のようだと感じた。 どこの国の話かも、何人の話かも分からない。 でも、そんなことは重要じゃなくて、穏やかで心に残る話だった。
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