まだ遠い光 の商品レビュー
この長編シリーズはこれで完結。 家族に問題を抱える登場人物達も、最後には一応の形で解決し、幸せな人生を送る(だろう)ことになります。 重たく暗い内容ですが、最後にこういった結末を用意することによって素晴らしい読了感を味わえます。 天童 荒太さんの小説は4年前に「永遠の仔」を読ん...
この長編シリーズはこれで完結。 家族に問題を抱える登場人物達も、最後には一応の形で解決し、幸せな人生を送る(だろう)ことになります。 重たく暗い内容ですが、最後にこういった結末を用意することによって素晴らしい読了感を味わえます。 天童 荒太さんの小説は4年前に「永遠の仔」を読んで、これも感動したが、こちらもなかなか良い本です。 普通、文庫本って単行本を入手しやすくするだけですが、この文庫本シリーズは初版の単行本から、かなり手を入れ編集し直しているのだそうです。 もちろん、後者の方が出来が良いわけで、できれば文庫本で読んだ方が良いですよ。 単行本版は読んでないけど。 ご結婚されている方、子供を持たれている方、介護を要するご両親がいらっしゃる方、特に幸せなご家庭をお持ちの方にお勧めかな。 既に問題を抱えていらっしゃる方には、かなり辛い内容だと思います。 辛い部分を共有できるならいいけど、家族の問題ってそんな簡単に共有できる事じゃないでしょう。 だから、解決が難しいんだから。 まあ、そういうような内容の小説です。 「八日目の蝉」に、少しだけ通じる所があるかも。
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家族狩りシリーズも完結。家族問題を扱った小説なんだけど、サスペンスものとしての側面もあって重厚な作品だったなあというのが率直な感想。長すぎたような気もするが、3巻くらいまでサスペンス要素を感じなかったので、殺人事件なの?という意外な展開になった驚きは良かった。
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本巻が完結編。全体で約1700ページほどあったが、それほど長さは感じない。家庭崩壊と再生への道のりという重たいテーマで書かれていたが、小刻みに登場人物の視点が切り替わるのでマンネリとせず読みやすく、読み始めるとあっという間という印象。 人が生きていれば考え方も様々に異なるため...
本巻が完結編。全体で約1700ページほどあったが、それほど長さは感じない。家庭崩壊と再生への道のりという重たいテーマで書かれていたが、小刻みに登場人物の視点が切り替わるのでマンネリとせず読みやすく、読み始めるとあっという間という印象。 人が生きていれば考え方も様々に異なるために齟齬が生まれるし、虚無感に苛まれることもある。思い通りにいかないこともあるし、誰も私を認めてくれないと思うことだってある。自分が認められうる場所を探すというのは承認欲求なのかなと思う。他者を認めることは下手をすると自分を否定することにも繋がってしまうため難しい部分はあるが、それでもそうした心掛けは必要なのかなと感じる。
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第三部をすっ飛ばしましたが何とか読み終わりました。ひとまず第五部はいろいろと考えさせられるところもあったりして面白かったです☆…ただ、ちょっと5冊は長過ぎるかなあ^^;。
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かなりの長編だけど、一気に読むことが出来た。 サイコな描写はあまり気にならず。人間の深い部分がよく描かれている。
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膨大な物語をラストまできっちり読ませてもらいました。犯人と動機は予想がついても理解できるものではありませんでした。油井と犯人の結末に少し思うところがありますがそれ以外の全てのキャラの行く末をきちんとまとめてしまったのに感服しました。自分の今の立場から家族というものを考えずにはいら...
膨大な物語をラストまできっちり読ませてもらいました。犯人と動機は予想がついても理解できるものではありませんでした。油井と犯人の結末に少し思うところがありますがそれ以外の全てのキャラの行く末をきちんとまとめてしまったのに感服しました。自分の今の立場から家族というものを考えずにはいられません。拗れるきっかけはどこにでも転がっているものなのかもしれない。どれだけお互いが愛していてもそれぞれが個である以上いつもうまくいくとは限らないのかも。母親の立場として、研司の手のひらとラストの玲子がとても胸に刺さりました。
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評価は4. 内容(BOOKデーターベース) 浚介は游子の病室を訪れた。二つの心は、次第に寄り添ってゆく。山賀と大野は、哀しみを抱えた家の扉を叩く。ふたりの耳は、ただひとつの言葉を求めている。冬島母子をめぐり争い続けてきた、馬見原と油井。彼らの互いへの憎しみは、いま臨界点を迎えている―。悲劇によって結ばれた人びとは、奔流のなかで、自らの生に目覚めてゆく。永遠に語り継がれる傑作、第五部=完結篇。
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典型的ではないとはいえ、犯人探しの側面とかも鑑みると、まあミステリの範疇でしょうか。でも、奇想天外なトリックがあったり、まるで意外な犯人だったりってこともなく、そういう意味では、虐待を扱った純文学?って見かたもありでしょうか。苦しみながらも、各人なりの生き方の活路を見出すクライマ...
典型的ではないとはいえ、犯人探しの側面とかも鑑みると、まあミステリの範疇でしょうか。でも、奇想天外なトリックがあったり、まるで意外な犯人だったりってこともなく、そういう意味では、虐待を扱った純文学?って見かたもありでしょうか。苦しみながらも、各人なりの生き方の活路を見出すクライマックスで、最後は温かかったです。『永遠の仔』には譲るけど、これも良い出来。
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「家族」というものへの思い。 それはきっとひとりひとり違っていて当たり前なのだろう。 現実としての家族をしっかりと見据えて生きていくか。 それとも、幻想の中にある家族を追い求めて生きていくか。 答えはそれぞれの中にあるようで、実はどこにもないかもしれない。 親になりたくて親になる...
「家族」というものへの思い。 それはきっとひとりひとり違っていて当たり前なのだろう。 現実としての家族をしっかりと見据えて生きていくか。 それとも、幻想の中にある家族を追い求めて生きていくか。 答えはそれぞれの中にあるようで、実はどこにもないかもしれない。 親になりたくて親になる人ばかりではない。 親を選んで子どもになったわけではない。 もしも運命というものが本当にあるのなら、きっと親子になったことは運命なのだろう。 登場人物たちはみな一つの結末を迎える。 その結末を幸せだと受け止めるか、不幸だと嘆くか。 きっとそれも人それぞれだ。 生きていくことの意味。 家族である意味。 そして、ひとりであることの意味。 正解はきっとない。 生きていく中で、自分にとって一番正解だと思うものを掴むしかないのだろう。 ひとつだけ。 どうしても山賀たちの行動が理解できなかった。 どんなに不幸に見えても他人にはわからないことだってあるはずだ。 死の直前まで追い詰めて、命を奪って、そこに何が残ったというのだろう。 生きていてこそ、愛を感じられるのではないのか? 山賀たちは自分たちの失敗を受け止めきれずに、他へ責任を転嫁していただけのような気がする。 不満や悩みを受け止めてくれる場所は必要だろう。 でも、踏み込んではいけない見えないラインが絶対にあるはずだ。 社会問題として捉えると難しすぎて答えなんてどこにもない。 もっと小さな単位。自分の家族…自分の親や兄弟…そこから目を逸らさずに生きていくこと。 それくらいしか出来ることって思い浮かばない。 もっとも、日常生活を普通に送っている間はなかなか大切さに気づかないのも仕方がないと思っているが。
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もっとゆっくりと終焉を迎えて欲しかったと感じた。家族愛がテーマなら、それは長年の結晶であるはずだから、物語だって性急であって欲しくはなかった。なし崩し的に問題が解決しなくてもよかったなあとも思うし、一つずつ、じっくり解けていけばいい問題たちが、まるでマジックのように一本の線になっ...
もっとゆっくりと終焉を迎えて欲しかったと感じた。家族愛がテーマなら、それは長年の結晶であるはずだから、物語だって性急であって欲しくはなかった。なし崩し的に問題が解決しなくてもよかったなあとも思うし、一つずつ、じっくり解けていけばいい問題たちが、まるでマジックのように一本の線になってしまうのは、ちょっとエンタメ色が強すぎる。でも逆を返せば、もっとこの物語の中にいたかったってことなんだと思う。それだけ、いつの間にかこの作品に強く惹かれていたんだろう。これを一つの旅だとすれば、この旅が終わった今、旅をする前とは違う世界を自分は見ているのだろうか。それもきっと、今答えなければいけない類の問いではないのかもしれないなあ。家族って、いいなあ。どうでもいいけど、参考文献を見て、やはり小説家の勉強量はヤバイと思った。不勉強はいかんね。
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