沈黙博物館 の商品レビュー
博物館という単語にひかれて、図書館で借りた いつものように、アンバランスにあやしげに構築されている小川さんの世界 こんな博物館が仮に存在したとしても、きっと特定の人にしか見えない
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まずタイトルがいい。「沈黙博物館」いいね。小川洋子の描く世界は不思議でどこかこわい。 主人公は村人の遺品を納めるための博物館を作る仕事をするために不思議で遠い村にやって来ることろから物語は始まる。 面白かったし、世界観も良かったんだけど、他の小川洋子作品に比べると個人的にはちょっ...
まずタイトルがいい。「沈黙博物館」いいね。小川洋子の描く世界は不思議でどこかこわい。 主人公は村人の遺品を納めるための博物館を作る仕事をするために不思議で遠い村にやって来ることろから物語は始まる。 面白かったし、世界観も良かったんだけど、他の小川洋子作品に比べると個人的にはちょっと物足りない感じがした。なにが足りなかったのは自分でもよくわからないんだけど。
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死者の形見を集めて展示する沈黙博物館を作ることになった主人公。 依頼主を含めた5人での作業の過程で、主人公は次第にその魅力にひかれていく。 よくしゃべる老婆が衰弱していき、伝道師が修行を重ねて沈黙を極めて行くことが、沈黙博物館が完成に近づいていく様子を象徴している。 不気味で...
死者の形見を集めて展示する沈黙博物館を作ることになった主人公。 依頼主を含めた5人での作業の過程で、主人公は次第にその魅力にひかれていく。 よくしゃべる老婆が衰弱していき、伝道師が修行を重ねて沈黙を極めて行くことが、沈黙博物館が完成に近づいていく様子を象徴している。 不気味で美しい物語。
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結構アッサリ終わったと思って2回目を読み始めると不思議だ!!いつのまのか出てきていた人達全員を、こんなにも好きになっていたなんて。 出会ったばかりが懐かしく、出会い始めの老婆の意味不明の言葉も、今の私には理解ができる。あぁ、またみんなに会える・・・ 小川さんの不思議な力はここだ。いつのまにか誰もかれも大好きにさせられてしまうのだ! なぜか読んでる途中ではあまり気づかないのだけども、だから飛び飛びに読んでも読み返しの必要がなくスッと入れるんだ! 形見1つ1つの物語はほんの半ページのものから4ページのものまで本当にいろいろな話がある。重みのある老婆が話すからか、なぜか凄みがあり、読んでいる最中はそんなにも気に留めていないのに一度聞いたら全然忘れないくらいに、心に入り込んでくるのだ。 しかし、警察の主人公への疑いは晴れないまま・・・ってか刃の照合を全部調べればバレるし、博物館に来れば、決定的証拠が飾ってあるし。 いくら沈黙の伝道師に話せばずっとバレないといわれていたとしても、それってただのジンクスでしょ?だ、大丈夫なの?それ?? 老婆というはなんとも魅力的なキャラだ。この人が発する言葉全てがナゾを解くカギのように、物語のヒントのように、大切でちゃんと聞き取らねばならないと思わす力がある。だから私は老婆が大好きだ!だから、大好きだった老婆がアッサリと死んでいったのがすごく寂しかった。 主人公が帰らずに引き継いでくれたのはすごく嬉しかったけど、じゃあ主人公のあとは、そのあとは・・・また誰かが引き継いでくれるんだろうか。 沈黙博物館とは不思議な世界だなぁ。必要なのか不必要なのかたまにわからなくなるな・・・。 現実なのかパラレルなのかもわからなくなるくらいに、不思議が混在している。 耳の大きさや野球チームに爆弾魔。なき祭りに、シロイワバイソン・・・ 兄に手紙が届かなかったのははたして、兄がいないのかそれとも、主人公がいないのか、私にはどっちか解らない。
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小川洋子さんの、科学的な雰囲気を纏ったおとぎ話のような、でもちょっと怖い側面もあるお話。 沈黙博物館とは、無くなった人の形見を展示するという。イメージ的には、近代・現代から取り残されたようなヨーロッパの古びた町で、形見を集め続けてきた老婆。それを補佐するまだあどけなさが残る養女。...
小川洋子さんの、科学的な雰囲気を纏ったおとぎ話のような、でもちょっと怖い側面もあるお話。 沈黙博物館とは、無くなった人の形見を展示するという。イメージ的には、近代・現代から取り残されたようなヨーロッパの古びた町で、形見を集め続けてきた老婆。それを補佐するまだあどけなさが残る養女。そして使用人の夫婦。 そこに博物館技師として雇われた僕は、沈黙する形見を老婆との共同作業で、陳列物として完成させていく。 初めはその全ての異様さに恐れを抱きつつ加わるが、いつの間にか技師としての使命・喜びを見出して、 そして、老婆の死に伴って、その仕事を受け継いでいく。 この町は、どこか村上春樹の「世界の終りとハードボイルドワンダーランド」に出てくる、主人公が迷い込む世界の終りの町を彷彿とさせる。 怖いけれど、惹きつけられる沈黙の町。 どこか死のイメージと重なる。
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小川洋子『沈黙博物館』読了。博物館を創るべく、遙か遠くの村に赴いた博物館技師の「僕」。依頼主の老婆の収集品とは、その村の人々の遺品だった。ファンタジーでありながら、ミステリーの要素もあり、ドキッとするほど生々しい描写もある。登場人物に体温を感じないのは自分だけか。不思議な作品。
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1985年 村上春樹著 『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』と似ている。こちらは2000年に筑摩書房より刊行された。とりとめのない話がだらだらと続いていると感じるか、それともそこに深い真理を見出すのか読み手によって評価が分かれる。好き嫌いがはっきりする小説だ。エンター...
1985年 村上春樹著 『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』と似ている。こちらは2000年に筑摩書房より刊行された。とりとめのない話がだらだらと続いていると感じるか、それともそこに深い真理を見出すのか読み手によって評価が分かれる。好き嫌いがはっきりする小説だ。エンターテイメント性なしと、あえて言い切ろう。
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洋子さんはアンネに惹かれてヨーロッパの古い街を歩き、その時に出会った大きな館から妄想が発展してこのお話になったか・・・ と想像する。 洋子さんファンだけど、珍しく途中でなげだしたくなった。 極端にに冷えきった背景でストーリーも大きく動かずその淀みにもぐりこんでしまったが、身近な人...
洋子さんはアンネに惹かれてヨーロッパの古い街を歩き、その時に出会った大きな館から妄想が発展してこのお話になったか・・・ と想像する。 洋子さんファンだけど、珍しく途中でなげだしたくなった。 極端にに冷えきった背景でストーリーも大きく動かずその淀みにもぐりこんでしまったが、身近な人たちに暖かさがあるおかげで読み終えることが出来た 博物館を作るための規約や心得など、細部にわたって描かれているので、妄想っぽい事柄まで真実味を帯びてくる。でも、盗んだ形見を集めて 注釈を添えて展示する・・・まずここに引っかかってしまった。 ここを納得したくて最後まで読んだもののこれは解明されていない。やはり舞台はいつもの異界で、兄と連絡がつかないのもそのせいで、もしかすると兄も現世で「弟は出て行ったままで連絡がつかない・・・」と案じているのかもしれない・・・・・と妄想に妄想を重ねてしまった。
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※このレビューにはネタバレを含みます
僕がその村に着いた時、手にしていたのは小さな旅行鞄が一つだった。 相変わらず不思議な世界に包まれてる小川作品。 ちょっぴり切なくて、ちょっぴりグロテスクで・・ だけどいつも最後まで読み進めてしまう、そんな力があると思う。
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生と死の世界があやふやになる。ここはどこなのか、季節はいつなのか、この人は生きているのか死んでいるのか。 幻想的なのに生臭い。埃の香りまで感じるのに、浮遊しているかのように現実離れしている。まさに博物館。 小川作品三作目、期待は裏切られませんでした。 この本を手にとったときは、...
生と死の世界があやふやになる。ここはどこなのか、季節はいつなのか、この人は生きているのか死んでいるのか。 幻想的なのに生臭い。埃の香りまで感じるのに、浮遊しているかのように現実離れしている。まさに博物館。 小川作品三作目、期待は裏切られませんでした。 この本を手にとったときは、事情により「死」の傍にいたのに「死」を理解できず、半ば救いを求める形で小川さんの作る世界に惹かれたんだった。 でもその直後、実生活がものすごいスピード感を持ち始めてしまって(仕事ゆえに)・・・どこか遠くで物語が終わってしまった感じが、悔やまれる。 また、いつか、読み返そうと思います。 ちなみに、堀江さんの解説まで含めて一つの作品だと思っています。 アンネフランクの日記はそう活きるのですね、堀江さんの眼差しを通すと。その眼差しに相変わらず惚れる。 私は、何を形見とされるのだろう。私は何によって、私だと語られるんだろう。 考えてみたら、日々は死であふれているのに、死が存在しない時間なんて1秒たりともないはずなのに、 死をとどめることは、とても非日常的なことなのだ。
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