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沈黙博物館 の商品レビュー

4

72件のお客様レビュー

  1. 5つ

    19

  2. 4つ

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  3. 3つ

    16

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2020/06/11

この物語は日本?外国?この世界?死後の世界? シロイワバイソンも… 季節が変わる様子も見ているように感じた。 爆破事件や殺人事件の恐ろしい事件もおこるが 物語は優しい雰囲気のまま淡々と進む。 沈黙博物館の形見はメス、剪定ハサミ… こんなものと思うがその人を語るにはとても重要なも...

この物語は日本?外国?この世界?死後の世界? シロイワバイソンも… 季節が変わる様子も見ているように感じた。 爆破事件や殺人事件の恐ろしい事件もおこるが 物語は優しい雰囲気のまま淡々と進む。 沈黙博物館の形見はメス、剪定ハサミ… こんなものと思うがその人を語るにはとても重要なもの 私の形見として老婆は、僕は、なにを見つけて くれるのだろう、聞いてみたい。

Posted byブクログ

2019/07/21
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

小川洋子さんの静謐で美しい文章が、話の内容と組み合わさり、静かな不気味さとあたたかさを持った作品でした。博物館に集められていくモチーフはどれも少しぞっとするようなもので、それでもだんだんと収蔵物が増えるにつれて、博物館になっていく。沈黙の伝道師たちも印象的。こんな世界があればいいのにと思う。

Posted byブクログ

2018/08/01
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

何かでお勧めされてた本。 博物館というキーワードに惹かれて。 誰も駅に降りないような村で、博物館を作りたいという依頼主に会うためにやって来た博物館技師の僕。 未成熟な輝きを持つ少女と、どうみても親とは思えない位、年が離れた依頼主の老婆。 そこから沈黙の博物館と称した、老婆が集めた形見の展示の準備から、村で起こった死人の形見の収集(窃盗…)まで行うことになる。 読んでいくと、時々現れる不釣り合いなキーワードに意味があるのか考える。 持参した親の形見のアンネの日記、兄から譲られた顕微鏡、沈黙の行を行う沈黙の伝道師の存在。 人形劇やお祭りが娯楽の、へんぴな村っぽいのに、爆弾事件や猟奇的な殺人事件が起こったり、文化会館や観光用の土産屋があったり。 博物館を設立するお金の出所はおろか、老婆の出自や登場人物の名前すら出てこない。 老婆、少女、庭師、家政婦、そして技師さんこと僕。で構成されている。 一人称なのになんだかよそよそしさを感じるのはこのせいか。 ちょっと不穏だけど、幻想的で落ち着いた雰囲気で進む物語。何かを暗示しているようで、いまいち掴みきれない世界。 なぜ殺人犯の容疑者に疑われつつ、僕は逃げ出せなかったのか(洗脳?) 顕微鏡を形見としなければならない理由は?(社会との隔絶?) 誰も訪れない沈黙の博物館の運営は? 少女もまた老婆に見出だされた、博物館のための後継者なのか? 連続殺人の犯人以外、分かりやすいところがなくてもやもやと考えた。 最後の書評で、ホロコーストのくだりを読んだら、急に今までの話が繋がるようで、見方が変わる。 もう一回読もうかな。

Posted byブクログ

2018/01/11

すごくしんとした気持ちになりました。 爆弾事件と殺人事件のくだりは忘れていたので、こんなにミステリな作品だったっけ…と思いましたが好きです。 沈黙の伝道師も好き。わたしもかれらにひっそりと語りたいです。 遺品を展示する沈黙博物館、訪れてみたいです。 わたしなら一体何を展示されるの...

すごくしんとした気持ちになりました。 爆弾事件と殺人事件のくだりは忘れていたので、こんなにミステリな作品だったっけ…と思いましたが好きです。 沈黙の伝道師も好き。わたしもかれらにひっそりと語りたいです。 遺品を展示する沈黙博物館、訪れてみたいです。 わたしなら一体何を展示されるのだろう…。 解説が、気になる堀江敏幸さんだったのも良かったです。この村はすでに命の無い人が住む場所、という視点は無かったので興味深く読みました。次に読むときは、このことを心に置いて読もうと思います。

Posted byブクログ

2021/10/09

久しぶりに胸を打つ話を読んだ。老婆の描き方が素晴らしく、魅力的だった。自分だったら形見は何になるのだろう、と想像するのも楽しめるというか。言葉にならない思いがたくさん溢れてきた作品です。読み終わった時、この本に出会えてよかったと思った。

Posted byブクログ

2017/01/31

象徴に満ち溢れている。 沈黙。形見。博物館。冬。 身寄りのないことが、逃げ場のないことが分かった主人公。高齢の老婆。バイソン。 解説でホロコーストとの関連に触れているが、その文脈で行くと多くのことがなにかにあてはまる。 そして、圧倒的で静謐な世界観。 特に沈黙の伝道師の存在が...

象徴に満ち溢れている。 沈黙。形見。博物館。冬。 身寄りのないことが、逃げ場のないことが分かった主人公。高齢の老婆。バイソン。 解説でホロコーストとの関連に触れているが、その文脈で行くと多くのことがなにかにあてはまる。 そして、圧倒的で静謐な世界観。 特に沈黙の伝道師の存在が不可思議で考えさせられた。 死の象徴か。冷たくも温かくもない。常に意識すれば寄り添っているもの。あちらから語ってくることはない。

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2016/06/26

小川さんの文体がやっぱり好きなことを再確認した。なんだろう、この淡々として優しい感じは。 ストーリーもおもしろかったけれど、読んでいる時間が愛おしくなるような本。

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2016/01/06

「博士の愛した数式」の小川洋子女史の小説。なんとも不思議な物語。人の形見を展示する沈黙博物館の作成依頼を受けた主人公。この博物館のある街がまた不思議。もしかして死者の街?

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2015/09/04

ナチのホロコーストにより亡くなった方々への鎮魂歌.徹頭徹尾,色も温度もない世界(すなわち死者の世界)を描き,魂の居場所を作り上げ,昇華させていく.少し銀河鉄道の夜を彷彿とさせるが,より魂に寄り添う作者の気持ちが全面に表れる.合掌.

Posted byブクログ

2015/04/23

幻想的な長編小説。「博士の愛した数式」以来、小川洋子の長編はあまり読んでこなかったのだけれど、すごく良かった。 博物館技師の「僕」が訪れた幻想的な村。そこで「僕」は形見を陳列する「沈黙博物館」を作ることになる。形見を収集してきた「老婆」と、その娘だという「少女」、屋敷に代々仕え...

幻想的な長編小説。「博士の愛した数式」以来、小川洋子の長編はあまり読んでこなかったのだけれど、すごく良かった。 博物館技師の「僕」が訪れた幻想的な村。そこで「僕」は形見を陳列する「沈黙博物館」を作ることになる。形見を収集してきた「老婆」と、その娘だという「少女」、屋敷に代々仕えている「庭師」と「家政婦」とともに…。 相変わらず身体の表現、触感の鋭さが際立つ。老婆の皺とそこにたまる垢、昔一部を切除された歪な耳。少女のまつ毛や指先。体のパーツ一つ一つを慈しむように丁寧に表現する。 村の伝統や仕来り、不思議な涙祭りや、沈黙の伝道師、卵細工、森や屋敷の様子も、目の前に浮かんできそうなほど繊細。 そして、博物館技師がいかに博物館を愛してきたか、老婆がいかに形見に思いを注いでいたか、その奥深さ。 長さを感じさせない、読みやすく儚い小説でした。 途中で、ホラー?サスペンス?な雰囲気になりつつ、グレーエンド、というよりはセピア色の落ち着いた幻想的なエンディングでした。 彼は沈黙博物館に取り込まれてしまったのでしょうか…。 今後博物館に行ったときの受け取り方が変わりそうです。

Posted byブクログ