アーモンド入りチョコレートのワルツ の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
再読。 これは少年少女の「変わらないはずの日常の中で、変わっていく何か」を、美しい調べにのせた物語たち。 子どもたちの世界だって、子どもであるからこその矛盾や残酷な時の流れがある。 それを森絵都さんは、どれもきれいでやさしい世界に書いてしまう。 物語に出てくる人物全てが、愛しく感じられ、一瞬の時を駆け抜けてゆく姿は、甘酸っぱくも輝いている。 誰でも″大人になろうとする前のあの頃″を思い出させてくれる短編集。 やっぱり森絵都さん好きです。 大人になりきってしまわぬ間に、この作家さんに出会えて良かった。
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彼女のアリアが一番好き。 頑なに、人を、そして自分を楽しませるために嘘をつく彼女の姿は健気で、可愛らしいです。 古ぼけた校舎というのもまた良かった。隔離されている感じで。
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中学生は皆森絵都を読むべきである。とりわけ、このアーモンド入りチョコレートのワルツに収録された三編は素晴らしい。 一本目の「子どもは眠る」では、毎年恒例の子供だけの宿泊行事の特別さに子供心をまず掴まれる。 その中で、いつもと違う雰囲気が妙に気になる主人公は夏のこの行事の終焉と...
中学生は皆森絵都を読むべきである。とりわけ、このアーモンド入りチョコレートのワルツに収録された三編は素晴らしい。 一本目の「子どもは眠る」では、毎年恒例の子供だけの宿泊行事の特別さに子供心をまず掴まれる。 その中で、いつもと違う雰囲気が妙に気になる主人公は夏のこの行事の終焉と子どもの世界の崩壊を鋭敏に感じ取っており、その感覚はまさに中学二年生のモノ。 怖いものなしだった子供時代、なんでもできると思って、日々に疑問を抱かない世界に違和感を感じる時少年は大人になる。 二本目、「彼女のアリア」は不眠症の主人公の男の子が旧校舎でピアノを引いている少女に出会うボーイミーツガール。彼女の話は面白くも荒唐無稽な、少し考えれば気づいてしまうホラ話。でも、それを真剣に語る少女の嘘の理由を知れば。。。 優しい嘘が重ねられ、それに気づくことで一つ大人になる。 三本目の表題作「アーモンド入りチョコレートのワルツ」は魔女のような雰囲気を持つおばさんのピアノ教室に通う少女二人が主人公。そこにサティのおじさんという先生の家に突如現れたフランス人のおじさんを加えた不思議な木曜日の夜は三拍子のゆったりとしたリズムと共に子供たちにとって居心地のいい世界のなった。 しかし、その夜は大人たちの都合でゆらぎ少しづつ壊れていく。こちらも、子どもの世界が崩れ、否応なく大人になる 中学生の多感な感性とその世界の変化を匠に描く心情描写は読む人の心にきった響く、名作です。
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何よりタイトルに惹かれた。 『アーモンド入りチョコレートのワルツ』なんて素敵な題だろう。 アーモンド入りチョコレートのワルツ。 アーモンド入りチョコレートのワルツ。 何度も口にしたくなる。アーモンド入りチョコレートのワルツ。 まわりの変化と自分の変化をまざまざと体感する中学生...
何よりタイトルに惹かれた。 『アーモンド入りチョコレートのワルツ』なんて素敵な題だろう。 アーモンド入りチョコレートのワルツ。 アーモンド入りチョコレートのワルツ。 何度も口にしたくなる。アーモンド入りチョコレートのワルツ。 まわりの変化と自分の変化をまざまざと体感する中学生の話が、3篇。 各篇の題がピアノ曲のタイトルになっている。 ・子供は眠る ロベルト・シューマン<子供の情景>より ・彼女のアリア J・S・バッハ<ゴルドベルグ変奏曲>より ・アーモンド入りチョコレートのワルツ エリック・サティ<童話音楽の献立表>より お話の中ではピアノが鳴り、中学生たちは身の回りの変化と不変にしっとりと身を置いて、感情を乗せる。 フォルティッシモになったり、変調したり、アクセント、スタッカート。 解説で角田光代さんが書いていたように、やさしい一冊であった。
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ちょっと見栄をはってしまったり、人のことを勘違いして悪口を言ってしまったり、小さな話を大きめに話してしまったり・・・ 普段気付かないうちにやってしまっていることが、昔こんな頃あったなぁという話の中で語られている。でも森さんの文章だとなんだか素直に受け入れられる気がする。
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クラシックの音楽をテーマにした短編が3話。読みやすくて女性らしい柔らかい文章。一話目で子供の頃の夏を体感する。文章がきらきらしている。好き。
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忘れかけていた大切な何かを思い出す。角田さんの解説が、またよい◎ 久々に、ピアノ曲集なぞ聞いてみたくなりました。
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クラシックのピアノ曲をモチーフにした3つの短編集。 3つとも曲を聴きながら読みました。 「子供は眠る」の後半の展開はよかったけど 基本的に登場人物を好きになれなかった。
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3つの短編がある本です。この中で気になった話は「子供は眠る」 子供の頃にあった夏が来ると集まって遊ぶ、その忘れてた気持ちを思い出した。 読書後に久しぶりに幼馴染達と集まりたくなりました。
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1番好きな本。 目の前にある全てが、全世界だと信じていたあの頃を思い出す、悲しくも切なくも、愛おしくもなる作品。 それで良い。 だってその日々には終わりが確実に来るんだから。 それを受け入れてあげないと、ね。
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