アーモンド入りチョコレートのワルツ の商品レビュー
ピアノ曲がいくつか出てくる、子供たちのお話3本。一番は「子供は眠る」が面白かったかな。誰でも子供の頃に抱く、不満、疑問の描き方が大人になっても共感する部分がありました。
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※このレビューにはネタバレを含みます
『子供は眠る』…夏休みに、親戚である少年たちだけで海辺の別荘で過ごす話。 『彼女のアリア』…不眠症の少年は、虚言癖のある少女と旧校舎で偶然出会う。 『アーモンド入りチョコレートのワルツ』…ピアノ教室に突然現れたフランス人のサティのおじさん。 短編に合わせて、それぞれのピアノ曲、「子供の情景」「ゴルドベルグ変奏曲」「童話音楽の献立表」を聞きながら読みました。 『子供は眠る』が、この短編集の中で1番好きです。 今まで、ぼくらの中で何でも1番だった章くん。そんな章くんの言うことを聞くのは当たり前だったはずなのに、いつの間にか章くんよりも、泳ぐのが早くなった。 自分に自信がつくと、リーダーぶってるヤツが面倒くさくなってきて、不満もムクムク育ってきて、それが中学生らしく溢れてきたのを感じました。 それでも、章くんは優しい。兄弟がいなかった彼は、ぼくらのことを弟のように感じていたのかな。そして、自分が兄だからこそ、威厳を持ちたかったのだろうなと思いました。 「でも、章くんに面とむかってガキ呼ばわりされた今、ぼくらは本気で腹を立てていたし、そうなると悪口もどんどん深刻な重苦しいものになっていき、その深刻さに、ぼくら自身が、うんざりしてしまった。」 どんなに不満を持ったって、ぼくらも章くんを嫌いきれないのでしょう。 『彼女のアリア』の嘘は突拍子もないけれど、嘘をついたその心は優しかったと思います。 ぼくと藤谷さんの空間は、二人だけの心の安らぎの場で、学校の中にそんな秘密の場所を持てた二人が羨ましかったです。 『アーモンド入りチョコレートのワルツ』のピアノ曲がまさにサティのおじさん自身のようでした。 絹子先生も、サティのおじさんも変わった人だけど、奈緒も君絵も二人のことが大好きです。それは、二人が自分を受け入れてくれる、認めてくれる、大切にしてくれるとわかるからだと思います。 3編とも、心の居場所を見たような気がします。それは、夏の別荘とか、旧校舎とか、木曜日のワルツ・タイムとか。
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この人の物語は優しく甘くあたたかい気持ちにさせる。言うなればマシュマロを食べたような甘さ。砂糖菓子を口に含んだような、あんな感じにさせる 今回の作品もまた然り。 子供は眠る、での章君の心情は心境はどんな感じだったのだろうか。きっと聡い少年だったのだろうから最初からすべて気づいてい...
この人の物語は優しく甘くあたたかい気持ちにさせる。言うなればマシュマロを食べたような甘さ。砂糖菓子を口に含んだような、あんな感じにさせる 今回の作品もまた然り。 子供は眠る、での章君の心情は心境はどんな感じだったのだろうか。きっと聡い少年だったのだろうから最初からすべて気づいていたに違いない。 そうしてある種悪役を演じていた彼の心情はどのようなものだったのだろうか 穏やかな気持ちに一冊だ
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大人への過渡期。繊細な想いを森絵都らしい優しい文章で綴る。 3つの短編にそれぞれ美しい音楽が流れていて柔らかな気持ちで眺めることができました。
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森絵都さんの作品はあたたかくて、児童文学の時から好き。 この短編集は、中学生くらいの子どもたちが主人公。 その年代の頃には何とも思わない何気ない日常が、今はとても愛おしく思い出される。 小学生の頃は、「高学年」っていう響きがなんだかとってもかっこよくて憧れたし、中学生になった...
森絵都さんの作品はあたたかくて、児童文学の時から好き。 この短編集は、中学生くらいの子どもたちが主人公。 その年代の頃には何とも思わない何気ない日常が、今はとても愛おしく思い出される。 小学生の頃は、「高学年」っていう響きがなんだかとってもかっこよくて憧れたし、中学生になった時は、制服を着たら大人になったような気がしていた。 大人になろう、大人にならなきゃって思う一方で 心がついてこなくて、悩んだり、葛藤したりもする。 森さんの本を読むと、「それでもいいんだよ」って肯定されているような、優しい雰囲気に包まれます。
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久しぶりに読んだ森絵都。 優しくて、甘いようでほろ苦い、キラキラしたストーリー。やっぱり彼女の本は大好き。 3つの短編でしたが、私は表題作よりも一話目の「子供は眠る」が好きでした。 夏がやってくるときの、ワクワクするような感覚がわき起こってきてゾワッとして、だけどほろ苦く切ない...
久しぶりに読んだ森絵都。 優しくて、甘いようでほろ苦い、キラキラしたストーリー。やっぱり彼女の本は大好き。 3つの短編でしたが、私は表題作よりも一話目の「子供は眠る」が好きでした。 夏がやってくるときの、ワクワクするような感覚がわき起こってきてゾワッとして、だけどほろ苦く切ない。 本当に森さんはこういうお話が上手いなあと思いました。
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3つの短編からなる一冊。ピアノ曲をモチーフに、子どもから大人へと揺れ動きながら成長していく日常が切り取られ奏でられています。個人的には一番目の『子どもは眠る』が好きです。女性の乙女心をくすぐるようなタイトルをつけるのがうまいなと思いました。
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絶対的存在だったいとこの章くんをいつのまにか追い抜いてしまった「僕」の話と 不眠症の「僕」が旧校舎で同級生の女の子と慰めあう話と、 不思議な雰囲気をもつピアノ教室へ同級生と通う「私」の話。 3作入った短編集。 どの話もすごく優しくてとてもやわらかい。 丸ごとそのまま受...
絶対的存在だったいとこの章くんをいつのまにか追い抜いてしまった「僕」の話と 不眠症の「僕」が旧校舎で同級生の女の子と慰めあう話と、 不思議な雰囲気をもつピアノ教室へ同級生と通う「私」の話。 3作入った短編集。 どの話もすごく優しくてとてもやわらかい。 丸ごとそのまま受け入れるって、ほんとに大変だけども、大切なことなんだなーと感じた。
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「子供は眠る」が秀逸。何故か小学生の時、家族で行った伊豆の宇佐美海岸を思い出しました。海の家で家から持って来たおにぎりを食べたことなど。そんなノスタルジックな気持ちになりました。楽しかったなぁ。
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『子供は眠る』 男の子達それぞれの思惑が面白い。一夏のたいした事件もない中でみんなの気持ちの描きかた、上手いな、と思いました。 『彼女のアリア』 中学生の初恋みたいな、キュンとしてほっこりした。
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