アジアンタムブルー の商品レビュー
この人の文体や表現は好きだけど、この手の恋愛小説は残念ながら読み飽きた(当該作家の問題ではなく社会の現象として)。 それでも最後まで読ませる力がある作品だとは思う。 鳥博士、ボルシチ博士、セックス博士と、そこに当てはまるものは違えどきっと誰もが自分と重ねることのできる体験を描いて...
この人の文体や表現は好きだけど、この手の恋愛小説は残念ながら読み飽きた(当該作家の問題ではなく社会の現象として)。 それでも最後まで読ませる力がある作品だとは思う。 鳥博士、ボルシチ博士、セックス博士と、そこに当てはまるものは違えどきっと誰もが自分と重ねることのできる体験を描いている。 パイロットフィッシュの設定をほとんどそのまま利用していて、こんなのありかと思うけど嫌いじゃない。
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葉子を癌で失ってからというもの、僕はいつものデパートの屋上で空を見上げていたー。万引きを犯し、衆人の前で手酷く痛めつけられた中学の時の心の傷、高校の先輩女性との官能的な体験、不倫による心中で夫を亡くした女性との不思議な縁、ファンの心を癒すSMの女王••••••。 主人公・山崎が巡...
葉子を癌で失ってからというもの、僕はいつものデパートの屋上で空を見上げていたー。万引きを犯し、衆人の前で手酷く痛めつけられた中学の時の心の傷、高校の先輩女性との官能的な体験、不倫による心中で夫を亡くした女性との不思議な縁、ファンの心を癒すSMの女王••••••。 主人公・山崎が巡りあった心優しき人々と、南仏ニースでの葉子との最後の日々。
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人には人の数だけそれぞれの出逢いや恋愛がある。 人を愛することで人は強くなったり、弱くなったり、自信となったり、不安になったり…。 でもきっとすべてに意味があるんだよね。
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恋人に死なれた男がもがく様と、出会いから死別への回想。死とは何か、生きるとはどういうことか、すごく突き詰めて考えられている。たぶん作者と死生観が近いから、心に響くところが大きいんだろうな。
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恋愛小説なんって入り込めないよ~ なんって思って、手を出したことのないジャンルでしたが・・・ アジアンタム・パイロットフィッシュ・・・・よかったです♪
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鳥博士とセックス博士。 澄み切った湖の水のように透明感あふれる文体で 切なくて、悲しくて、そしてどこかほっとさせられて、泣いてしまった。
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大崎善生の作品は空気やテンポがゆっくりしていていいなと思う。 パイロットフィッシュとはまた違った切なさ。 (青)さんのコラムがとても大人で、この歳になっても厨二病こじらせてる私は少し救われた。 ニースでの2人の会話がどれも微笑ましくてすき。 何冊か大崎善生の作品...
大崎善生の作品は空気やテンポがゆっくりしていていいなと思う。 パイロットフィッシュとはまた違った切なさ。 (青)さんのコラムがとても大人で、この歳になっても厨二病こじらせてる私は少し救われた。 ニースでの2人の会話がどれも微笑ましくてすき。 何冊か大崎善生の作品を読んで気づいたけど、私は氏の作品のヒロインの思想になかなか共感できない。 男性目線の作品に出てくるヒロインはみんななんとなくだけど、 「あなたが私を愛していてくれた事実があるなら、どうなろうと私は幸せ」みたいなところがある。 私は愛し合ってるのに別れてしまうのは嫌だし、 愛されてるからと言って死ぬのが怖くなくなるかと言われたらそんなことは絶対にない。 私がまだ子どもなだけなのか、それとも相容れない思想なのか。 スワンソングの由香は違ったかもしれない。 私は彼女がけっこう好きだ。 人に頼ったり人を信じたりすることが本当は苦手で、強く見えるけど本当はとても脆い。 「私が死んでも……優しい人でいてね」 「私にしてくれたように、いつまでも優しい人でいて。私が死んで、いつか次に出会った人にも同じように優しくしてあげてね」 「そうしたら、私、死ぬことなんか少しも怖くない。隆ちゃんがいつまでも、優しい人でいてくれるなら」
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泣かされてしまった。 憂鬱な男やもめな三十過ぎの主人公らしく、暗くてエロありの感傷的で内省的な話。 トマホークのたとえ話、部屋の片隅のアジアンタム、(私にとっては)古い洋楽、熱帯魚の初期水槽…そういう小道具がまた雰囲気を出している。 こういう雰囲気は嫌いではないので入り込めた。 ...
泣かされてしまった。 憂鬱な男やもめな三十過ぎの主人公らしく、暗くてエロありの感傷的で内省的な話。 トマホークのたとえ話、部屋の片隅のアジアンタム、(私にとっては)古い洋楽、熱帯魚の初期水槽…そういう小道具がまた雰囲気を出している。 こういう雰囲気は嫌いではないので入り込めた。 完全に男目線の恋愛小説で、水たまりにうつった自分を自分で慰めるようなそんな感じから脱却しようというお話だったような気がする。
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アジアンタムのイメージがイマイチ掴めないまま読んでみました「アジアンタムブルー」。昼ドラも真っ青なドロドロ加減*1の前半から、恋人との死別の後半まで。なんか病気になったり恋人が死ぬのはこういう小説ではお約束なんだろうか。主人公と過去の自分が案外オーバーラップしてたり。藻岩山のふも...
アジアンタムのイメージがイマイチ掴めないまま読んでみました「アジアンタムブルー」。昼ドラも真っ青なドロドロ加減*1の前半から、恋人との死別の後半まで。なんか病気になったり恋人が死ぬのはこういう小説ではお約束なんだろうか。主人公と過去の自分が案外オーバーラップしてたり。藻岩山のふもと、とか。なついていた小鳥を踏み潰した、とか*2。そういう意味で共感できたかも。みんな辛いことあるけど騙し騙しやってんだよな。 上手い具合に前半と後半の表現が絡むし、結構センスありそうな著者。 「もし月が赤かったとしても、それに気づくな、と」 「(前略)そういうふうに自分本位に考えた方がいいということです」
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
大崎善生 著。 映画化されるらしいですね。 雨をモチーフにした記述が私は好きなんだけど こういう描写がありました。 ------------------ キリトリ --------------------- 雨で全身がびしょ濡れになっていた。 それもどうでもよかった。何もかもがあきれるくらいに どうでもよかった。人間はたいした考えもなく万引きをし 文鳥を踏みつぶし、ペインテイィングナイフで手首を切り付け アスファルトに髪の毛の芝生を植え込み、そしていつかは 白い布に包まれてスープのように裏ごしされてこの世から 消えて行くのだ。 中略。 悲しかったし、惨めだった。 唾液と涙で顔は濡れていた。雨が降っていてよかったなと 僕は思った。空を見上げると小粒の雨が顔に降り注いで来る。 星も月も何も見えない黒ビールのような漆黒の空だった。 ------------------ キリトリ --------------------- 雨にうたれるシーンっていうのは好きです。 気持ちよいし、ある意味のいさぎよさが感じられていい。 主人公の山崎はエロ本の編集者。 カメラマンにある女性を起用するのだが、彼女の写真が芸術的 にすぎると反論を買う。売上げは良かったのだけど、その時 上司にこう指摘される。 「いいか、山崎君。僕らのやっている雑誌は単なるエロ雑誌だ。 文化誌でも芸術誌でもないんだ。粘膜と皮膚のギリギリを 写し出して勃起させて売る。それで゙マスターベーションをして 捨ててもらう、それだけが役割なんだ。だけど今度の君の 企画のようなものが続けば読者は本を捨てられなくなる。 捨てられないエロ本はきっといつかは滅びていく。」 (本文より抜粋) いいですね! 明快ですね。むしろ名言ですね。 「捨てられないエロ本は滅びる」 「勃たないエロ本になど価値はない」 分かりやすい。そのとーりっ。 大量のインクを無駄使いし、眺められそして 捨てられていくだけの大量の出版物。 単純で明快。知性など必要とされていない世界。 ”シンプルに、わかりやすく。” だからこそ難しいのかもしれないけどね。
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