プロフェッショナルマネジャー の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
本書はITTというコングロマリットの最高経営責任者であったハロルド・ジェニーン氏の経験に基づいた経営のあるべき姿について語られている。きわめて実践的な、飾り気がないが、厳しい、地に足のついたメッセージが伝えられている。全体としてきわめて基本的だが、多くの経営者が陥りやすそうな罠に警告を与えている印象を持った。 印象に残ったのは「本を読むときは初めから終わりへと読む。ビジネスの経営はそれとは逆だ。終わりから始めて、そこえ到達するためにできる限りのことをするのだ」という彼の経営論だ。彼は経験を重視しMBAに代表される机上の理論に偏重した経営を批判する。 経営者は自分で事業の内容を理解し自分で経営をしなくてはならない。理屈ではなく目標を達成するために何とかして必ず達成してみせるという力を持たなくてはならないし、経営は人間相手のことであることも忘れてはならない。組織は表面的な組織図とは別の実際の人の血の通ったもう一つの組織図が存在することをしっかり見抜く必要がある。彼はまた数字の背後で起こっていくことを見抜くことも強調している。彼の経験で当初放置されていたヨーロッパの現地法人に毎月実際に出向いて各事業の責任者からの月次報告をFace to Faceで議論するようになった経緯が紹介されている。また組織の最悪の病はエゴチスムとしており、過去の成功を盾に全体最適を考えず自己最適に走る社員にはしかるべき対処をすべきことを強調している。
Posted by
ファーストリテーリング柳井社長のバイブル。 No Surpriseを標語に、徹底的に生の情報を社内から吸い上げる方法論を追求したITT社長による一冊。 本当に継続する企業が良い企業なのか、一人のカリスマにフィットし、その命運を共にすることも一興とするのか。 そんな題材にまで...
ファーストリテーリング柳井社長のバイブル。 No Surpriseを標語に、徹底的に生の情報を社内から吸い上げる方法論を追求したITT社長による一冊。 本当に継続する企業が良い企業なのか、一人のカリスマにフィットし、その命運を共にすることも一興とするのか。 そんな題材にまで迫ってしまうマネジメント論は初見。
Posted by
当書のメッセージは「経営とは、終わりから始めて、そこへ到達するためにできる限りのことをする」ことというシンプルな言葉に収斂される。 そのために人を選ぶ。能力ではなく、アウトプットで見極める。ストレッチした仕事をさせて、経験を積ませる。しかも、できるだけ早い段階で。そうでないと年を...
当書のメッセージは「経営とは、終わりから始めて、そこへ到達するためにできる限りのことをする」ことというシンプルな言葉に収斂される。 そのために人を選ぶ。能力ではなく、アウトプットで見極める。ストレッチした仕事をさせて、経験を積ませる。しかも、できるだけ早い段階で。そうでないと年を取りすぎてしまう。 そのために数字をきちんと把握する。上っ面ではなく、数字の意味合い、どうしてそういう数字になるのか、どうしたら改善できるのかを考える。数字は経営における最高のコミュニケーションである。数字が分からない者に経営は務まらない。 そのために、業績目標を立てたら、最初の四半期の目標達成に拘る。そうしないと、年間も中期計画も達成することはできない。四半期ごとの目標設定にも拘るべきである。 そのために、PDCAをひたすら回す。計画を実行に移し、モニタリングする。結果を踏まえて次の行動を考える。試行錯誤の連続であり、それに飽きたり、時間を掛けることを疎んだりしてはならない。経営者たる者、経営に時間を注ぎ込まなくてはならない。結果として、それが自らの人生の満足度にもつながるだろう。 儲からない事業を切り捨てるのではなく、儲かるようにするのが仕事。そうしないと儲からない事業に関わっている人間も、儲かっている事業(資金を搾り出す事業)に関わっている人間も、ともに不幸になる。 経営者としての能力が高いのであれば、財界活動・社会貢献活動に精を出すのではなく、得意である経営により社会貢献をすべき。それができないと、別の活動に注力してしまうのかもしれない。比較優位論である。 気をつけるべきはエゴ。論理的な経営者が、いつの間にかエゴの塊になってしまうことがある。成功を重ねる経営者ほどそうなりがちなのかもしれない。ワンマンにならず、客観的に自らの言動を振り返る仕組みが必要。それが取締役会なのかもしれないし、従業員とのコミュニケーションなのかもしれない。どの会社の組織図も大きくは違わないが、その組織におけるコミュニケーションの質と濃度が差別化につながるのだろう。 ユニクロの柳井さんが解説を寄せているが、「社長の言ってることがその通りに行われない会社」というコンセプトは面白い。社長が全知全能であるはずもなく、本質を理解して、より高いレベルのアウトプットを出すように考えを尽くす組織こそが、高い業績を生み出すのだろう。 少し時代は遡るが、普遍的な内容が多く盛り込まれている良書であり、経営を志す者にとって必読の書だと思う。
Posted by
『言葉は言葉、説明は説明、約束は約束……なにもとりたてて言うべきことはない。だが、実績は実在であり、実績のみが実在である。 これがビジネスの不易の大原則だと私は思う。実績のみが、きみの自信、能力、そして勇気の最良の尺度だ。実績のみが、きみ自身として成長する自由をきみに与えてくれ...
『言葉は言葉、説明は説明、約束は約束……なにもとりたてて言うべきことはない。だが、実績は実在であり、実績のみが実在である。 これがビジネスの不易の大原則だと私は思う。実績のみが、きみの自信、能力、そして勇気の最良の尺度だ。実績のみが、きみ自身として成長する自由をきみに与えてくれる。 覚えておきたまえ。ー実績こそきみの実在だ。ほかのことはどうでもいい。マネージャーとは、“実績をもたらす人間”だと私が定義するのはこの理由による。 他人あるいは自分自身に対してどんな言い抜けを考案しようと、この事実を変えることはできない。そしてきみが立派な実績を挙げたら、ほかのことはすべて忘れられた時になっても、世界はそれを覚えているだろう。そして何より重いのは、きみもそれを覚えているだろうということだ。』 素晴らしい! すべての章が勉強になった。
Posted by
経営の実態を忌憚なく書かれている。 会社の有り方や、考え方など、ストレートに書かれていて、おもしろかった。
Posted by
黒い装丁とUNIQLO柳井さんの推薦帯が印象的な本。経営に関しマクロな学術書とは異なり、ミクロな経営現場のかなり泥臭い話が満載。すごみを感じる。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ファーストリテイリング柳井氏が推薦ということで手に取りました。 『経営者は「経営せよ」』というメッセージが幾度となく現れ、本書の趣旨はこの言葉に集約されると思います。 また数年経って読み返したい。
Posted by
経営の厳しさとは何かを感じさせてくれる類い稀な本。柳井氏の教科書というだけにパワーをそこかしこに感じた。まるでハロルドジェニーン氏の後ろ姿を追っているような柳井氏。付録に柳井氏がどれほどハロルドジェニーン氏の仕事観を崇拝してるかが伺える。
Posted by
経営者になりたい。そのために必要なことは何か。それを身につけるための行動計画を立てよう。そう思い手に取った。 わかったようでわからないフレーズが沢山あった。その一番の理由は、経営者経験が無いことだろう。してみたい。その過程で再読し、わかったきた自分に出会いたい。 今から確実に...
経営者になりたい。そのために必要なことは何か。それを身につけるための行動計画を立てよう。そう思い手に取った。 わかったようでわからないフレーズが沢山あった。その一番の理由は、経営者経験が無いことだろう。してみたい。その過程で再読し、わかったきた自分に出会いたい。 今から確実にできることは、何としても成果を出すこと。そして、一番足りないことは、成果を出すための執念。
Posted by
ユニクロ、柳井さんがよくわかるような気がしてくる。 日本のよい会社とも共通点が見受けられ、なるほどなと思った。 自分が経営者になった時にまた読みたい
Posted by