ローマ人の物語(11) の商品レビュー
第1回三頭政治の2頭であるご存知Gaius Iulius CæsarとGnaeus Pompeius Magnusの内戦が11巻の主な内容である。 ガリア討伐を終えたCæsarがルビコン川を越えた後に、元老院を廃止しての帝政へと向かう過渡期である。 世界史の教科書ならば、「P...
第1回三頭政治の2頭であるご存知Gaius Iulius CæsarとGnaeus Pompeius Magnusの内戦が11巻の主な内容である。 ガリア討伐を終えたCæsarがルビコン川を越えた後に、元老院を廃止しての帝政へと向かう過渡期である。 世界史の教科書ならば、「Pompeiusとの内戦に勝利したCasarは帝政への基礎を築いた」という1文の前半部分である。しっかり歴史を追おうとすると1冊くらいの分量になるのだ。 この内乱はPompeius との内戦は、歴上有名なファルサルスの戦い以外にも、アレクサンドリア戦記や日スパニア戦記などPompeius 死後のPompeius 派一掃のための内乱もあった。 他にも、かのエジプト(プトレマイオス朝)のCleopatraとのロマンスもこの時期の出来事として有名である。世界史の教科書には下賤すぎて登場してこないけれど。 世界史の教科書では味わえないCasarの壮年後期の物語である。
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反国家勢力であるのに、敵に近づいただけで降伏されるような威光を保ったまま首都ローマに迫るカエサル。挙兵の準備すらできていない元老院陣営は、首都を捨て、国を捨て逃げることしかできなかった。こうして戦わぬままローマを治めることには成功したが、北アフリカ、スペイン、ギリシャと方々に飛び...
反国家勢力であるのに、敵に近づいただけで降伏されるような威光を保ったまま首都ローマに迫るカエサル。挙兵の準備すらできていない元老院陣営は、首都を捨て、国を捨て逃げることしかできなかった。こうして戦わぬままローマを治めることには成功したが、北アフリカ、スペイン、ギリシャと方々に飛び散った敵は寡兵ではなく、それぞれが元老院派の大拠点であった一大勢力であった。 配下が向かった北アフリカでは負け、カエサルが向かったスペインでは勝ち、半カエサル勢力の本拠地となったギリシャが決戦の地となる。 “軍人"として歴史に名を残す人物であったならば、難攻不落の大要塞を鮮やかに落とすか、後世に引き継がれるような戦術を誕生させるところだっただろうが、カエサルは"戦い"が得手だったのではなく、"人の扱い"こそを得意としていたように見える。しかもそれは天賦の才能というわけではなく、失敗から学ぶことができる才能だった。イタリアを離れる前にストライキを起こした一軍には挽回の機会と適切な報酬を与え後の会戦で活用し、ドゥラキウム包囲戦の撤退からポンペイウスがメテルス・スキピオとの合流を望んでいた意図を看破し、会戦に引きずり出す。そしてそのファルサルス会戦での作戦は、カエサル以外には到底真似できない、兵の力に頼らないと成し得ない戦法だった。 歩兵5万と2万の差はまだしも、致命的なのが騎兵の7千と1千の差だ。アレキサンダー、ハンニバル、スキピオと進化してきた当時最先端の戦法は、歩兵を盾に騎兵を回りこませて包囲殲滅する鉄床戦術にあった。まさにそう攻めてきたポンペイウスに対抗したのが、自軍の騎兵の後ろに槍兵を隠し、1千の騎兵と2千の槍兵で7千の騎兵を包囲するという作戦だった。こんな机上でさえ明らかに無理だろうと思われるような一か八かの作戦が成功したのは、ひとえに兵の練度とそれを信頼したカエサルの度量という他にない。この決定的な勝利により、反カエサル勢力は瓦解し、ポンペイウスも逃亡先のエジプトであっけなく最期を迎える。 史上の逸話としてドラマチックに語られることが多いクレオパトラとの関わりについてはさらりと紹介するに留まり、次にカエサルが向かうのは小アジア。最大の敵を打倒したカエサルは次に何を成すのか。彼の人生に残された時間は少ない。
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いよいよポンペイウスとの対決ということで、彼の総司令官としての才能が再び証明されることになる。策士としての手腕もさることながら、政治家としてのそれも大いに発揮されることとなり、つくづくカエサルという人物に魅せられてしまった。ポンペイウスの死やクレオパトラとの愛という出来事を通して...
いよいよポンペイウスとの対決ということで、彼の総司令官としての才能が再び証明されることになる。策士としての手腕もさることながら、政治家としてのそれも大いに発揮されることとなり、つくづくカエサルという人物に魅せられてしまった。ポンペイウスの死やクレオパトラとの愛という出来事を通して、カエサルのある意味で人間らしさを感じることができた。彼は冷徹だが冷酷ではない。
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軍の即時解散と帰国を命ずる「元老院最終勧告」を突き付けられたカエサルは、国賊と呼ばれるのを覚悟で、自軍とともにルビコンを越える。「カエサル渡河、南進中」との報はローマを震撼させ、ポンペイウスと「元老院派」議員の多くが首都ローマを脱出する。間もなくカエサルはギリシアで迎撃に備える。...
軍の即時解散と帰国を命ずる「元老院最終勧告」を突き付けられたカエサルは、国賊と呼ばれるのを覚悟で、自軍とともにルビコンを越える。「カエサル渡河、南進中」との報はローマを震撼させ、ポンペイウスと「元老院派」議員の多くが首都ローマを脱出する。間もなくカエサルはギリシアで迎撃に備える。ローマ世界全域で、両雄の覇権をめぐる戦いの火蓋が切られようとしていた。
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あまりにもあっけないポンペイウスの最期。 続きがこんなに気になるのは、子供の頃にテレビで見たドラゴンボールの天下一武道会以来。
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「運は、試してみるべきではないか」 ルビコン川以降のポンペイウスとの戦いから、その終わりまで。 ポンペイウスがエジプト人に殺されたのは知らなかった。私がカエサルであれば、優秀なライバルが消えた喜びよりも、もう戦う事ができないことを悲しむであろう。それほど、ポンペイウスは偉大であった。問題は、元老院。
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ユリウス・カエサルがルビンコン川を超え、ローマに迫ったとき、政治を牛耳っていたポンペイウスは体制を整えるためにギリシアに下がる。 でも、それは敗北であった。
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ルビコンを渡河してから,ポンペイウスをトップにした元老院派とカエサルとの内戦,その内戦のハイライトであるファルサルスの会戦とエジプトでのポンペイウスの殺害までの物語です。ガリア戦役とは異なり,同国人を相手にして繰り広げられた内戦に対するカエサルの迷いが作品のあちこちに出てきます...
ルビコンを渡河してから,ポンペイウスをトップにした元老院派とカエサルとの内戦,その内戦のハイライトであるファルサルスの会戦とエジプトでのポンペイウスの殺害までの物語です。ガリア戦役とは異なり,同国人を相手にして繰り広げられた内戦に対するカエサルの迷いが作品のあちこちに出てきます。学生時代にこの本を読んだときには,あまりその迷いに注意を払わなかったのですが,30代に入った今,読み返してみると,この迷いに注意を払うことが度々ありました。同じ利益を共有する人達の中で仕事をしたり,調整をしたりする場面を何度か経験しているので,そのようになったのかもしれません。 カエサルは決戦になったファルサルスで勝ち,内戦での勝利を決定的なものにします。そのカエサルが実施した政治改革やローマの体制の改革が次巻のテーマです。
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ユリウス・カエサルの物語後半は、『内乱記』の世界だ。この巻ではついにポンペイウスとの雌雄を決する闘いを迎えることになる。「ファルサルスの会戦」である。ポンペイウス側(重装歩兵45,000+2,000、騎兵7,000=54,000)、対するカエサル側(重装歩兵22,000、騎兵1,...
ユリウス・カエサルの物語後半は、『内乱記』の世界だ。この巻ではついにポンペイウスとの雌雄を決する闘いを迎えることになる。「ファルサルスの会戦」である。ポンペイウス側(重装歩兵45,000+2,000、騎兵7,000=54,000)、対するカエサル側(重装歩兵22,000、騎兵1,000=23,000)。2倍に達する重装歩兵もだが、何よりも騎兵の数は7:1である。しかも、戦場は平原である。よくこれで勝てたものだと思う。しかも、同朋のローマ人と闘うとあってカエサルは殲滅を避けることまでしていたのである。
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読みました。カエサル対ポンペイウス、いよいよ大詰めです。 ローマ史でも武将としての才能を輝く二人。どちらが勝つか。 しかし、カエサル強し。著書の中のカエサルを見ていると、勝つ為に、人間の感情、お金、気候等を数値化して決断をしているのかと思うくらい鮮やか。その中で失敗もするけど、巻き返しが早い。しかも、色々な方向に向けて動けるから凄い。 戦闘でダメだったら政治で。政治がダメだったら戦闘で。場面場面にあった最適な一手を打っているような感じがする。本当、将棋みたい。遊んでいる。余裕もあるし偉大だ。 どうやったら、「人は見たいものしか見ない」とか、人を観察して考えきれるのか知りたい。 ちょっと、カエサルのファンになったかもw。
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