錦繍 の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
『錦繍』は久々の再読。宮本輝は時々無性に読みたくなります。この話は中でもとりわけ好きなほうです。 往復書簡形式の話を他であまり目にしたことが無いと思うのですが、この書き方って凄く難しいんじゃないかな、って。 解説にもありましたが、なかなか古風な感じがします。情景の広がりも動きが少なくなりそうな上に、ただ相手に向かって書かれてますからね。先日読んだ『月光の東』の日記形式を読んで、これを読みたくなりました。 ただ一人へ向けた手紙。それも十年前に別れた夫へ、妻へ書き綴る思いは、複雑だし、別れてからの十年が互いに様々なものを抱えているものだよな、と。 あるときの手紙は激情的になっていたり、ある時は後悔の念が滲み出ていたり…というように、続く往復書簡は最後に向かって盛り上がっていくだけではなく、人の人生、二人の十年のように起伏が感じられます。その辺りにこの作家が描く人情味の上手さがあるのではないかと私は思ってます。 ただ一度の再開を果たし、手紙を交し合い、また新たにそれぞれの『人生』を力強く歩んでいく様子に、人の生きていく力と孤独を見たような気がします。 個人的には手紙を書くことはメールでも郵便でも大好きなのですが、電子ではない手紙は今後減ってしまうのでしょうね…。寂しいものです。
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「書簡形式。手紙のやりとりの形で書かれた本。オトナの愛ってのが未だによくわからんのですが、こういう愛の形も素敵だなぁと思いました。」
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03年マイベスト6位。 離婚した二人が10年の歳月を経て偶然蔵王で再会。女性から男性にあてた手紙から始まる往復書簡で綴られる物語。10年前にきちんと別れられなかった二人が手紙を通して理解しあおうとする。文章が美しい。
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宮本さんの作品の中でNo.1だと思う。 別れた男女の手紙だけでつづる物語。 大冒険がつづられるわけではないが、とてもきれいな作品。 読み終わった後に考えさせられる。
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お友達のトコちゃんに教えてもらいました。宮本輝さん初めてでしたが次も読んでみようと思います。最後も、お互いがそれぞれの未来をみつめて生きていく姿がとても心地よく、しばらくあたたかくそして切ない余韻にひたることができました、良書です。
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お手紙形式なのは初めて読んだので、途中までは若干読むのに疲れました。が。読み進めれば、それなりに入っていく感じがしました。元夫と一緒に住む女性を、少し見習いたい気分になりました。
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宮本輝さんはこれで2冊目である 。1冊目は短編集で、これは1巻完結の小説だった。書簡体小説というもので、「運命的な事件ゆえ愛し合いながらも離婚した二人」がやり取りする手紙により構成されている。読み終えた後に思い返す度、【錦繍】という題名の通り、色彩を伴った感傷に浸ることになる...
宮本輝さんはこれで2冊目である 。1冊目は短編集で、これは1巻完結の小説だった。書簡体小説というもので、「運命的な事件ゆえ愛し合いながらも離婚した二人」がやり取りする手紙により構成されている。読み終えた後に思い返す度、【錦繍】という題名の通り、色彩を伴った感傷に浸ることになる。喫茶店モーツァルトの窓辺の席からは、夕暮れ前のその日で一番強い橙黄色の光が見える。今すぐ外へ出て、その光をこの目で直接見てみたい、その光の中をあの人と歩いてみたい、という強い衝動に駆られる。そんな気分にさせる小説だった。
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何度読んだことだろうか。離婚してしまった男女が、愛し合っていたのになぜ別れてしまったのか、を往復書簡形式で綴る小説。手紙という手段で互いに理解を深め人生を再構築していく姿がこころに響く。紅葉に染まる「錦繍」の情景は、若くはない主人公たちを表わして美しい。
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往復書簡形式の小説。 最近読み返していないけど、猛烈にはまって、泣きました。 それは覚えています。
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10年前に離婚した夫婦が偶然再会してはじめた手紙のやりとりが書簡形式で綴られています。 手紙、という形式なので静かで淡々としていますが、その分感情の細かな変化も伝わってくる綺麗なお話。 手紙をやりとりする内に二人は過去を消化し、現在を見つめ、最後にはそれぞれ別の未来へ向けて歩き出...
10年前に離婚した夫婦が偶然再会してはじめた手紙のやりとりが書簡形式で綴られています。 手紙、という形式なので静かで淡々としていますが、その分感情の細かな変化も伝わってくる綺麗なお話。 手紙をやりとりする内に二人は過去を消化し、現在を見つめ、最後にはそれぞれ別の未来へ向けて歩き出す。 ハッピーエンドでもバッドエンドでもありませんが、こういう愛の形もあるんですね〜。
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