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恋人たちの森 の商品レビュー

3.6

66件のお客様レビュー

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    12

  2. 4つ

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  3. 3つ

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2017/07/02

以前読んだ時は、森茉莉のリズムはあまり好きではない、と思っていたけれど、今回読んでみると、それほど嫌には感じなかった。こういう読点の打ち方もありだな、と。実際、必要なところに打っているのは分かる。だから、このリズムを受け入れるかどうか、という問題なのだろう。 死の匂いを纏わせる美...

以前読んだ時は、森茉莉のリズムはあまり好きではない、と思っていたけれど、今回読んでみると、それほど嫌には感じなかった。こういう読点の打ち方もありだな、と。実際、必要なところに打っているのは分かる。だから、このリズムを受け入れるかどうか、という問題なのだろう。 死の匂いを纏わせる美少年。今は愛し合っていても、10年後、20年後は、と考えると、美しさが完成している美少年は、その美しさのままで死んでしまうのが、一番良い結末のように思える。

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2017/06/10

森茉莉さんの小説を久々に読みました。BLなのですが、耽美で退廃的でとても良かったです。お話に怠惰な空気が漂っているのが好きでした。愛と死はセット、みたいな、「恋人たちの森」と「枯葉の寝床」が印象深いです。若い恋人の外見の繊細な描写が、外国風の名前とともに不思議な魅力でした。女の子...

森茉莉さんの小説を久々に読みました。BLなのですが、耽美で退廃的でとても良かったです。お話に怠惰な空気が漂っているのが好きでした。愛と死はセット、みたいな、「恋人たちの森」と「枯葉の寝床」が印象深いです。若い恋人の外見の繊細な描写が、外国風の名前とともに不思議な魅力でした。女の子が入り込めないくらいの、恋人たちの関係にくらくらします。

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2017/03/15

「ボッチチェリの扉」 男を引きつける魅力を持つ麻矢、最期は彼女に心寄せていた者の嫉妬により幸せの絶頂のなか殺される。それを死んでもなお見ているような彼女の父…。この「父と娘」という構図は父森鴎外から溺愛された作者らしいものかもしれない。 「恋人たちの森」 18歳の美しい少年と、...

「ボッチチェリの扉」 男を引きつける魅力を持つ麻矢、最期は彼女に心寄せていた者の嫉妬により幸せの絶頂のなか殺される。それを死んでもなお見ているような彼女の父…。この「父と娘」という構図は父森鴎外から溺愛された作者らしいものかもしれない。 「恋人たちの森」 18歳の美しい少年と、40手前のイケてるおじさんが愛し合うんだけれども、またもや邪魔が入る…。彼らの昔(?)の相手の女性。彼が最早自分を疎んでいるというのを敏感に感じ取り、後を尾け回して探る執念は恐ろしいもの。個人的にパウロとギドウの組み合わせはすごく好きです。 彼の死を経たパウロは少女のような溌剌とした18歳の少年から卒業するのでしょう。描かれているのはまだ子供の彼ですが。 全て読んでから最初の義童の詩を読むと切ない。 「恋人たちの火は (中略) 暗い華麗な森の中でもえ その炎はいつの日が来ても、消えることが、無かった。」 「枯葉の寝床」 またもや美少年と38歳の男、レオとギランの組み合わせ。この2人は愛し合っているんだけれども、ある日少年が違う男に鞭で打たれて自分も知らぬうちにそのサディスティックな行為に惹かれていることを男に激しく嫉妬される。それ以来以前にも増して異常な執着を見せる男だが、その激しい感情はやがてレオを銃で撃ち殺してしまうまでに…。レオを誰にも渡したくないという一心で。最後は彼の元に自分も逝く。 レオは愛した男に殺されて、やっと彼だけのものになれて幸せだったと思います。ギランに殺された時、レオは彼を永遠に手に入れたのだと思う。 「日曜日には僕は行かない」 同性愛のために婚約を破棄した少年とその相手青年。彼女と彼女の家族の生活を壊したことに苦しむ半生(ハンス)と、そんな中彼に惹かれ続ける達吉。彼を手に入れたことに対する優越感があるのかも。 全編通して美しい日本語づかいで、森茉莉の世界を存分に堪能できる。これがロマンかと納得。 恋人たちの森と枯葉の寝床が好き。

Posted byブクログ

2017/03/10

句点の打ち方が独特で、慣れるのにちょっと時間がかかる。 男色の話であるというから警戒していたが、そこに描かれる男たちは頻繁に女性の比喩をもって語られるため、まあとにかく耽美で、良い意味で気持ち悪い。 ただどれも似たような話で、飽きるといえば飽きる。

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2016/03/31

著者は森鴎外の娘。うーん、濃いなぁ……耽美だけど、登場人物が一癖も二癖もある。BLの先駆者的な位置付けでこの作品はあるけど、いやいや、BLじゃないっしょw BLの人間関係はもっと単純すっw

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2016/02/02

がっつり耽美、すべてが「美しければok」的な価値観で構成されてるのが清い あっけなく登場人物が死んでしまうのも好きだし、何より登場人物が魅力的

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2015/02/22

とにかく読むのに時間がかかった。 でもゆっくりじっくりと時間をかけて読みたかったから良い。 鎌倉で読み始めたことも思い出。 想像を上回るガッツリ耽美。 いきなり解説の話になるが、著者は静止画の中に物語を見出すといったことが書かれてあったけど、まったくもってその通りだと思った。 美...

とにかく読むのに時間がかかった。 でもゆっくりじっくりと時間をかけて読みたかったから良い。 鎌倉で読み始めたことも思い出。 想像を上回るガッツリ耽美。 いきなり解説の話になるが、著者は静止画の中に物語を見出すといったことが書かれてあったけど、まったくもってその通りだと思った。 美しくも、愛憎に獲り憑かれ憔悴しきっている大人の男と、エロスの寵愛を一身に受けたかのような可憐な美少年。 少し距離を保って、書斎に佇んだりなんかしていて (ひとりは机に肘をつき座っていて、美少年は書架にもたれかかって少し首をかかげてこちらを向いている) そんな静止画の記憶の創造みたいな世界なのだった。 (ま、まさに妄想。。。) すべて美しく浮世絵離れしているかのようだけど、描かれる心理描写がグロテスクの域に達して、ある意味とても下品だったりするからそのバランスがくせになる。 とくに、「日曜日には僕は行かない」というよだれもののタイトルがつけられた短編に出てくる達吉(この名前の安定感)が、八束夫人を見送る際に一瞬見せたゆがんだ笑顔…。 性格ゲロ悪。と思わずつぶやいてしまう。 そんな悪趣味もすべてクセになる。 枯葉の寝床のSMプレイで若干、本当に気持ちが悪くなる。あまりにも緻密で粘着質な描写力。すごすぎ。ほんとに文章の魔力。 そういった意味で、もしかしたら最初の短編「ボッチチェリの扉」が一番好みだったかもしれない。 人生の一時期をあんなにBLに注いだことがあるくせにかたじけない。 とにもかくにも憎めない人だと思った。 美しいものを追い求める、それはもはや勇姿。 貧乏サラヴァンを静かにポチるのである。

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2014/11/11

言葉が美しかった。濃密で、読むのに手間取った。長野まゆみさんの本をもっと濃くした感じ。 2014/11/11

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2014/08/02

何ヶ月かけて読んだんだろう…… 男が死んだり、男が少年殺したり、女は蚊帳の外だったり、濃かった…… すごく感覚的に読んだというか、ふわっと読んだ感じ。 枯葉の寝床が一番衝撃的だった。

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2013/02/20

BLの古典的作品。4編からなるが、どれもストーリーは似たり寄ったりで、美少年と、恋人であり保護者でもある男性(いずれも美形で仏文などをやっており、お屋敷に住んでいる)との関係が中心。最後は恋人間あるいは第三者の嫉妬で…と何百回も書かれていそうなもの。 ただ、本書の場合、文章が素...

BLの古典的作品。4編からなるが、どれもストーリーは似たり寄ったりで、美少年と、恋人であり保護者でもある男性(いずれも美形で仏文などをやっており、お屋敷に住んでいる)との関係が中心。最後は恋人間あるいは第三者の嫉妬で…と何百回も書かれていそうなもの。 ただ、本書の場合、文章が素晴らしいので陳腐なストーリーは、それはそれでむしろ文章に没頭できる分いいと言っても過言ではないくらいだ。森茉莉独特な読点の使い方も、不思議なリズムを醸し出している。官能的な食べ物の描写もいい。 「甘い蜜の部屋」よりも面白かった。

Posted byブクログ