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カラマーゾフの兄弟(下) の商品レビュー

4.4

215件のお客様レビュー

  1. 5つ

    103

  2. 4つ

    60

  3. 3つ

    24

  4. 2つ

    4

  5. 1つ

    1

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2020/10/11

読了 2020年10月11日 16:07 @上野公演 富と情欲を愛し、それと引き換えには我が子に何も与えず、むしろ奪おうとさえする父、貧困ではあるものの施しを良しとはせず、病気の妻と不具の子を抱えながら、一生懸命息子のことを愛する父。一方は父が命を侵され、一方は父親のために戦った...

読了 2020年10月11日 16:07 @上野公演 富と情欲を愛し、それと引き換えには我が子に何も与えず、むしろ奪おうとさえする父、貧困ではあるものの施しを良しとはせず、病気の妻と不具の子を抱えながら、一生懸命息子のことを愛する父。一方は父が命を侵され、一方は父親のために戦った子が病に侵される。 同じ悲劇でも自己の利益を求めた結果と愛のある家族では趣が違う。 近代化へ突き進もうとする時代の大きな葛藤に答えようとしたのだと思う。

Posted byブクログ

2020/09/22

以前読んだのが結構前なので再読。フォローしている方のレビューを見て、久しぶりに読みたくなった。 舞台は帝政ロシアで、成り上がりの貴族である父フョードルと、三人の息子の物語。一応主人公は三男のアリョーシャということになっている。 あらためて読んでみて、不死、神の存在、美、情欲、...

以前読んだのが結構前なので再読。フォローしている方のレビューを見て、久しぶりに読みたくなった。 舞台は帝政ロシアで、成り上がりの貴族である父フョードルと、三人の息子の物語。一応主人公は三男のアリョーシャということになっている。 あらためて読んでみて、不死、神の存在、美、情欲、愛、堕落、善と悪など、重いテーマをガッチリと組み込んだ、卓越した小説だと感じた。それらを物語るための舞台として、ロシア正教会修道院というとっても厳かな、神や愛を語るにはもってこいの場所が素晴らしい。加えて、修道院で奇跡を体現する偉大な長老の存在や、貴族で道化の親父フョードルに、放蕩無頼な長兄ドミートリィ、冷徹な哲学家の次兄イワン、そして純粋無垢な修道僧の末弟アリョーシャ、という人物の書き分けがとても巧みで、それらがあってこそテーマが光るのだと感じた。彼ら以外にもスメルジャコフ、グリゴーリィ、カテリーナ、グルシェーニカやら名脇役たちもスポットライトを浴びて輝いている。 彼らの性格や哲学の違いが、ドストエフスキーの圧倒されるような、人物の対話を生み出している。この「対話」が深いし、重い。それに対話は往々にして主人公アリョーシャを介して行われるのだが、このアリョーシャという人物が対話の聴き手、つまり受け皿としては、少しの偏見もなく、純朴で、物語を動かす潤滑油として大変優秀な存在になっている。話の面白さはピカイチで、キャラ立ちも筋書きもとてもしっかりしているといるうえ、細事にわたる、それでいて怒涛のような描写は息をつく暇もないくらいで、何度読んでもその熱量に圧倒される。 初めて読んだときは中巻のゾシマ長老のところで大号泣した記憶がある。その後何度か読んだがなんともなかったのが不思議なところだ。小説を読んで号泣したのは後にも先にもこの一度きりで、自分の変なスポットにうまく刺さったんだろうなと思う。 上巻はカラマーゾフ家の歴史の説明から始まり、修道院や実家などでの場面で、各人物の紹介がなされる。カラマーゾフ家は少々複雑で、ここでは詳しくは説明しないが、すべて一癖あるキャラクターばかりで、読むたびに違う発見がある。今回読んで気に入ったのは上巻の長兄ドミートリィの魂の告白シーン。詩や事件によせて、恋愛にまつわる自らの置かれた窮地を弟アリョーシャに説明し、同時に心情を吐露するのだが、これがとても面白く、激しく、抒情的で心を打つ。ドミートリィは作中では無頼漢、卑劣漢のように描かれる。だがただ単に理性より行動の人で、結果として激情にかられて過ちを犯し、責め苦を負い、自らをも蔑むわけだが、彼の告白と洞察は、ピントがずれているときもあるものの、大変野性味・知性味溢れるものだと思う。あとは上巻では、イワンの大審問官も見どころだ。 下巻は検事と弁護士の論告が見物だが、弁護士のフェチュコーウィチが父親殺しを聴衆の感情に訴えて打破しようとするところが(素晴らしいが)少々残念だ。僕としてはイワンにもっと活躍してほしいところであるが、彼が頑張ったらドミートリ―の運命が変わってしまうかもしれないし、ドミートリ―のモデルになった人もやはり彼と同じ運命になったというから、物語の落とし所としては丁度いいのだろうか。 読んでて思ったのはこれドミートリィが主人公じゃないのかというくらい彼に紙片が割かれているなってこと。彼は父親殺しの嫌疑をかけられるわけで、その言動を逐一追わなくてはならないから当然かもしれないが。あらためてイワンやアリョーシャをもっと深く掘り下げるような第二部があればと思ってしまう。とくにイワンの成分が少なすぎる。短いがパンチは効いている、だけどもっと読みたいと思う。 ドストエフスキーはアリョーシャが活動家になる続編を書くために、この導入ともいえる第一部を書いたというが、彼が亡くなって続編が日の目を見なかったことが悔やまれる。でもドストエフスキーは実はカラマーゾフしか読んだことがないので、まだまだ楽しみがあると思って、これから彼の他の小説を読んでいきたい。 それにしてもどうやってこれだけ複雑に入り組んだ、完成度の高い小説が書けたんだろう。ドストエフスキーは神がかり行者ならぬ、神がかり作家としか思えない。

Posted byブクログ

2020/07/26

(20/3/19自ツイート転載(一部書き換えあり)) 2019年度内で読了 長かった~(;^ω^)  内容を1ツイートでコンパクトに書くのは無理~w とはいえ長い感想書けるほどの文章力もないわ~ww  でも、主にイワンが提示する真面目なテーマには考えさせられたし、「身も蓋もな...

(20/3/19自ツイート転載(一部書き換えあり)) 2019年度内で読了 長かった~(;^ω^)  内容を1ツイートでコンパクトに書くのは無理~w とはいえ長い感想書けるほどの文章力もないわ~ww  でも、主にイワンが提示する真面目なテーマには考えさせられたし、「身も蓋もないエロ親子の痴話喧嘩」という俗な物語しても面白かったよ~

Posted byブクログ

2020/07/21

物語は法廷サスペンスとなる。4部で特に気になるのは魔性の少女リーザだが、彼女の語る“パイナップルの砂糖漬けを食べながら”の話はとてもいい。あきらかに彼女は続編のヒロインとして準備されていたのだが、いったいアリョーシャとどういうドラマを繰り広げる予定だったのだろう。この物語では不完...

物語は法廷サスペンスとなる。4部で特に気になるのは魔性の少女リーザだが、彼女の語る“パイナップルの砂糖漬けを食べながら”の話はとてもいい。あきらかに彼女は続編のヒロインとして準備されていたのだが、いったいアリョーシャとどういうドラマを繰り広げる予定だったのだろう。この物語では不完全燃焼な役割で終わってしまったのがとても残念だ。 法廷のやり取りは緊迫して意外性に溢れるのだが、検事と弁護士の最終弁論が長すぎるのが残念。テンポを悪くした。 子供達へのアリョーシャの演説がこの大長編を締めくくるが、皆の愛情と信頼にみちた心の結びつき中での救いを強調し、現実世界の苦しみを超えた調和の世界を予言する。ここにイワンの提示した、神学問題への素朴な回答があるのだと思う。 それにしても、この演説が続編では皇帝殺しやナロードニキの革命の序曲になったのだろうか? 続編がないのがやっぱり残念だ。(未練がましいわたし)

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2020/09/16

 読んでる途中から忙しくなって結局かなり時間がかかってしまった。長編だからか登場人物に感情移入しすぎて、途中から読んでて辛くて、何度も溜息をつきながら読んでた。でも、いろんな要素が詰まってるし、内容も引き込まれるし、本当に読んでよかった本。第二部があったら、また全然違うメッセージ...

 読んでる途中から忙しくなって結局かなり時間がかかってしまった。長編だからか登場人物に感情移入しすぎて、途中から読んでて辛くて、何度も溜息をつきながら読んでた。でも、いろんな要素が詰まってるし、内容も引き込まれるし、本当に読んでよかった本。第二部があったら、また全然違うメッセージ性があったんだろうな。    イワンが「信仰はない、愛なんて分からない、全ては許されるんだ、合理性を求めるべきだ」って思ってたはずなのに、絶望の中で愛に背けず、愛故に自らを破滅させた部分が刺さった。大審問官を聞いたアリョーシャが「兄さんもその老人と一緒なんでしょ?」って言ってたこととか、イワンがアリョーシャに「どうしたら身近なものを愛せるか分からないんだ」って言ってたこととか思い出した。そんなこと言ってても、最後には愛とか良心とか神とか強く持ってるのがイワンなんだなぁと。  イワンの愛は、自らが罪を背負おうとしすぎてて、罪の所在の真実からは遠ざかってるなと思うけど。カテリーナの愛も、真実とは遠い効果を生み出すものだった。愛による行動が、真実を遠ざけることが往々にしてあるものだなと思った。人間は絶望の淵で本当の愛に気づくことが多いし、絶望的な状況であるが故に決定的な影響を及ぼしてしまうのだなと。  イッポリートの真相解説は、中巻で読者が、ミーチャが犯人だと仮定したときに考えるであろうこととかなり近いと思う。それを、既に読者が真実を知っている状況で、しかもミーチャの運命を決める裁判の場面で、検察側の主張として並べ立てるのは、「お前らだって前はこう考えていたんだろう?」って言ってるみたい。  裁判の件を読んで、人の内面を全て理解するなんて不可能だし、それをはき違えて、何かを狂わせることが多々あると、強く思った。裁判という場では、堂々と他人の行動や言動の内面的理由を並べ立てることが、正当化される。第三者は、推測でしかないのに、あたかも真実であるかのように話す。それを当然の権利としている。推測が合理的に思える話であればあるほど、間違っていた時にタチが悪い。心理学は両刃の刀っていうのに共感した。真実であったとしても、人の内面を第三者がまくし立てることを正当化するなんて、裁判にかけられてる人間を侮辱しているように私には思えるけど。真実が無罪であるなら尚更。冤罪を免れるには仕方ないとはいえ、そもそも罪がないのに何故引っ掻き回されなきゃいけないんだ、っていう。  「なぜ我々は自分の想像通りに仮定し、仮定した通りに想像しなければならないのか。」っていう言葉も印象的。先入観に左右されるものだよな。  あとこの裁判みたいに、なんの根拠も見つからなくて訳が分からなくなったら、信じたい方を信じるだけで根拠も正義もありはしないなと思う。  ミーチャの「人は誰しも罪を持っている。」の件も結構共感できる。不条理を生む社会の仕組みを黙認せざるを得なかったり、抗議しようにも無力さを抱えていたり。だから不条理を被る人に対して罪がある。常に意識してたら精神的に辛いだけだと思うけど、何事に対しても謙虚さを持とうっていう精神は大事だよなと思った。  何を考えても結局、根本で信仰にぶちあたる。この本では神を信じない=信念がないとみなしている気がしたけど、この本で本当に大事にしている信仰の根幹と無宗教の人々が各々で持つ信念は同じだと思う。何を考えるにしてもその人がもつ信念とか、人はどう信念を持つべきかっていう議論になる気がしちゃう。永遠の議題。  カラマーゾフ的というのが崇高な心と卑劣な心の両極を顕著に持ち合わせているということなら、多くの人間に当てはまるものだよな、と思う。  最後の場面でのアリョーシャと子供達の会話に、メッセージ性を感じるなぁ。あれで締めくくるなんて、予想とは全然違かった。ドストエフスキーの温かい部分が感じられる終わり方だなぁと思う。

Posted byブクログ

2020/05/30

この作品を読む「以前」と「以後」で、 考え方、感じ方が変わると言えるほどの 強度を持つ作品だった。 主人公アリョーシャは、 他の登場人物よりも目立たず、 一般的な人物であるように思うが、 その計り知れない善良さが、 周りの登場人物の人生を 結果的に良い方向に導いていく。 神...

この作品を読む「以前」と「以後」で、 考え方、感じ方が変わると言えるほどの 強度を持つ作品だった。 主人公アリョーシャは、 他の登場人物よりも目立たず、 一般的な人物であるように思うが、 その計り知れない善良さが、 周りの登場人物の人生を 結果的に良い方向に導いていく。 神が存在することによって罪があり、 神が存在しなければ罪はないと 信じる人も多い。 アリョーシャは、神を強く信ずるが故の その善良さによって、罪の有無が決まることを 作品を通して教えてくれたように思う。 どの社会や時代でも、罪があるのは 誰かが決めたからだと思い込んでしまうが、 その根源は、やはり「善良」であるかどうか、 だということがわかった。 この作品は、人間が持つ複雑さへの寛容と、 善良に生きることの大切さを伝えてくれた。

Posted byブクログ

2024/07/13

上・中・下巻足かけ約2ヶ月くらいけかてやっと読破。 上巻に1ヶ月くやい費やしたかも。 この緊急事態宣言が出たからこそ、読めたのかもしれない。 父親殺しがテーマだけど、宗教、恋愛、病、児童虐待、親子いろんなことがてんこ盛りの小説で、読むには読んだけど、ドフとエフスキーの言わんとした...

上・中・下巻足かけ約2ヶ月くらいけかてやっと読破。 上巻に1ヶ月くやい費やしたかも。 この緊急事態宣言が出たからこそ、読めたのかもしれない。 父親殺しがテーマだけど、宗教、恋愛、病、児童虐待、親子いろんなことがてんこ盛りの小説で、読むには読んだけど、ドフとエフスキーの言わんとしたことがどこまで理解できたかは疑問。 作者はアリョーシャが主人公としてるけど(続編が書かれる予定だったらしい)ドミトリー、イワン、アリョーシャそれぞれが主役だった。 結局、父を殺したのは藪の中でスメルジャコフなのか(多分そうであろう)ドミトリーなのか判然としない結末。 でも、ドミトリーはカテリーナが最後に裏切って出した手紙に今回の犯罪計画が(酔っ払って)書かれていたとして有罪になってしまう。 そのドミトリーの弁護士の言論が作者の考えと思えてしかたなかった。 サイドストーリースネリギョフとその息子のイリューシェチカ(病で死んでしまう)も興味深かった。

Posted byブクログ

2020/05/27

スメルジャコフがイワンの心に潜む父への殺意を見透かして追い詰めていくところが残酷。 唯一真実を知るそのスメルジャコフが自殺したときには、ドミートリイももはやこれまでかと思ったが、イワンの勇気ある告白に胸を打たれた。 検事イッポリートと弁護人フェチュコーウィチとの法定での対決も...

スメルジャコフがイワンの心に潜む父への殺意を見透かして追い詰めていくところが残酷。 唯一真実を知るそのスメルジャコフが自殺したときには、ドミートリイももはやこれまでかと思ったが、イワンの勇気ある告白に胸を打たれた。 検事イッポリートと弁護人フェチュコーウィチとの法定での対決もすごく迫力がある。 ドミートリイ、イワン、アリョーシャ、それぞれが実に個性的に描かれていて、ドストエフスキー氏の筆力に脱帽してしまう。 「カラマーゾフ万歳!」の意味を味わうためには、もう1回読まなければならないだろうなあ。 このボリュームで第一部の予定だったというのだから、驚かずにはいられない。

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2020/05/23

上中下で約1ヶ月を要した。 裁判でのやり取りは見物ではあるが、やはり宗教の真髄は理解が難しい。 ただ、まずは読みきったということで達成感はある。また何年か後に読み直すことで、理解が深まるかと思う。

Posted byブクログ

2020/05/10

感想はこちらに書きました。 https://www.yoiyoru.org/entry/2020/04/18/000000

Posted byブクログ