カラマーゾフの兄弟(下) の商品レビュー
ドストエフスキーが、書き上げた3ヶ月後に亡くなってしまったとの事で、本当はアレクセイの今後が描かれるはずだったようです。 確かに、アレクセイを「我が主人公」というような表現したとき、不思議に思ったものです。 大きな構想があったのだなぁと。 そうだとしても、批評家も仰っていました...
ドストエフスキーが、書き上げた3ヶ月後に亡くなってしまったとの事で、本当はアレクセイの今後が描かれるはずだったようです。 確かに、アレクセイを「我が主人公」というような表現したとき、不思議に思ったものです。 大きな構想があったのだなぁと。 そうだとしても、批評家も仰っていましたが、完璧なラストだったような。 特に、最後のもって行き方が『ああ、そうきたのか…素晴らしいな』の一言でした。 検事の発言に何だかムカムカして、 弁護人の発言に、遅ればせながら『さっきのは表現か!』と気付き… 最後のアレクセイの言葉に、心を持っていかれた最後でした。 とても壮大で、個人的で…、 人間というものを描いた作品だと感じました。 本当に素晴らしかったです。 何回も読んでしまうと思う。
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父親殺し、というプロットはあるものの、それに偏らない壮大なテーマが散りばめられていて、お腹がいっぱいである。難しい!でも面白い!難しい、また面白くなってきた!の繰り返しで、上巻後半から一気に読めた大作。 こんな作品にはもう出会えないかも。 100%理解出来てないけど、満足。特に...
父親殺し、というプロットはあるものの、それに偏らない壮大なテーマが散りばめられていて、お腹がいっぱいである。難しい!でも面白い!難しい、また面白くなってきた!の繰り返しで、上巻後半から一気に読めた大作。 こんな作品にはもう出会えないかも。 100%理解出来てないけど、満足。特にキリスト教文化の苦悩は、難しい。 深淵なプロとコントラ。人間てこんなものなのかも。
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なんとか読了したというのが正直なところ。 上巻、中巻と読み進めるうちに、登場人物が把握出来てきて、下巻に至ってようやく前半の描写の必然性を感じられた。 終盤の審判の場面において、まさにその集大成となって結実する。背景には、宗教的なものはあるものの、それを無視したとしても十分に魅力...
なんとか読了したというのが正直なところ。 上巻、中巻と読み進めるうちに、登場人物が把握出来てきて、下巻に至ってようやく前半の描写の必然性を感じられた。 終盤の審判の場面において、まさにその集大成となって結実する。背景には、宗教的なものはあるものの、それを無視したとしても十分に魅力的な作品。 父親らしくない父と、その父を敵視する息子。 それはドストエフスキー自身が育った環境を元に自然と描かれたものであろうことが感じられるが、狂気的で歪んだ性格が際立つ登場人物が多数登場する。 ドミトリーが無事脱獄し、グルーシェンカとハッピーエンドになって欲しかったがそうは上手くいかないようだ。 ただ、次に読む本は頭を使わなくても読める本にしようと思う。
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キリスト教に多少なりとも興味がないと、面白みは感じられないかもしれない。 全体的に、坊さんくさい小説という感は拭えなかった。 よほど読書好きな人以外には、お勧めできない。
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最後の解説で大審問官のくだりは(理論的には)だいぶ理解できたけれど、この多面的すぎるほど多面的なこの小説の大きな一面を占める「宗教」という問題は、もっと宗教に頭から身体までどっぷりつかっているような人間でないと到底理解できないと思った。でもその他の部分、特に人間の本性的とも言える...
最後の解説で大審問官のくだりは(理論的には)だいぶ理解できたけれど、この多面的すぎるほど多面的なこの小説の大きな一面を占める「宗教」という問題は、もっと宗教に頭から身体までどっぷりつかっているような人間でないと到底理解できないと思った。でもその他の部分、特に人間の本性的とも言えるような心理の描き出し方は本当に見事で、まるで人間のあらゆる要素をこの小説の登場人物たち、特にカラマーゾフ家の人々に集約してしまったかのようで、まさに世界文学上の最高傑作と言われるに相応しい作品だと思う。人生で何度も再読していきたい
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宗教的な視点でも懐疑的な視点でも、同じように感動することができる希有な小説。 宗教一家に生れた僕としては、登場人物たちの思想や葛藤が痛いほど分かって、もう嬉しいやら苦しいやら、とにかく何度も泣いて笑った。 ただ悲しいかな、そもそも宗教の葛藤がない多くの日本人には、このすごさを心か...
宗教的な視点でも懐疑的な視点でも、同じように感動することができる希有な小説。 宗教一家に生れた僕としては、登場人物たちの思想や葛藤が痛いほど分かって、もう嬉しいやら苦しいやら、とにかく何度も泣いて笑った。 ただ悲しいかな、そもそも宗教の葛藤がない多くの日本人には、このすごさを心から理解できない。だから一緒に語り合える人も、本当は少ない。 と言っても、そもそも物語としての質が高いので、どちらにしてもじゅうぶん楽しめる。 そういう意味で究極の愛を体現した小説。
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登場する子供たちの会話を通して、一人ひとりが「世界でひとつだけの花」であり、すばらしいことなんだ、という高尚な印象を受ける場面がちらほら。 一方で、殺人事件の裁判を通して、妬み嫉みや自尊心などの、成人になった人間の心理や、父親とはなんぞや?という暗黙の定義を考えさられる場面あり...
登場する子供たちの会話を通して、一人ひとりが「世界でひとつだけの花」であり、すばらしいことなんだ、という高尚な印象を受ける場面がちらほら。 一方で、殺人事件の裁判を通して、妬み嫉みや自尊心などの、成人になった人間の心理や、父親とはなんぞや?という暗黙の定義を考えさられる場面あり。 解釈一つで黒にも白にもなるのが人間。 どう思っているより何を実行したかが重要なのがこの世界。 ・・・と物語に引き込まれながらも、あちこちに何かしら作者の意図が隠されているのではないかと疑いながら、何かの魔法をかけられながら読んでいる様な本でした。 ただ、読了直後は「あれ?これで話が終わりなの?」というのが正直な感想(笑
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人生を一回生ききったくらいの厚みがあった。分かりやすい表現で、ミステリーとしての面白さで途中からぐんぐ引っ張る、それでいてこのリアリティー、バランス感覚。外から眺めると比率がむちゃくちゃだと思うところもあったけど、この世界では違和感なく、というか面白いから許せる部分もある。という...
人生を一回生ききったくらいの厚みがあった。分かりやすい表現で、ミステリーとしての面白さで途中からぐんぐ引っ張る、それでいてこのリアリティー、バランス感覚。外から眺めると比率がむちゃくちゃだと思うところもあったけど、この世界では違和感なく、というか面白いから許せる部分もある。というか許すとかどうこうでなく、面白いことが何より大事で、それ以外どうでもいいことを分からせてくれた。本人の思想と思われる箇所をそのまま登場人物に語らせる場面は本来あまりは好きではなかったが、一方的に語らせていなくて、そこだけ抜き取っても読みごたえがある。費やす言葉の量は多い方だけど、それが熱になって、濃くなっていく。一番のストロングポイント、人間に対する見方の深さ、世界や社会に対する認識の深さはどのようにして生まれたのだろうか。それを表す言葉がない。ただとてつもなく深いとしか言えない。
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読み終わったー!! 何だか達成感! 随分と中途半端な終わり方だなぁと思ったら、本当はまだ続く予定だったのですね。 読みたかったなぁ。 一番驚いたのは100年以上前にすでにロシアの裁判は、裁判員裁判だったのですね。 その事に衝撃。 ドストエフスキーの年表を見てさらに驚き。 お...
読み終わったー!! 何だか達成感! 随分と中途半端な終わり方だなぁと思ったら、本当はまだ続く予定だったのですね。 読みたかったなぁ。 一番驚いたのは100年以上前にすでにロシアの裁判は、裁判員裁判だったのですね。 その事に衝撃。 ドストエフスキーの年表を見てさらに驚き。 お父さんの死に方も壮絶です。 国も時代も違う人の事だけど、作者の背景や人柄を自分の中でイメージしながら作品を読むと すこーしだけ身近に感じる事ができますね。 かなりの余談ですが、私の一歳の娘はどうやら カラマーゾフがお気に召さなかった様で、 3冊とも表紙をビリビリに破かれました…。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ロシアの巨匠の超大作、ドス兄のカラ兄をついに読了しました。 長かった・・・笑 序盤はなんせ19世紀ロシアの時代背景についていけずに苦労した。どんだけ接吻するねんこの人達、みたいな。さらに登場人物大量発生(しかもドミートリイって言ったりミーチャって言ったり呼び方変わりまくり)なので上巻はひたすら混乱。 解説文によると、本書の中心となる話はフョードルの死と長男ドミートリイの殺人容疑の件らしいのですが イワンの叙事詩(大審問官といって有名らしい)、ゾシマ長老の生い立ち、そしてゾシマ長老死後の民衆の動揺など 脇道に逸れた各人のエピソードが秀逸で、それだけで一篇の小説が書けるレベル。 特に大審問官の話には喰らった。 視点が面白いし、大審問官、キリスト、民衆、それぞれの動きにいちいち引き寄せられた。 いろいろ思うところはあったんですがペラい感想文にしかならないのでこのへんで。 この夏は西洋文学祭にするつもりやったんですが、この3冊で夏が終わってしまいました
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