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羊をめぐる冒険(下) の商品レビュー

4

431件のお客様レビュー

  1. 5つ

    134

  2. 4つ

    145

  3. 3つ

    93

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  5. 1つ

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2023/08/27

初読の時に、いかに内容を捉えていなかったか、滑稽なほどに哀しみとうつろな記憶が陽炎の様に揺らめいた。 今回再読してやはり、村上3部作が建てた柱の荘厳さを微かながら触れた想い。 読み返す気持ちがさらに高まったか‥次は「風の歌を聴け」 僕のシニカルなトーンで全編が覆われる。 下巻の...

初読の時に、いかに内容を捉えていなかったか、滑稽なほどに哀しみとうつろな記憶が陽炎の様に揺らめいた。 今回再読してやはり、村上3部作が建てた柱の荘厳さを微かながら触れた想い。 読み返す気持ちがさらに高まったか‥次は「風の歌を聴け」 僕のシニカルなトーンで全編が覆われる。 下巻の中盤から始まる時空間を越えた(もともと、全体がそうだけど)霊との語りは一字一句逃したくないシーンだった。 北海道、羊、国家権力、とある道奥の小さな村、鼠の語りはたまらなかった。 とてつもなく汚れた鏡・・映った像~映像に浮かび上がるような妖気漂う情景。 羊男の像はなく、当然鼠もない・・・ 彼がのどから絞り出すように吐き出した言葉・・ 「本当の弱さというものは弱さというものを君は知らないんだ・・何もかも一般論でかたづけることはできない」 ラストのシーンの、これまた抒情的な温度。 大泣きの後、どこへ行けばいいのかわからなかったけど とにかく僕は立ち上がり・・背中に小さな波の音が聞こえた。 かそけき力が、湧いてくるのを感じる。

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2023/08/07

僕と鼠の青春三部作の締めとなる作品。今作で村上の方向性が定まったと評されるが、日本文学の完成系であり、終着点でもある。優れた作家の著作は、人を混乱させ、形而上下を疑わせ、そして、仕事を辞めさせたくする力がある。沢木耕太郎、池澤夏樹、そして村上春樹である。

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2023/08/06

不思議な話だった。 まさしく羊をめぐる冒険だった。もっと最近の村上作品しか読んだことがなかったせいか少し読みづらさも感じたが、独特のストーリーと比喩表現は面白かった。 鼠3部作というものを知らずに、この本をまず読んでしまった。鼠の登場が唐突に感じたけれど、他の作品に繋がっていると...

不思議な話だった。 まさしく羊をめぐる冒険だった。もっと最近の村上作品しか読んだことがなかったせいか少し読みづらさも感じたが、独特のストーリーと比喩表現は面白かった。 鼠3部作というものを知らずに、この本をまず読んでしまった。鼠の登場が唐突に感じたけれど、他の作品に繋がっていると思うと気になってきた。近いうちに読んでみようと思う。

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2023/07/18

なんというか、喪失感。 とはいえ鼠の話もJの話もすっかり忘れてたし、もう1回鼠3部作読み直さないとダメだなこれ。

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2023/07/18
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僕が最後泣いたのがとても印象的だった。三部作通して感情的なることなんか一度もなかったよなーと思う。そんくらい鼠は特別な存在だったんだよね。悲しい。 描写が当たり前だけど上手い。ポツンと立った別荘を想像する。鼠と僕の最後の会話は鮮やかなほど頭に浮かんだ。

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2023/05/25
  • ネタバレ

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遂に3部作を読み終えた。 実際「羊をめぐる冒険(上)」までは世界観しか感じ取れず面白いとはあまり思えていなかったが、せっかく手を出した作品なのだから3部作読もうと思い最後まで読み進めた。 だが、この作品でこれまでの話がまるでラストへの準備だったかのように、いや準備だったのだろう、動き出した気がした。 多分自分はこの作品について7割も理解できていないだろうが、最後の20ページ程で実は鼠が死んでいたこと、黒服の男は全てを知っていたが「僕」にはそれを伝えてしまっては何にもならない為伝えなかった事など、とても面白かった。 また自分が成長したら読んでみようと思った。

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2023/05/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

p21 彼の左手の小指と中指は第二関節から先がなかった。 p62 物事には順番というものがある。 p100 太った中年の女はスクリャービンのピアノ・ソナタに聴き入っている音楽評論家のような顔つきでじっと空間の一点を睨んでいた。 p110 「町が死ぬとどうなるんですか?」 p228-229 「君は世界が良くなっていくと信じてるかい?」 「何が良くて何が悪いなんて、誰にわかるんだ?」 p256 「端折ると意味がなくなっちゃうんだ」 下巻。再読。 初めて読んだときは間違えて先に下巻から読んだ思い出。それでも違和感のない構成がすごいというかずるいというか。 十二滝村の歴史描写がすべてな気がしなくもない。完成度の高さにうっとりします。それくらいよく書けていて、もうすでにこの段階で雲の上の人だったのかなと。3部作ですが、ある意味では4冊の長編を書き上げたともとれます。

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2023/06/03

30年以上前の小説だけどとても面白かった。今でこそ村上春樹の長編小説は色々あるが、当時(1982年)リアルタイムでこの物語を読んだ方々の受け取り方はどうだったのだろうか。 僕と鼠の会話も良かったし、最後のジェイとの会話も良かった。最後にジェイズバーの共同経営者に僕と鼠を加え、二人...

30年以上前の小説だけどとても面白かった。今でこそ村上春樹の長編小説は色々あるが、当時(1982年)リアルタイムでこの物語を読んだ方々の受け取り方はどうだったのだろうか。 僕と鼠の会話も良かったし、最後のジェイとの会話も良かった。最後にジェイズバーの共同経営者に僕と鼠を加え、二人で稼いだ小切手をジェイに渡し、ピンボールとジュークボックスを加えてねと言い、僕は砂浜で泣く。個人的にはいい終わり方だったと思う。

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2023/05/16

こうやって、三部作は終わるのか、、、と思えた作品。分からないこともあるが、何となく分かることも、ある。三部作完結にして、ようやく村上春樹がクセになって好きになってる。

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2023/05/17

初期三部作を初めて読んだが、既に村上春樹が出来上がっていた。 生きていくうえで避けられない苦労や煩わしさを覆い隠すような軽妙さに喪失と怠惰が漂っていて、なぜか性には執拗さを伺わせる。深い意味があるようではぐらかされてもいるような思想や台詞には、ハッとさせるときがある。 悲しみ...

初期三部作を初めて読んだが、既に村上春樹が出来上がっていた。 生きていくうえで避けられない苦労や煩わしさを覆い隠すような軽妙さに喪失と怠惰が漂っていて、なぜか性には執拗さを伺わせる。深い意味があるようではぐらかされてもいるような思想や台詞には、ハッとさせるときがある。 悲しみを表さず、執着心がなさそうで、対立しない「僕」。特に魅力的には思えないのに都合よく女が現れる。寝た、性交、どっちでもいいわ。自分の意思で選択しているようで、そうなるしかない方向に向かっているようでもある。 別に春樹作品が好きなわけじゃないし合うわけでもない。でも展開に期待して読んでしまう。のちに書かれる長編に比べて丁度いいぐらいの長さで、すっきりしていることもあり、今までの中で一番の春樹かもしれない。内容といい、この人が有名作家になった理由がわかった気がする。 結局、村上春樹は読まないとわからないし、読んでもわかったとは言えない。それがクセになる人も多く存在するということだね。

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