ヨーロッパ思想入門 の商品レビュー
第1部 ギリシアの思想 第2部 ヘブライの信仰 第3部 ヨーロッパ哲学のあゆみ という構成で、ギリシア思想とユダヤ教・キリスト教をベースとしてヨーロッパ哲学がどのように発展してきたかを概観した本。 「入門」とはいうものの、聖書や哲学に関して多少の知識があったほうが読みやすいと思...
第1部 ギリシアの思想 第2部 ヘブライの信仰 第3部 ヨーロッパ哲学のあゆみ という構成で、ギリシア思想とユダヤ教・キリスト教をベースとしてヨーロッパ哲学がどのように発展してきたかを概観した本。 「入門」とはいうものの、聖書や哲学に関して多少の知識があったほうが読みやすいと思う。 特に哲学については、専門用語が説明無しにいきなり出てくることもあるので、私は調べながら読み進めた。 ギリシア神話や聖書における超常的な出来事(イエスの復活など)に対して、現代的・現実的な解釈をしている点が面白い。 全体的に断定調で書かれているためか、どこまでがその箇所で言及している人物の主張で、どこからが著者の解釈または見解なのかがわかりにくいところがあった。 全てを疑ったと言われるデカルトでさえ、「神の誠実」を拠り所にしていたことを知った。 ヨーロッパ哲学がキリスト教(とユダヤ教)の影響から逃れられないのだとしたら、それらの宗教的背景を持たない多くの日本人にとって、ヨーロッパ哲学を真に理解することは難しいのではないか…と思った。
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ジュニア新書となめてかかったら難しくて読むのに苦労した、というか哲学をさらっとやさしく読もうとするのが無理なのかもしれない? ヨーロッパの哲学はキリスト教が背骨に入っている。私たちにアジアの哲学思想入門も読みたい。比較したい。 サマリア人は、ユダヤ教を捨ててユダヤ人から差別されて...
ジュニア新書となめてかかったら難しくて読むのに苦労した、というか哲学をさらっとやさしく読もうとするのが無理なのかもしれない? ヨーロッパの哲学はキリスト教が背骨に入っている。私たちにアジアの哲学思想入門も読みたい。比較したい。 サマリア人は、ユダヤ教を捨ててユダヤ人から差別されてる人たちだったの、知らなかった。キリスト教史にも、割愛された哲学者たちの話にも興味が湧いて、入門のよい一冊でした。でも哲学の門は険しそうということもよくわかった入門書。
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難解なレヴィナス哲学の、解説のあまりの分かりやすさに衝撃を受けた。なるほど、これを理解させるための第二章だったわけか。 (個人的メモ:細かな感想・考察は以下の個人ブログへ記述 http://blog.livedoor.jp/saboly/archives/3846147.htm...
難解なレヴィナス哲学の、解説のあまりの分かりやすさに衝撃を受けた。なるほど、これを理解させるための第二章だったわけか。 (個人的メモ:細かな感想・考察は以下の個人ブログへ記述 http://blog.livedoor.jp/saboly/archives/3846147.html)
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岩田靖夫(1932~2015年)は、古代ギリシア哲学専攻の哲学研究者。 本書は、岩波ジュニア新書のラインナップながら、ヨーロッパ思想の入門書として高い評価を得ており、多くの読書案内でも取り上げられている。 著者はまず、ヨーロッパの思想は2つの礎石に立っており、それを「ギリシアの思...
岩田靖夫(1932~2015年)は、古代ギリシア哲学専攻の哲学研究者。 本書は、岩波ジュニア新書のラインナップながら、ヨーロッパ思想の入門書として高い評価を得ており、多くの読書案内でも取り上げられている。 著者はまず、ヨーロッパの思想は2つの礎石に立っており、それを「ギリシアの思想」と「ヘブライの信仰」であるとする。そして、その後二千年に亘って華麗な展開を遂げるヨーロッパの哲学は、これら2つの源泉の深化発展、或いはそれらに対する反逆、或いは様々な形態におけるそれらの化合変容なのだという。 そして、「ギリシアの思想」の本質は以下の2つであるという。 1. 人間の自由と平等の自覚。この自覚に基づいて創造された民主主義は21世紀の現在においても理想であり、ギリシア人の創造した人類への最高の贈り物であった。 2. 理性主義。それは、変転する多彩な現象世界の底に、それらを統括し支配している恒常的な法則や秩序を見透そうとする姿勢であり、これによって、不変の究極的実体の探求としての哲学、自然の因果関係によって現象を説明しようとする科学、純粋な論理を追求する数学等の学問が誕生した。 また、ユダヤ教として生まれ、キリスト教として世界に広まった「ヘブライの信仰」の本質は以下の3つであるとする。 1. 唯一の超越的な神が天地万物の創造主であること。これは、ヨーロッパに自然科学が成立する精神的背景になっていると言われる。 2. 神が自己の似姿として人間を創造したこと。神が人間を創造したのは、神が愛だからであり、愛は他者を求めるからである。人間のかけがえのなさは、人間が愛を受ける者として唯一絶対の神の似姿であることに由来する。 3. イエスの教えによって明らかにされた神の限りない優しさ。 更に、この2つの源泉から展開するヨーロッパ哲学について、中世のキリスト教哲学(アウグスティヌス、トマス・アクィナス等)、理性主義の系譜(デカルト、カント等)、経験主義の系譜、社会の哲学(ロック、ロールズ等)、実存の哲学(キルケゴール、ニーチェ、ハイデガー、レヴィナス等)という観点から説明している。 ジュニア向けに分かり易い説明を心掛けていることは感じとれるものの、ヘブライの信仰やヨーロッパ哲学に関する内容はやはり平易とは言い難い。それでも、近代文明をリードしてきたと言えるヨーロッパ人の物事の捉え方、考え方のポイントがコンパクトに纏められている点において良書と言えよう。 (2016年8月了)
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第二部までは面白かった。第三部は、すでに哲学をかじった人にとっては入門レベルなのだろうが、何もかじっていない自分にとっては???だった。理解力が最近のジュニアより劣っていることがわかった。
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かなりわかりやすく説明してると思う。それでも何度も読まないと、意味がわからない部分も…。入門書として読んでよかった。
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ヨーロッパにおけるあらゆる思想の源流をギリシアの思想とヘブライの思想に求め、その2つの思想とそこから派生したヨーロッパの主だった思想の歴史/詳細を述べた本です。異文化への理解と現代の日本にも大きく影響を及ぼしている思想への理解を深めることの出来るとても興味深い本でした。特にギリシ...
ヨーロッパにおけるあらゆる思想の源流をギリシアの思想とヘブライの思想に求め、その2つの思想とそこから派生したヨーロッパの主だった思想の歴史/詳細を述べた本です。異文化への理解と現代の日本にも大きく影響を及ぼしている思想への理解を深めることの出来るとても興味深い本でした。特にギリシアの混沌とした世界の中に普遍的な法則を見つけようとする姿勢が現代の科学の基礎となったという記述については、思想と技術の関係について改めて考えさせられる機会となりました。
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※このレビューにはネタバレを含みます
ヨーロッパの思想を,主に古代ギリシャの思想とヘブライの信仰から説明する。 どうしてもキリスト教の辺りは興味を持って読めない。教養として押さえたいんだけど。
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学生がお勧めしていたことと、いまヨーロッパにとても関心があるので購入。欧州の人々の精神的土台というか根源的な部分について、概要を押さえることができる。古代ギリシアの哲学者(ソクラテス、プラトンやアリストテレス)から、中世の哲学(デカルトやカント)、近代哲学(ニーチェ、ハイデガー、...
学生がお勧めしていたことと、いまヨーロッパにとても関心があるので購入。欧州の人々の精神的土台というか根源的な部分について、概要を押さえることができる。古代ギリシアの哲学者(ソクラテス、プラトンやアリストテレス)から、中世の哲学(デカルトやカント)、近代哲学(ニーチェ、ハイデガー、レヴィナス)まで端的にまとまっているが、内容の理解は難しく、そういう流れなのねということを俯瞰することで精一杯。源泉は二つ。ギリシアの思想(人間の自由と平等、理性主義)とヘブライの信仰(唯一の超越的な神が万物の創造主であり、神によって人間も造られた)。 「魂の完全さは肉体の悪を正すが、理性の無い肉体の強さは魂をより良くはしない」というのは「健全な魂は健全な肉体に宿る」として肉体の鍛錬を推奨する考え方と真逆。「愛しうる相手とは、否と言いうる相手、拒否しうる相手、憎みうる相手でなければならない。なぜならば人間は自由であり、無機的に応諾するものは自由ではなく奴隷であるからである」
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