ヨーロッパ思想入門 の商品レビュー
岩波ジュニア新書ではあるが、無知な私にとっては十分読み応えがあり学ばせてもらった。著者も冒頭に書いているが、ヨーロッパ思想の本質を語るという目的であり、概説しつつも重要なポイントは確実におさえている印象だった。巻末で紹介される読書案内をもとに、更に知りたいという欲求が湧いてくる一...
岩波ジュニア新書ではあるが、無知な私にとっては十分読み応えがあり学ばせてもらった。著者も冒頭に書いているが、ヨーロッパ思想の本質を語るという目的であり、概説しつつも重要なポイントは確実におさえている印象だった。巻末で紹介される読書案内をもとに、更に知りたいという欲求が湧いてくる一冊だった。
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ヨーロッパ思想はギリシャの思想とヘブライ信仰の2つの礎石の上に立っているという筆者の認識をもとにギリシャ思想とヘブライ信仰(旧・新約聖書)を主要な説明に充て、その後、数々の哲学者の考え方を説明するという構成となっている。近現代の哲学者が2つ考え方に影響を受けているのが、よくわかっ...
ヨーロッパ思想はギリシャの思想とヘブライ信仰の2つの礎石の上に立っているという筆者の認識をもとにギリシャ思想とヘブライ信仰(旧・新約聖書)を主要な説明に充て、その後、数々の哲学者の考え方を説明するという構成となっている。近現代の哲学者が2つ考え方に影響を受けているのが、よくわかった。ただ、筆者の主観的な見解が全面に出ているので、各時代の説学者の思想を体系的に説明することを想定していたので、戸惑いはあった。
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名著。分かりやすい。 ああ、この人の言ってることって、ギリシアの思想が源流だな、的な見方ができるようになる。 - ヨーロッパの思想の礎石 - ギリシアの思想 - 人間の自由と平等 - 理性主義 - 哲学:不変の究極的実体の探究 - 科学:自然の因果関係で現...
名著。分かりやすい。 ああ、この人の言ってることって、ギリシアの思想が源流だな、的な見方ができるようになる。 - ヨーロッパの思想の礎石 - ギリシアの思想 - 人間の自由と平等 - 理性主義 - 哲学:不変の究極的実体の探究 - 科学:自然の因果関係で現象を説明 - 数学:純粋な理論を追求 - ヘブライの信仰 - ユダヤ教・キリスト教 - 唯一の超越的な神が天地万物の創造主 - 神が、己に似せて、人間を想像した - 神は愛であり、愛には他者が必要である。それゆえ人間を作った。 - 「隣人を愛せ」
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この本を教えられたのは50代の若さで去った書評家〈狐〉が後に残しっていった「〈狐〉が選んだ入門書」(ちくま新書)だった。もう15年ほども昔の話だ。 それにしても、〈狐〉に導かれて読んだ岩田靖夫のこの「入門書」は、驚くべき本だった。 ヨーロッパ思想史を「ギリシア哲学」と「キリ...
この本を教えられたのは50代の若さで去った書評家〈狐〉が後に残しっていった「〈狐〉が選んだ入門書」(ちくま新書)だった。もう15年ほども昔の話だ。 それにしても、〈狐〉に導かれて読んだ岩田靖夫のこの「入門書」は、驚くべき本だった。 ヨーロッパ思想史を「ギリシア哲学」と「キリスト教」という二つの大河の交錯する流れでとらえながら、至る所に目を瞠るべき「深み」を用意して読者を引きづり込む牽引力は、生半可な本では味わえない。 とりわけ、最後にたどり着いたレヴィナスをめぐる章段は、目から鱗の、ことばどおりの納得でだった。 ゴチャゴチャとはブログに書いたので、できればそちらをお読みいただきたい。 https://plaza.rakuten.co.jp/simakumakun/diary/202002220000/
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昨年『論語』を読み終わったあと、次は西洋の思想の本を読もうと漠然と思ったものの、いざ最初の一冊を決めようとすると、なかなか何を読んでいいのかが、わからなくて。 とりあえず、母に何かおすすめあるかな? と聞いたところ、教えてくれたのがこちらの一冊です。 昨夏、途中まで読みかけて、現...
昨年『論語』を読み終わったあと、次は西洋の思想の本を読もうと漠然と思ったものの、いざ最初の一冊を決めようとすると、なかなか何を読んでいいのかが、わからなくて。 とりあえず、母に何かおすすめあるかな? と聞いたところ、教えてくれたのがこちらの一冊です。 昨夏、途中まで読みかけて、現実の慌ただしさにすっかり手が止まっていたのですが、今年に入ってようやく読むのを再開。 案の定、一度読んだ内容をすっかり忘れていたため(泣)、改めて、1ページ目から読み直しました。 本書は、古代ギリシア哲学を専門とする学者である著者による、ヨーロッパ思想の入門書です。 ヨーロッパの思想は、「ギリシアの思想」と「ヘブライの信仰」の二つを源とする、発展・反逆・変容であるとして、第1部では神話や悲劇などの引用を交えながらギリシアの思想の骨子が語られ、第2部では旧約聖書と新約聖書の解説がなされ、第3部では中世以降、アウグスティヌスからレヴィナスまでのヨーロッパ哲学のエッセンスが紹介されています。 よくよく考えてみると、「思想」に焦点をあててヨーロッパの歴史を辿ったのは、私はこれがはじめての経験で、それがとても新鮮でした。 「アリストテレス」とか、「カント」とか、名前はなんとなく覚えていていも、むかし高校生の時に読んだ世界史の教科書の認識のまま、てんでバラバラに頭の中にそれらが存在していたんですよね。 でも、ロックの社会思想も、ある日突然ロックの頭に生まれたわけではなくて、全部ソクラテスの時代から繋がっていて、様々な思想が歴史を動かして、その歴史から、また前の時代への反省や深化が生まれて、今にいたっているんだな、と。 その意味で、「思想」って、「思想史」でもあって、歴史と背中合わせだということがよくわかりました。 たとえて言うなら、長く続くアイドルグループが、先輩の曲を覚えつつ、新たに自分たちの曲を歌っている感じでしょうか。 私もまた、「人類」というグループのメンバーの一人で、やがては卒業(死)を迎えるけれど、メンバーだった時に歌った曲は、後世のメンバーが歌い継いでくれるのかしら。。。 引き継いでもらえるような、曲を歌っていたいなと思います。 冒頭の「この本で、筆者が意図したことは、ヨーロッパ思想の本質を語ることである。」という一文に象徴されるように、全体的に文章が非常に毅然としているのもこの本の大きな魅力です。 ヨーロッパ思想を学ぶ上で、羅針盤になってくれる本だと思います。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
Q、ヨーロッパ思想とは何か? →A、ギリシア思想とヘブライ信仰の、2つが土台となった哲学。 ※ギリシア思想 →人間の自由平等の自覚 →理性主義(世界を法則と理念の支配する秩序の世界として把握する) ※ヘブライ信仰 →宇宙のいかなるものも神ではない →人間のかけがえのなさ=愛を受ける者としての、神の似姿 →神(=愛)のかぎりない優しさ
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いや、この、「岩波ジュニア新書」には、ジュニア向けだからと侮れない良書があることは以前から指摘していますが、この本はその1つでした。 「ヨーロッパ思想は、本質的に、ギリシアの思想とヘブライの信仰という二つの基調音をめぐって展開される変奏曲である。」と喝破し、その両者を1部と2部で...
いや、この、「岩波ジュニア新書」には、ジュニア向けだからと侮れない良書があることは以前から指摘していますが、この本はその1つでした。 「ヨーロッパ思想は、本質的に、ギリシアの思想とヘブライの信仰という二つの基調音をめぐって展開される変奏曲である。」と喝破し、その両者を1部と2部で概観し、第3部では、「2000年に及ぶヨーロッパ哲学の絢爛たるシンフォニーから取り出された、この基調音の変奏のささやかな数節である」と言いながら、アウグスティヌス・中世のキリスト教哲学から始まり、デカルト、カントらいわゆる理性主義、ロックらの社会哲学、キルケゴール、ニーチェ、ハイデガーらの実存の哲学といった系譜とその思想を概観する。 ジュニア向けとはいえ、手抜きなし、レベルを落としていないところがすごい。(逆に言うと、これを読んで理解できるジュニアはすごい) ヨーロッパ思想史の歴史的骨格を概観するのに…おそらく…非常な良書。(但し、予備知識ゼロで本書の内容を理解するのは難しいかな?)
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1.この本を一言で表すと? ヨーロッパ哲学の大まかな流れや進化に焦点をあてて全体を把握できる本。 2.よかった点を3~5つ ・ヨーロッパ思想は二つの礎石の上に立っている。ギリシアの思想とヘブライの信仰である(はじめに) →はじめにを読めば本書のおおよその内容がわかるとても親切な...
1.この本を一言で表すと? ヨーロッパ哲学の大まかな流れや進化に焦点をあてて全体を把握できる本。 2.よかった点を3~5つ ・ヨーロッパ思想は二つの礎石の上に立っている。ギリシアの思想とヘブライの信仰である(はじめに) →はじめにを読めば本書のおおよその内容がわかるとても親切な内容。 ・キリスト教の解説 →十字架、愛と赦し、律法主義の否定、はわかりやすい説明だった 2.参考にならなかった所(つっこみ所) ・第3部はヨーロッパの哲学者を何人か紹介するというもので、あまり興味を持てなかった。 ・入門と言う割には前提として必要な知識が多すぎるような気がする。 ・キリスト教はよくわかったが、ユダヤ教がどういうものかよく分からなかった。 5.全体の感想・その他 ・ヨーロッパ思想が、「ギリシアの思想」と「ヘブライの信仰」という2つの土台から成り立っていることを冒頭に述べているので、本の導入としてはわかりやすかった。
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初学者向け!ちゃんとギリシャ神話〜ユダヤ教、キリスト教を経て、スコラ学についても触れられている。 ただ流れを書くのではなく、内容の説明もされているのが素晴らしい。しかもちゃんと理解が可能なように…トマスアクィナスやオッカムといった、ちょっと名前だけ知ってる人についてその思想もわか...
初学者向け!ちゃんとギリシャ神話〜ユダヤ教、キリスト教を経て、スコラ学についても触れられている。 ただ流れを書くのではなく、内容の説明もされているのが素晴らしい。しかもちゃんと理解が可能なように…トマスアクィナスやオッカムといった、ちょっと名前だけ知ってる人についてその思想もわかると、なぜその人たちが歴史上重要な人物として名が残ったのかがわかる。 その後の哲学についての話も面白かった。
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第1部 ギリシアの思想 第2部 ヘブライの信仰 第3部 ヨーロッパ哲学のあゆみ という構成で、ギリシア思想とユダヤ教・キリスト教をベースとしてヨーロッパ哲学がどのように発展してきたかを概観した本。 「入門」とはいうものの、聖書や哲学に関して多少の知識があったほうが読みやすいと思...
第1部 ギリシアの思想 第2部 ヘブライの信仰 第3部 ヨーロッパ哲学のあゆみ という構成で、ギリシア思想とユダヤ教・キリスト教をベースとしてヨーロッパ哲学がどのように発展してきたかを概観した本。 「入門」とはいうものの、聖書や哲学に関して多少の知識があったほうが読みやすいと思う。 特に哲学については、専門用語が説明無しにいきなり出てくることもあるので、私は調べながら読み進めた。 ギリシア神話や聖書における超常的な出来事(イエスの復活など)に対して、現代的・現実的な解釈をしている点が面白い。 全体的に断定調で書かれているためか、どこまでがその箇所で言及している人物の主張で、どこからが著者の解釈または見解なのかがわかりにくいところがあった。 全てを疑ったと言われるデカルトでさえ、「神の誠実」を拠り所にしていたことを知った。 ヨーロッパ哲学がキリスト教(とユダヤ教)の影響から逃れられないのだとしたら、それらの宗教的背景を持たない多くの日本人にとって、ヨーロッパ哲学を真に理解することは難しいのではないか…と思った。
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