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ヨーロッパ思想入門 の商品レビュー

3.9

63件のお客様レビュー

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2022/08/29

▼ 印象に残った箇所 ・「葡萄園の労働者」(『マタイ』20:1-16)を受けて:  "ヨーロッパの正義論の大原則を立てたのは、アリストテレスの配分的正義という思想であるが、それによれば、各人にその人の価値に応じて与えることが正義であって、すべての人にその人の価値にかか...

▼ 印象に残った箇所 ・「葡萄園の労働者」(『マタイ』20:1-16)を受けて:  "ヨーロッパの正義論の大原則を立てたのは、アリストテレスの配分的正義という思想であるが、それによれば、各人にその人の価値に応じて与えることが正義であって、すべての人にその人の価値にかかわりなく無差別に同じものを与えるのはむしろ不正である。[...]  [...] この世の秩序は、優れた者が多くの報いを受け、劣ったものがわずかの報いで満足するという原理で成り立っている。[...] この原理は、アリストテレスが「善とはアレテー(卓越性)の活動である」と規定した思想の現実的形態であり、人類に普遍的な思想であると言ってよいだろう。  さて、イエスは、この配分的正義を否定したのである。世界の秩序の根底を支えている「価値に応じて」という正義の観念を否定したのである。なぜなら、彼は能力主義を否定するからである。天の国では、能力のある者も、能力のない者も、功績のある者も、功績のない者も、一人一人が「神の似姿」であるというのは、そういう意味である。"(130-131頁)

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2022/07/06

ヨーロッパ思想は本質を追い求める理想主義的な古代ギリシア思想とユダヤ教並びにキリスト教の教えをベースに形作られている。

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2022/01/25

はじめにの冒頭に「ヨーロッパ思想は二つの礎石の上に立っている。ギリシアの思想とヘブライの信仰である。」とあります。全体像を初級者にもわかりやすく概観させてくれる貴重なガイドブックになっていると思います。岩波ジュニア新書恐るべし。

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2023/01/29

ヨーロッパの思想の礎石である「ギリシアの思想」及び「ヘブライの信仰」と、そこから発展した諸思想・哲学の歴史について解説した一冊。 それぞれの思想や哲学の〝本質〟について筆者は嚙み砕いて説明していて、個人的には中学・高校時の教科書よりもわかりやすかった。特に第1部2章「ホメロス」...

ヨーロッパの思想の礎石である「ギリシアの思想」及び「ヘブライの信仰」と、そこから発展した諸思想・哲学の歴史について解説した一冊。 それぞれの思想や哲学の〝本質〟について筆者は嚙み砕いて説明していて、個人的には中学・高校時の教科書よりもわかりやすかった。特に第1部2章「ホメロス」と3章「ギリシア悲劇」がおもしろく、実際に該当の作品を読んでみたくなった。 無論、この一冊が唯一無二の正解ではないだろうが、入門書としてはかなりレベルが高いのではないだろうか?

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2021/11/29

ヨーロッパの哲学や文学に興味がある人に是非手に取っていただきたい一冊です。ヨーロッパ思想の根底にはギリシアの思想とヘブライの信仰があり、両者の相互作用のなかからさまざまな思想の流れが生まれてきたことが分かります。

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2021/10/25

「ジュニア」対象ではないほど、難しい。 記述がギリシア・ヘブライに厚く寄っているが、全体として簡潔にヨーロッパ系の哲学を概観できる。

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2021/09/24

岩波ジュニア新書 学生時代に勉強せず、中高年から読書に目覚めた 私としては体系が学べる有り難い本 岩田靖夫 「 ヨーロッパ思想入門 」 ヨーロッパ思想全体を一望できる。ギリシア思想、ヘブライ信仰に始まり、西洋哲学につながる思想体系が うまく まとまっている 個々の思想の特性を...

岩波ジュニア新書 学生時代に勉強せず、中高年から読書に目覚めた 私としては体系が学べる有り難い本 岩田靖夫 「 ヨーロッパ思想入門 」 ヨーロッパ思想全体を一望できる。ギリシア思想、ヘブライ信仰に始まり、西洋哲学につながる思想体系が うまく まとまっている 個々の思想の特性を体系の中で 繋げながら読むと 理解度が深まる。西洋哲学の存在論に何の意義があるのか疑問だったが、だいぶ 誤解がなくなった エピクロスやストア派も含めた ギリシア思想体系や ロールズの正義論は もう少し 詳しい本を 読んでみたい ヨーロッパ思想の基礎=ギリシア思想+ヘブライ信仰 *ギリシア思想=人間の自由と平等の自覚、理性主義〜法則や秩序を見透そうとする姿勢 *ヘブライ信仰=神が天地万物の創造主、自己の似姿として人間を創造、神のかぎりない優しさ ギリシアの理性主義=コスモス=宇宙=配列、秩序 *宇宙を支配しているのは混沌とした偶然でなく 法則である *文学=本質の追求 *造形=理想的な美を追求→個人の個体的特徴に注目しない *神=人間の理想化 ソクラテス *人間の生=善く生きる、正しく生きる→復讐禁止 プラトン「哲学者が支配するか、支配者が哲学するか、いずれかでなければ、国に災いが止むことはない」 旧約聖書 *アブラハム〜安らぎの故郷を捨てよという神の命令 *イサクの奉献〜一切、神から与えられたもの、私のものはない *モーセがシナイ山で十戒を授かる→イスラエル民族の成立 新約聖書 *能力は偶然に与えられたもの〜私のものでなく社会の共有財産 *自分を捨てる=助けを求める、弱さそのものとして生きる〜そのとき 人は人に触れる *愛する=他者に仕えるため自分を捨てる→無力さの極限に 十字架がある→イエスが示した神の意味 ロールズの正義論 *人間の自由と平等の自覚は 歴史を動かす原動力 *異なる民族、宗教、文化の共存を可能にする原理は 寛容。寛容とは 自分と異質のものを承認すること *正義論の原理=自由の原理と配分の原理 *平等=人が自由であることにおいて等しいということ

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2021/09/16

・デモクリトスによれば、「幸福も不幸も魂に属する」。では、どのような魂の状態が幸福かといえば、「人間にとって最善とは、できるだけ上機嫌で、できるだけ不機嫌であることなく、人生を送ることである」。この上機嫌という概念がデモクリトス倫理の中心概念なのであるが、それは快楽でありながら、...

・デモクリトスによれば、「幸福も不幸も魂に属する」。では、どのような魂の状態が幸福かといえば、「人間にとって最善とは、できるだけ上機嫌で、できるだけ不機嫌であることなく、人生を送ることである」。この上機嫌という概念がデモクリトス倫理の中心概念なのであるが、それは快楽でありながら、口腹の快のようなはげしい快楽ではなく、静かで上品な快楽である。 ・人間の魂は、理性、気概、欲望の三部分から成っている。理性のはたらきは、知恵をもって魂全体のために配慮し、他の部分に命令を発することである。気概のはたらきは、理性の命令に聴従し、その補助者となって欲望の放縦と戦うことである。欲望のはたらきは、理性の与える指令の下に食欲や性欲を満たし、もって生存の維持を担うことである。 ・愛とは自分の好きな人に親切にすることではない、と告げている。そういうことなら、罪人でもやっている、とイエスは言っている。そうではなくて、偶然に出会った苦しんでいる人に、つまり、かかわり合いになったら厄介を背負いこむかもしれないと思われるような人に、近づいていって一緒に苦しみを背負うこと、それが愛であると告げている。 ・異なる民族、異なる習俗、異なる宗教、異なる文化は、それぞれ自己に固有の善の観念あるいは価値の観念をもっている。それを他者に強制的に押しつけて他者を自分に同化しようと試みることによっては、平和な世界が実現されるはずがない。

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2021/02/13

岩波ジュニア新書ではあるが、無知な私にとっては十分読み応えがあり学ばせてもらった。著者も冒頭に書いているが、ヨーロッパ思想の本質を語るという目的であり、概説しつつも重要なポイントは確実におさえている印象だった。巻末で紹介される読書案内をもとに、更に知りたいという欲求が湧いてくる一...

岩波ジュニア新書ではあるが、無知な私にとっては十分読み応えがあり学ばせてもらった。著者も冒頭に書いているが、ヨーロッパ思想の本質を語るという目的であり、概説しつつも重要なポイントは確実におさえている印象だった。巻末で紹介される読書案内をもとに、更に知りたいという欲求が湧いてくる一冊だった。

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2020/08/22

ヨーロッパ思想はギリシャの思想とヘブライ信仰の2つの礎石の上に立っているという筆者の認識をもとにギリシャ思想とヘブライ信仰(旧・新約聖書)を主要な説明に充て、その後、数々の哲学者の考え方を説明するという構成となっている。近現代の哲学者が2つ考え方に影響を受けているのが、よくわかっ...

ヨーロッパ思想はギリシャの思想とヘブライ信仰の2つの礎石の上に立っているという筆者の認識をもとにギリシャ思想とヘブライ信仰(旧・新約聖書)を主要な説明に充て、その後、数々の哲学者の考え方を説明するという構成となっている。近現代の哲学者が2つ考え方に影響を受けているのが、よくわかった。ただ、筆者の主観的な見解が全面に出ているので、各時代の説学者の思想を体系的に説明することを想定していたので、戸惑いはあった。

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