ヨーロッパ思想入門 の商品レビュー
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・中世ヨーロッパのスコラ学がキリスト教神学とアリストテレス哲学の結合だということはよく言われているが、著者はここでもう一歩踏み込んで、今日に至るまでのヨーロッパ思想の源泉がギリシアの思想とヘブライの信仰にあることを明らかにしたうえで、両者の結合ないしは反発を通じてヨーロッパの哲学...
・中世ヨーロッパのスコラ学がキリスト教神学とアリストテレス哲学の結合だということはよく言われているが、著者はここでもう一歩踏み込んで、今日に至るまでのヨーロッパ思想の源泉がギリシアの思想とヘブライの信仰にあることを明らかにしたうえで、両者の結合ないしは反発を通じてヨーロッパの哲学が発展していく道のりを描く。それは魔術からの解放の歩みとも言えるだろう。 ・とりわけギリシアの思想を論じた第一部と、ヘブライの信仰を論じた第二部の出来が素晴らしい。これらと比べたとき、アウグスティヌスからレヴィナスまでのヨーロッパ哲学を100ページ弱の中に詰め込んだ第三部は欲が張りすぎたせいか散漫な印象で、前二部とうまく接続されているとも言いがたい。 ・ロールズがヨーロッパ哲学として紹介されていることに疑問を感じたが、「彼は、基本的にアリストテレスの能力主義を前提としながら、しかし、能力は各人に理由もなく偶然(contingent)に与えられたものだから、『私』のものでなく『社会の共有財産』であると考えて、有能な者の稼ぎ出した富を社会的弱者のために費消するような社会を構想するのである」(p.132)という一文を読んで疑問が氷解。もしかするとロールズの政治哲学こそがヨーロッパ思想の(すなわちギリシアの思想とヘブライの信仰との結合の)最も正統な継承者なのかもしれない。
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全3部構成の第1部のギリシア思想と第2部のヘブライの信仰までは、丁寧な記述で理解できるが、第3部のヨーロッパ哲学の歩みは、記述が短く良く理解できない箇所が多い。短い記述でカントやハイデガーを理解させるのは無理なので、雰囲気だけ掴んどいてという事か。しかし、大昔の倫理の教科書には出...
全3部構成の第1部のギリシア思想と第2部のヘブライの信仰までは、丁寧な記述で理解できるが、第3部のヨーロッパ哲学の歩みは、記述が短く良く理解できない箇所が多い。短い記述でカントやハイデガーを理解させるのは無理なので、雰囲気だけ掴んどいてという事か。しかし、大昔の倫理の教科書には出ていなかったが、ロールズとレヴィナスは、21世紀の世界を考える上で非常に興味深い。
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3部構成になっている。 第1部ギリシア。欧州に与える影響。思想の根本はここにありという気がする。芸術、哲学、神話、そして後世への影響、そしてラテン語。 第2部ヘブライ。宗教(の発生)の歴史。旧約聖書の背景。新訳はイエスの物語。キリスト教の発生から、次へひきつがれる。 第3部ヨーロ...
3部構成になっている。 第1部ギリシア。欧州に与える影響。思想の根本はここにありという気がする。芸術、哲学、神話、そして後世への影響、そしてラテン語。 第2部ヘブライ。宗教(の発生)の歴史。旧約聖書の背景。新訳はイエスの物語。キリスト教の発生から、次へひきつがれる。 第3部ヨーロッパ哲学。=神話ととも受け取れる。そうそうたる哲学者(神学者)の系列。時代の流れと感想は、大筋理解できるが、どうしてこの人(哲学者)が取り上げられているのか?良く分らず。思想の解説は丁寧にされていると思うのだが、現代の哲学的な思想に至るまでも、キリスト教という宗教は切り離せない!ということなのだろう。
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社会の哲学としてロック、ロールズ、実存の哲学ではキルケゴール、カント、ハイデガー、レヴィナスを取り上げているが、これまで読んだ解説の中で一番分かりやすい解説だった。特にロールズとハイデガーは謂わんとすることがようやく理解できた。 本書は3部構成で、第3部でヨーロッパ哲学そのも...
社会の哲学としてロック、ロールズ、実存の哲学ではキルケゴール、カント、ハイデガー、レヴィナスを取り上げているが、これまで読んだ解説の中で一番分かりやすい解説だった。特にロールズとハイデガーは謂わんとすることがようやく理解できた。 本書は3部構成で、第3部でヨーロッパ哲学そのものを扱い、はじめの二部でヨーロッパ哲学の土台となった「ギリシア思想」と「ヘブライ信仰」を扱っている。「ギリシア思想」と「ヘブライ信仰」でページ数の半分以上を割いているので遠回りしている感じは否めないが、この2つの考え方はヨーロッパ哲学に深く根ざしていることは第3部ですぐに明らかとなった。特にレヴィナスの哲学は「ヘブライ信仰」での問いかけに対する回答となっていて、「ヘブライ信仰」がどういうものであるかが分からなければ理解できない。「ギリシア思想」と「ヘブライ信仰」の二つの考え方を知らなければヨーロッパ哲学が理解できないことを身を持って知ることができた。
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デカルト、カント、ハイデガーらが説く多彩な哲学はすべて二つの土台の上に立つ。それはギリシアの思想とヘブライの信仰である。本書は、二つの源泉の本質は何かを、文学や美術、「聖書」などから探り、さらに近現代の哲学の深部にどう入りこんでいるかを分析。ヨーロッパ思想の核心がクリアーに見えて...
デカルト、カント、ハイデガーらが説く多彩な哲学はすべて二つの土台の上に立つ。それはギリシアの思想とヘブライの信仰である。本書は、二つの源泉の本質は何かを、文学や美術、「聖書」などから探り、さらに近現代の哲学の深部にどう入りこんでいるかを分析。ヨーロッパ思想の核心がクリアーに見えてくる。
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デカルトの生涯 「人間は、実人生において自分に重大な関わりのあることについて推論するときには、判断を誤ればたちまちその結果によって罰を受けるので、文字の学問をする学者が書斎で巡らす空疎な思弁よりも遥かに多くの真理を発見できるだろう。」 書物に対して充分時間を費やした人間が、世界...
デカルトの生涯 「人間は、実人生において自分に重大な関わりのあることについて推論するときには、判断を誤ればたちまちその結果によって罰を受けるので、文字の学問をする学者が書斎で巡らす空疎な思弁よりも遥かに多くの真理を発見できるだろう。」 書物に対して充分時間を費やした人間が、世界に社会に飛び出す動機としては最高にカッコいい。 ただ全体としては ヨーロッパ思想"入門"と銘打っておきながらこんなに大正義に偏ってていいのか? 知識不足の自分にも、「ヨーロッパはギリシア思想から続く人間の平等が支柱。人類への最高の贈り物」 なんて言ってしまうのはあからさまな説明不足としか思えない。 入門書なんだし安心して読めるようにある程度全体的な光の当て方というものに気を使ってほしかったな。
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「はじめに」にあった「ヨーロッパ思想の礎石はギリシアの思想とヘブライの信仰である」という部分が面白そうだったから購入。 言葉通りにギリシア思想とヘブライの信仰を軸に展開されていくのだけれど、いささかギリシア思想への傾倒とキリスト教への身びいきが強すぎる印象は拭いきれない。 とはい...
「はじめに」にあった「ヨーロッパ思想の礎石はギリシアの思想とヘブライの信仰である」という部分が面白そうだったから購入。 言葉通りにギリシア思想とヘブライの信仰を軸に展開されていくのだけれど、いささかギリシア思想への傾倒とキリスト教への身びいきが強すぎる印象は拭いきれない。 とはいえ「思想入門」であって「思想史入門」では無いのだから、著者の主張が主題になるのは仕方のない事なのかもしれない。その辺りの線引きをきちんとしながら読めればとても面白い本だと思う。 特に近代哲学への流れのさっぱりとした紹介がわかりやすくて良かった。ようやく哲学史の流れをぼんやりと掴む事が出来た気がします。
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哲学の入門と聞いて読んだのだが、基礎となるギリシアの思想、ヘブライの信仰からヨーロッパ哲学という三部の流れになっていて過程、つながりがわかりやすい。多少高校で学んだ世界史と倫理で耳にした国名、人物名を思い出していた。読書案内にある「プラトン『国家』」「アウグスティヌス『告白』」「...
哲学の入門と聞いて読んだのだが、基礎となるギリシアの思想、ヘブライの信仰からヨーロッパ哲学という三部の流れになっていて過程、つながりがわかりやすい。多少高校で学んだ世界史と倫理で耳にした国名、人物名を思い出していた。読書案内にある「プラトン『国家』」「アウグスティヌス『告白』」「デカルト『方法叙説』」「ハイデガー『存在と時間』」「レヴィナス『倫理と無限』」ここらへんを読んでみようと思う。
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この本の特筆すべき点は筆者が勇気をもってその答えはこうだ、と言い切っているところです。しかしながら、その説明に入れば丁寧な具体例が展開されるため読みごこちがとても良い。特にソクラテスの説明に非常に感動させられた。
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