武士道 の商品レビュー
「義」とは人間としての正しい道、つまり「正義」を指すものであり、武士道でのもっとも厳格な徳目。 「義」は体に例えるなら骨。骨がなければ首も正しく胴体の上につかず、手も足も動かない。つまり、才能や学問があったとしても義の精神がなければ武士ではない。 お金などは二の次。打算や損得...
「義」とは人間としての正しい道、つまり「正義」を指すものであり、武士道でのもっとも厳格な徳目。 「義」は体に例えるなら骨。骨がなければ首も正しく胴体の上につかず、手も足も動かない。つまり、才能や学問があったとしても義の精神がなければ武士ではない。 お金などは二の次。打算や損得から離れ、自分が正しいと信じる道を貫く事が武士の正しい姿。 「勇」とは義を貫く為の勇気。正しい事を実行する事。 匹夫の勇ではなく大勇を学ぶ。 「本当の勇気とは、生きるべき時に生き、死ぬべき時に死ぬ事。」水戸光圀 他者への思いやりを忘れぬ「仁」の精神は、人の上に立つ者の必須徳目。 「武士の情け」には「仁」の精神が内在する。 仁の力を疑う者は、薪についた大火を茶碗一杯の水で消せなかったからと言って水で火は消せないと思うようなもの。 欧州ではキリスト教が他者への憐れみの心に貢献したが、日本では音楽や書に対するたしなみがそれをなした。 敗れた者を慈しみ、傲れる者を挫き、平和の道を立つる事。 高潔で厳格な「義」「勇」を男性的な徳とするならば、「仁」は女性的な優しさ、母のような徳。 「義に過ぐれば固くなる。仁に過ぐれば弱くなる。」伊達政宗 「仁」の精神を育て、他者の気持ちを尊重する事から生まれる謙虚さが「礼」の根源である。 「礼」とは他者に対する優しさを型として表したもの。 礼儀作法は様々な流派があるが、心で肉体をコントロールし、心を磨くという点において目的の本質は一つ。 礼の作法も気持ちがこもってなければ型をなぞっただけのワザとらしいものになる。 アメリカ人は贈り物そのものに心を向けているのに対し、日本人は送る気持ちの方に心を向けている。相手を思う気持ちは同じ。 「誠」とは文字どおり言った事を成す事。 真実性と誠意が武士の行動規範そのもの。 「名誉」とは自分に恥じない高潔な生き方を貫く事。「何の為に生きるか」に帰着する。 「名誉」の観念は外聞や面目などの言葉で表されるが、裏を返せば全て「恥」を知る事。 「恥」は道徳意識の基本であり、武士道における「名誉」とは人としての美学を追求する為の基本の徳。 「忠義」とは強制ではなく、自発的なもの。武士たちはあくまで己の正義に値するものに対して忠義を誓った。 武士道において、個人、家族、組織、国家の利害は一体のもの。
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「日本人マジ未開民族(笑)」 ってバカにしてた西洋人に、英語で物申した本。 スゴイのは、西洋人が理解しやすいようにあちらの偉人や、キリスト教の例を引用しまくってる点。 さすがです。舌を巻きました。 日本人の精神は、西洋と比べても一級品。ただし、20世紀でどうなるかは分からんと結...
「日本人マジ未開民族(笑)」 ってバカにしてた西洋人に、英語で物申した本。 スゴイのは、西洋人が理解しやすいようにあちらの偉人や、キリスト教の例を引用しまくってる点。 さすがです。舌を巻きました。 日本人の精神は、西洋と比べても一級品。ただし、20世紀でどうなるかは分からんと結ばれています。 愛国心かきたてられる1冊。 立派な人間にならねば。
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武士道はその表徴たる桜花と同じく、日本の土地に固有の花である。 内容的には、綺麗に整理されており、順々に体系的に説明されている。西洋社会が自分のみを正しいとし、日本を文化も宗教もないと判じることに堂々と反論を唱える一冊である。切腹するが、無駄死をよしとせず。入浴の習慣はあるが貞...
武士道はその表徴たる桜花と同じく、日本の土地に固有の花である。 内容的には、綺麗に整理されており、順々に体系的に説明されている。西洋社会が自分のみを正しいとし、日本を文化も宗教もないと判じることに堂々と反論を唱える一冊である。切腹するが、無駄死をよしとせず。入浴の習慣はあるが貞操が武士の夫人の徳であり懐剣を持ち歩くなど、いちいち誤解を招きがちな点を言明してくれている。しかし、期待したほどに、武士のかっこよさは伝わらなかったのが少し残念である。 私の家は、上級士族の家系である。 この本の項目に「武士の教育」という項目と克己という項目があり、「金銭を卑しいものとする」と「感情を表情に出すことは男らしくない」といった内容があるが、まさに大正元年生まれの祖母がそう躾られたと聞いていたので、我が家系ながら少し驚いた。 また、彼は1862年の江戸時代末期の生まれで、8歳の時に廃藩置県、13歳の時に廃刀令が出たことに注目したい。なぜかというと、途中にある婦人の教育と地位の項目においては歯切れが悪い。お茶くみを嫌に思い前職を辞した私の様な現代に生きる女子が読むと若干腹立たしい内容である。 私は江戸時代が最も武士の妻の地位が下げられた時代だと思っているので、その影響下に生を受けたためだと思う。 最後の武士道の今後を論じる章は、少し寂しい。5千円札からはなぜか消えてしまったが、彼が本著を記したことで、武士道が消えなかった功績は大きいと思う。 なお、武士道については、桜のごとく体系としては散ってしまっても香りは残るであろうとしめくくってある。 観念的でやはり難しい点も多く、いずれまた読み直してみたいと思う一冊であった。なお、外人による緒言は読む気が失せる読みにくさで、読まないことを勧める。また五輪書と違い、「the soul of japan」の英語の原文タイトルも素晴らしい。
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何気なく使う言葉や行動、感覚に武士道の流れがあるのだと驚いた。 武士道の良い所を取り入れて、理想の自分に近づきたいと感じた。
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「代表的日本人」「茶の本」と読んできて、3番目のこの「武士道」が一番納得がいきました。明治時代に諸外国に向けて日本のあり方を説明するというテーマは、そのまま現代にも通じる、深い洞察があります。この本は繰り返し読んだ方がよさそうです。その都度発見があるような気がします。さすが500...
「代表的日本人」「茶の本」と読んできて、3番目のこの「武士道」が一番納得がいきました。明治時代に諸外国に向けて日本のあり方を説明するというテーマは、そのまま現代にも通じる、深い洞察があります。この本は繰り返し読んだ方がよさそうです。その都度発見があるような気がします。さすが5000円札のお方、と改めて敬服いたしました。
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日本人が感覚的に理解している、道徳の礎。 その文体は穏やかなるも、力説と知るだろう。 自分に足りないものの確認のため、何年かに一度読む本。
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1938年に第1刷が刊行されて以来、2012年には第99刷が発行されるなど、多く読まれてきた日本人の手引書。
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五千円札の人の啓蒙書。最初、海外向けに「日本人とはこういう人種です」と説明するための本だったそうな。それを和訳して国内でも出版したもの。そんな背景があったせいか英文直訳調のため、読みづらかったです。漢文候文混じりの格調高い文体は良いが、まわりくどい表現が多すぎるのには非常に閉口し...
五千円札の人の啓蒙書。最初、海外向けに「日本人とはこういう人種です」と説明するための本だったそうな。それを和訳して国内でも出版したもの。そんな背景があったせいか英文直訳調のため、読みづらかったです。漢文候文混じりの格調高い文体は良いが、まわりくどい表現が多すぎるのには非常に閉口した。 個人的な好みでいうと、あまり好きではなかった。精神論が主流で理性に欠けているように感じる。(私が理系だからそう感じるのかもしれないけど)、だいたい新渡戸さんて武士道はこうです!!と非常に美しく滔々と述べ立てているけど、彼、武士じゃないでしょ。 思うに、明治期のそこそこ学識ある文人て、武士道大和魂を美化しすぎてる傾向があるよね。(もちろん理性的な目を向けていた人もいるが。)と、批判的に書いてしまったが、やっぱり名著と言われるだけのことはあるな、と思ったのは、 近代化され個人主義・利己主義が世間に浸透つつあるなかで、 「武士道の将来とは?」と日本人の精神の未来像に筆を及ばせていた点でした。 私個人の考えですが、自由主義や個人の幸福を追求する権利と、武士道は互いに並立できない(難しい)と思う。しかしながら武士道こそ日本人の優れた倫理であり社会の規範であり、武士道が失われることに対する危機感は新渡戸先生同様、私にもあります。 今後この社会のなかで武士道がどのように、新時代にフィットしていくのか。 大いに期待するところです。
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外国人にとっては日本人の行動基準を知るいい本になるだろう。 また、自分を含め、日本人にとっても自分の日本人としての価値観や行動基準の源泉を確認するためのガイドラインとなるだろう。ただ、現代の日本人にとってはその精神をまだ自身の内に感じることができるのだろうか。自分は確かにその残...
外国人にとっては日本人の行動基準を知るいい本になるだろう。 また、自分を含め、日本人にとっても自分の日本人としての価値観や行動基準の源泉を確認するためのガイドラインとなるだろう。ただ、現代の日本人にとってはその精神をまだ自身の内に感じることができるのだろうか。自分は確かにその残滓がまだあることを実感するし、周囲の人たちを見ても確かにある。盲目的に伝統や古の教えを受け入れることは危険も伴うが、この武士道という精神は時代に応じて姿を変化させながらも、そのコアの部分は守る価値のあるものだと思う。
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