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依頼人は死んだ の商品レビュー

3.7

117件のお客様レビュー

  1. 5つ

    14

  2. 4つ

    49

  3. 3つ

    36

  4. 2つ

    3

  5. 1つ

    2

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2019/03/13
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

葉村晶シリーズ、第二弾? 葉村単独では1冊目。 とても緻密な文章がみっちり詰まっているので読み応えあり、うっかりしていると騙されます。 少し変っていると思うのは、いわゆる“犯人探し”ではなく、謎を解いても事件は解決しないし、警察も喜ばないし、刑も軽くならないし、しかも誰もあんまり幸せにならないというか(!) 白黒はっきり決着をつけないと気が済まない、という、葉村晶の、言ってみれば執念に引き摺られるようにして、どんどん読み進んでしまうのだ。 しかも、最後ちょっとホラーでさえある。 ええっ、そこで終わる?! 次も読むしかない。 感心せずにはいられないセリフも多々あるが、個人的に反すうせずにいられなかったのが、長谷川所長の、 『奴隷は自由がないかわり、食うには困らない 乞食は自由だが、飢えて死ぬこともある』 という言葉。 人に雇用されるしかない人間の、正社員かフリーターか、という選択のことかと思ったら、王様から乞食まで、幅広い…というかすべての人間に当てはまることだと気づいた。 このように、何気なくぶち込んでくる文章が、別のことも語っているので全く読み落とせないのだった。 『冬の物語/濃紺の悪魔』 有名な実業家・松島詩織の身辺警護の依頼を受けるが… キリがない。 『春の物語/詩人の死』 友人・相場みのりの夫になるはずだった、詩人・西村孝が自殺したのは、自分の母親が何か言ったからではないか? みのりはそう思っている。 『夏の物語/たぶん、暑かったから』 晶1歳の頃隣に住んでいたというオバさんから、娘の起こした事件に関して、世間にあれこれやり玉に挙げられていて可哀想だから、これで何とかしてくれと30万渡される。 もう片付いた事件だし、どうしろと? 『秋の物語/鉄格子の女』 「レポートの宿題なんか自分でやれよっ!!」と思ったけれど、題材の、若くして自殺した挿絵画家の、画風の劇的な変化に興味をひかれて… 『ふたたび冬の物語/アヴェ・マリア』 男は探偵である。 クリスマスイブに、本当は何があったのか調べてほしいと、女に依頼される。 『ふたたび春の物語/依頼人は死んだ』 ちょっとした個人的な相談。 もっと真剣に請け負えばよかったという悔い。 比較的王道の犯人探し。 『ふたたび夏の物語/女探偵の夏休み』 二回読んで、やっと分かった、時間のからくり。 読者を騙そうとしたのね?そうなのね? 『ふたたび秋の物語/私の調査に手加減はない』 みのりの母の紹介だからお金はもらえないって…そんなのばっか。 昔の友人が夢枕に立つのだが… (占い師に頼めばいいのに) ほじくり返しちゃいけないところを自分で掘ってしまったんだ。 『三度目の冬の物語/都合のいい地獄』 これは… 終わったつもりが終わっていなかったのだ。 自殺の理由は、本人にしか分からない。 いや、本人にも分からない。 人間は、自分のことだって分かっちゃいない。

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2018/09/11

やっぱり葉村晶はいい! 人によっては「中途半端な終わり方」だとか「読後感が悪い 」という意見もあると思うけど、慣れるとそれが癖になる。元々そういう話は好きじゃないはずなのに、葉村晶が持つ不思議な魅力のおかげか。さっぱりしつつ他人に無関心で容赦ないように見えるのに、その実とても人...

やっぱり葉村晶はいい! 人によっては「中途半端な終わり方」だとか「読後感が悪い 」という意見もあると思うけど、慣れるとそれが癖になる。元々そういう話は好きじゃないはずなのに、葉村晶が持つ不思議な魅力のおかげか。さっぱりしつつ他人に無関心で容赦ないように見えるのに、その実とても人間くさいのがいい。 特に、書き下ろしの最後の話は緊迫した展開と揺れ動く晶さんの心理にどきどきした。彼女の人生がどんなふうに続いていくのか、次巻を読むのが楽しみ。

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2018/08/21
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

フリーの女探偵葉村晶の30歳前の頃の連作短編。 彼女の信念を端的に表すと、短編のタイトルにもなっている「わたしの調査に手加減はない」になると思う。 仕事に対して冷静でタフ、泣き言も言わず、とにかく筋を通したがる。 終った事件も納得いかないと勝手にほじくり返す始末。 相変わらず周りで起こる妙な事件や依頼人に対して誠実に取り組む彼女。 表面的にあまり出ないが、友達の為に泣き、悔しがり、思いやる…といった優しい感情も今回よく出て来て、彼女の人間味溢れる魅力も分かって良かった。 また若竹さんに葉村の続きの物語を描いてほしい。

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2018/05/09

念願の詩集を出版し順風満帆だった婚約者の突然の自殺に苦しむ相場みのり。健診を受けていないのに送られてきたガンの通知に当惑する佐藤まどか。決して手加減をしない女探偵・葉村晶に持つこまれる様々な事件の真相は、少し切なく、少しこわい。構成の妙、トリッキーなエンディングが鮮やかな連作短篇...

念願の詩集を出版し順風満帆だった婚約者の突然の自殺に苦しむ相場みのり。健診を受けていないのに送られてきたガンの通知に当惑する佐藤まどか。決して手加減をしない女探偵・葉村晶に持つこまれる様々な事件の真相は、少し切なく、少しこわい。構成の妙、トリッキーなエンディングが鮮やかな連作短篇集。

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2018/04/25

媚びず、泥臭く、徹底的に、真相を求める。 「白黒つけなきゃ気がすまない病」の女探偵。 やっぱり、こりゃ、カッコいい!

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2018/04/24

若竹七海さんの短編集 葉村晶が登場する1作目とは異なり、全編で葉村晶が主人公となっている。 1作目から思っていたけど、世にも奇妙な物語的なものを感じる。不思議な感じがする内容も多く、楽しく読めました。 また、今回の1話目で葉村晶が29歳。最新の静かな炎天では40代。主人公が年齢を...

若竹七海さんの短編集 葉村晶が登場する1作目とは異なり、全編で葉村晶が主人公となっている。 1作目から思っていたけど、世にも奇妙な物語的なものを感じる。不思議な感じがする内容も多く、楽しく読めました。 また、今回の1話目で葉村晶が29歳。最新の静かな炎天では40代。主人公が年齢を重ねていく形になっているけど、どこまで行くのだろうか?

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2018/01/26

短編なのになかなかすっと読めずもやもや 後味の悪さが~・・・・・と思って私だけか?って調べたらやっぱりコレいやミスなんですね~ どうもね・・・合わないわけだわ でも、表紙は見た事ある人多いと思う。 いつもランキングも入ってるし・・・シリーズ化してるみたいだけどこれから面白くなるか...

短編なのになかなかすっと読めずもやもや 後味の悪さが~・・・・・と思って私だけか?って調べたらやっぱりコレいやミスなんですね~ どうもね・・・合わないわけだわ でも、表紙は見た事ある人多いと思う。 いつもランキングも入ってるし・・・シリーズ化してるみたいだけどこれから面白くなるかもだけど、 もう読まないかな~・・・・?

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2017/10/04
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

女性探偵葉村晶シリーズ第2作。連作短編集。前作で、実の姉に殺されかけたことが結構トラウマになって、晶の性格にさらに影を落としている。相変わらずどのエピソードも苦くて、やっぱりハードボイルド。さらに、いくつかのお話にまたがって、謎の男が登場。伝説の探偵だったといううわさもあるが、次の作品にも出るのかな。

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2017/08/19

初読みの作家。この続編となる『悪いうさぎ』のあまりにキュートなカバー絵に一目惚れして購入した後に葉村晶シリーズなるものを知り、慌てて本書を入手したもの。中盤の表題作より前の5話には正直なところ面白味をあまり感じなかったが、終盤にいくに従い作品に惹かれていった。自殺がらみの事件が多...

初読みの作家。この続編となる『悪いうさぎ』のあまりにキュートなカバー絵に一目惚れして購入した後に葉村晶シリーズなるものを知り、慌てて本書を入手したもの。中盤の表題作より前の5話には正直なところ面白味をあまり感じなかったが、終盤にいくに従い作品に惹かれていった。自殺がらみの事件が多すぎるな~と思っていたら、「濃紺の悪魔」に登場する青あざの男がしっかり伏線になっていたのだ。

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2017/04/09

ハードボイルドな探偵というとおじさんが主役というイメージだけど、これは女性が主人公。ニヒルにはなりきれないけれど熱血漢でもない彼女のキャラクターがいい。 短編集なので最後でガラッと世界が変わるような鮮やかな手法が心地いいけれど、後味がよくないいわゆるイヤミスなので好みが分かれるか...

ハードボイルドな探偵というとおじさんが主役というイメージだけど、これは女性が主人公。ニヒルにはなりきれないけれど熱血漢でもない彼女のキャラクターがいい。 短編集なので最後でガラッと世界が変わるような鮮やかな手法が心地いいけれど、後味がよくないいわゆるイヤミスなので好みが分かれるかも。ラストの作品は特に評価が難しいと思うけれど、私はそれほどオカルト過ぎるとも思わないし、オカルトであっても別に気にしない(オカルトテイストのミステリーなんて珍しくないし)ので楽しめた。

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