ガリヴァー旅行紀 の商品レビュー
アニメPSYCHO-PASSで、槙島聖護の台詞に引用されていたので、興味を持ち、読んでみた。また、絵本のガリヴァー旅行記とどのように違うのかも気になり、この本を手に取ってみた。 最初、とても分厚かったので、萎えたが、折角だから読んでみようと思い、挑戦した。文体がダラダラといちいち...
アニメPSYCHO-PASSで、槙島聖護の台詞に引用されていたので、興味を持ち、読んでみた。また、絵本のガリヴァー旅行記とどのように違うのかも気になり、この本を手に取ってみた。 最初、とても分厚かったので、萎えたが、折角だから読んでみようと思い、挑戦した。文体がダラダラといちいち長い印象を受けたが、言いたいこと(皮肉など)ははっきりと述べるところが面白かった。また、ガリヴァー旅行記といえば、小人の国という印象だったが、それは第1篇だけで、その後に、小人の国とは反対の、巨人の国や、「『天空の城ラピュタ』は、ここから来ているのか」という発見があったラピュータや、PSYCHO-PASSで出てきたバルニバービ、最後にはなんと馬の国であったのには驚いた。 全体的に、皮肉がとてもきいていて面白かった。風刺しているところがかなりあり、注釈もその度に読んだが、イギリス議会政治や、王、貴族のことは、あまり知らなかったので、「もう少し知っていれば・・・」と思った。ただ、ガリヴァー旅行記の凄いところは、最初はイギリスの批判であったが、そこから、人間存在そのものに対する呪詛へと、フウイヌム国渡航記で行き着き、確かに納得してしまった。人間の愚かさをここまで見事に書いているのはすごいと思った。ガリヴァーのユートピアであるフウイヌム国は素晴らしいと思ったが、イギリスに戻ったガリヴァーが、妻子の汚臭に耐えられず、飼っている馬の匂いに安らぎを求めていることや、妻子と再会したときに、憎悪と嫌悪と軽悔の念だけがこみ上げてきたと言っているのには、病気のようなものを感じた。 解説を読み、スウィフトに関する色々な情報を知ることができた。スウィフトがメニエール症候群であったのには驚いた。だが、一番驚いたのが、スウィフトは、いくら人間を憎み、人間に怒り、エホバからの自由を求めていたにしても、結局は、それは人間を愛したい、エホバのもとに帰りたいという感情の裏返しの表れではないかと解説で述べられていたことである。これには、なるほど、と深くうなづいた。
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こんな話やったなんて全く知らんかった。 小人の国と巨人の国を楽しく読んでたら、途中で政治の話ばっかりになって心が折れそうになった。 このまま政治の話ばっかりかと思ったけど、最後の馬の国で人間の愚かな部分を無くして生きようとしてて面白かった。 でもヤフーへの扱いが酷くて複雑な気持ち…。 人間は愚かな所があるけど、でもそれがあるから深みが出るし、面白いところなんやろうなぁと思った。 何回読んでも楽しめる本やと思った。
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スウィフトらしい皮肉たっぷりの作品。 色んな冒険をしながら人の愚かさを伝えてくる。 皮肉が好きな人におすすめ。
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この旅の物語がこれほど怒りに満ちた物語だったとは。。 子どもの頃に誰もが読んだ小人の国、巨人の国の話は、それぞれ原作の第一篇と第二篇の抜粋に過ぎない。原作は、これでもかというくらい、風刺と皮肉のてんこ盛り。そして、第三編の空中に浮かぶ島国を経て、怒りの頂点は、馬が支配する国を描い...
この旅の物語がこれほど怒りに満ちた物語だったとは。。 子どもの頃に誰もが読んだ小人の国、巨人の国の話は、それぞれ原作の第一篇と第二篇の抜粋に過ぎない。原作は、これでもかというくらい、風刺と皮肉のてんこ盛り。そして、第三編の空中に浮かぶ島国を経て、怒りの頂点は、馬が支配する国を描いた第四篇にやって来る。馬が、獣人 (=人の形をしたけだもの)を家畜同然に扱うという設定からして、奇異な気配を感じるが、さらにこの馬が極めて理性的であり、馬の国では統治らしい統治が不要であるということに至って、これはもう人間否定・人間嫌い以外の何ものでもないことが分かる。なぜ、政治が必要なのか、なぜ法律が必要なのか、なぜ戦争が起きるのか。こうした馬の質問に答えることで、人間の愚かさが浮かび上がり、その愚かさへの怒りに満ちてくる。第四篇を読むに至って、第三篇までは怒りの序章にすぎなかったことに気づく。 尚、ガリヴァーはこの旅行記の中で日本に立ち寄っていること、空中に浮かぶ島が「ラピュータ」という名であること、そして、獣人が「ヤフー」という呼ばれることは特記しておこう。
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この本、というか旅行記を読んでいて自然と思い浮かんだ言葉は"相対"です。主人公ガリヴァーは今までどんな旅行家も訪れたことがないであろう国々に辿り着き、これまた誰もが体験したことがないであろう奇妙な経験をする。 主にリリパット国、ブラブディンナグ国、空飛ぶ島ラピュータ、フウイヌム国の5つの国が印象に残りました。ガリヴァーはこれらの国々で当時のイギリスでは(もちろん今も)ありえないようなことを見聞きする。リリパット国では小人に出会い、ブラブディンナグ国では巨人に出会うという真逆の体験をする。空飛ぶ島ラピュータでは数学と音楽が当時のイギリスと比べ物にならないくらい発達しており、しかしお偉い方は常に瞑想状態で会話もままならないという有様。フウイヌム国では馬が最も理性的な生き物であり人間を飼いならしている、いわば人間と馬が逆転したような世界が広がっていた。こうした超刺激的な世界を前にしてガリヴァーには様々の疑問や考え、尽きぬほどの好奇心が湧き上がっていた。 彼がこれら各国で見聞した事物を詳細に叙述したものは現代の私たちの興味を引くには十分で、また、それに彼なりの色々な思いが述べられている本書は、私たちに人間の立ち位置を考え直させてくれるものです。人生のうちで一度は読んでおきたい、読んでおいて良かったと思わせてくれる1冊でした。
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小さい頃に読んだ絵本だが、覚えているのは小人に縛られて解放された後に、嵐の中で難破しそうな船を助けて感謝されるというもの。大きくなったらガリバーみたいになりたいと思っていたが、原作を読むと結末は全く異なる。ガリバーは小人の国だけでなく、巨人の国、科学者(宇宙人?)の国、馬の国にも...
小さい頃に読んだ絵本だが、覚えているのは小人に縛られて解放された後に、嵐の中で難破しそうな船を助けて感謝されるというもの。大きくなったらガリバーみたいになりたいと思っていたが、原作を読むと結末は全く異なる。ガリバーは小人の国だけでなく、巨人の国、科学者(宇宙人?)の国、馬の国にも流れ着いていて、その国の王や神官、政治家のような人たちと交わす会話には、人間の国に対する鋭い批判や自己嫌悪に満ちている。別の国の彼らから見て、人間はなぜ戦争を起こし、飽食と飢餓、嫉妬、差別、詐欺、殺人、浮気、子殺しなどを行うのかという指摘に答えに窮するところは、単なる絵本の原作にとどまらない書と感じた。
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ガリヴァー旅行記といえば、小人の国・巨人の国がまず思い浮かぶところだけれど、それは前半の約1/2に過ぎない。 ガリヴァーはさらに空飛ぶ島ラピュータや、馬が知性をもつフウイヌム国をも訪れる。 人間というものは素晴らしい生き物である反面、愚かな部分も大いに持ち合わせていることが、フウ...
ガリヴァー旅行記といえば、小人の国・巨人の国がまず思い浮かぶところだけれど、それは前半の約1/2に過ぎない。 ガリヴァーはさらに空飛ぶ島ラピュータや、馬が知性をもつフウイヌム国をも訪れる。 人間というものは素晴らしい生き物である反面、愚かな部分も大いに持ち合わせていることが、フウイヌム国に行けば誰もが痛感させられるに違いない。スウィフトの人間世界への嫌悪感が、存分に描かれている。 フウイヌム国渡航記は、この作品の神髄であるといってもいいと思う。
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PSYCHO-PASSで槇島が引き合いに出していたから気になって読んでみた。絵本で楽しく読んだ子どもが、大人になってから全部を読んだらあまりの違いに驚くのではないだろうか…。 あとがきでスウィフトがデフォーのロビンソン・クルーソーに触発されてこの本を書き上げたというのが興味深い情報だった。
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上司に勧められて軽い気持ちで読んでみたが、子供の時に読んだガリバー旅行記とのギャップにびっくり。童話というよりは哲学を語っている本。これを読むと人間が如何に愚かで傲慢であるかを感じてしまう。。。
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単なるおとぎ話ではなく、当時の自国(イギリス)や、人間一般への風刺が込められている。特に、一番最後の章。 江戸時代の日本もちらっと出てきて、やはり踏絵は問題のようだ。
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