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文庫版 塗仏の宴 宴の支度 の商品レビュー

4.1

185件のお客様レビュー

  1. 5つ

    52

  2. 4つ

    85

  3. 3つ

    38

  4. 2つ

    1

  5. 1つ

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2020/03/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ついに一冊で収まらなくなりましたね… 京極堂シリーズは楽しみたいのでなるべく事前情報を入れないようにしてる。 この「宴の支度」と「宴の始末」があるのは知ってたけど、こんなあからさまな前後編だとは思ってなくて、珍しい、短編集なんだ、くらいな軽い気持ちで読み始めてしまった。 実際、短編集のフリをした長編だった。 一言で言うと、関口が虐められまくる一冊。 驚かされっぱなしで、何も解決しない一冊(笑)。 各短編には妖怪の名前が付いていて、話の中でその妖怪に関する民俗学的考察が披露されるので、これまで以上に民俗学寄りの作品だと思った。 二話目で、『狂骨の夢』の朱美さんが出てきてびっくりした。 シリーズ過去作品の登場人物があとあと出てくるのは京極夏彦の常套手段なのに、未だにびっくりする。 さらに織作茜まで出てきて尚びっくり! でもやっぱり頭いいし、これは準レギュラーくらいに定着しそうだ…と思ってた矢先に殺されちゃって、ホントびっくり!! 中禅寺と木場修の一対一の絡みは新鮮。 京極堂、徹頭徹尾丁寧語で話してる…。 詳しすぎる説明に、中禅寺やっぱり親切だなぁと思った。 消えた村、薬売り、修身会、佐伯家、予言者…。各短編には、ほかの短編のエピソードを匂わせるところが散りばめられていて、ああ繋がるんだなあ…と予感させる。 これは再読しよう…と思ったのに、読み終わったら続きが気になっちゃってすぐ『宴の始末』を手に取ってしまった。(多分シリーズ中最も再読されない一冊だ) つまり、掴みとしては申し分ない作品に仕上がってる。 あとの感想は、後編を読み終わってから得られるだろう。 戦前にはあったはずの伊豆のある村が、キレイさっぱり無かったことになってる、って話が関口にもたらされ、幻の村にフィールドワークに出掛ける関口。旧家佐伯家らしき家を確認するも、中で見たものは大量の遺体と、生きている肉塊…。 しかし次の記憶は、裸体の人形(実は死体)が吊るされた現場を見る自分だった。 逮捕され、サディスティックな刑事に事情聴取され、関口の精神は崩壊する。 果たして溶け出した関口の実体は残るのか。(←違う)

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2019/09/20

満を持してという感じで百鬼夜行シリーズ最長の作品にチャレンジ。話自体が上下に分かれている上に、一冊の長さはこれまでのシリーズとほぼ同じということで、めちゃくちゃ長い・・・。とりあえず前半である、宴の支度はなんとか読了。 これまでの百鬼夜行シリーズの総決算という感じで、これまでの...

満を持してという感じで百鬼夜行シリーズ最長の作品にチャレンジ。話自体が上下に分かれている上に、一冊の長さはこれまでのシリーズとほぼ同じということで、めちゃくちゃ長い・・・。とりあえず前半である、宴の支度はなんとか読了。 これまでの百鬼夜行シリーズの総決算という感じで、これまでの作品に出て来たキャラクターが登場してくるのが本作。数年間どころか、最初の作品からは10年以上たっているわけで、Wikipediaがないと登場人物に関する知識が全くないのと同じ状態になってしまっている。全作品を読んでいるはずなのに、これはかなり悲しい。 また、これといった事件は起きずに「不可解な事」が積み重なっていくだけなのに、やたらと登場人物が増えてくるのも、途切れ途切れに読まざるを得ない人間には辛いものがある。 この壮大にとっちらかった話が、宴の始末でどのように収束していくのか、楽しみだ。

Posted byブクログ

2019/09/12

 『姑獲鳥の夏』からどんどん厚くなって、この『塗仏の宴』に至ってついに1巻本にできず「宴の支度」「宴の始末」の2巻となった。以後、だいたい『絡新婦の理』と同じくらいの厚さなのは反省したのだな。  前半の「宴の支度」は短編の連続の形態を取っていて、おぼろげに事件の大きさ、不可解さが...

 『姑獲鳥の夏』からどんどん厚くなって、この『塗仏の宴』に至ってついに1巻本にできず「宴の支度」「宴の始末」の2巻となった。以後、だいたい『絡新婦の理』と同じくらいの厚さなのは反省したのだな。  前半の「宴の支度」は短編の連続の形態を取っていて、おぼろげに事件の大きさ、不可解さがみえてくるという仕組み。  まず「ぬぺっぽう」。私、関口巽は昭和12年頃にはあったはずの伊豆の韮山の「へびと村」の取材に行く。そこには万病に効く薬となる「くんほう様」というのっぺらぼう、つまりぬぺっぽうのような生きた肉の塊があるという。へびと村は最初からそんな村はなかったかのように、別の住民が住んでいる。現場を訪ねた関口は「世の中に不思議でないものなどない」と言う謎の郷土史家・堂島静軒に出会ったあと、そこで殺人事件の犯人にされて逮捕されてしまう。  「うわん」。『狂骨の夢』の朱美は事件後、焼津に引っ越している。朱美は自殺を図る村上兵吉という男を助ける。村上は熊野に生まれるが、昭和12年、家出して、数奇な人生を送るが、戦後、熊野に戻ってみると、実家はなくなっている。そして近隣の住人すべてが焼津に集落ごと移っているらしい証拠を得て、焼津に来たのだ。なぜか自殺を繰り返す村上。その村上を救いにやって来たという成仙道なる謎の宗教集団が、村上の自殺はみちの教え修身会の術によるのだという。そこに絡む怪しい薬売り・尾国誠一。  「ひょうすべ」。逮捕された関口の回想。京極堂のもとに古書店の同業者からもたらされた相談。元編集者の加藤麻美子の祖父がみちの教え修身会にはいってしまい、幼時、ふたりで「ひょうすべ」を見たという記憶が祖父から消されているという相談。京極堂が謎を解くが、暗躍するのは女性霊媒師・華仙姑乙女とその手下・尾国誠一……。  「わいら」。カルト集団・韓流気道会に追われる敦子、一緒に襲われるのは華仙姑乙女。どうやら彼女も被害者だ。そして榎木津が助けに乱入してくる。  「しょうけら」。木場刑事にもたらされる相談。24時間監視されているという女工。関わってくるのは健康カルト・長寿延命講と霊感少年・藍童子様。  「おとろし」。『絡新婦の理』の織作家の生き残りの登場。韮山の土地。不老不死の秘薬。郷土史家・堂島が登場し、彼女は何者かに殺されてしまう。それが関口の犯行とされる殺人事件である。  マインドコントロールとカルト集団、背後に仄見える不老不死。そして自我と意志いう問題圏。

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2019/08/30

 本書は上巻になる。1000P近くが提示編なので、この巻で話は進まない。  6つのエピソードあり、その中で起こる事件が複雑に絡み合っている。それは関口が行った戸人村が全ての始まりのように思う。いくつかの怪しい講習会や、東洋医学を使う先生や、未来予知ができる女性、警察に協力する予知...

 本書は上巻になる。1000P近くが提示編なので、この巻で話は進まない。  6つのエピソードあり、その中で起こる事件が複雑に絡み合っている。それは関口が行った戸人村が全ての始まりのように思う。いくつかの怪しい講習会や、東洋医学を使う先生や、未来予知ができる女性、警察に協力する予知が出来る少年。誰がどのようにつながっているのかは分からない。全ては下巻で明かされるのだろう。  ただ、それにしても長すぎる。話は全く進まなくて、不穏な空気と薄い関係性がわかるだけだ。早めに読まないと飽きる可能性もある。ただ読み終わった後には、すぐに下巻が見たくなっている。結局、著者の手の内か。

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2019/04/13

宴の支度は整いました――。京極堂、挑発される。 「知りたいですか」。郷土史家を名乗る男は囁く。「知り――たいです」。答えた男女は己を失い、昏(くら)き界(さかい)へと連れ去られた。非常時下、大量殺戮の果てに伊豆山中の集落が消えたとの奇怪な噂。敗戦後、簇出(そうしゅつ)した東洋風...

宴の支度は整いました――。京極堂、挑発される。 「知りたいですか」。郷土史家を名乗る男は囁く。「知り――たいです」。答えた男女は己を失い、昏(くら)き界(さかい)へと連れ去られた。非常時下、大量殺戮の果てに伊豆山中の集落が消えたとの奇怪な噂。敗戦後、簇出(そうしゅつ)した東洋風の胡乱(うろん)な集団6つ。15年を経て宴の支度は整い、京極堂を誘い出す計は成る。シリーズ第6弾。 帯から京極堂を誘いだすのはわかったが、なぜ15年なのか全くわからない。 ここまで来るとシリーズは全てを通して一つの物語を作るのだと理解できる。単行本はあくまで一編の話に過ぎないのではないだろうか。 とにかくわからないことだらけだ。

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2018/05/29

宴という壮大なゲーム、嫌がらせのはじまり。 それぞれで一作品書けそうな事件が、どこかでつながりながら同時多発する。 乙女の占いとか、知らないうちに勝手に自殺しちゃうとか、不思議な団体もたくさん出てきて、これまでの事件とは違い、全体が掴みづらい。 それに加え、これまでの...

宴という壮大なゲーム、嫌がらせのはじまり。 それぞれで一作品書けそうな事件が、どこかでつながりながら同時多発する。 乙女の占いとか、知らないうちに勝手に自殺しちゃうとか、不思議な団体もたくさん出てきて、これまでの事件とは違い、全体が掴みづらい。 それに加え、これまでの物語に出てきた人物も関係しており、何か因果を考えずにはいられない。絡新婦ですら、パズルのピースになってしまった。 それにしても、関口が可哀そう。。

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2018/04/14

長い。ひたすらに長いのだが、これが宴の「支度」なのだから驚き。 「ぬっぺっぽう」「うわん」「ひょうすべ」「わいら」「しょうけら」「おとろし」と、マイナーで名前を聞いても分からない妖怪を主題にした短編集のような感じ。 それぞれ微妙な繋がりは見て取れるのだが、次巻でどう始末をつけるの...

長い。ひたすらに長いのだが、これが宴の「支度」なのだから驚き。 「ぬっぺっぽう」「うわん」「ひょうすべ」「わいら」「しょうけら」「おとろし」と、マイナーで名前を聞いても分からない妖怪を主題にした短編集のような感じ。 それぞれ微妙な繋がりは見て取れるのだが、次巻でどう始末をつけるのか、そもそもどう繋がるのかすらも予想できない。 「始末」はこの本と同程度どころか、少し多いほどのボリューム。さてどうなるのか。 そういえば、上にあげた妖怪の中で「ひょうすべ」だけはなぜか聞いたことがあった。 「ああ、河童のことだっけ」とすぐに連想したのだけれど、どこで聞いたのかを思い出そうとしても靄がかかって思い出せない。 中途半端に知っているというのも気持ち悪いものだ。どこで聞いたんだろうなあ……。

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2018/04/01

6つの中編が独立しているようで縦横に交差して約1,000頁の長編を構築するという構造はプログレ。ケイブン社の怪獣大百科を想起させる分厚いビジュアルも購入意欲をそそる。日ごろマシュマロ女子やちょいぽちゃなんていってただのデブを甘やかすんじゃあねぇ!と怒り心頭のおれも本については18...

6つの中編が独立しているようで縦横に交差して約1,000頁の長編を構築するという構造はプログレ。ケイブン社の怪獣大百科を想起させる分厚いビジュアルも購入意欲をそそる。日ごろマシュマロ女子やちょいぽちゃなんていってただのデブを甘やかすんじゃあねぇ!と怒り心頭のおれも本については180度意見は変わる。#デブ歓迎!ただし本に限る。 CDボックスも20枚超えとか物欲を刺激して嬉しい限りではあるのだけれど、こちらのサイズはディヴァイン級なので置き場所に困るのが難点。 京極堂の薀蓄部分が難解で読み辛く忍耐が必要なのもプログレならでは。この苦行に耐えることで桃源郷への道が開かれるのかは妖怪のみぞ知る。 時節がらか権力や体制を揶揄する表現にハッとしたりニャリとさせられたり、書かれた時期を超越してシンクロすることに驚いた。

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2018/01/13

中伊豆にあった村が、村ごとなくなっちゃう。 帝国軍とか、その後のGHQとかも絡んでるっぽいし、中心にある佐伯家に何か秘密があったみたいなんだけど…。 ……って、感じでいろんな宗教団体とか不老不死の妙薬を探しに中国から日本へやって来た徐福さんを研究する会とかが絡んできました。 ...

中伊豆にあった村が、村ごとなくなっちゃう。 帝国軍とか、その後のGHQとかも絡んでるっぽいし、中心にある佐伯家に何か秘密があったみたいなんだけど…。 ……って、感じでいろんな宗教団体とか不老不死の妙薬を探しに中国から日本へやって来た徐福さんを研究する会とかが絡んできました。 らじも熊野に行ったときに立ち寄った新宮で徐福さん伝説がある場所をちょこちょこ歩いたことがあるから、なんとなく親近感♪ ただ、いろんな人が殺されちゃうのはねぇ…。 今回関口さんは容疑者として早々に警察屋さんに持って行かれちゃったから、それほど出てきませんでした。 人を心理的に操るとか、本当にどんな感じなんだろ。 自分で自分に呪をかけるってのは、らじも知らず知らずにやっちゃってることなんだけど…。

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2017/09/18
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 もう何度も何度も読みました。関口くんが大好きになるきっかけになった作品です。  読了したときの率直の感想は「疲れた・・・。」です。  とにかく疲れました。楽しかったですが、ぐったりです。 関口くんのことが心配でしたが、思ったよりいつも通りな感じがしました。細かな内容をかなり忘れていたので、面白かったです。  茜さん、殺されたのは哀れだとは思いました。でも、それでも、前作を読んでいたからどうしても嫌だなこの人、と思ってしまいました。  それにしても相変わらすこの作品の登場人物は魅力的な人ばかりです。十人十色という言葉のとおり、人の考え方はさまざまで、自分にとってなんでもないことが人にとっては違っていることがある。京極堂の話を聞くたびにそれを尊重することの大切さを認識します。

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