白い部屋で月の歌を の商品レビュー
2話目の話はとてもおもしろかったが、1話目がそこまで面白いと思えなかったので一応☆4つ。 2話目は世にも奇妙な物語に出てきそうな話で、どうなるか予想もつかない展開だった。 学会先に持っていき、移動時間で読んでいたが、いい暇つぶしにはなった。
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表題作『白い部屋…』は幻想的だが淫らで醜い世界観が絶妙なバランスで描かれている。心の清らかな主人公に感情移入するがラストのオチの弱さで多少興醒めはする。非現実的な話だが著者の読ませる上手さがあるので結果面白い作品だと思う。もう1編の『鉄柱(クロガネノミハシラ)』は完全に表題作を...
表題作『白い部屋…』は幻想的だが淫らで醜い世界観が絶妙なバランスで描かれている。心の清らかな主人公に感情移入するがラストのオチの弱さで多少興醒めはする。非現実的な話だが著者の読ませる上手さがあるので結果面白い作品だと思う。もう1編の『鉄柱(クロガネノミハシラ)』は完全に表題作を喰っている。どこか正しくどこか間違っていたり、賛成は出来ないけど理解は出来るという、欲深い人間の幸福論が醜くそして美しく描かれている。不幸は人を殺すが幸福もまた人を殺すもの。この作品は面白い。
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【104/10000】 「白い部屋で月の歌を」朱川湊人 第10回(2003年) 日本ホラー小説大賞 短編賞受賞作。 表題作(タイトルだけでかなり惹かれる)の他に、 「鉄柱」(クロガネノミハシラ)を収録。 荒俣宏、高橋克彦、林真理子の選評が載っている。 「白い部屋で月の...
【104/10000】 「白い部屋で月の歌を」朱川湊人 第10回(2003年) 日本ホラー小説大賞 短編賞受賞作。 表題作(タイトルだけでかなり惹かれる)の他に、 「鉄柱」(クロガネノミハシラ)を収録。 荒俣宏、高橋克彦、林真理子の選評が載っている。 「白い部屋で月の歌を」のオチは高橋克彦も評しているように平板に感じた。 「鉄柱」は、(おそらく誰でも)早いうちに結末が読めてしまう作りだが、その上で読ませる力があった。 町という閉じられた空間の中でだけ通用する常識。 「世にも奇妙な物語」でドラマ化できそう。
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朱川湊人を初期作品からおいかけて読んでみようと思い手に取った本。 表題作は角川ホラー大賞短編賞を受賞している作品。 うん、上手い。荒削りではあるものの(特に主人公の正体やそれが暴かれる描写あたりはかなりザツいと個人的感想)文章は美しくてやるせなくて、澄んでいるかと思えば淀み、血...
朱川湊人を初期作品からおいかけて読んでみようと思い手に取った本。 表題作は角川ホラー大賞短編賞を受賞している作品。 うん、上手い。荒削りではあるものの(特に主人公の正体やそれが暴かれる描写あたりはかなりザツいと個人的感想)文章は美しくてやるせなくて、澄んでいるかと思えば淀み、血の匂いがするかと思えば涙に変わり… 読ませ方が実にうまいのだけど、物語の展開が気になってドキドキとページを繰るような感覚とは違う。物語の世界にスワーッと沈み込んでいくような感覚。それこそ気がつけば白い部屋で月の啼き声を聞いていてもおかしくないような。 ラストの1文がちょっと作為的に悲しいが、それも味だと思わせる世界を構築しているのが良いねぇ。 併載のもう一作「鉄柱」は逆。文章の美しさはそれほど感じられず、むしろ物語の展開が気になってドキドキページをめくる系。これまた荒削りな部分があるものの(鉄柱掘るシーンなど)、テーマも深いし起承転結のエッジの効いてるし、表題作よりエンタメ性は圧倒的にこっち。俗ではあるがはしたなさが感じられなくて良い。 どちらも、もろ手をあげて「是非読んでぇ」とは言えないけど、最近作に至る朱川作品の根源がばっちり詰まっている良作、ホラー小説に怖さじゃなくて切なさ求めるなら、読んで損なし。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
【本の内容】 ジュンは霊能力者シシィのもとで除霊のアシスタントをしている。 仕事は霊魂を体内に受け入れること。 彼にとっては霊たちが自分の内側の白い部屋に入ってくるように見えているのだ。 ある日、殺傷沙汰のショックで生きながら霊魂が抜けてしまった少女・エリカを救うことに成功する。 だが、白い部屋でエリカと語ったジュンはその面影に恋をしてしまったのだった…。 斬新な設定を意外なラストまで導き、ヴィジョン豊かな美しい文体で読ませる新感覚ホラーの登場。 第十回日本ホラー小説大賞短編賞受賞作。 [ 目次 ] [ POP ] 二作とも愛をテーマにしたホラー小説である。 「白い部屋で月の歌を」は、霊能力者の助手が主人公。 地場から引き剥がした不安定な状態の霊をいったん体の中に入れ込むのが彼の仕事だ。 彼の中の霊を導き入れる場所を「白い部屋」と呼ぶ。 彼と霊能力者は、弟子と師匠以上の深い関係にある。 正直言って、こういったストーリーは好みではない。 非現実的な設定を否定するのではないが、胡散臭さが拭えない。 しかし、文章の美しさというか巧さはマイナス要素をカバーして余りある。 「鉄柱」は、左遷により奇妙な風習を持つ田舎町に引っ越して来た夫婦の話。 こういう内容は好きだ。逆に「白い部屋で月の歌を」で受けた文章の美しさは感じられない。 しかし、俗世の中の非現実的な部分がうまく描かれていると思う。 ラスト部分は意表をつき感動的でさえある。 なかなかの読後感が待っている。 [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]
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軽い気持ちで手に取った本でした。初めての朱川湊人で、ただ恐怖をかきたてるだけのものでなく流れるように美しく気味の悪さが流れ込んできて、こういうホラーもありなんだ、と心を動かされました。どちらもすごくよかったけれど、哀しさ、不気味さ、やりきれなさをより感じたクロガネノミハシラのほう...
軽い気持ちで手に取った本でした。初めての朱川湊人で、ただ恐怖をかきたてるだけのものでなく流れるように美しく気味の悪さが流れ込んできて、こういうホラーもありなんだ、と心を動かされました。どちらもすごくよかったけれど、哀しさ、不気味さ、やりきれなさをより感じたクロガネノミハシラのほうが表題作よりも印象に残っています。救われているのにどうしようもない救われなさを感じました。 しかし表題作が劣るわけでもなく、ラストのもの悲しさと衝撃は本当に美しいです。
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ホラー小説って書いてあったんですが 想像してたホラーとは少し違いました。 普段ホラーは見ないのですが、読みやすくて とてもすごかったです。 精神的に怖い感じ。 霊とか見えない(感じない)ので何とも思ってなかったんですけど、やっぱいるんだろうか って思っちゃいます。 もう1つ...
ホラー小説って書いてあったんですが 想像してたホラーとは少し違いました。 普段ホラーは見ないのですが、読みやすくて とてもすごかったです。 精神的に怖い感じ。 霊とか見えない(感じない)ので何とも思ってなかったんですけど、やっぱいるんだろうか って思っちゃいます。 もう1つ「鉄柱(クロガネノミハシラ)」というお話も恐ろしいです。 多分そうなっちゃうんだろうな・・と予感はあったんですが 私なら・・・この柱、絶対使わない。 どんなに後は落ちるだけだとしても。 ホラーが初めての私でも一気に読んでしまえるお話でした。
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ジュンは霊能力者シシィのもとで除霊のアシスタントをしている。仕事は霊魂を体内に受け入れること。彼にとっては霊たちが自分の内側の白い部屋に入ってくるように見えているのだ。ある日、殺傷沙汰のショックで生きながら霊魂が抜けてしまった少女・エリカを救うことに成功する。だが、白い部屋でエリ...
ジュンは霊能力者シシィのもとで除霊のアシスタントをしている。仕事は霊魂を体内に受け入れること。彼にとっては霊たちが自分の内側の白い部屋に入ってくるように見えているのだ。ある日、殺傷沙汰のショックで生きながら霊魂が抜けてしまった少女・エリカを救うことに成功する。だが、白い部屋でエリカと語ったジュンはその面影に恋をしてしまったのだった…。斬新な設定を意外なラストまで導き、ヴィジョン豊かな美しい文体で読ませる新感覚ホラーの登場。ラストは少しショックだった。。。
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第10回日本ホラー小説大賞短編賞受賞作。 表題作は憑坐(よりまし)の能力を有するジュンを描いた作品。 ラストシーンの物悲しさがとても印象的でした。 個人的には『鉄柱(クロガネノミハシラ)』の方が好みです。 満足死というものに対し独り善がりな醜いエゴを感じずにはいられませんでしたが...
第10回日本ホラー小説大賞短編賞受賞作。 表題作は憑坐(よりまし)の能力を有するジュンを描いた作品。 ラストシーンの物悲しさがとても印象的でした。 個人的には『鉄柱(クロガネノミハシラ)』の方が好みです。 満足死というものに対し独り善がりな醜いエゴを感じずにはいられませんでしたが、提起される死生観は非常に興味深かったです。 森鴎外の『高瀬舟』を想起させられますね。 住人達のどこか狂った感覚はある意味怖い。 倫理観を問われる作品だなという印象です。 自分勝手で甘過ぎる主人公には最後まで嫌悪感を拭うことが出来なかった。
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タイトルがすでに多くを物語ってる。いったい誰が主人公何だとひきこまれた。美しいながらもどろどろとした雰囲気が醸し出されていた。二つ目の短編、終わりに一緒になって絶望を感じた。
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