悪の読書術 の商品レビュー
現代作家を中心に、著者が吟味して批判する。本書の終わりにあるように、本を選んで読む、という一連の流れは、自分がありたい姿、また、人からどのように見られたいのか、ということに関わる。つまり、自己の形成、規矩を確立する、それくらい強固なものにするために、何が大事なのかを、考え抜い...
現代作家を中心に、著者が吟味して批判する。本書の終わりにあるように、本を選んで読む、という一連の流れは、自分がありたい姿、また、人からどのように見られたいのか、ということに関わる。つまり、自己の形成、規矩を確立する、それくらい強固なものにするために、何が大事なのかを、考え抜いていかねばならない。
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読書の世界は奥深い。人におすすめを聞かれた時に、自分の趣味や嗜好や人間性が見透かされてしまいそうで怖い。本を読むのに目的を持たせるなら、単純に小説の世界に自分を置いて疑似体験することで、そのスリルや感動を味わいたいということ以外に、自分の知らない世界中の知に触れて知識を増やしたい...
読書の世界は奥深い。人におすすめを聞かれた時に、自分の趣味や嗜好や人間性が見透かされてしまいそうで怖い。本を読むのに目的を持たせるなら、単純に小説の世界に自分を置いて疑似体験することで、そのスリルや感動を味わいたいということ以外に、自分の知らない世界中の知に触れて知識を増やしたいなど様々だと思う。知識を増やすこと自体で自身の満足に繋げたり、ビジネスシーンや飲み会など人と話す際に知識人として見られる事で、これもまた自分の満足感に繋げる事だと感じる。小説、歴史、新書、参考書、絵本、漫画などありとあらゆる書籍があるが、どんな本であっても「読む前の自分」「読んだ後の自分」は明らかに違う自分になれる。私は新書ばかりを読んで、誰と話しても話ができる事、そこに喜びを感じているタイプだ。 本書は文芸評論家かつ大学の文学部教授を兼ねる筆者が、世の中に大量に存在する文学を遠慮もなく評価していくものだ。書いた作品だけでなく、書いた本人を評価していくので、それなりに本人への配慮はあるだろうが、初めて筆者の書いた作品に触れる方は、余りの正直な意見に少し引き気味になるかもしれない。実はそこが一番筆者の作品の面白いところでもあるのだが。 また読む本によっては、その人がどの様な嗜好を持っているかは凡そ見抜くことができ、確かに電車の中で隣の女子高生が読んでいる本などは気になってしまう。 本書は多くの作家と作品を紹介しており、本書後半に記載される通り、読書のためのガイドの位置付けにもなる。ただし筆者の言う通り、捻くれた感じが文章からこれでもか、と言うぐらい伝わってくるので、最終的に誰のどの作品を読むかは、やはり本人次第という事になる。 因みに私も若い頃から、村上春樹や宮部みゆき、浅田次郎などを片っ端から読んでいたが、根が素直だったからか、深く読んでいなかったのか(後者に違いない)、どれを読んでも小説の中の登場人物の様にスリルやワクワクを味わうことが出来た。夏目や太宰も現代に無い異世界に飛び込んだかの様な気分に浸っていたのを思い出す。 まあ、所詮は読書の世界。自分の身近に感じられるものもあれば、遠い世界もあるが、結局は筆者の書いた文字を追う疑似体験でしか無い。疲れたら絵や写真の多い雑誌を読めば良いし、悩んだら新書を、そして時間があって暫く異世界に身を置ける時は小説と、シーンに応じた読み方、力の掛け方があるばずだ。 その様なライト層にハマるかどうかは読んでみないとわからない。ただ一つ間違いなさそうなのは、これまでに読んできた本を、本書を読んだ後にもう一度読む事で前回とは違った読み方ができる様になれそうである。何にも考えずに流し読みをしていた可哀想な本たち(勿論その作者も)をこれまでに無かった視点で読み直す事で、本当の価値に触れられるような気がしてならない。本書を読んだ後、寧ろ本書の狙いはそこにあるのではと勝手に思う自分がいる。
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ファッションとしての読書術。読書=内面性と捉えれば、読書に身体性を近づけて考えることもあまり不思議ではないかもしれない。
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2003年刊行。 読書は他人に見られるものであり、またその他人に見せるためになされるべきものだ、との観点から、幾許かの著作、幾人かの作家を論じたもの。 著者の「上から目線」「皮肉たっぷりな叙述」に耐えられる人は楽しめるのだろうが、私は違った。 そもそも本書で提起する著者の先述の発想自体、全くもって余計なお世話である。古本屋行き決定。
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女性向けの雑誌への連載を新書化 「民主と愛国」にデジャブ感 アッパーの白洲正子、須賀敦子 居酒屋、アルコール依存症を描く。分厚い本 何を読むか、というより どういう本を読んでいると、こういう人だと見られる みたいな指摘が多い ヴェルレーヌは醜男 「破戒」を書くために娘二人がほぼ餓死、島崎藤村 その後の円本大ブーム。 新書戦争の裏事情 映画と原作、少女漫画、知的虚栄心などなど いまひとつ脈絡が無い
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福田和也「悪の読書術」http://bookclub.kodansha.co.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=1496840 読んだ。須賀敦子と白洲正子と石井桃子の対比は面白い、それこそ社交の話題として。読後思い出したけど福田和也の悪シリーズはダメなんだっ...
福田和也「悪の読書術」http://bookclub.kodansha.co.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=1496840 読んだ。須賀敦子と白洲正子と石井桃子の対比は面白い、それこそ社交の話題として。読後思い出したけど福田和也の悪シリーズはダメなんだった。女性誌向けという時点でもう。山田詠美の評価はまとも、さすが(わたし何様?)
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著者が考える「読書」に対する姿勢を示した本。元は女性向け雑誌の連載だったようで、「こういう本を読んでいると、周りからはこういう風に見られますよ」という説明のような口調で書かれてます。 この本を軸にして読みたい本を探したりするのはちょっと難しいかな。ただ、ある作家を好きだということや、ある作家の本を外に持ち出して読む姿を見せることが、「読書を通じた社交」としてどのようなサインを出すのか、どのような意味合いを持ってしまうのか、という視点はなかなか面白かったです。作者の独断と偏見が炸裂してますが、そもそもそれを語るための本なので、そこについてツッコんだり反発したりというのは野暮でしょう。 個人的には、小説はあくまで娯楽なのでどんな作家の作品を読もうと勝手だとは思います。思いますが、確かに電車の中で京極夏彦を読み耽っている女性がいたら、ちょっと引くかもしれません(笑)できれば自宅で読んでほしい。
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評論家・福田和也の読書指南書。古臭い教養を説くのでもなく、現代に役立つ読書術でもなく、「社交」という場面で自己を演出することを通じて、自己を作り上げるための本の選び方を論じています。 若い女性が高村薫や宮部みゆきの本を抱えていると、「この人はプライヴェートが寂しいんじゃないか、...
評論家・福田和也の読書指南書。古臭い教養を説くのでもなく、現代に役立つ読書術でもなく、「社交」という場面で自己を演出することを通じて、自己を作り上げるための本の選び方を論じています。 若い女性が高村薫や宮部みゆきの本を抱えていると、「この人はプライヴェートが寂しいんじゃないか、と邪推されるおそれがある」という指摘がなされていたりして、おもしろく読めました。本の選び方を通じて、意識的に自己を演出し、本を読むことで、意識的に自己を作り上げていくという、「スノッブ」な立場からの読書術を、やや韜晦的な言葉で語っているのが、類所には見られない、本書の独自性だと思います。
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本を読む、本を選ぶというのは、自らの内面よ表明であると同時に、どのように自分自身を、その精神面を作っていくのか、という選択と戦略にも関わっている→本を読む目的を明確にする→社交的 塩野七生「男たちへ」文藝春秋 白洲正子
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あらゆる鑑賞行為にはスノビズムとナルシズムがつきまとう。はわかるんだが、場合によっては自意識過剰なイタイ人になる可能性もあり難しいところ。多少の虚栄心が向上心になる事も否定できないが。 要するに「ベストセラーや大衆作家を読んでるのは恥ずかしい事であり、公にするとバカにされますよ」...
あらゆる鑑賞行為にはスノビズムとナルシズムがつきまとう。はわかるんだが、場合によっては自意識過剰なイタイ人になる可能性もあり難しいところ。多少の虚栄心が向上心になる事も否定できないが。 要するに「ベストセラーや大衆作家を読んでるのは恥ずかしい事であり、公にするとバカにされますよ」って事なんだろうが、まあそんなの皆わかって読んでるんじゃないの?ホームレスは哲学書を読むの因果関係には納得。
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