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国家(上) の商品レビュー

4.2

58件のお客様レビュー

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2012/10/12

大学生のうちに基盤固めを!と思い手に取った『国家』 10代のうちに読んでおきたかったのでまあまず半分読了できたことに安堵です。 文章自体は思っていたほど硬くはなくて、けれども対話のひとつひとつを咀嚼しながら読むのはなかなか時間が掛かりました。 すぐ疲れてしまうし(笑) でも先人た...

大学生のうちに基盤固めを!と思い手に取った『国家』 10代のうちに読んでおきたかったのでまあまず半分読了できたことに安堵です。 文章自体は思っていたほど硬くはなくて、けれども対話のひとつひとつを咀嚼しながら読むのはなかなか時間が掛かりました。 すぐ疲れてしまうし(笑) でも先人たちの知恵を少しでも身につけていけたら、と思うので(下)巻も頑張ります。 ソクラテスの言う国家とは、みんながなにも持ってなくて、つまり全て国家の物、社会主義国家が理想とされているのかな、とおもってしまいますが、もっと勉強すればそうではないのかもしれません。 いかんせん無学のため、すべてを理解できた自信はさらさらありませんが、もっともっと勉強をしていく中で読み返したり、思い出したりしたい、自分にとって大事な一冊になりました。 正義とは何か、問い続けていきたいと思います。

Posted byブクログ

2011/11/05

 『国家』第一巻に登場するトラシュマコスは次のように言う。  「<正義>とは、強い者の利益にほかならぬ」    「もろもろの国家のなかには、僭主政治のおこなわれている国もあり、民主政治のおこなわれている国もあり、貴族政治のおこなわれている国もある」   「しかるに、その支配階級...

 『国家』第一巻に登場するトラシュマコスは次のように言う。  「<正義>とは、強い者の利益にほかならぬ」    「もろもろの国家のなかには、僭主政治のおこなわれている国もあり、民主政治のおこなわれている国もあり、貴族政治のおこなわれている国もある」   「しかるに、その支配階級というものは、それぞれ自分の利益に合わせて法律を制定する。(中略)そして、そういうふうに法律を制定したうえで、この、自分たちの利益になることこそ、被支配者たちにとって<正しいこと>なのだと宣言し、これを踏みはずした者を法律違反者、不正な犯罪人として懲罰する」   このトラシュマコスの立場は様々に解釈されてきた。ここでは大まかに以下の四類型に分類してみる。   第一は、『ゴルギアス』に登場するカリクレスと同様、「力は正義なり」という教義の信奉者であるとするもの。   第二は、シニシズムであるとするもの。   第三は、現実の政治に関する観察記述であるとするもの。   第四は、「反体制論者」とするもの。   第一、トラシュマコスは「力は正義である」と言っているのではなく、世にいう正義とは支配者集団の自己利益を隠ぺいする虚偽だと述べているのであり、カリクレスの立場とは異なる。カリクレスは権力を称揚するが、トラシュマコスは不正な人間ほど巨大な利益を我がものとする現実を告発しているのだ。   第二、トラシュマコスの言動に漲っているのは怒りや鬱屈感であり、シニシズムとは異質である。   第三、第二と同様の理由で、冷静かつ客観的な観察記述とは言い難い。   第四、この解釈がいちばん納得のできるものだが、現存の支配体制に替えて別種の体制を樹立しようとする立場ではない。   トラシュマコスの主張の核心部分は、支配する者と支配される者の差別は全ての政体を通底しているという点であると、私は思う。民主政体でさえ例外ではない。彼は支配と被支配という枠組み自体を否定しているのだ。これは無政府主義(アナーキズム)に近い考え方だと思う。      このような彼の主張の背景には真の正義への信仰がある(長尾龍一)。   真の正義は別にあり、それが偽の正義に蹂躙されていることにトラシュマコスの鬱屈の原因がある。そして彼にとって真の正義は、支配・被支配の差別がある限り、見出すことはできないものなのだ。  支配者たちもまた、自己の利益が何であるかについて、判断を誤ることがあるのではないか。自分にとって利益になると信じて行ったことが、逆に不利益をもたらすことが、あるのではないかと、ソクラテスは反問する。  トラシュマコスはソクラテスにこう答えるべきだったのではないか。   どのような政体にも失政はつきものだが、支配者は正義の名のもとに自己の利益を隠蔽するように、自己の失敗もまた隠蔽し、自己利益を擁護しようとするものなのだ。どちらの場合も、被支配者に降りかかるのは災厄であると。  追記(2011年11月5日)  哲学者の高橋哲哉は福島の原子力発電所の事故に関して、次のように語っている。 「ある者たちの利益が他の者たちの生活や生命、健康、日常、財産、希望などを犠牲にして生み出され維持される。犠牲にする者の利益は犠牲にされる者の犠牲なくしては生み出されないし、維持されない。この犠牲は通常は隠されているか、共同体にとっての尊い犠牲として正当化される」(佐高信『電力と国家』(集英社新書159頁~160頁)より)。  トラシュマコスもまた、こうした「犠牲のシステム」について述べているのだと、私は思う。これがどうして「強者の論理」だろうか。

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2017/09/17

ソクラテスとその他の知者達の問答によって国家のあり方を問いただす。 その答弁がとても新鮮で興味をそそられました。 万物の起源、世界とは、追い求めていたタレスから始まる哲学が、ソクラテス=プラトンによって大きく転換していく様がよく分かる。 少年愛好とか論点が理解不可能な部分は時代の...

ソクラテスとその他の知者達の問答によって国家のあり方を問いただす。 その答弁がとても新鮮で興味をそそられました。 万物の起源、世界とは、追い求めていたタレスから始まる哲学が、ソクラテス=プラトンによって大きく転換していく様がよく分かる。 少年愛好とか論点が理解不可能な部分は時代の背景で仕方が無いとして、国家と人の類似やその内容は面白い。 『ギュゲスの指輪』のグラウコンの問いは心を捉えました。 09/3/11

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2009/10/04

学生の頃に、夏期講習でこの本の講義を受講しました。 読んだ当時は、本書で展開されている理論がすべて理想論にすぎず、心を入れすぎると人生に悪影響をもたらすと思っていた。本書で展開されている理論、人間観、国家論なにもかもは誰もが思うことなのかもしれないが、それは所謂、官僚主義や共産...

学生の頃に、夏期講習でこの本の講義を受講しました。 読んだ当時は、本書で展開されている理論がすべて理想論にすぎず、心を入れすぎると人生に悪影響をもたらすと思っていた。本書で展開されている理論、人間観、国家論なにもかもは誰もが思うことなのかもしれないが、それは所謂、官僚主義や共産主義、そして全体主義といった危険な種が植え付けらているからだ。 それから10年程たち、いろいろな経験を重ねていく内に、この本に書かれていたことをよく思い出すようになった。というのも、現代のような資本主義社会では、ミラン・クンデラの言う「資本主義社会に含まれる残酷で愚劣なもののすべて、詐欺師や成り上がり者の卑俗さを」目の当たりにしてきたからだ。 本書で描かれる国家論は決して歓迎できるものではない。 それでも、そこに描かれる国家像の美徳に、どこか羨望感があるのも事実である。 本当に大切なことは、本書で書かれている内容と、現在の世界の中間にあると思う。 これは人生の必読書だと思います。

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2009/10/04

第五巻(五章?)あたりに述べられていることは、おそらくルソーの思想に多大な影響を与えているんだろう。読みながら、社会契約論に通じる個所をかなりみつけた。

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2009/10/04

この作品はすごい!!今から2300年以上前に書かれた作品なのに充分現代にも通用する作品!!今も昔も人間が考えていることはあまり変わっていないようです。

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2009/10/04

ソクラテス・・・ 有名なのは「無知の知」や「イデア論」だったとキオクしています。 紀元前に、 「こんな根源的な問いかけやってたんだなぁ・・」 と度肝をぬかれちゃいまいした。。 GWの最後にこの本を読んでいるのはなぜ? などと自分でも思うのですが、 うーむ、西洋の弁証法ってここ...

ソクラテス・・・ 有名なのは「無知の知」や「イデア論」だったとキオクしています。 紀元前に、 「こんな根源的な問いかけやってたんだなぁ・・」 と度肝をぬかれちゃいまいした。。 GWの最後にこの本を読んでいるのはなぜ? などと自分でも思うのですが、 うーむ、西洋の弁証法ってここらへんが起源なのかなぁ・・ などと妙に感心した次第です。。 ・・というか、この年までよまなくて不覚かも。。汗 哲学の入門に王道を好まれる方にはオススメだとおもいます♪

Posted byブクログ

2009/10/04

ソクラテスの説く「正義」をプラトンが対話篇という形でご紹介。「正義とは何か」という誰もが一度は考える話題に我らがソクラテスが答えてくれます。その過程で、個人の正義を知るより先に国家の正義とは何かを考えるとわかりやすいという方向に話は進み、やがてソクラテスが理想の国家を対話の中...

ソクラテスの説く「正義」をプラトンが対話篇という形でご紹介。「正義とは何か」という誰もが一度は考える話題に我らがソクラテスが答えてくれます。その過程で、個人の正義を知るより先に国家の正義とは何かを考えるとわかりやすいという方向に話は進み、やがてソクラテスが理想の国家を対話の中で作り上げていく。どのような教育が良いのか、国のトップである守護者のあるべき姿、制定すべき国の法…そして、この上巻の終わりでいよいよ、かの有名な「鉄人統治」の思想について語られ始める。すなわち、哲学者こそが国を統治すべきだと…。 この本の中でやたらと目につくのはソクラテスの問答法にやたらと噛み付くトラシュマコスらソクラテスの対話相手達。自分も問答法によって真理を追求していくというスタイルは、何処かで何かを見落としていても後戻りが困難だったり、「今まで話したことが確かなら〜だろう」みたいな形で真理に辿り着いたつもりになってしまうような…何と無く危うい感じがしてあまり好きじゃない。でも、対話相手たちは結局皆、ソクラテス・マジックによって納得して言っちゃうから不思議。何処までいっても現代人の感覚とはズレが生じてしまうのは仕方の無いことだけど…ちょっと残念。やっぱり自分にとっての「正義」は自分自身で決めなきゃ駄目って事かな。 でも、近代や現代に通じる思想・テーマ・問題提起なんかも数多く見られて興味深かった。守護者を絶対的な存在に掲げつつある場面で軍国主義とかそういうのを思い出したり、現代とは感覚のかなりズレた民主主義ちっくなものを見たり、グラウコンの話の中に功利主義を見たり、見方によってはジェンダーの問題と絡めて考えると面白そうな場面もあったり…と、面白い。

Posted byブクログ