国家(上) の商品レビュー
教養を身につけることで真善美の理解に近づくことができます。2500年前の叡智がその手助けとなってくれることでしょう。(姫本宣朗) 日本大学図書館生産工学部分館OPAC https://citlib.nihon-u.ac.jp/opac/opac_details/?reqCode...
教養を身につけることで真善美の理解に近づくことができます。2500年前の叡智がその手助けとなってくれることでしょう。(姫本宣朗) 日本大学図書館生産工学部分館OPAC https://citlib.nihon-u.ac.jp/opac/opac_details/?reqCode=fromlist&lang=0&amode=11&bibid=1000261494&opkey=B169881836384801&start=1&totalnum=504&listnum=0&place=&list_disp=20&list_sort=0&cmode=0&chk_st=0&check=00000000000000000000
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プラトンの本に対する書評などおこがましいので、書評ではなく純粋な読書感想を思いつくままに述べたいと思います。本書は1000年後も読み継がれている名著だと思います。 *日本語訳が読みやすいです。難しく、かつ微妙なニュアンスの表現をうまく日本語にされていて、本当に読みやすかったです...
プラトンの本に対する書評などおこがましいので、書評ではなく純粋な読書感想を思いつくままに述べたいと思います。本書は1000年後も読み継がれている名著だと思います。 *日本語訳が読みやすいです。難しく、かつ微妙なニュアンスの表現をうまく日本語にされていて、本当に読みやすかったです。また巻末の解説が極めて有用でした。あの解説がなかったら理解度はかなり低くなっていたと思います。 *本書は「国家」という題名ですが、まず正義とは何かという命題からはいります。そしてそれを深掘りする過程において、理想の国家像を描き始めるということですが、テーマはかなり広く感じられます。ただ読み終わって改めて思い返すと、すべてが関連していたのだなということがうっすらわかってくるという感じでしょうか。本書は全編通じて対話形式になっていて、私自身ソクラテスの言っていることがよくわからないな、と思う個所があると、ちょうど対話の相手が「よくわかりませんが」と受け答えをしてくれて、ソクラテスが具体的な事例で説明してくれる(例:動物に当てはめたり具体的な職業で説明したり)というケースが何度もありました。 *上巻の最後では美を事例に、美の実在(イデア)と美をまとっているものの違いを理解できるかどうかが哲学者(愛知者)とそうでないものの違いである、と指摘されていますが、美に限らずあらゆる場面において本質は何かを理解できる力がいかに重要であるか、改めて痛感しました。 *最近読み始めた禅の思想とはまっこうから対立している面もあります。たとえば本書では「同一のものが同時に静止しまた動いているということはありえない」と述べられていますが、禅の思想では「ありうる」となります(「禅と日本文化」鈴木大拙、などを参照のこと)。ただしそもそも対立していると感じること自体がプラトン的であり、禅の思想では対立していないとみなされるのかもしれません。いずれにせよ、どちらが正しいということではなく、比較するのはおもしろいと思います。
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哲学的名著の一つということで義務感から読んだが、個人的に読む価値はあまり感じられなかった。 現代からしたら真新しい知識があまりないという点は百歩譲って良いのだが、高く評価されているように思われるソクラテス式問答法についても、批判的思考によって事実を論理的に細かく積み上げていくのか...
哲学的名著の一つということで義務感から読んだが、個人的に読む価値はあまり感じられなかった。 現代からしたら真新しい知識があまりないという点は百歩譲って良いのだが、高く評価されているように思われるソクラテス式問答法についても、批判的思考によって事実を論理的に細かく積み上げていくのかと思いきや、当時のソクラテスの信念を極論によって暴力的に納得させているように思えるし、その結果誤った結論に辿り着いていることも数多くあると思う。何よりもソクラテスの言葉に対して批判的に答えようとする論者が出てこないのが、読み物としてもきつい。洗脳されてるような気分になり、抗おうとしても話は進んでいくので疲れてしまう。 トラシュマコスがイライラする気持ちがとてもよくわかり、トラシュマコス負けるな、という気持ちになっていた。 唯一、社会契約論的な考え方がこの時代にすでにあったのだということを知れたのが良かった。
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ソクラテスの口を借りてプラトンが正義、正しさとは何かを追求していく。一巻の弁論から圧倒的!正義とは徳であり知識であり、不正とは悪徳であり無知である、こうした当たり前と思える事だけれども見方を変えると反対にも思えることを、淡々と説き伏せていく姿は実に面白いし頭いいんだなーって思う。...
ソクラテスの口を借りてプラトンが正義、正しさとは何かを追求していく。一巻の弁論から圧倒的!正義とは徳であり知識であり、不正とは悪徳であり無知である、こうした当たり前と思える事だけれども見方を変えると反対にも思えることを、淡々と説き伏せていく姿は実に面白いし頭いいんだなーって思う。 細部ではなくもっと大きな単位で正義を考察すれば、細部と共通の事柄が見えるはずだという考え方は面白い。国家→個人の流れ。5巻最後のいわゆるイデアの思想、ほうほうなるほど。「あるもの」と「あらぬもの」に分けられる時、前者には知識が、後者には無知が対応する。けれどもここで思わく(ドクサ)という概念が入ってくる。例えば、美しい絵や音楽の作品自体を愛することは美を愛することではない。美という「あるもの」を認識せずにそれを有する対象のみを愛することを思わくと言う。これは「あるもの」と「あらぬもの」の中間に置かれる。二元論の間にグラデーションをつけて定量的に分けるイメージ。つまりは抽象的な概念というか本質的実質を理解することが知識となるということか。
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正義とは何かということをプラトンの哲学に基づいて書かれた本ではあるが、難解で消化しきれなかった。 トラシュマコスの言う「正義とは強い者の利益にほかならない」という見解も、現代を生きる自分が、現在の民主主義に照らし合わせれば、筋が通っているよにうにも思える。 下巻の読了後に総括して...
正義とは何かということをプラトンの哲学に基づいて書かれた本ではあるが、難解で消化しきれなかった。 トラシュマコスの言う「正義とは強い者の利益にほかならない」という見解も、現代を生きる自分が、現在の民主主義に照らし合わせれば、筋が通っているよにうにも思える。 下巻の読了後に総括してみたい。
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なぜ今まで読まなかったんだろう。 タイミングなのか。 とても分かりやすく書いてある。とはいえ、対話についていくことができるということで、それを「知った」とは言えないだろうけども。 この訳は現代的に思える(苦労しない日本語)けども、1979年が初版なんて、驚いた。
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すぐれた人間による統治(アリストクラティア)が理想。すぐれた人格的な素質と卓越した実践能力の持ち主(哲人)が、経験や感覚の堕落した世界から人々を真理へ導く。感覚の世界に生きる人々は洞窟の中で、灯に照らされて壁に映る影(偽の姿)を見ている。統治する者は、彼ら蒙昧な民を洞窟から連れ出...
すぐれた人間による統治(アリストクラティア)が理想。すぐれた人格的な素質と卓越した実践能力の持ち主(哲人)が、経験や感覚の堕落した世界から人々を真理へ導く。感覚の世界に生きる人々は洞窟の中で、灯に照らされて壁に映る影(偽の姿)を見ている。統治する者は、彼ら蒙昧な民を洞窟から連れ出し、まばゆい光、真の姿を教える。すぐれた人間による劣った人間の支配であり、強者による弱者の支配ではない。すぐれた男とすぐれた女を交配させ、生まれた子は公営の育児所で育て、すぐれた人間集団を維持する。▼統治する者は私有財産の保有を認められず、生きるのに必要な分だけ報酬が与えられ、民を幸せにするために奉仕する。▼民主政はダメ。平等で好きなように生きる自由が強調され、無秩序になる。民主政治は貧者による政治に陥る。貧者は目先の欲望に囚われ、理性的な判断はできない。ペロポネソス戦争で民主政アテネは王政スパルタに負けた。師匠ソクラテスを処刑したのも民主派の連中だ。プラトンPlato『国家』BC375 ※アテネ・スパルタがペルシアを撃退BC449。ペリクレスBC443。アテネがスパルタに敗北(ペロポネソス戦争)BC431。衆愚政治。民主派による裁判でソクラテス刑死BC399。プラトン国家BC375。プラトン死去BC347。 ソクラテスは、アテネの青年をそそのかして伝統的な信仰から離脱させたとして、「毒杯を自分で飲む」の刑に処されることに。友人クリトン「逃亡の準備したから逃げて。あなたは判決が間違っていると主張しているのに、なぜ刑罰を受けるのか」。ソクラテス「裁判は不正だけど、脱獄もまた不正。脱獄は善ではない。不正されても、不正の仕返しをしてはいけない。ただ生きることではなく、善く生きることが大切」。プラトンPlato『ソクラテスの弁明・クリトン』BC399 ポリス。人々は市民共同体として共通のルールの下で協力する一方で、名誉・名声を得る競争をしている。弁論術で他人を操作したいと望んでいる。しかし、私たちは名誉・名声よりも、魂に配慮すべき。魂は不死で、死後に審判を受ける。プラトンPlato『ゴルギアス』紀元前4世紀 ********** すべての人は徳への資質を備えているが、一部の人はとくに自然(環境)への適用に優れており、徳の獲得・精神の向上に熱心であり、より人間的に完成している。レオ・シュトラウスStrauss『自然権と歴史』1953 市民としての徳(節制・勇気・知恵・正義)を身に着けた人々による指導が理想。精神的に卓越した人々が指導することで、独裁や専制に対抗できる。レオ・シュトラウスStrauss『都市と人間』1964
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
対話の流れがはやすぎて時々迷子になった。 興味深かったのが、どんな人にも固有にもつ才能があり、それを見つけ出して国家のために役立てることの重要性を話していた。 知識という言葉はあくまでもカテゴリーという意味づけで〇〇の知識という使われ方をしていることを再確認した。
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個人の話から国家、そして下巻の宇宙にまで広がるスケールの大きさたるや。 壮大なものではありましたが、その国家がしっかりと個々の人間と対応していて、ある種の比喩になっているのが面白いです。 下巻まで通読することをお勧めしたいです。
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あまりに有名なので義務感から上巻だけ頑張って読んだが、知的刺激も新規性もなく極めて退屈であった。知識のない中高生が考える姿勢を学ぶために読む本としてはおすすめだが、現代を生きる成人が改めて読む必要は感じられなかった。もちろん歴史的背景から学問的価値の高さは述べるまでもないが、書籍...
あまりに有名なので義務感から上巻だけ頑張って読んだが、知的刺激も新規性もなく極めて退屈であった。知識のない中高生が考える姿勢を学ぶために読む本としてはおすすめだが、現代を生きる成人が改めて読む必要は感じられなかった。もちろん歴史的背景から学問的価値の高さは述べるまでもないが、書籍としての価値は教養書として名を連ねるほどのものではないかと。
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