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国家(上) の商品レビュー

4.2

58件のお客様レビュー

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なんとなく感覚的(美…

なんとなく感覚的(美術遺産の残り具合等で)紀元前には精神生活はなかったように感じてきたが、プラトンを読んで目からうろこが落ちる思いがした。まさに今の、現代人とまったく同じ悩みと精神(むしろより高い精神性)があるではないか。国家、が持つ、人間の剥き出しの部分の”飼いならし”、確かに...

なんとなく感覚的(美術遺産の残り具合等で)紀元前には精神生活はなかったように感じてきたが、プラトンを読んで目からうろこが落ちる思いがした。まさに今の、現代人とまったく同じ悩みと精神(むしろより高い精神性)があるではないか。国家、が持つ、人間の剥き出しの部分の”飼いならし”、確かにこれが今でも脈々とつながる人間社会のありかたである、と深い納得が得られた気がする。長々とすみません。

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プラトンの主作です。…

プラトンの主作です。題名こそ「国家」ですが、テーマは「正義とは何か?」です。正義の徳の実現には人間の魂の在り方だけでなく,国家そのものを原理的に問わねばならぬという考えに至り、国家論を論じます。有名な哲人統治が記載されてます。

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プラトンの代表作。対…

プラトンの代表作。対話形式で書かれているので、意外に親しみやすいです。上巻では、特に第4巻のあたりが面白いです。

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また上記文を受けて池…

また上記文を受けて池田晶子は言う、”いわゆる政治というものに、うまく興味をもてたことがない。国内で、あるいは国際的に、人間たちの思惑によって生起する諸現象、あれらを自分のことであるかのように追いかけ、論評する心性が、私にはよくわからない。”。この池田氏の感覚が、僕にとって非常に親...

また上記文を受けて池田晶子は言う、”いわゆる政治というものに、うまく興味をもてたことがない。国内で、あるいは国際的に、人間たちの思惑によって生起する諸現象、あれらを自分のことであるかのように追いかけ、論評する心性が、私にはよくわからない。”。この池田氏の感覚が、僕にとって非常に親しく感じられたところに、小林秀雄の本歌(?)に接し、この本を手に取った次第。まだ掻き切れない、いえ、書き切れないので次へ。

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小林秀雄は本作を評し…

小林秀雄は本作を評して云う、”政治の地獄をつぶさに経験したプラトンは、現代知識人の好む政治への関心を軽蔑しないだろうが、政治への関心は言葉への関心とは違うと、繰返し繰返し言うであろう。政治とは巨獣を飼いならす術だ。それ以上のものではあり得ない。理想国は空想に過ぎない。巨獣には一か...

小林秀雄は本作を評して云う、”政治の地獄をつぶさに経験したプラトンは、現代知識人の好む政治への関心を軽蔑しないだろうが、政治への関心は言葉への関心とは違うと、繰返し繰返し言うであろう。政治とは巨獣を飼いならす術だ。それ以上のものではあり得ない。理想国は空想に過ぎない。巨獣には一かけらの精神もないという明察だけが、有効な飼い方を教える。この点で一歩でも譲れば、食われて了うであろう、と。”(考えるヒント”プラトンの「国家」”より)。長くなるので次のレビューへ。

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要するに心がけが良く…

要するに心がけが良く利私欲がない少数のエリートが国家を統治するべきであるという論。上巻を読んだ時点での感想は、コミュニズムというよりもむしろファシズムに近いということ。

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この本では、正義に付…

この本では、正義に付いての議論の中で理想の国家を仮想的に描き出すという流れになるのですがそこで描かれる国は哲人王の統治する国です。中の議論を見ると当時のポリスの問題点が指摘されており面白いです。

文庫OFF

2024/06/16

言わずとしれた大古典。難解と聞いていたものの、全体が理解困難なわけではなく、読んだ価値はあった。ソクラテスへの追従形式と言っても過言ではない記述形式と、時に繰り出されるトンデモ理論には失笑を禁じ得ない。犬に誓って。

Posted byブクログ

2024/01/08

「正義とは何か、悪とは何か」を導き出すために、ソクラテスがその友人や弟子たちと対話していく話の、上巻。 これまで読んだ『ソクラテスの弁明・クリトン』と『パイドン』ではソクラテスの死の間際というタイミングであったのに対し、この国家は弁明・裁判から遡った時間軸になる。 そのためソ...

「正義とは何か、悪とは何か」を導き出すために、ソクラテスがその友人や弟子たちと対話していく話の、上巻。 これまで読んだ『ソクラテスの弁明・クリトン』と『パイドン』ではソクラテスの死の間際というタイミングであったのに対し、この国家は弁明・裁判から遡った時間軸になる。 そのためソクラテスの質問への回答や話しぶりではまだ悟りきったような部分がなく、それが故により親近感を湧きやすい。「死の直前」ならではの緊張感がないので落ち着いて読める印象がある。 「正義とは何か」、つまり「正しさとは何か」というのはテーマとして非常に難しい。人によって回答が違って当然と私には思われる。だからとてもこれと断言回答できない。 ソクラテスは、「正しい人間があるとすれば、正しい国家というものが分かれば、それを敷衍できる」といった論理で答えを探っていく。 では正しい国家とは何か。何がもっとも「良い」国家なのか。 理想の国家を定義するために、国家のサイズ、国家を構成する人々の仕事や役割、他国との関係性、婚姻や性交渉や出産育児、触れるべきOR触れてはならない音楽や娯楽の類などなど、微に入り細に入り最も理想的な国というものを定義していく。 この過程できっと紀元前当時の様々な生活様式、習慣、思想などの情報が現代まで残されてきたのだろう。貴重な情報源だ。 この理想の国家というのが、ソクラテスも上巻の終わり間際でいうように、実現可能とは言っていない。実現可能であるかどうかへの回答は難しすぎて、最大限実現に向かうにはどうしたらよいかという回答とさせてほしいし、それで十分なのではないか、という話をする。 事実、この理想の国家は、ヒトラーが真面目に捉えてしまって影響を受けたと思われるような、かなり非現実的な像が描かれる。 例えば「子供は生まれたらすぐに親から取り上げて、誰の子供であるかは絶対に知られてはならない。全子供が全大人の子供であり、特定の親子関係を持つべきではない」という実現が厳しい内容や、 「ギリシア人は内戦などによって敵を捕らえても奴隷にしてはならないが、ギリシア人以外では構わない」という差別に関わるもの、 「気持ちを明るくしたり奮い立たせる音階は使ってよいが、不協和音を用いた、悲哀や不安を表現するような音階は使ってはならず、そのような音楽を聴いてもいけない」という表現の自由や娯楽を制限するもの、 「優生な遺伝子を持つ子供は積極的に生み育て、優遇するべきで、そうでない遺伝子の子供は可能な限り少なくなるように仕向け、また当人たちにはそれを悟られてはいけない」という優生学の思想などである。 彼らは論理的に真面目に思考検討しているものの、今では物議を醸す露骨な男女差別的な発言も多い。 正義は立場によって変わる。国家の良し悪しも、その地理的特性や時代特性によって大きく変わるだろう。 本書から学べるのは、決して具体的なノウハウではない。 その論理的な思考法を一アイデアとして受け取ること。 当時の慣習や思想などの情報を得ること。 そして真摯に、目的となる困難な答えに向かって思考し、対話し続ける姿勢などである。 この姿勢こそ、一番心に刻んでいきたいものである。 本書の終わりでは哲人政治が遂に登場する。 最終的にどのような結末を迎えるのか、下巻を楽しみに次へ進もう。

Posted byブクログ

2023/12/09
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

訳が藤沢令夫氏で非常に読みやすい。1979年の訳とは思えない。 最初の正義問答は面白かったけど、すぐにソクラテスの独り舞台となってしまう…というか、「パイドン」といい、プラトンが自分の思想を開陳する時にそうなっているんじゃないかということに気づいた。アカデメイアの講義もこんな感じで、ひたすらよいしょされながら話を続けていたのだろうか。 正義とは何か→国家における正義とは何か→個人における正義とは何かという感じで探究する中でプラトン理想の国家について語るのが上巻の主な内容。有名な「知恵・気概・節制・正義」や哲人政治などの要素も出てくる。 私有財産や貧富の差が国家を堕落させる、というところから始まる理想の国家の中身は非常に全体主義的なもので、徹底した優生政策(出来の悪い人間が作った子供は殺す!)と無菌室のような教育によりそれを実現させようとするものである。共産主義っぽいけど、共産主義のほうが真似ているのか、思考の始まりからただ似通っているのかは勉強不足で分からない。子供は誰が誰の子供か分からないように育てて資質によって職業を決定すると言っていたかと思えば、のちの軍隊の運営の箇所で当たり前に職業世襲っぽいことを言っていたりとその時その時のトピックで場当たり的に話をしている感は否めないのだが、プラトンの理想主義と、理想にわずかの傷も許さない完璧主義は伝わってくる。やはり人間の繁栄を志そうとすれば優生思想に行き着くのは自然な成り行きなのだろうか、ということを少し考えた。

Posted byブクログ