国家(上) の商品レビュー
「国家はどうあるべきか」のような明らかに答えが無い高レベルな問いに対して,つぎつぎと答えがつけられていく様は爽快.根拠は無いが指針を示してくれるものを見てスッキリしたい方にはおすすめ.
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大学一回の時に積読しており満を辞して読了。流石にすんなり腹落ちする部分とそうでない部分があり時間がかかるが今回は一読目なので大意を把握する目的で読み進めるとする。
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正義と不正とは何か。個人にとっての対話から始まるのだが、この2つを明らかにするため話のスコープは国家という最大規模のものまで拡大される。 5巻まで収録されたこの上巻を読了した時点では、理解しきれなかったり腹落ちできていなかったりする箇所があるというのが正直なところ。 自分の資質...
正義と不正とは何か。個人にとっての対話から始まるのだが、この2つを明らかにするため話のスコープは国家という最大規模のものまで拡大される。 5巻まで収録されたこの上巻を読了した時点では、理解しきれなかったり腹落ちできていなかったりする箇所があるというのが正直なところ。 自分の資質に従い、それのみを行うのが正義とのことだが果たしてそうだろうか。 一方で、女性の活躍について論理的に展開し主張するなど、プラトン(ソクラテス)の先進性に驚かされることもしばしば。 500ページ弱のボリュームだが、プラトンの他の著作と同じく大変読みやすい。
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哲学史を3冊読んで、さぁ、一次資料(翻訳だけど)と思って、まずは何からか、プラトンの国家か、と。 分厚い、、、。岩波文庫、、、。めんどくさそう、、、。とずっと敬遠してきたのがアホらしくなるくらい読みやすい。 岩波文庫の上巻は、もとの1〜5巻を収めているが、1日1巻ずつ、5日で読め...
哲学史を3冊読んで、さぁ、一次資料(翻訳だけど)と思って、まずは何からか、プラトンの国家か、と。 分厚い、、、。岩波文庫、、、。めんどくさそう、、、。とずっと敬遠してきたのがアホらしくなるくらい読みやすい。 岩波文庫の上巻は、もとの1〜5巻を収めているが、1日1巻ずつ、5日で読めた。500ページくらいなのに。 現在でこれを読むのは少し注意が必要かもしれない。素朴の極みだけど共産主義的であるし、ファシズム的に誤読できる部分もあるので、そこの立ち位置を自覚してないと高校生頃の自分が読んでたら思わず勘違いしそうだ。 そう、高校のころ、友達が「饗宴」とかを読んでた。僕も図書館で、「ソクラテスの弁明」を少しだけ立ち読みした。 哲学はその頃から興味はあったけども、どの本を読んでもそこには前提としている感覚があって、それを共有できてないことには一行ずつに中身と理解が乖離していく。 なんでこんなもん読めるんだ、「存在」とか「感覚」とかをその都度に定義せずにどうして厳密に使えるんだ、と腹立たしくもあった。それは割と今もそう思ってる。お前の言っている「感覚」や「意識」は、なんのことなのかまず説明しろ、と思う。 「ツァラトゥストラ」や、「死に至る病」など、冒頭だけ読んだ哲学書はいくつかある。でも、最後まで読むことは少ない。 大学生になって、カミュの「シーシュポスの神話」に衝撃を受けた。不条理!そう!不条理!と喝采したものだけども、それも最後まで読んでない。そろそろちゃんと読みたいと思ってる。あんな薄い本。 その頃、「アンチオイディプス」とかが文庫になって、かっこつけて読むのがまわりで流行ったけど、そこにもいけなかった。 ブコウスキーのほうがかっこよかった。 話は逸れたが、そういう紆余曲折を経て35歳、プラトンに戻ってきたのだ。高校生の頃の「弁明」から20年経った。この一歩に20年かかった。 そこで衝撃的な読みやすさに出会って肩透かしをくらいつつ、次にいくつもりだったアリストテレスの「形而上学」を立ち読みして、またちょっと挫折の気配を感じつつ。 プラトンがイエス・キリストより400年近く歳上ということに驚く。 「国家」の中には、「これは時代が既にキリストを待ってるじゃないか」と思うようなところがいくつもあった。 素朴な演繹法で続けられる対話は、正直、読むのが辛い(飽きる)ところもあるけども、「対話」という型へのこの信頼はどこからきてるのだろうか。ほとんど独演になるんだから、対話じゃなくて良いのではないか、と思うけども、ソクラテスが対話の人だったので、哲学するのと対話するというのがそのままプラトンではひとつのものだったのだろう。 さぁ、(下)に突入します。
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ソクラテス先生の僕が考えた最強の国家の巻。 プラトン哲学の集大成の呼び声も高い本書。 正義とは何か?という導入部から始まっており、 理想の国についての議論に移っていくという流れだが、 扱うテーマは職務や結婚、戦争など多岐に渡っており、 男性も女性も分け隔てなく向いている職務に着...
ソクラテス先生の僕が考えた最強の国家の巻。 プラトン哲学の集大成の呼び声も高い本書。 正義とは何か?という導入部から始まっており、 理想の国についての議論に移っていくという流れだが、 扱うテーマは職務や結婚、戦争など多岐に渡っており、 男性も女性も分け隔てなく向いている職務に着き、 幸福を皆で共有し、それを実現するために支配者は 真理を追究する哲学者であるべきと結論を出している。 個人的に印象に残ったのは以下の二点。 一つ目は、神々の不道徳な逸話を問題視している点。 ギリシア神話の神々のやることがひどいというのは、 「図解雑学ギリシア神話」の感想に書いたが、 神々を人々の道徳の規範とすべきという点において、 プラトンも問題視していたということが分かる。 彼らの後継者であるローマ帝国の支配者が、 絶対的に正しいキリスト教の神を選択したのは、 当然の成り行きだったのかも知れない。 二つ目は、早くも男女平等を説いている点。 この時代英雄と言えば戦争で活躍した者だったが、 その権利を女性にも平等に与えようとしており、 女性が戦争の訓練をすることを滑稽だとしつつも、 スパルタの訓練法も最初は馬鹿にされていたが、 今では誰も笑わなくなったと言う論に舌を巻く。 ただ、ギリシア人のみで結束することを説き、 異民族は奴隷要員としているのは残念。 下巻ではどんな議論がなされるのか楽しみ。
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読了。 5巻まで。プラトンで手に取るべき本を誤った気がしないではない。ソクラテスの態度については、なるべく若いうちにこのひとを知り、そこから学ぶべきだろうと感じられた。読み進めるほどに、ゲーム(国家制作シュミレーションゲーム)プランニングという印象が強まった。理想国家像は、ひとつ...
読了。 5巻まで。プラトンで手に取るべき本を誤った気がしないではない。ソクラテスの態度については、なるべく若いうちにこのひとを知り、そこから学ぶべきだろうと感じられた。読み進めるほどに、ゲーム(国家制作シュミレーションゲーム)プランニングという印象が強まった。理想国家像は、ひとつひとつ理詰めされ進行していくほどに狂気の国家のようにわたしには感じられたが、それはわたしが現代民主主義の狂気のなかにいるせいなのか、判別できなかった。多分に、狂気なき現世政治など可能でないのだろう。ソクラステは最低の政治形態に僭主制を挙げたが、わたしには村上龍の愛と幻想のファシズムなどはもっとも正常に感じられた覚えがある。
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【政治学の参考文献】 古代ギリシャの哲学者・プラトン(前427~前347)の代表作。 理想国家について論及した世界最古の政治学の書と呼ばれるもので、後の西洋哲学に絶大な影響を与えたらしい。 真の政治は哲学(学問)に裏付けられていなければならず、政治的権力と哲学的精神とが一体...
【政治学の参考文献】 古代ギリシャの哲学者・プラトン(前427~前347)の代表作。 理想国家について論及した世界最古の政治学の書と呼ばれるもので、後の西洋哲学に絶大な影響を与えたらしい。 真の政治は哲学(学問)に裏付けられていなければならず、政治的権力と哲学的精神とが一体化され、多くの人々の素質がこの二つのどちらかの方向へ別々に進むのを強制的に禁止しない限り、国々にとって人類にとって不幸の止む時はないという。
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「お金の所有が最大の価値をもつのは、ほかならぬこのことに対してであると考える。……たとえ不本意ながらにせよ誰かを欺いたり嘘を言ったりしないとか、また、神に対してお供えすべきものをしないままで、あるいは人に対して金を借りたままで、びくびくしながらあの世へ去るといったことにないようにすること、このことのためにお金の所有は大いに役立つのである。」(26頁) 個人と国家の共通項を探し、一方を他方に当てはめている。 演繹のし過ぎ、というのは現代的な感覚だろうか。 優れた国家に必要な三つの徳…知恵、勇気、節制。 勇気と知恵は、国家のある特定の部分に存在するが、節制は国家の全体にいきわたっていて、支配関係について支配者と被支配者との間で合意されている状態(293頁~)。 上記3つの徳に匹敵するのが正義。 正義とは、自分が自分の仕事だけを果たすこと。 国家のためという観点から、男女の平等を肯定する(357頁~)。 望ましい国制を移行するためには、哲学者が王になって統治するという変革が必要である(404頁~)。
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尊敬する先生に勧められて読んだ一冊。たぶん3割も理解できなかったのではないか。ちゃんと読む初めての哲学書だったが、かなり読みやすかった。どうも私はソクラテスの考えに賛同できないなあ。結構ずるくない、彼。言い返せないのが悔しい。
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オフィス樋口Booksの記事と重複しています。記事のアドレスは次の通りです。 http://books-officehiguchi.com/archives/3993292.html 登場人物はソクラテス、ケパロス、ポレマルコス、トラシュマコス、クレイトポン、グラウコン、アデイ...
オフィス樋口Booksの記事と重複しています。記事のアドレスは次の通りです。 http://books-officehiguchi.com/archives/3993292.html 登場人物はソクラテス、ケパロス、ポレマルコス、トラシュマコス、クレイトポン、グラウコン、アデイマントスである。この登場人物による対話が上巻と下巻で展開されている。 上巻では正義・国家・哲学者について議論が展開され、下巻では議論が完結されている。この上巻での議論は国家や正義について熱く語られているので、面白いと感じた。私が議論の中で注目しているフレーズなどは後日取り上げたい。
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