人間とは何か の商品レビュー
人間とは何か・・・…
人間とは何か・・・?どれだけ考えてもその答えは出ないけどきっと考えることに意義があるんじゃないカナ
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人間社会の理想と、現…
人間社会の理想と、現実に存在する利己心とを対置させつつ、マーク・トウェイン(1835‐1910)はそのペシミスティックな人間観に読者をひきこんでゆく。
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あの『トムソーヤの冒険』で知られるマーク・トウェインがこういう本を出していることを知らなかった。内容としては、「人間は自身の心の満足感のために行動する機械である」ということ。読書会や雑談会を開催するときもある程度主催の機嫌によって左右されるので理解できる。創造も外部の影響から練ら...
あの『トムソーヤの冒険』で知られるマーク・トウェインがこういう本を出していることを知らなかった。内容としては、「人間は自身の心の満足感のために行動する機械である」ということ。読書会や雑談会を開催するときもある程度主催の機嫌によって左右されるので理解できる。創造も外部の影響から練られたものというのも、日本が特に文化や二次創作の発展に強いこともあって腑に落ちやすい。自由意志も精神的欲求による働きでしかなく、金や物自体ではなくそこから得られるものを求めているのも積読・積みゲーが増える理由なのかもしれない。
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※このレビューにはネタバレを含みます
マーク・トウェインといえば、『トム・ソーヤーの冒険』などの少年文学の巨匠という印象しかなかったのですが、本作のようなパンチの効いた論評本も書かれていたんですね。 対話形式で書かれた作品で、とても読みやすく面白かったです。 内容は、「人間とは機械であると主張する老人」vs「人間の良心を信じる若者」の問答集となっています。 老人が、「人間、それは単なる機械である!なぜなら・・・。」と主張していき、若者が、「いやいや、そうはいうものの人間には良心や愛が・・・。」と反問していくカタチです。 作品からの例証や実体験をいくつか挙げたりして論じていく老人に、半ば若者はたじたじです(笑) 話題が「機械」から、「気質」や「鍛錬」や「善悪」やらと流れていきますが、老人がバッタバッタと「良心」や「道徳観」や「愛」を切り倒していく様はなかなか胸がすきます。 本書は、考え方を説いたフィロソフィー本なのか、はたまた事実を暴いたドキュメンタリー本なのか。 読まれる皆さんの感想が気になります・・・! 主題とは逸れるのですが、私は、第六章「本能と思考」が白眉だと思います。 「本能」の定義、「思考」のホントの意味、「自由意志」の有無について、物質的価値と精神的価値について、「わたし」はたくさんあるということ、人間と他の動物は平等であるということなどなど。 いまもって悩ましかったりする問題や、日本に遅れて入ってきている問題などがたくさんここにはあると思います。 トウェインが亡くなる4年前に出た作品(1906年)ということもあり、老人ロールはトウェイン自身でしょうか。 それにしても、20世紀の初頭ですでにこういった世界観を持っていたトウェインに脱帽しました。
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マーク・トウェインの人間観には恐れ入った。トウェインではなく正確には老人なのだが、この老人は徹頭徹尾、人間の善性を相対化する。あらゆる行動は自分によかれと自分が満足したい、という動機があるらしい。悪を行う可能性があるという意味では人間は動物以下でもあるらしい。 こんなペシミステ...
マーク・トウェインの人間観には恐れ入った。トウェインではなく正確には老人なのだが、この老人は徹頭徹尾、人間の善性を相対化する。あらゆる行動は自分によかれと自分が満足したい、という動機があるらしい。悪を行う可能性があるという意味では人間は動物以下でもあるらしい。 こんなペシミスティックな老人が近くにいたら鬱陶しいなあ、と感じ、青年がんばれ!と読み進めるのだが、次第に老人に愛着を持ち部分的に共感するようになってしまった。なんだろうこの中毒性、トウェインの風刺の魔力。 これを読んだ後で、中学時代に読み耽ったハックルベリー・フィンやトム・ソーヤを読むとあの頃とは見える世界が大きく変わりそうで、怖くもあり楽しそうでもある。
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老人と青年の対話調で綴られた、「人間とは外からの力に反応して作用するだけの機械である」という主張を説明する内容だった。 言い換えると、「すべて人間は、自らの経験学習と気質に従って、自らの精神的満足を充足するための選択をする」ということが主旨だった。 そのため、自由意志などや自...
老人と青年の対話調で綴られた、「人間とは外からの力に反応して作用するだけの機械である」という主張を説明する内容だった。 言い換えると、「すべて人間は、自らの経験学習と気質に従って、自らの精神的満足を充足するための選択をする」ということが主旨だった。 そのため、自由意志などや自己犠牲などは存在せず、一見すると当人にとって損な善行や苦行も、結局は「そうしなければ別の精神的な不満足によって耐えられない」という天秤で選択された行いになる。 相手を小馬鹿にしたような語り口調と、説得に際し用いられる古い事例は少し読みづらいが、一貫した主張は明確に読み取ることができる。
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ニーチェの悲観主義とは比べ物にならないぐらいの悲観論です。人間は自分を安心させたい、自らが満足感を得たいという衝動しか持ち得ないといいます。例えば人の手助けだって、結局は自分の満足感に過ぎないかあるいは良心に対する苦痛の回避というものでしかなく、ある意味で苦痛の回避を買った結果に...
ニーチェの悲観主義とは比べ物にならないぐらいの悲観論です。人間は自分を安心させたい、自らが満足感を得たいという衝動しか持ち得ないといいます。例えば人の手助けだって、結局は自分の満足感に過ぎないかあるいは良心に対する苦痛の回避というものでしかなく、ある意味で苦痛の回避を買った結果にすぎないのだと。恐るべき悲観論。1度読めば、神経毒のように体を蝕んでいくような気な感覚を味わいます。こんな感覚はニーチェ以来です。人間は自己是認を得たいという衝動しかない。こんな思想のどこに救いがあるのでしょう
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人間は、外部の刺激に反応する機械のようなものだと、老人が青年に論破する会話劇。生物として人間を観察する視点で、他の動物と大差ない生き物だと論破する痛快さもある。良心や、道徳的行動など、人間だからこそもちえてそうな美德はことごとく動物的行動の結果にすぎないと論破されてしまう。 一つ...
人間は、外部の刺激に反応する機械のようなものだと、老人が青年に論破する会話劇。生物として人間を観察する視点で、他の動物と大差ない生き物だと論破する痛快さもある。良心や、道徳的行動など、人間だからこそもちえてそうな美德はことごとく動物的行動の結果にすぎないと論破されてしまう。 一つのものの見方として、さまざまな角度から思考を巡らす時の視点として持っていても良い考え方だと思う。 あの、トムソーヤを描いた作家というのにも驚かされる。シニカルな視点ももちえた作家だったのですね。人間を冷徹なまでも客観的に観察してきた著者だからこそ、表現できた作品なのだと思った。
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・人間の行動は自己是認=自分を満足させることを1番に考える。 ・また個人の発想や考えが新たに生み出されるものはなく、他者から影響を受けたもの。 これらの法則は絶対的なものだ、という趣旨のやり取りを老人と少年がくどくどと続くので読んでいて眠い。 政治、商売において「社会を良く...
・人間の行動は自己是認=自分を満足させることを1番に考える。 ・また個人の発想や考えが新たに生み出されるものはなく、他者から影響を受けたもの。 これらの法則は絶対的なものだ、という趣旨のやり取りを老人と少年がくどくどと続くので読んでいて眠い。 政治、商売において「社会を良くしたい」と言い放つ人や企業の側面には、自分のメリットを満たしたい本音があることを念頭に置きたい。
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人間とは外部から与えられる様々な力によってのみ動かされる、機械と変わりない存在だという内容。 話の運びが巧く、こちらの抱いた疑問が青年の口から次々と飛び出すので最後まで関心を持って読めた。 終盤に出てきた不幸になる人と幸福になる人の話からは著者の人生に対する諦観のようなものを感...
人間とは外部から与えられる様々な力によってのみ動かされる、機械と変わりない存在だという内容。 話の運びが巧く、こちらの抱いた疑問が青年の口から次々と飛び出すので最後まで関心を持って読めた。 終盤に出てきた不幸になる人と幸福になる人の話からは著者の人生に対する諦観のようなものを感じた。 この本の内容を楽観的に受け取るか悲観的に受け取るかは読者自身に委ねられていて、その受け取り方こそが幸せになる素質の有無なのだと思った。
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