人間とは何か の商品レビュー
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読む年代により感想が大きく分かれると思う。 10代、20代の方がこの本を読んで感じられるのは虚無感だと思う。 まさに作品中に出てくる青年の心情が投写される気がする。 ただ、年齢を重ねた方が読めば作品に書かれていることは一種の免罪符になり得る。 人は形成するものは産まれ持った気質と教育であり自由意志など持たないと言う事実を延々と突きつける形で進んでいく。 ただ、その事実に対する著者の成否や判断は作品中一切行われず読者に委ねられる。唯一、著者の心情を表してそうなのは最後の一文のみである。 事実を提示するのみで、論理展開が行われないため単調な進行となり、読む人によってはつまらないと言った感想抱くと思う。 人は自由意志を持たない、これをどう捉えるかによって作品の感想が大きく変わる。 若い方は否定的になるであろうし、ある程度経験の積んだ方なら、なるべくしてなった心配するなと言う思いを感じるのではなかろうか。 千差万別あると思いますが、ある一つの価値観に触れる機会を与えてくれる名著だと思います。
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キリスト教観の中にあっても、“人間は機械である”という一貫とした考えは、キリスト教観から離れている日本人にとっても、スッと入ってくる考えだと思う。 ただ、読むのは難儀した。
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若い時に読んだこの本は自分の人生に無視できない影響を及ぼしているような気がずっとしていた。人間は機械であり、自分は出来損ないの機械なんだろうという思い。 読後、約30年。機械だから何だというのだ、むしろ出来損ないの機械ならではのオモロイ社会を笑い飛ばしながら生きてきた。これでいい...
若い時に読んだこの本は自分の人生に無視できない影響を及ぼしているような気がずっとしていた。人間は機械であり、自分は出来損ないの機械なんだろうという思い。 読後、約30年。機械だから何だというのだ、むしろ出来損ないの機械ならではのオモロイ社会を笑い飛ばしながら生きてきた。これでいいのだ。
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私たちの思考や言葉は、外的な力によってもたらされた結果でしかない。自己は形成されるものである。 利己も利他も形状が違うだけで中身は一緒。 人間の共通目標は主衝動に基づき、自己満足、自己陶酔することだけ。 教育は、欲望のベクトルを正しい方向に向ける。 著者のこのペシミズムは、さっぱりとした考え方で気質的なものなのかもしれない。
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・人間を悲観的にみる老人と、それに反発する若者の、人間感に関する考え方のやり合い。 ・人間機械論。気質と教育により外部からの影響により人は動いたり考える。 ・人間は自由意思はなく自由選択。 ・物質的価値と精神的価値の境界線はない。物質的価値などなく、全ては精神的価値。 例えば自分...
・人間を悲観的にみる老人と、それに反発する若者の、人間感に関する考え方のやり合い。 ・人間機械論。気質と教育により外部からの影響により人は動いたり考える。 ・人間は自由意思はなく自由選択。 ・物質的価値と精神的価値の境界線はない。物質的価値などなく、全ては精神的価値。 例えば自分が欲しいと思ってた帽子を購入したとして、他者に馬鹿にされたらその帽子は被らない、価値がなくなる。 ・人間は自分から何かを創造することはない、外部環境からの影響のみ受ける。
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暴論的な部分もあるが面白い。一つの考え方として完成している。この考え方をしたら憂鬱になるかと言われたらそうではなくて、気が楽になる。現代における1つの処方箋になると思う。
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この本に登場する人物は2人。1人の青年と1人の老人。物語は、人間について老人が自身の考えを語り、それに対して青年が疑問をぶつけていく形式で進行していく。 著者マーク・トウェインの死後、本書を読んだ彼の妻がひどく泣いたというエピソードからも理解できるように、本書の内容はそう簡単に受け入れられるものではない。 以下、内容をあとから想起するため、岩波書店HPから要約文を引用する。 「人生に幻滅している老人は,青年に向かって,人間の自由意志を否定し,人間は完全に環境に支配されながら自己中心の欲望で動く機械にすぎないことを論証する」 老人は「人間機械論」を唱え、人間は所詮外部から受けた影響をもとに行動する機械でしかないと説く。このような、人間の自由意志を否定する論調は馴染みのないものであり、現代人からは大きな反感を買うことが容易に想像できるが、それでも本書が長く読み続けられている理由は、この主張が人間の一側面を鮮やかに描き出しているからであろう。個人的には、この考え方は受け入れられないが、一方で完全に無視することもできない。 ただ、あえてこの主張に反論すると、これは「反証不可能」な主張である可能性が高い。つまり、人間の行動を理解する際、それがどんな行動であろうと「その原因は外部環境から受けた影響にある」と言ってしまうと、とたんに誰も反証ができなくなってしまう。なぜなら、外部環境を受けない人間などいないのだから。一般的に、反証不可能な知識はその後の議論につながらず、相対的な価値が低いと言われるため、反論をすることは可能である。 ただしかし、やはり人間が外部の影響を多分に受ける存在であるという主張もまた真理なのだろう。問題は、影響を受けながらも、自身の人生の指針を定め、そこに向かって努力を続けることができるか。本書の中で、老人が「せっせと君たちの理想を向上させるように努めることさ。そしてみずからがまず満足すると同時にだな、そうすれば、必ず君たちの隣人、そしてまた社会をも益するはずだから、そうした行為に確信をもって最大の喜びが感じられるところまで、いまも言った理想をますます高く推し進めて行くことだな。」(p.105)と語っているように、どれだけ理想を追求できるかが問題であると思う。自分は外部の環境からの影響を多分に受けるということを念頭に置きつつ、その環境すらも好きなように変えていけるような、緩やかな意志を持って生きたいものだ。
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マークトウェイン 「 人間とは何か 」 対話形式による人間論の本。「人間は 自己中心の欲望で動く機械にすぎない」とする 人間機械論 をテーマとしている。 機械に 自己意識や欲望があるわけないので、しっくりこなかったため「人間は 自己満足と周囲の影響がプログラムされた機械にすぎ...
マークトウェイン 「 人間とは何か 」 対話形式による人間論の本。「人間は 自己中心の欲望で動く機械にすぎない」とする 人間機械論 をテーマとしている。 機械に 自己意識や欲望があるわけないので、しっくりこなかったため「人間は 自己満足と周囲の影響がプログラムされた機械にすぎない」と読み替えた。人間には、他者満足のためだけに行動したり、周囲に構わず自己判断するプログラムがない という意味。 この本全体に漂う「創造するのは神のみ、人間は機械にすぎない」という論調だと 人間の意義に たどり着かない気がする。 人間機械論の悲観的現実 *人間の政治意識、趣味、道徳、信仰をつくるのは周囲の影響 *周囲との人間関係しだいで 人間は 正にも不正にもなる *自分の判断で 自由に善と悪を判断できないことになる
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この本は今の自分にとても影響を与えていて、面白くてたまりません。主に他の動物と脳のシステムがどのように異なるか。細胞、調整遺伝子について。 この本も専門用語が多いことから、他の生命科学の本で知識を得ながら最後まで読みたい本だと思っています。
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人間とは畢竟機械に過ぎぬと、初っ端から知らない単語が出てくる。老人と青年の人間とは何かという話題について延々と話している。老人の主張がどれだけ著者の人間観を反映しているのかどうかは分からないが、トムソーヤーやハックルベリフィンで知られるマークトウェインがかなりネガティブな思考も持っていたであろうことが伺える。 老人は、個々の人間にオリジナリティというものは存在せず、全てが過去からのインプットの寄せ集めであると断言する。また人間の行動原理は全て自らの精神的充足を得るためであるとし、その精神的充足が何になるかは、各々が生まれ持つ気質と外的影響によるとする。慈悲や自己犠牲を原動力としているように見える行動も、そうすることによって精神的充足/もしくはしないことによる罪悪感から逃れることが第一目的とし、その結果として弱者が助かるに過ぎないと言う。 あらゆる外的影響は教育であるとし、もっとも大きな教育要因は人間関係であるとも断言する。また悪事や善業、何かを成すために大きな決断をする一つの体験があったとしても、その体験が引き金になったとはいえ、それまでの”教育”により形づけられて来たその人間の最後の人押しをしたに過ぎないと言い切る。 また動物や昆虫と人間に関しても根本的な部分で差はないと言い切る。知的許容量はもちろん個々の動物、生物で差はあるが、その中で社会を営み、観察し、解決策を探って前進していくことに関しては変わりがないという。 キリスト教の宣教師をボロクソに言ったりしているが、当時は問題にならなかったのだろうか。ただ後書きによると妻は内容をみて激しくショックを受け、娘は怖気をふるって怯える始末だったとのこと。結局、妻が亡くなった後に匿名で知友達向けに出版され、本格的な公開は本人が亡くなった7年後とのこと。後書きで触れてある「不思議な少年」という著作が、この作品と対になるとのことなので、まあ機会があれば手に取ってみようと思う。
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