夢十夜 他二篇 の商品レビュー
落ちないショートショートみたい、と母校の女子高生がうまい推薦文を書いてた。確かに夢はそういうところがある。
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夏目漱石の頭の中って、こんな風になっているんだな。 永日小品では、かゆいところに手が届くような表現がいろいろ。 ロンドンで軽い葛湯を呼吸してみたり。 コワイ人かと思いきや、子どもたちの日常に目を留めていたり。 また好きになった。
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「夢十夜」よりも「文鳥」よりも「永日小品」が好き。ひねくれてるなぁという感じの「柿」、筒井康隆を想起した「印象」、インテリの自負と明治の時代感が漂う「モナリサ」 夏目漱石も良いなぁと初めて思った。
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もう今更言うまでもありませんが、とにかく描写が上手い。文章が上手い。「文鳥」「行列」「クレイグ先生」
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夢物語の耽美的で恍惚とした、神秘/幻想的でもある文章。 一つ一つの物語が妖艶さを纏って居て、夢の中である故に掴みきれない断片は、不思議と輪郭の無い情景を描き出す。 文章の繊細さや佳麗さが、何処までもこの世界に色付けし、夢幻の空間を拡げてゆく。 読後には幻の様に其の影は晦まされ、...
夢物語の耽美的で恍惚とした、神秘/幻想的でもある文章。 一つ一つの物語が妖艶さを纏って居て、夢の中である故に掴みきれない断片は、不思議と輪郭の無い情景を描き出す。 文章の繊細さや佳麗さが、何処までもこの世界に色付けし、夢幻の空間を拡げてゆく。 読後には幻の様に其の影は晦まされ、闇に翳んで消えてゆく。 其れでも夢を見た後の緩やかな起床のあの感覚にも似た、閑静の侘しさや穏やかさを覚えさせて呉れる。 そんな作品。 「文鳥」では、長年セキセイインコを飼育している為か、その無常さや単調かつ重みのある流麗な描写に胸が打たれた。 現実から隔絶された空間の中でたゆたうように拡がる世界を描く描写は、流麗な形容を以て、古く褪せた風景画の様でもある。 植物と衣縫の色を程好く用いているのが巧妙に思う。 「儲口」では、僅かに夢野久作の調と重なる部分も窺える気がする。 風変わりな描写には只管に魅了、圧巻された。 文学家の飼う闇と云うものが淡々と、それでいて沁々と描かれた作品。
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第一夜の印象が強過ぎる。 なんだかどれも舞台作品のように思えてしまう。一人芝居でやって欲しい。ってか、演りたい。
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ただただ、美しい文体に心が揺れる。第一夜が名作過ぎて泣ける。 こんな恋愛ができたら一生後悔しません。
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漱石には小品とよばれる一群の短篇がある。小品とはいうがその存在は大きく、戦後の漱石論は『夢十夜』の読み直しから始まったとさえ言われる。ここには荒涼たる孤独に生きた漱石の最暗部が濃密に形象化されている。
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中学生か高校生のときの国語の教科書に載っていた。『夢十夜』のうち、第何夜が載っていたのかは定かではないが、「第6夜」が載っていたことは覚えている。 「第6夜」の中での、「なに、あれは眉や鼻を鑿で作るんじゃない。あの通りの眉や鼻が木の中に埋まっているのを、鑿と槌の力で掘り出すまで...
中学生か高校生のときの国語の教科書に載っていた。『夢十夜』のうち、第何夜が載っていたのかは定かではないが、「第6夜」が載っていたことは覚えている。 「第6夜」の中での、「なに、あれは眉や鼻を鑿で作るんじゃない。あの通りの眉や鼻が木の中に埋まっているのを、鑿と槌の力で掘り出すまでだ。まるで土の中から石を掘り出すようなものだから決して間違うはずはない」という科白が忘れられなかった。 運慶のようになりたかったし、今でもなりたいと思っている。
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