蘆屋家の崩壊 の商品レビュー
初読時は不思議ちゃん系小説に陶酔していたということもあって上手く受け止めることが出来なかったんだけど、ブームが落ち着いて素直な頭で読んでみたらむちゃくちゃおもしろかった。如何にも異端ですと言わんばかりの仰々しさで持って描くのではなく、ごくごく日常的な場面の中に非日常的なものを溶け...
初読時は不思議ちゃん系小説に陶酔していたということもあって上手く受け止めることが出来なかったんだけど、ブームが落ち着いて素直な頭で読んでみたらむちゃくちゃおもしろかった。如何にも異端ですと言わんばかりの仰々しさで持って描くのではなく、ごくごく日常的な場面の中に非日常的なものを溶け込ませているので読みやすく、それでいてその表面的な平和さがまぎれこんでいるものの異質さを掻き立てて背筋を凍らせる。 あだ名と、豆腐への熱意を別とすればひどく凡庸な人物なのに、回を増すごとに伯爵から目が離せなくどころかその登場を切に願うようになってしまうのはわざとなのか。天然なのか。私の頭が沸いてるのか。伯爵かわいいよ伯爵。
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義兄に贈られて読んでみました。 なぜクリスマスプレゼントにこのチョイス・・・なのかは置いといて。 本好きの兄のオススメだけあって、どの話も印象深く面白かった。 不思議な世界に惹き込まれる感じ。 現実世界ではおそらく味わえないであろう、貴重な経験させてもらいました。
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定職を持たない猿渡と小説家の伯爵は豆腐好きが縁で結びついたコンビ。伯爵の取材に運転手として同行する先々でなぜか遭遇する、身の毛もよだつ怪奇現象。飄々としたふたり旅は、小浜で蘆屋道満の末裔たちに、富士市では赤い巨人の噂に、榛名山では謎めいた狛犬に出迎えられ、やがて、日常世界が幻想地...
定職を持たない猿渡と小説家の伯爵は豆腐好きが縁で結びついたコンビ。伯爵の取材に運転手として同行する先々でなぜか遭遇する、身の毛もよだつ怪奇現象。飄々としたふたり旅は、小浜で蘆屋道満の末裔たちに、富士市では赤い巨人の噂に、榛名山では謎めいた狛犬に出迎えられ、やがて、日常世界が幻想地獄に変貌する―。鬼才が彩る妖しの幻想怪奇短篇集。 (BOOKデータベースより) *** 以前読んだ「NOVA2」に収録されている「五色の舟」の作者。 猿渡という青年が主人公の、連作短編集。 あえて例えるなら、恩田陸をもっとホラーにして、もっとぶった切って終わる、という感じ。 始めは終わらせ方が微妙かも、とも思ったけれど、読み進むうちにこれが絶妙、と思うようになりました。 「猫背の女」と「埋葬虫」はかなりぞわぞわ(ホラーとしても、生理的にも)。 「超鼠記」は不気味だけど心に残る。 「ケルベロス」こういう封印がどうの、という話は好き。 皆川博子さんの解説で著者(神経症の状態で「水牛群」を構想)にも興味がわきました。 ハードカバーにはあとがき?があるそうで。 そちらも読んでみたいなぁ。
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『アッシャー家の崩壊』のまんまパクリの題名で、 なんとなくずっと手を出さなかった本。 短編集です。 すべて怪奇・幻想的なお話です。 だからといって浮世離れした感じかと思うとそうでなく、 現実の薄皮を一枚、ぺろりと剥がして その内部を見せられたような、怖気を感じました。 気持ち...
『アッシャー家の崩壊』のまんまパクリの題名で、 なんとなくずっと手を出さなかった本。 短編集です。 すべて怪奇・幻想的なお話です。 だからといって浮世離れした感じかと思うとそうでなく、 現実の薄皮を一枚、ぺろりと剥がして その内部を見せられたような、怖気を感じました。 気持ち悪いけど面白い、怖いけれども触れたい。 夏にもう一度読み返してみよう。 (「ケルベロス」の最後の二行がまったく理解できなかった。私だけでしょうか?)
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バレエ・メカニックは挫折してしまったけどこちらは最後まで面白く読めた。幻想ミステリ。文章がとにかく良い。皆川博子先生の解説も素敵。 そして豆腐。
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ゆるやかな線に沿って進むストーリーと独特な2人のキャラクター。“豆腐”というキーワードが誘う短編の世界は、ホチキスの針で止められたコピー用紙のごとく、要所を留める程度に繋がっている。ぱらぱらとめくればしかしそれは、豆腐のような素朴感と少量の甘み、そしてもう一口味わいたいという読後...
ゆるやかな線に沿って進むストーリーと独特な2人のキャラクター。“豆腐”というキーワードが誘う短編の世界は、ホチキスの針で止められたコピー用紙のごとく、要所を留める程度に繋がっている。ぱらぱらとめくればしかしそれは、豆腐のような素朴感と少量の甘み、そしてもう一口味わいたいという読後感を残す一冊である。
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好き。 アッシャー家で蘆屋道満て(笑)! 怪奇 古事記 説話 芸能 食い物 酒 ふしぎ生物 話全体の構成とディテイルが、現実と幻想が、絡み合う。 ああ、好き。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
冴えない男猿渡と小説家伯爵が日本各地で様々な怪異に出逢う短編集。単純なホラーかと思えば、ぶっ飛んだお笑い要素あり、切ない恋物語ありと万華鏡のような妖艶な世界の数々。題材も蟹やら猫背やら犬やら虫やら…ありとあらゆる事象が登場し、それがまたすんなり受け止められてしまう、信じるに値する説得力、リアルな世界がそこにはあります。ミラーハウスに迷い込んだかのような不安と興奮を体感できた一冊、怪奇ながらも蠱惑的な世界を堪能ください。
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推理小説かと勘違いして買ったが、怪奇小説だった。 しかし怖さの中にも品があり、小気味の良さがある。 艶かしく、うつくしく、醜い。 エログロ一歩手前。 出てくる食べ物がいちいち美味そうで、生唾を飲み込んでばかりいた。
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おっさん二人の友情の物語でもあり、怪奇幻想の美しさに酔う本でもあり、軽妙な語り口を楽しむ本でもあります。オススメです!
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