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蒲団・一兵卒 の商品レビュー

3.4

60件のお客様レビュー

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2017/08/16
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田山花袋読んだことなかったなと思って借りてきた。 恋愛の庇護者であろうとして結局嫉妬でしかない主人公の滑稽さと、ラストシーンのさじ加減がいいと思う。ラストシーンではなんとなく主人公は自分の滑稽さには気g付いていたのではという気もする。ストレートに読めばむしろそこには盲目で感傷に浸っているように読めるかなと思うので穿ちすぎかとも思いますが。 30歳では若い女性を待ったくそんな目でみないのは厳しいのではないかという気もする。時代を感じる。 解説など読んで、むしろ売れてなかった田山花袋が賛否両論ながら注目された作品と知って、実際主人公が横柄に感じられるほどは横柄にふるまっていなかったのかもしれないなと思った。 あと冒頭で「文学者だけに、この男は自ら自分尾心理を客観するだけの余裕を持っていた」って一応は自分が主人公であるがゆえのメタ的なはなしかとは思うけど、結局自分をコントロールできてないあたりとか感が見るとこの描写も滑稽だなと思う。 一兵卒は、こういう構成の話大好きだなと思った。戦争文学など触れてこなかったからあまり情景が目に浮かばないのが残念。故郷に残した若い奥さんどうするんだろうなと思った 成増図書館 岩波文庫

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2017/06/17
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みっともない男の内面をこれでもかと見せつけられて、正直いい気持ちのする作品ではありませんでした。なんだかもやもやするのは、きっとこんな言動は恥だと思うからこそ禁じているものの、自分のなかにも時雄に同調、共感できてしまうポイントがあるからなんだろうと思う。 解説を読むに、その辺りが当時文壇で評価されたんでしょうかね。 だれも幸せにならない結末ですが、この時代の小説てこんなんばっかりなような… ラストシーン、やってることはすごくみっともないんですが、強風に煽られる樹木と部屋に射す光、なぜだか情景描写が胸に刺さりました。

Posted byブクログ

2017/06/10
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 最初は男尊女卑思想に凝り固まった独白に驚く。妊娠中の妻に向かって産褥で死んだらあの美人教師を後添えに貰えるか、女弟子に女は容姿が大事、容姿が悪いと才があっても男に相手にされないよ、など。この人は人間性がよろしくないよ、と思った後に続く、女弟子への欲に走った赤裸々な本音ラッシュに頭を抱える。もう少し包み隠してもいいんじゃないのか、君……。確かに前評判通りに赤裸々だった。   外面の良さと本音の落差が酷いが、これが人の本性でもあるよなあ、こういう風になることもあるよなと思えば沁みる。  文章の流れるような調子や唄うようなところは好きだったので、「田舎教師」他をもう少し読んでみたくなった。

Posted byブクログ

2024/03/17
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2017/5/17 「一兵卒」読了(評価は「一兵卒」の評価で。「蒲団」は未読)。 脚気を患い入院していた病院を抜け出し戦場へ向ったものの、痛みが酷くなるにつれ死への恐怖に囚われ始める兵卒の心情がとてもリアル。 日露戦争時、第二軍の従軍記者だった田山花袋だけあって、同時代の人の世界観がリアルに伝わってくる。 登場人物が豊橋の人で、調べてみたら豊橋の第十八聯隊は第二軍第三師団の所属だったようなので、ひょっとして田山花袋が実際に出会った人物をモデルにしているのかしら? なお、「一兵卒の銃後」と同作品である、という解説がしてあるサイトがありましたが、「一兵卒」と「一兵卒の銃後」は別作品です。 2024/3/16 「蒲団」読了。

Posted byブクログ

2015/08/01

女々しくて純粋な不倫願望者が己を率直に吐露した古き良き時代の作品。 蒲団よりもしたり顔で説教かます辺りが何とも言えない。 一兵卒は我が身に置き換えられ悲しく読みました。

Posted byブクログ

2015/07/25

初花袋。田舎教師を読むのを挫折していて短い作品を先に読んだ感じ。書かれたのが明治なのはすごいのだろうけれど、平成に読んでなにを思うというのだろうか。

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2014/02/07
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田山花袋『蒲団』 友人に勧められて読了。 おっさんが蒲団を嗅ぐ話と聞いていたので下賤な好奇心が沸いた。田山花袋という作者が『蒲団』という作品で終始一貫して綴ったのは、主人公である竹中時雄の不安定な情緒だ。 妻と子ふたりを抱えながら、横山芳子という女学生を弟子に受け入れる。時雄と芳子はいい師弟関係を結び可愛がっていたが、時雄は時として芳子に惜しみない情欲を抱く。ハイカラと古典的な淑女像との対立。彼女もあの時代における"ハイカラ"な部類ではあった。時として"旧式"な淑女たるものを望んでおきながら、口では芳子に彼女の在り方を認めつつ諫める「都合の良さ」がなんとも言えずに、時雄のプライドや尊大さを感じざるを得ない。 あるとき、芳子が田中秀夫という恋人をつくり、男も彼女を追って上京してくる。手紙のやり取りで想いを確かめ合い、決して「破廉恥」なことはしていないと弁明するも、時雄は秀夫への嫉妬と芳子への疑心と信頼の狭間で苦悩する。妻につまみがまずい等々八つ当たりをしながら、芳子のことばかり考えている時雄は、薄情で身勝手な印象を受ける。 芳子と秀夫の問題に際し、芳子の父親を交えて話しを進めるものの、というとう芳子は手紙の中で秀夫と密通していたことを明かし、その裏切りに憤慨した時雄は彼女を実家へと送り返す。 ハイカラな女学生という見目麗しい若い女、それもひとつ屋根の下に共に暮らした弟子という存在の芳子に、淡い恋心ではなく耐えがたい欲を抱いていた時雄。彼がそれを抱いていた対象は、その時代、ある意味下品ともされたハイカラでありながら淑女としての貞節を重んじている芳子という"天女"の如き女だった。だがその想いは裏切られ、芳子は冴えない書生の女になり下がり、実家に帰っていった。ときとして性に対する露悪的な見解と共に、時雄の身勝手なままの情動を綴ったこの作品の最後には、芳子の去った部屋で彼女が眠っていた汗・涙・体臭の滲んだ蒲団に顔を埋め泣くシーンで終わる。妻帯者でありうだつのあがらない作家であった時雄は、ひとりの(幻想視していた)女を失い、悲嘆にくれるのであった。 読後の印象としては時雄の身勝手さである。密通しているだの破廉恥だのという感覚は、現代においては希薄になっていることから、あまり共感はできなかったように思うものの、家族会議とも言うべき芳子・芳子の父・秀夫・時雄の四人が、その"問題"に対して話し合う様を見れば、当時そのことがいかに重要で「外聞の悪いこと(?)」であり、またそれを重視されていたのかを窺い知ることができるだろう。それでいて、監督・保護するものとしての時雄は、全く俗に言う「大人な対応」でありながら、その胸の内では煩悶としており、逆を返せば情けないほどである。芳子の人生は時雄によって狂わされたと言ってもいいほどであり、また自らが踏み外していったとも言える。どっちつかずで落とし所のない芳子の境遇と時雄の哀愁の浮遊感がなんとも言えない。

Posted byブクログ

2014/01/05

【あいつむぎ2013年11月陳列】2013.11.14 推薦者:LAN(http://ayatsumugi.blog52.fc2.com/blog-entry-351.html)

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2013/11/12

時雄と芳子の不義の愛を描いた私小説です。好きな女の布団に顔をうずめて泣くなんてなんて気持ちの悪い男と最初は思いましたが、そうすることでしか見れんと愛を出すことができなかったんだなと今は思います。 九州大学 ニックネーム:川島太一郎

Posted byブクログ

2013/11/06

輪郭をぼやかすことなく、描写を展開する自然主義の文章には柔らかい印象がある。物語も登場人物も素直に見える。しかし、それは数多の物語が戦後時間をかけて作り出した素直だ。それはさておき、田山花袋の文は無駄がなく、さっぱりしていて、美しかった。それだけで価値があった。

Posted byブクログ