月の裏側 の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
自分とは何か?人間一度は自分に問うてみる疑問でしょう。 では「自分」とは一体何でしょうか?たしか人間の細胞は半年もすればもう全く別物になり変っているという話があったはず。 物質的なレベルでは確実に今の「自分」は失われていきます。 しかし私たちは「自分」が「自分」であることを疑いません。それはなぜでしょう? それを可能にしているのが記憶でしょう。 自分が自分であるという記憶。その連続性が「自分」を形作っている根本です。 しかしそれは本当に正しいのでしょうか?その記憶は本当に本物?どこかで変化してませんか? そしてそれにすら気づいてないとしたら? さてさて・・。 そんなことを考えだすと訳が分からんくなるので、この辺でやめておきましょう^^ 「私が他の誰でもない私である」という感覚・・。 それは記憶という結構あやふやなものによって支えられています。 だからこそそれが崩れないように、人は色々なものを身に付けて自分自身を守るんですね。 と、まあグダグダ書いてますが、考えても答えの出ないものを考えてみようという結構に贅沢な機会を与えてくれる一冊であることには間違いないです。
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この本を読んでいると琉球の季節と似た感覚を覚える。 ゆっくりでのろのろと進む。そしてジワジワと浸食していく。 勢いはないけど 目が離せない。 最後に多聞が女性を訪ねていくシーンが印象に残る。 すべての不可解なものも母はすべてを飲み込むとメッセージされている様で、 ぞっとする...
この本を読んでいると琉球の季節と似た感覚を覚える。 ゆっくりでのろのろと進む。そしてジワジワと浸食していく。 勢いはないけど 目が離せない。 最後に多聞が女性を訪ねていくシーンが印象に残る。 すべての不可解なものも母はすべてを飲み込むとメッセージされている様で、 ぞっとすると同時に母性の鈍感さ、おおらかさ、逞しさに舌を巻く。 子を生んでいない女性には持ち得ない。 母、すごし。。
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初めて読んだ時はよくわからないままでしたが、「不連続の世界」を読んだ後だと、多聞のキャラクターがはっきり見えてきて面白かった。 ぞわりとする雰囲気や、とても見事な感覚の表現や、はっとさせられる物事の核心をつく物の見方なんかがとても素晴らしくて、恩田陸の味を満喫できる作品でした。 ...
初めて読んだ時はよくわからないままでしたが、「不連続の世界」を読んだ後だと、多聞のキャラクターがはっきり見えてきて面白かった。 ぞわりとする雰囲気や、とても見事な感覚の表現や、はっとさせられる物事の核心をつく物の見方なんかがとても素晴らしくて、恩田陸の味を満喫できる作品でした。 解説もよかったです。
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2007/03/31 読了。 薄ら寒いものを感じさせるお話・・・。 途中で先が読めてしまったので、若干気抜けしながらも読み進める。 タネ(?)をばらした後、主役格4人の心の葛藤や揺れをもっと突っ込んだら別の意味で傑作になった気がする。 「惜しい」感じ。
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ホラーっぽくて、ちょっと怖かったです。 ホラーっぽいと言うより、やっぱりホラーなのかな? コワイ漫画もテレビもかなり苦手なんですが、これくらいのしかも小説なら なんとか読めます。
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★☆☆ 私でも読めるホラー。笑 〝ホラー〟って書いてあって迷ったんだけど、 恩田さんは割と好きだから、おそるおそる読んでみた。 ミステリーとホラーの中間みたいな感じ。 相次ぐ失踪事件の謎を追う中で協一郎たちが気付いてしまった、 掘の水の力と、〝人間もどき〟の存在。...
★☆☆ 私でも読めるホラー。笑 〝ホラー〟って書いてあって迷ったんだけど、 恩田さんは割と好きだから、おそるおそる読んでみた。 ミステリーとホラーの中間みたいな感じ。 相次ぐ失踪事件の謎を追う中で協一郎たちが気付いてしまった、 掘の水の力と、〝人間もどき〟の存在。 前半の謎への導入部分が特に良かった! 〝怖そう、でも読んでみたい〟っていう気持ちでうずうずした。 〝人間もどき〟は気持ち悪いけれど、ホラーっていうほどでもないかな。 後半では、〝自分〟って何なのかを考えさせられる。 (2007.10メモ→2010.04ブクログ)
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閉鎖された世界で起こる謎。 と、言ってしまえばそれまでなのだが、思いのほか面白いのはSF要素まで盛り込まれているからか。 消えて戻ってくる住民は、同じようで同じじゃない。 変わりないはずなのに、違和感がぬぐえない。 それは、その本人自身でさえ確信が持てないが確かにある違和感。 何...
閉鎖された世界で起こる謎。 と、言ってしまえばそれまでなのだが、思いのほか面白いのはSF要素まで盛り込まれているからか。 消えて戻ってくる住民は、同じようで同じじゃない。 変わりないはずなのに、違和感がぬぐえない。 それは、その本人自身でさえ確信が持てないが確かにある違和感。 何かが逆転し続けて、いつしか自分とジブン、世界とセカイの境界線さえ分からなくなってしまった。
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「不連続の世界」の塚崎多聞が登場。話の盛り上げ方はすごくうまいけど、まとめがどうも消化不良な感じになってしまう。そんなのが他の作品にも多いので、この人の持ち味といえばそうなのでしょうが。。 終盤にかけて70・80年代のSF小説のような雰囲気になる。ねっとりとまとわりつくような日本...
「不連続の世界」の塚崎多聞が登場。話の盛り上げ方はすごくうまいけど、まとめがどうも消化不良な感じになってしまう。そんなのが他の作品にも多いので、この人の持ち味といえばそうなのでしょうが。。 終盤にかけて70・80年代のSF小説のような雰囲気になる。ねっとりとまとわりつくような日本的なホラー要素も。舞台のモデルになっているのは福岡県柳川市。
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相変わらずスリリングなストーリーテリングと思想の見え方が絶妙。 みんな、ひとつになってしまいたいの? 反グローバリズムかなって思ったのはわたし個人の見方かもしれないけど、かなり皮肉っぽく現代社会を見ているのは確かだと思う。人間の画一化、独自の文化の消滅、それってほんとに望んだ...
相変わらずスリリングなストーリーテリングと思想の見え方が絶妙。 みんな、ひとつになってしまいたいの? 反グローバリズムかなって思ったのはわたし個人の見方かもしれないけど、かなり皮肉っぽく現代社会を見ているのは確かだと思う。人間の画一化、独自の文化の消滅、それってほんとに望んだことなの?
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文章がやっぱりうまいなぁ、と言うのが感想。 本書にもその名が登場するがSF古典『盗まれた町』を恩田陸的にアレンジした物語。 もうすぐ映画で『地球が静止する日』が公開されるが、いつも時代も人類は征服されたがっているよう。 本書ではSF的なハラハラドキドキではなく、人が根底に持つ多様...
文章がやっぱりうまいなぁ、と言うのが感想。 本書にもその名が登場するがSF古典『盗まれた町』を恩田陸的にアレンジした物語。 もうすぐ映画で『地球が静止する日』が公開されるが、いつも時代も人類は征服されたがっているよう。 本書ではSF的なハラハラドキドキではなく、人が根底に持つ多様化の話など、人類の進化に対する独特の考え方が面白い。 読後もなぜか読み終わった気がしないのは、すべてに明確な結論がでないせいだろうか。 自分が自分であることの証明。 すべてを疑ってかかったならば、誰がこの世界が現実に存在し、この世の中がリアルに動いていることが証明できるだろうか。 しかし、例え現実が現実通りではなくても、実はそんなに大した事ではない。 そんな一見投げやりだが、穏やかな感情にさせられてしまう、一風変わった物語。 余談ですが、ピンクフロイドの名盤に『The dark side of the moon』というアルバムがありますが、つなりはありません。
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