花神(上) の商品レビュー
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上、読み終わり。 いかにもぼくとつ&めんどくさいという感じの主人公の周りで、一気に知識・文明・社会が開いていくこの胸熱・wktk感。 学ぶべきものが明らかで、しかも役に立つ時代。 ユキチが出てくるけど、これはほぼ実質的にライバルと言ってよい。 下巻まで読み終わり。いい。
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NHKの大河ドラマが切っ掛けで司馬遼太郎作品を読むようになったがこの作品が確か最初だった。この作品で司馬さんのほとんど実話であるかのように感じさせる語り口に魅せられてしまった。以後司馬作品を貪り読むことになった。
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「世界の宗教が性愛をコントロールするために発展した」という物語の本筋からは全然関係ないように思える作者の独白が興味深かったです。 ふーん。ほんなら、日本人はコントロールする必要もないぐらいの淡白さだったから一神教になる必要がなかったのか。 確かに枕絵の過剰な描写は実体験できないよ...
「世界の宗教が性愛をコントロールするために発展した」という物語の本筋からは全然関係ないように思える作者の独白が興味深かったです。 ふーん。ほんなら、日本人はコントロールする必要もないぐらいの淡白さだったから一神教になる必要がなかったのか。 確かに枕絵の過剰な描写は実体験できないようなものが多そうだし、妄想で事を済ましてしまえるのは淡白な証拠か。 一局面に過ぎないかもしれないが、斬新は考え方に思えました。
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まず以下、簡単なあらすじ。 緒方洪庵の適塾での修養を積んでいた村田蔵六(のちの大村益次郎)は、蘭学の才能を買われ、宇和島藩で蒸気船の製造や砲台の建造に携わり、同時に蘭語の兵書の翻訳をします。その後、宇和島藩主の参勤交代に付き従い、江戸に上京し、鳩居堂という蘭学塾を開きます。しだいに才能が幕府にも見いだされ、ついに郷里の長州藩に招かれます。 上巻では、討幕軍の総司令官として活躍する姿は、まだ見えてきませんが、その下地はできつつあります。例えば、蔵六は理詰めで考えることがすきであるが、しかし町さがし、家さがしは勘でやると書かれてあります。そういう嗅覚が時代を旋回させる役に立つのだろうと思います。あと蘭語の兵書の翻訳も多いに役に立つのだろう思います。
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上中下巻。 長州の村医者だった村田蔵六(大村益次郎)が、蘭学を学んだことにより明治維新の一角を担うことになり、最後には刺客に襲われて落命してしまうという話。 以前読んだ「胡蝶の夢」とは蘭学繋がりで、「翔ぶが如く」とは明治維新の偉人(西郷隆盛など)繋がりで、新たな発見があって面白かったです。 人物的には好き嫌いは微妙ですが、その信念と偉業はすばらしく、時代が呼び寄せた人なんだなぁ、と思いました。 数年前に靖国神社に行った際、この方の銅像を見ましたが、もっとじっくり見てくれば良かったと、少し後悔しました。 もし機会があれば、今度は拝んでこようかと思います。
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幕末に長州藩の軍師となった大村益次郎(村田蔵六)の話。 田舎医者、蘭学者である。緒方洪庵(適塾)に師事。 この時代のエネルギーに圧倒される内容。
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時代は幕末。主人公は長州藩の軍師 村田蔵六(後の大村益次郎)。 蔵六はもともと医者なのだが、外国語に精通していることから抜擢され、蒸気船の製造や、長州藩軍師として、才能を発揮していく。 彼の役割はリーダーではなく、どちらかというと軍師・参謀。 軍隊の訓練・武器の調達・実戦における戦略立案を、理論立てて実行していく。時には冷酷な判断も選択しつつ。 読んだのは大学の頃だが、当時から蔵六の生き方にあこがれていた。 蔵六は、自分で望んだり周りにアピールしたりしたわけでもないのに、才能を認められ、やりがいのある仕事をどんどん任されていく。 今の私の仕事が、技術職でも地道な裏方作業が多いため、蔵六の環境にオーバーラップする面もあり、私にとって「花神」は司馬作品の中でベスト3に入る本である。
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長州藩 蔵六が居てこその長州藩であったと思います。 小さな一国があれ程頑張れた原動力の一つを担っていたと思います。 すごく面白かったです。
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近代兵制の創始者とも言える、大村益次郎の生涯を描いた作品の上巻。 村田蔵六という、天才的偏屈男に対して親近感が持てた。 また、蔵六と緒方洪庵、福沢諭吉などの関連や、幕末におけるオランダ語から英語への変遷など、面白く読めた。
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周防の村医から一転して討幕軍総司令官となり、維新の渦中で非業の死を遂げた我が国近代兵制の創始者:大村益次郎(村田蔵六)を主人公とした小説である。 司馬ファンでも人気が高い作品ということで読み始めた。さきに読了した司馬遼太郎短編集の中の「鬼謀の人」にて主人公として登場し、興味をそそ...
周防の村医から一転して討幕軍総司令官となり、維新の渦中で非業の死を遂げた我が国近代兵制の創始者:大村益次郎(村田蔵六)を主人公とした小説である。 司馬ファンでも人気が高い作品ということで読み始めた。さきに読了した司馬遼太郎短編集の中の「鬼謀の人」にて主人公として登場し、興味をそそられたこともある。 日本史好きな私であるが、大村益次郎の名前は今まで「長州藩出身の軍人」というくらいの認識しかなく、幕末ものの小説やドラマにもほとんど登場してこなかったため、読むのに骨が折れるのを覚悟していたが、予想外にスラスラ読めた。シーボルト、緒方洪庵、福沢諭吉、桂小五郎などメジャーどころとの絡みが多く、蔵六自身も味のあるキャラクターであり感情移入しながら読めたからだろう。また、同じく短編集の「伊達の黒船」に登場した嘉蔵も宇和島藩における蒸気船製造のくだりで蔵六と絡み、楽しませてくれた。 以下に、感銘を受けた発言を紹介したい。 •「人生は、単純明瞭に生きてゆく方がいい」 →蔵六の信仰の一つらしい。蔵六に好意を寄せるイネ(シーボルトの娘)に対して、自分には妻がいるため後々厄介になるからと自身を思い留まらせる、という場面である。この台詞は、同じく司馬遼太郎氏の「坂の上の雲」における主人公:秋山好古も弟の秋山真之に対して発する。司馬氏はこうした合理主義的な考え方を好んだのだろう。 •「どうも、おぬしには分からんようだな。それはあらかじめ下調べして来ぬからだ。頭に七分どおりのものを入れてから講義を聴けばよく分かる。それをせずに出ていると、いたずらに心気を労するのみで学問が苦痛になる。 →蔵六が、鳩居堂に入塾してきた伊藤雋吉(のちの海軍中将)に対して諭した言葉である。本作品には、蔵六が10代の頃から勉学に励んできた経過は記されているが、どのように創意工夫をしてきたかは描かれいない。しかし、弟子にこう諭したところをみると、蔵六の学習方法を推して知ることが出来る。よく「予習よりも復習が大事」と言われるが、私の学習方法は蔵六と同じで予習重視である。私自身が飲み込みの遅い人間なので、真っさらの状態から講義を聴いても理解出来ないからである。 •「ヨーロッパを勃興させたのは産業革命である。その最も大きな成果が蒸気船であり、日本もこの産業革命に参加しなければならない。我が藩小なりと言えどもよろしく先覚し、さきがけをなし、日本国に大刺激を与えたい。このため藩財政が傾いても止むを得ない。日本が滅びて宇和島のみが生き残ることはあり得ないからである」 →四賢候の一人と言われる伊達宗城の言である。状況を客観視し、先を見通す能力は尊敬に値する。 •「原理というものを優先して実在を軽視すればよき智恵も曇る。原理に合わぬからといって実在を攻撃することはいけない」 →日本で初めて人体解剖を行った漢方医:山脇東洋の哲理である。大原理と実際の人体内部の姿が違うことについて、宋の解剖医などはこれまで大原理への忠誠心が強く、自分の目で見たものを信じなかったが、山脇東洋は漢方医でありながら、原理そのものに疑問を持ったのである。まさに司馬遼太郎氏が唱える合理主義である。
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