花神(上) の商品レビュー
町医者
はやらない、風采の悪い町医者から、官軍総司令官になった大村益次郎の話。刀を抜けない、馬に乗れない等の有名なエピソードが有るが、剣道、乗馬を習った事がないので当然。
岡博文
近代兵制の創始者大…
近代兵制の創始者大村益次郎の生涯を描く作品。頑固なほどに合理的な益次郎の思考は気持ちがよく、好感が持てます。日本史上まれにみる地味な英傑。彼が暗殺されずに、陸軍を仕切っていたら、精神論で暴走する陸軍は生まれなかったと思う。この本を読むと、豆腐が食べたくなります。
文庫OFF
強弱のある文体でリズ…
強弱のある文体でリズム良く主人公を知ることができる。一種、人と交わる事に興味の無いような大村益次郎‥でも司馬氏の文体にかかると‥かわいい人に思えるから不思議‥。彼の発言、行動に興味がそそられてくる‥。
文庫OFF
大村益次郎の物語です…
大村益次郎の物語です。性格のちょっと変わった技術者です。技術だけを拠り所にして生きています。長州藩は全く相手にしてませんが、この人物が周防に生まれたのは長州の幸運です。
文庫OFF
朴訥ながら能力と、時運によって一気に国の中心に向かっている村田蔵六。全く知らない人物でした。でもここからどう大村益次郎に成り上がっていくのか。
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主人公の村田蔵六(のちの大村益次郎)について、この小説を読むまで全く知りませんでした。 緒方洪庵の門生であった村田蔵六。はじめは医者となり、蘭学を教えるは、軍艦をつくることにも携わるは、目まぐるしく変わる人生と、高い能力に驚きました。 上巻で1番心に残ったのは、シーボルトの落...
主人公の村田蔵六(のちの大村益次郎)について、この小説を読むまで全く知りませんでした。 緒方洪庵の門生であった村田蔵六。はじめは医者となり、蘭学を教えるは、軍艦をつくることにも携わるは、目まぐるしく変わる人生と、高い能力に驚きました。 上巻で1番心に残ったのは、シーボルトの落とし子イネとの数奇な出逢いと、その後の関係性でした。蔵六はイネに蘭学を教授します。 イネと蔵六の、男女の情愛や師弟愛を超えたもっと深いものを描こうとする司馬遼太郎さんの筆致は秀逸で、胸に迫るものがありました。イネさんの気持ちを思うと、辛すぎました。 蔵六は、吉田松陰の埋葬日に桂小五郎に見出されます。その現場で蔵六は、女刑死人の解剖をしていた・・・・何という人生の巡り合いの不思議。 蔵六は、宇和島藩から長州藩にひっぱられ、福沢諭吉との付き合いもあり・・・・ 村田蔵六の今後の活躍が楽しみです。そして、イネさんとの行く末も気になるところです。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
印象的な記述を記しておく。 「この極東の島にいる日本人のおもしろさは、オランダ文字といういわば針の頭ほどに小さな穴を通して、広大な西洋の技術世界をのぞいている。」 中略 「西洋人がヨーロッパの他の言語をまなぶ作業とは、大いにちがっている。言語の世界に対してそれぞれの学び手がもっている文明の像と質に対する想像力を最大限にはたらかせることであった。」 「そういう想像力の作業は、この地球上のいかなる民族よりも、日本人はふるい鍛錬の伝統をもっていた。」 スマホやSNSが普及した現代では、情報が波のように押し寄せてくるため、想像力を膨らますにも脳の容量が足りなくなるケースが多い。実際、最近は似たようなコンテンツが多く、独創性に欠ける。それで満足するのも1つの手ではあるが、本当に独創的なコンテンツを作りたければ、一度情報の受け口を狭めて、情報が不足している状態で想像してみると面白いものができるのではないかと、ふっと思った。
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維新新政府軍を率いた長州藩士、大村益次郎(村田蔵六)の物語。 大阪、緒方洪庵の適塾にて蘭語(医学)を学び、一時は地元の長州・スセンジ村の祖父の代からの村医者を継ぐが、伊予宇和島藩や幕府からの招聘で医学塾や蕃書調所の教授となり、位を上げていく。 そんな中で藩士に蘭学を教える者を欲し...
維新新政府軍を率いた長州藩士、大村益次郎(村田蔵六)の物語。 大阪、緒方洪庵の適塾にて蘭語(医学)を学び、一時は地元の長州・スセンジ村の祖父の代からの村医者を継ぐが、伊予宇和島藩や幕府からの招聘で医学塾や蕃書調所の教授となり、位を上げていく。 そんな中で藩士に蘭学を教える者を欲した長州から薄給、低身分で召され、従う。日本武士の強さを示して独立国家として植民地化されないための「開明的攘夷論」を唱える。 吉田松陰を埋葬した後の桂小五郎と再開した場面や、最後の福沢諭吉(開明論)とのやりとりが印象的だった。長州藩へのナショナリズム。
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私は作中後半に出てくる「ヘボン式ローマ字」 という言葉は知っているが、それが、江戸末期に日本へ来た外国人医師「ヘボン」が発明したから、とは知らなかった。 オランダ語を知ることから始めた村田蔵六が英語を学ぶ為に幕府が招へいしたヘボン医師から英語を学ぶ。 この頃の外国人は極東の...
私は作中後半に出てくる「ヘボン式ローマ字」 という言葉は知っているが、それが、江戸末期に日本へ来た外国人医師「ヘボン」が発明したから、とは知らなかった。 オランダ語を知ることから始めた村田蔵六が英語を学ぶ為に幕府が招へいしたヘボン医師から英語を学ぶ。 この頃の外国人は極東の野蛮国と日本を認識していたが、その野蛮人の日本人が、英語が出来ないくせに、二次方程式を含む代数や平面三角法や球面三角法といったものに良く通じていたことに驚き、ヘボンは「アメリカの大学卒業生でもこれら若い日本人を負かすことは出来ないであろう」と驚いている。 という下りがあるが、江戸時代の日本人には塾などでの、読み書きの素養が有り、勉学の下地は十分にあったのでしょう。明治に成ってみるみるうちに発展を遂げ、遂には日露戦争のように外国を負かしてしまう。その源となるのが村田蔵六、後の大村益次郎であるという。 幕末を村田蔵六という、攘夷志士以外の視点から見た本書は実に面白い。 また、シーボルトの娘のイネとの関係についての記述も面白かった。
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学者のこころ 石井宗謙のエピソード “物習いはさかんだ。しかし物習いを学問とはいえまい。学問とは、あたらしいことを拓く心があってはじめて成立する世界だ。
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