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寝ながら学べる構造主義 の商品レビュー

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312件のお客様レビュー

  1. 5つ

    95

  2. 4つ

    115

  3. 3つ

    62

  4. 2つ

    10

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2015/01/15

構造主義と聞くだけで、とても難しい印象を受けるものですが、タイトルに勇気づけられて読んでみました。 系統立てて、難しい文献をかみ砕いて解説されており、わかりやすくはありますが、ビギナーにはとても「寝ながら学べる」簡単なものではありませんでした。 それでも、これまで全くピンとこなか...

構造主義と聞くだけで、とても難しい印象を受けるものですが、タイトルに勇気づけられて読んでみました。 系統立てて、難しい文献をかみ砕いて解説されており、わかりやすくはありますが、ビギナーにはとても「寝ながら学べる」簡単なものではありませんでした。 それでも、これまで全くピンとこなかった構造主義の流れが、漠然ながら見えてきた気がします。 卑近な例を採り上げたわかりやすい例えが魅力的。 『地球の歩き方』の新しい情報を引き合いにしたりしています。 構造主義の源流の一つはマルクスだという意見には驚きました。 全く違うジャンルかと思っていましたが、「属する階級によってものの見え方が変わってくる」ということを説いたという点では、確かに共通点を感じます。 今でこそ、相対的価値観のもとに世界理解はなされていますが、ほんの50年前は、まだ絶対的価値観が主流だったと気付かされます。 戦争に、絶対的正義はないものだということを、今でこそ人は理解できますが、1950年代のアルジェリア紛争時、フランスを動かす絶対的正義論に異論を唱えたのはカミュだけだったそうです。 突然、狂言の話が出てきたことにも驚きましたが、例えの多彩さと柔軟さ。 「ぶす」に登場する太郎冠者に焦点を当て、「『太郎冠者が嘘つきであることを主人は知っている』ということを太郎冠者は知らない」という点を、構造論的無知だと説明します。 そう言われれば、なんとなくわかってくるものです。 また、ニーチェは超人が何たるかをはっきりと説明していないという点にも驚きました。 わかったつもりでいながら、雰囲気だけで定義をつかみ切れていないのは、そもそも提唱者が明確に論じていなかったためだというわけです。 ニーチェの系譜学的思考がミシェル・フーコーに継承され、大衆嫌いの大衆たちによる「ポスト大衆社会」が形成されていったとのこと。 ニーチェ→フーコーの「嫌悪する思想」について、系統立てて考えてみると、理解しやすそうです。 明治維新まで、日本人は全員が右足を踏み出すときに右半身を前にするナンバ歩行をしていたということも、知りませんでした。 明治維新後に軍隊行進をヨーロッパ化するために廃止になったものの、完全に消えるまで100年かかったということ。 ほんの少し前まで、日本人の歩き方は、今とは違うものだったとは。 割と馴染んできたバルトについての箇所が一番読みやすかったものの、それでも知らないことが多く、驚きが随所にありました。 『零度のエクリチュール』を経て、彼は日本の「空」や「間」の感覚に向かい、最終的には俳句に行き着いたとのこと。 ラカンは難解で全く理解できない箇所が多々あるため、研究書がとりわけ多いのだと書かれており、(やはりそういうものか)と思いました。 私には、深い理解は無理だろうと諦めていた構造主義ですが、一般的にも「邪悪なまでに難解」と思われていたとのことで、なんだかほっとします。 最後に、まとめとして構造主義の四銃士の主張を レヴィ=ストロース「みんな仲良くしようね」 バルト「言葉遣いで人は決まる」 ジャック・ラカン「大人になれよ」 フーコー「私はバカが嫌いだ」 と書き切った、その潔さに感服しました。 専門書のように狭く深くではなく、幅広い視野を持って、そのものの質を壊さないままわかりやすく伝えようとする著者の意図が伝わってくる一冊。 途中でギブアップするかと思いましたが、興味を引かれる内容のもと、最後まで読み通すことができました。

Posted byブクログ

2012/12/13
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ものすごい荒い個人用メモ。 マルクス的な史的唯物論と、ニーチェ的な「歴史の名においてすべてを裁断する権力的・自己中心的な知」(p.150)である実存主義に対して、構造主義が現れる。 フロイトの精神分析、ソシュールの言語学から始まる。 フーコーは「人間主義」に異論を唱え、その歴史主義と理性主義が語らなかった「狂気」の誕生を発見する。「カタログ化し、一覧的に位置づけ」る方法としての「権力」を批判する。 ここでは制度化された狂気を、それは権力によるものだとしてフーコーは批判しているんでしょうか?捉えきれませんでした。 バルトのシニフィアンとシニフィエ。ラング、スティル、エクリチュール。ソシュールを引き継ぎ、言語という現象を分析する。テクスト。小説家に自分の書いた小説の解説ができるなら小説なんて書かない。 レヴィ=ストロース。実存主義と構造主義は、本質など無いのであって、個人から表出されたものが初めて自己を規定する、という点では同じ。しかしサルトルは、そうして「政治的正しさ」に近づけると考えた。一度手放した「神」を、「歴史」に置き換えて裏口から入れてしまう。 『野生の思考』、数理的分析による親族モデル、贈与。ここから人間関係に存在する、しかもそれまでには見えなかった構造を見出す。 ラカン。自我、私、主体。この章はイマイチよくわからなかった。 ラカンが「フロイトに還れ」と言った、というのは覚えている。 読み終わった感想として、構造主義のフンイキはつかめたような気がする。ただ、結局それが何なのかと聞かれても多分説明できなそう。現代フランス思想を知るにはいい本だとは思うけど、構造主義を知るには片手落ちな気がする。ラカンの章を読み終わって、「んで?」ってなってしまった。 なぜかと言えば、フーコーとバルトとレヴィ=ストロースとラカンが何で構造主義者と呼ばれていて、この4人に共通することは結局何であるのか、それが書いていなかったからだと思う。この4人の共通項に「構造主義」があると思うのだが、それが知りたいんだ。まとめをあと1章書いてくれれば、もっと綺麗に落ちたと思うのだが。

Posted byブクログ

2012/12/03

タイトルが難しそうだからって今まで躊躇してたん、アホやったなぁ。 あぁその躊躇してた時間が勿体無かった~! 全部を理解できたわけじゃないけど、「そういうことかぁ~、ポン!」と膝を打ちすぎて膝がへこみそうなほど。 まだまだ理解できてない部分はいっぱいあるけど、とにかく知的興奮とい...

タイトルが難しそうだからって今まで躊躇してたん、アホやったなぁ。 あぁその躊躇してた時間が勿体無かった~! 全部を理解できたわけじゃないけど、「そういうことかぁ~、ポン!」と膝を打ちすぎて膝がへこみそうなほど。 まだまだ理解できてない部分はいっぱいあるけど、とにかく知的興奮というんだろうか、始終心の中で「うわぁーうわぁー、そーなんかぁー」って叫んでた。 さらにタツラーの私としては、密かに裏に載ってる著者の顔写真を見るのも楽しいです。 この写真の内田センセイがとてもお若い! http://big-river.cocolog-nifty.com/blog/2012/11/post-afc2.html

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2012/11/06

日本のKindle Storeで購入。 フーコー、バルト、ラカン、レヴィ=ストロースと一気に理解した(ような気になる。)もう一度、悲しき熱帯を読み直そうっと。

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2012/10/25

http://staygold1979.blog.fc2.com/blog-entry-346.html

Posted byブクログ

2012/10/10

橋爪の「はじめての構造主義」 は一体なんだったんだ?! と驚愕するくらい素晴らしい入門書。 これだよ、これ!(≒このレベルじゃないとわかんねーよ!) マルクス、フロイト、ニーチェ、サルトルから入り、 ソシュールら「構造主義四銃士」に流れる解説で 現代哲学の基礎はば...

橋爪の「はじめての構造主義」 は一体なんだったんだ?! と驚愕するくらい素晴らしい入門書。 これだよ、これ!(≒このレベルじゃないとわかんねーよ!) マルクス、フロイト、ニーチェ、サルトルから入り、 ソシュールら「構造主義四銃士」に流れる解説で 現代哲学の基礎はばっちりです(多分)。 フロイトにおける「抑圧」の概念とか ラカンの精神分析とか、小難しいそうだけど なんだ、そんなことだったの!の連続。 しかし内田の真骨頂は、 その前書きにアリ。 -知性がみずからに課すいちばん大切な仕事は、実は、「答えを出すこと」ではなく、「重要な問いの下にアンダーラインを引くこと」なのです- 知性がガシガシ動いていくこの感覚。 梅雨の夜長にお薦めの一冊です(眠くなるから)。

Posted byブクログ

2012/09/10

初めて買った内田先生の本。裏を見ると平成14年の7版と書いてあるから読んだのはもう十年前近く前なのか… なんとなく読みたくなって再読した。 構造主義についてわかりやすく説明してくれる本である。マルクス、フロイト、ニーチェといった前の時代の前提となる知識をおさらいしながら、ソシュ...

初めて買った内田先生の本。裏を見ると平成14年の7版と書いてあるから読んだのはもう十年前近く前なのか… なんとなく読みたくなって再読した。 構造主義についてわかりやすく説明してくれる本である。マルクス、フロイト、ニーチェといった前の時代の前提となる知識をおさらいしながら、ソシュールを経て構造主義四銃士(フーコー、ロラン・バルト、レヴィ=ストロース、ラカン)へと論を進める。 いろいろと内田先生の本を読んできた後なので、この頃から基本的な考え方がぶれていないことを確認した。『昭和のエートス』も最近読んだところで、その中で面白いカミュ論がありカミュを読みたくなってきているが、『寝ながら~』の中のカミュ=サルトル論争から、レヴィ=ストロースのサルトル批判へ至る所までの流れを読んで、サルトルもなんとなく読んでみたくなっている。「レヴィ=ストロースの文章は端正で明晰でそのままフランス語の教科書に使いたい」という文を読んで、大学の頃フランス語の授業で『悲しき熱帯』の一節を読んだのを思い出した。フランス語はほとんど忘れたが、「悲しき熱帯」の原題が "Tristes Tropiques" であることはなぜか覚えている。 バルトが日本の文化について論じているところとか何となく忘れていた。これも気になる。ニーチェも良さそうなんだよなあ… とか言っていると際限がなくて困ってしまう。ああ時間が欲しい… 内田先生の「初心者向けに書かれた本には良書が多い」という感覚には共感。

Posted byブクログ

2012/09/08

「まえがき」より  よい入門書は「私たちが知らないこと」から出発して、「専門家が言いそうもないこと」を拾い集めながら進むという不思議な行程をたどります。知性探求は「私は何を知らないか」を起点に開始されます。入門書は専門書よりも「根源的な問い」に出会う確率が高い。知性がみずからに課...

「まえがき」より  よい入門書は「私たちが知らないこと」から出発して、「専門家が言いそうもないこと」を拾い集めながら進むという不思議な行程をたどります。知性探求は「私は何を知らないか」を起点に開始されます。入門書は専門書よりも「根源的な問い」に出会う確率が高い。知性がみずからに課すいちばん大切な仕事は、「重要な問いの下にアンダーラインを引くこと」なのです。  構造主義という思想がどれほど難解とはいえ、それを構築した思想家たちだって「人間はどういうふうにものを考え、感じ、行動するのか」という問いに答えようとしていることに変わりはありません。彼らがその卓越した知性を駆使して解明せんとしているのは、他ならぬ「私たち凡人」の日々の営みの本質的なあり方なのですから。

Posted byブクログ

2012/08/14

前に自分で書いた書評には「すんごい面白い」と書いてあったが3年経って内容をすっかり忘れているので、もう一度読み直したいリスト入り。 books132

Posted byブクログ

2012/08/07

先週読んだ、檜垣立哉「フーコー講義」(河出ブックス)が、あまりに難易度が高く、本作品を読むことに。 本作品は内田氏の軽妙で巧みな筆致で、前時代の思想家マルクスやニーチェを踏まえつつ、構造主義時代の代表的人物と言われるフーコー、レヴィ=ストロース、バルト、ラカンの思想が解説されて...

先週読んだ、檜垣立哉「フーコー講義」(河出ブックス)が、あまりに難易度が高く、本作品を読むことに。 本作品は内田氏の軽妙で巧みな筆致で、前時代の思想家マルクスやニーチェを踏まえつつ、構造主義時代の代表的人物と言われるフーコー、レヴィ=ストロース、バルト、ラカンの思想が解説されている。 そして構造主義とは何かについて、次のように述べている。 私たちは、ほとんどの場合、自分の属する社会集団が受け入れたものだけを選択的に「見せられ」「感じさせられ」「考えさせられている」。 そして自分の属する社会集団が無意識に排除してしまったものは、そもそも私たちの視界に入ることがなく、それゆえ、私たちの感受性に触れることも、私たちの思索の主題となることもない。  私たちは、自分では判断や行動の「自律的な主体」であると信じているけれども、実は、その自由や自律性はかなり限定的なものである、という事実を徹底的に掘り下げたことが構造主義という方法の功績なのです。 我々に対し、無意識に「見せ」、「感じさせ」、「考えさせている」モノは何か?我々が所属する社会集団の真理とは一体何なのか?そうこう考えているうちに、「人間は波打ち際の砂の表情のように消滅するであろう」(ミシェル・フーコー)。実に衝撃的だが、修辞句的では済まされなくなりつつあると思う。

Posted byブクログ