寝ながら学べる構造主義 の商品レビュー
人間の自由や主体性が極めて限定的なものであることを平易な言葉で気づかせてもらえた本です。 フロイト、マルクス、ニーチェ等の考え方を構造主義的になぞる構造主義前史、日本人しか肩は凝らないことを教えてくれるソシュール、歴史には起源があることを明らかにしたフーコー、サルトルを一刀両断し...
人間の自由や主体性が極めて限定的なものであることを平易な言葉で気づかせてもらえた本です。 フロイト、マルクス、ニーチェ等の考え方を構造主義的になぞる構造主義前史、日本人しか肩は凝らないことを教えてくれるソシュール、歴史には起源があることを明らかにしたフーコー、サルトルを一刀両断したレヴィ・ストロースの部分が個人的にはおススメです。
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実にありがたい。こんな入門書を待っていた。市民講座の講義ノートをもとに執筆された本書は、「哲学について予備知識のない一般人」を対象としているので、素人でも安心して読み進めることができる。構成は、以下のようになっている。 1.構造主義の生まれる土壌を形成した人々:マルクス、フロイ...
実にありがたい。こんな入門書を待っていた。市民講座の講義ノートをもとに執筆された本書は、「哲学について予備知識のない一般人」を対象としているので、素人でも安心して読み進めることができる。構成は、以下のようになっている。 1.構造主義の生まれる土壌を形成した人々:マルクス、フロイト、ニーチェ 2.構造主義の始祖:言語学者ソシュール 3.構造主義の「四銃士」1:歴史学者フーコー 4.構造主義の「四銃士」2:記号学者バルト 5.構造主義の「四銃士」3:人類学者レヴィ=ストロース 6.構造主義の「四銃士」4:精神分析医ラカン もちろん、こんな薄い新書一冊で、彼らの思想のすべてを網羅することはできない。だから各論についてはざっと紹介されている程度で、ちょっと哲学を学んだ人なら、「なあんだ、その程度のこと」というレベルの話なのかもしれない。それでも私にとっては新鮮な話題ばかりだったし、何より、私たちが普通に使う日常会話の文体で解説してくれているので読みやすく、ビギナーとしては大変ありがたかった。それに、構造主義を学びたければ上に挙げた人々の主著にあたれば良いのだという指針を与えてもらっただけでも、この本を読んだ価値はあった。 しかし、実をいうと本書でもっとも面白かったのは「まえがき」だった。韜晦と諧謔に満ちた文章、逆説的なロジック。しかし、この人を喰ったような文章こそ、実は構造主義的思想の実践なのかもしれないと、何度か読み返した後にようやく気がついた。 <知的探求は(それが本質的なものであろうとするならば)、つねに「私は何を知っているか」ではなく、「私は何を知らないか」を起点に開始されます。>(p12) 要するに、「自分の知識を、常識を、文化を、絶対視しないこと。『自分だけが真理を語っている』と、無邪気に信じるのをやめること」ということらしい。ごく当たり前のことのように思えるが、このような考え方は、構造主義によって初めて本格的に思想史に導入された重要な知見のひとつらしい。本書を読んで、とりあえずその一点だけは理解できた。今後は、理解できた部分を足がかりにして、少しずつ他の書物を読んでいこうと思う。思想史の世界へ分け入るための足がかりを提供してくれた著者に感謝!
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平易な語り口で分かりやすく書かれているが、それでもやっぱり途中から難しくなってきて3章の途中でストップ。また別のときに読も。寝ながらではマジ無理。
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構造主義って少しだけ何かわかった気がする。 この人の本はいつの間にか全制覇しそうになってる。それほど、わかりやすくて読みやすい! 私が私でない、師匠の見てるものを見よ、ソシュールなどは帯の通り目から鱗!だからといって現実社会でどう役に立つのかわからないけど、心の肥料を与えた気分に...
構造主義って少しだけ何かわかった気がする。 この人の本はいつの間にか全制覇しそうになってる。それほど、わかりやすくて読みやすい! 私が私でない、師匠の見てるものを見よ、ソシュールなどは帯の通り目から鱗!だからといって現実社会でどう役に立つのかわからないけど、心の肥料を与えた気分になります。
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構造主義とはなんでしょう、と思い買った本で、構造主義を作った哲人たちを紹介している本。読みやすい本だが内容は難しい本だったので、再読。 彼らは人間社会をモデル化しようとしているのですね。これを読んだことによってすぐ何かの役に立つか、という本ではないと思いますが、ただ、各所には、...
構造主義とはなんでしょう、と思い買った本で、構造主義を作った哲人たちを紹介している本。読みやすい本だが内容は難しい本だったので、再読。 彼らは人間社会をモデル化しようとしているのですね。これを読んだことによってすぐ何かの役に立つか、という本ではないと思いますが、ただ、各所には、なるほど!と膝をうつような箇所もあります。個人的には人間の本性は「贈与」にある、としたレヴィ=ストロース。身の回りに当てはめてみると、自分が得る前に自分が何かを提供せねばならない、ということは仕事を始めてから諸先輩方に言われ続けてきたことだけど、別に仕事に限ったことではなく、社会自体がそうなのですね、と思わされました。よくコンビニのレジに置いてある募金箱なんかに募金すると、いつかどこかで形を変えて反対給付がやってくるかもしれません。(そればかり期待しないほうがいいとは思いますが) この本を読んで、フーコーやバルト、レヴィ=ストロースを読んでみてもいいかもしれない、と思えたことが一番の収穫のように思えます。教養のネットサーフィンをしているかのよう。
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そもそも構造主義って何?てところから読み始めましたが、結果モヤ~っとしたつかみかたにしかなりませんでした。確かに解りやすく書いてあると思うので、後は自分の理解力の問題なんだと思いました。
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これも久しぶりに読み直した本。過去に学んだことがきちんと 定着しているかを確認できた。「構造主義」というと固く聞こえる かもしれないが、実は我々現代人の「認識のルール」は、「構造主義」 的なものに大きく支配されているので、普段思想系を読まない人が 読んでも「あーそういうことか」と...
これも久しぶりに読み直した本。過去に学んだことがきちんと 定着しているかを確認できた。「構造主義」というと固く聞こえる かもしれないが、実は我々現代人の「認識のルール」は、「構造主義」 的なものに大きく支配されているので、普段思想系を読まない人が 読んでも「あーそういうことか」と納得する場面が多いと思う。 そういう意味で、まさに「寝ながら学べる」。 そして、概ね内田樹氏の文章はその世界の素人でも読みやすい。 そもそも、モダンとポストモダンの違いは乱暴に言うと、 「実在」か「関係」かということ。「到達すべき崇高なゴールやら、 頂点やら、芯をめざしてがんばろうぜ」というのがモダンで、 「芯があるかなと思って玉ねぎ剥いたけど全部皮で、なかったぜ」 というのがポストモダン。そこで、じゃあ我々はどーやって 玉ねぎをおいしく味わうかということを考えるのが大事。 つけ麺の薬味でもカレーでもなんでもいいのだけど、「私なり」の あるいは「私たちなり」の料理法を編み出すべしってこと。 ほっとくと、「誰かの料理」のためにだけ、ひたすら玉ねぎが 供されまくって、「あー私はどうやって食べようかな、あわあわ」 というのが、グローバリゼーション。だから、「○○ちゃん、 一緒に玉ねぎ料理しましょう」って言える「○○ちゃん」との 適度な(≒過剰にならず)つながりをつくるのが大事だということです。
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「寝ながら学べる」という題名に惹かれて購入。 タイトルの割に難易度が高く、寝ながら読んだら、寝落ちする内容。 フロイト、ニーチェ、フーコー、ラカン、ヘーゲルなどといった、「著作は読んだことはないし、彼らの鉱石も知らないけど、名前だけは知っている。」というビッグネームの業績を濃縮し...
「寝ながら学べる」という題名に惹かれて購入。 タイトルの割に難易度が高く、寝ながら読んだら、寝落ちする内容。 フロイト、ニーチェ、フーコー、ラカン、ヘーゲルなどといった、「著作は読んだことはないし、彼らの鉱石も知らないけど、名前だけは知っている。」というビッグネームの業績を濃縮した一冊。 下記引用メモ ・構造主義というのは、ひとことで言ってしまえば、次のような考え方のことです。私たちはつねにある時代、ある地域、ある社会集団に属しており、その条件が私たちのものの見方、感じ方、考え方を基本的なところで決定している。だから、私たちは自分が思っているほど、自由に、あるいは主体的にものを見ているわけではない。むしろ私たちは、ほとんどの場合、自分の属する社会集団が受け入れたものだけを選択的に「見せられ」「感じさせられ」「考えさせられている」。 ・ 過去を思い出すのは、聞き手との間に、その回想の語りを通して親密なコミュニケーションが得られると期待した時だけなのです ・自己意識とはいったん自分のポジションから離れて、そのポジションを振り返るということです。
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「ポスト構造主義」である現在から、構造主義を学べる本。 フーコー、バルト、レヴィ=ストロース、ラカン をまさに「寝ながら学べる」。
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◆寝ながら学べる構造主義 ・官僚の国会答弁は、議論の根本になっているはずのことは決して問われず、専門的語彙と専門的知見に満ち溢れているので、苛立ちが溜まるのは仕方ない ・ポスト構造主義とは、構造主義の考え方が自明になった世界 ・技工の伝承に際して、師を見るのではなく師が見ているの...
◆寝ながら学べる構造主義 ・官僚の国会答弁は、議論の根本になっているはずのことは決して問われず、専門的語彙と専門的知見に満ち溢れているので、苛立ちが溜まるのは仕方ない ・ポスト構造主義とは、構造主義の考え方が自明になった世界 ・技工の伝承に際して、師を見るのではなく師が見ているのもを見る必要がある ・ニーチェは俗物を嫌い超人を切望することが必要だと述べたが、超人についての説明はしていないし、その考えには俗物の存在が必要となる ・四季は人が勝手に定めた区分であり、4つである必要はない。しかし4つに分けたことで、その構造に支配されて生きている ・自分が語っていることは、誰かに影響を受けて話しているにすぎず、全くのオリジナルは存在しない ◆構造主義において重要な4人 ◆フーコー ・フーコーは系譜学的思考で、人はいま・ここ・私に向かって歴史が進んでいると考えていると論じた ・近代は組織から外れる狂人を排除し、標準的な人間が生きる社会になった ・明治維新まで日本人は農業に適したナンバで歩行していたが、軍隊の行進をするために100年以上の歳月をかけて朝礼により新しい歩き方を強制した ・森有礼は素人を一律の軍隊にするため、学校教育に兵式体操を導入し、身体の統制を図った ・政治権力が臣民をコントロールしようとするとき、権力は必ず身体を標的にする ・体育座りで両手を組むのは子どもの手遊びを縛る残酷な行為ではないだろうか ◆バルト ・バルトは記号学で、ある記号が意味をもつことについて論じた。 ・私たちはエクリチュールの囚人である。男の子が一人称を「ぼく」から「おれ」に自主的に変更したとしても、選べれた語り口そのものは、少年の発明ではなく、ある社会集団がすでに集合的に採用しているものである。 ・テクストを支配しているのは男性主人公なので、言語の構成からすでに男性社会なのではないだろうか ・村上龍はあるインタビューで、「この小説で、あなたは何が言いたかったのですか」と質問されて、「それを言えるくらいなら、小説なんて書きません」と苦い顔で答えていた ◆レヴィ・ストロース ・レヴィ・ストロースは自分の物差しで異文化を評価することが誤りだと論じた ・サルトル=カミュ論争 ・「を」のように使いづらい発音は同じ言語でも次第に消えゆく。・長い時間をかけて母音・子音が統一される時代がくるかもしれない ・反対給付。贈り物を受け取った者は、心理的な負債感を持ち、お返しを市内と気が済まない気分になる ◆ラカン ・ジャック・ラカンはフロイトの精神分析をさらに突き詰めた ・こぶとり爺さんの教訓は、不合理を受け入れること。鬼は権力者であり親で、その気まぐれに爺さん=子どもは従わなければならない ◆結局のところ ・レヴィ=ストロースは「みんな仲良くしようね」 ・バルトは「ことばづかいで人は決まる」 ・ラカンは「大人になれよ」 ・フーコーは「私はバカが嫌いだ」 と言っているらしい
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