1,800円以上の注文で送料無料

寝ながら学べる構造主義 の商品レビュー

4

312件のお客様レビュー

  1. 5つ

    95

  2. 4つ

    115

  3. 3つ

    62

  4. 2つ

    10

  5. 1つ

    1

レビューを投稿

2018/04/02

内田樹さんの本では、以前に『女は何を欲望するか』と『他者と死者ーラカンによるレヴィナス』にたいへんお世話になった。以上の2冊に負けず劣らず、本書も読みすすめるごとに頭がスッキリする感覚がある。「もーわからん!頑張ってもわからん!」となったときに読むと、効果てきめん。暗号のような思...

内田樹さんの本では、以前に『女は何を欲望するか』と『他者と死者ーラカンによるレヴィナス』にたいへんお世話になった。以上の2冊に負けず劣らず、本書も読みすすめるごとに頭がスッキリする感覚がある。「もーわからん!頑張ってもわからん!」となったときに読むと、効果てきめん。暗号のような思想が理解できたような気がする。内田さんは魔術師かなにかか。 思想うんぬんの前に、彼くらい頭のなかを整理整頓したいものだと思う。掃除上手なところをとても尊敬している。 さて肝心の内容についてだが、『寝ながら学べる構造主義』という表題で、構造主義をそれなりに知っている人やそもそも興味のない人は手にとらず仕舞いになっているかもしれない。後者は仕方ないご自由にとして、前者はちょっともったいないことをしているかも。 わたしは前者で、何冊か現代思想の入門書を読んでおり、あらたまって学ぶほどのことでもないだろうと、ちょっとばかし面倒くさがっていた。お盆休みの日長に積読を減らそうと読みはじめて、本書をさっさと手にとらなかったことにひどく後悔した。無駄とは言わないが、何冊も読まずともこの一冊でよかったのではないかと思うほど、本書は優等生だったからである。 構造主義とはうたっているが、通読すれば現代思想の要までおさえることができてしまう。マルクス、フロイト、ニーチェ、ソシュール、フーコー、バルト、レヴィ=ストロース、ラカン、スター選手が勢ぞろいだ。現代問題も引き合いに思想の検討が行われ、深さもともなっている。「しまった、時間と金を無駄にした」というがわたしの本音だ。苦労あっての学習なので、まあよしとしようとは思うが。 内田さんの解説が冴えているのは、たとえが巧みだからだと思う。正直どれもよかったのだが、わたしが思わず「なるほど〜」と唸ったのは、バルトの「記号」について。わかるようでわからない「記号」とはなにか、たとえはこんな感じ。 将棋を指していて歩が一個なくなったとする。しょうがないから相手に「じゃ、これ歩ね」と言って手元にあった蜜柑の皮の切れはしを盤におく。蜜柑の皮と歩にはなんの関わり合いもないけれど、対局者との了解があるなら、蜜柑の皮が「記号」となって歩の機能を果たす。すなわち「記号」とは、「ある社会集団が取り決めた『しるしと意味の組み合わせ』のこと」であり、「『しるし』と『意味』のあいだには、(中略)純然たる『意味するもの』と『意味されるもの』の機能的関係だけ」がある。「ほほう、そういうものか」と納得。 内田さんの著作は、導入部分も冴えわたっている。本書の場合、「知らない」の意味を問うことからはじまる。わたしは、「知らない」とはそもそもどういうことなのかなどと考えもしなかった凡人なのだが、内田さんは「知らない」のではなくて「知りたくない」から「知らない」になるのだと言う。換言すると、「自分があることを『知りたくない』と思っていることを知りたくない」、ついうっかり知るのを忘れてたなんてことはない、必死に目を逸らしている結果が無知になる。これは痛いところを突かれた。 内田さんの指摘はいつもズバリ。そして発想が逆。ここまでサッパリ言われると、なんだかやる気が湧いてくる。目を逸らしていることはないか、ついつい甘め判定が出る自身にこの問いを課すことが内田さん的掃除上手になる一歩となるのやもしれない。

Posted byブクログ

2016/08/06

近代哲学の入門書、本当に寝ながら学べた。フーコー、バルト、ストロース、ラカンの思想について「要するに~」のトーンでわかりやすく説明されている。サラッと読めてしまうが故、わかった気になってしまうのが難点(読者の怠惰であるが)。個人的に「エクリチュール」の概念が興味深かった、日常でも...

近代哲学の入門書、本当に寝ながら学べた。フーコー、バルト、ストロース、ラカンの思想について「要するに~」のトーンでわかりやすく説明されている。サラッと読めてしまうが故、わかった気になってしまうのが難点(読者の怠惰であるが)。個人的に「エクリチュール」の概念が興味深かった、日常でも観測できて面白いと思う。

Posted byブクログ

2016/08/01

学問的な本を初めて読んだ私でも、理解しやすいように書かれていました。 ソシュール、フーコー、バルト、ラカンの4人を中心に解説しています。 自分で噛み砕けるくらいまで深く理解できるように、のちほど再読します。

Posted byブクログ

2016/06/10

「寝ながら」という題は流石に言い過ぎだろうと反感を持って一度避けたものの結局読んでみた。 先に読んだ「はじめての構造主義」がレヴィ・ストロースを軸に一本道で進むのに対し、こちらはフーコー、バルト、ラカンにも等しく紙幅を割く。例えも豊富で読みやすく、各々の思想の道筋が見えた気がする...

「寝ながら」という題は流石に言い過ぎだろうと反感を持って一度避けたものの結局読んでみた。 先に読んだ「はじめての構造主義」がレヴィ・ストロースを軸に一本道で進むのに対し、こちらはフーコー、バルト、ラカンにも等しく紙幅を割く。例えも豊富で読みやすく、各々の思想の道筋が見えた気がする。 これでわかったつもりになるのも殆ういけれど、入門書として満足。

Posted byブクログ

2016/05/29

入門書であることを公言していますが、やはり難しい。 先入観や常識からいったん離れてみないと理解できない部分がある。

Posted byブクログ

2016/03/12

構造主義とはどういったものか。今の時代はそのただ中にいるのだということを知ることができます。 ただ知れるだけです。 これをどう解釈するかは、読む本人次第でしょう。

Posted byブクログ

2016/03/11

 第一章 先人はこうして「地ならし」した――構造主義前史  第二章 始祖登場―ソシュールと『一般言語学講義』  第三章 「四銃士」活躍す その一――フーコーと系譜学的思考  第四章 「四銃士」活躍す その二――バルトと「零度の記号」  第五章 「四銃士」活躍す その三――レヴィ=...

 第一章 先人はこうして「地ならし」した――構造主義前史  第二章 始祖登場―ソシュールと『一般言語学講義』  第三章 「四銃士」活躍す その一――フーコーと系譜学的思考  第四章 「四銃士」活躍す その二――バルトと「零度の記号」  第五章 「四銃士」活躍す その三――レヴィ=ストロースと終わりなき贈与  第六章 「四銃士」活躍す その四――ラカンと分析的対話

Posted byブクログ

2016/01/22
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

なるほど~と思う箇所がたくさんあった。常識と思っていることでも、「若い常識」と言う表現を使っていたりして、常識が変移していきながら、考えやその前提も変化する例えがわかりやすかった。 太郎冠者の抑圧のメカニズムをわかりやすく説いていておもしろい。 ”太郎冠者はほとんど全力を尽くして、この無知を作りだし、それを死守しているのです。無知であり続けることを太郎冠者は切実に欲望しているのです。” 私達は嘘をつくとき、相手を自分より愚鈍だと思っている、と言う邪悪な部分を見ないようにして嘘を付いたり誤魔化したりしている。でも、こうやって見ない個所を作ることで、相手からは何を見てないかが良く見える。そうやって見ないようにする努力は、ついには「当たり前の様に出来ること」になり、「見ないようにしなくても」、「普通に見ない」、そして、「見えない」と言う風になっていくことに納得。 そして、この抑圧こそが、その人の個性を強く作り上げていて、だからこそ人間として人間臭く面白いのかもしれない。 ”歴史は「いま・ここ・私」に向かっていない”と言う話もとても興味深く、視点があちこちに存在することを教えて貰った感じ。日本にあった独特の歩き方があり、それが排除されたことや、体育坐りが”日本の戦後教育が行ったもっとも陰湿で残酷な「身体の政治技術」の行使の実例”と捉えることも出来ることなど、いつの間にハマりこんでいる構造が少しずつ見えてくる。 入門書と言えど、知らない人物や言葉もあったり、簡単と言う訳では無いけど、物事を深く広く捉えたり、考え方の応用にも活かせる良い本だと思う。

Posted byブクログ

2016/01/11

『街場』シリーズの内田樹が、フェルディナン・ド・ソシュールと、「構造主義の四銃士」であるクロード・レヴィ=ストロース、ミシェル・フーコー、ジャック・ラカン、ロラン・バルトを取り上げて、構造主義を解説している。 著者によれば、「私たちは自分では判断や行動の『自律的な主体』であると信...

『街場』シリーズの内田樹が、フェルディナン・ド・ソシュールと、「構造主義の四銃士」であるクロード・レヴィ=ストロース、ミシェル・フーコー、ジャック・ラカン、ロラン・バルトを取り上げて、構造主義を解説している。 著者によれば、「私たちは自分では判断や行動の『自律的な主体』であると信じているけれども、実は、その自由や自律性はかなり限定的なものである、という事実を徹底的に掘り下げたことが構造主義という方法の功績」であり、9.11同時多発テロの後のアメリカによるアフガン空爆を例にとれば、相反するアメリカの国民の見方とアフガンの国民の見方は「等権利的」であるとする今や常識化した捉え方こそが構造主義の根本的な考え方である。 また、四銃士のそれぞれの主張を極めてシンプルに言うと、「レヴィ=ストロースは要するに「みんな仲良くしようね」と言っており、バルトは「ことばづかいで人は決まる」と言っており、ラカンは「大人になれよ」と言っており、フーコーは「私はバカが嫌いだ」と言っている」のだという。 本書は、『使える新書(教養インストール編)』(斎藤哲也編)で、「内田樹氏は、天才的な批評眼の持ち主か、稀代の大ボラ吹きのどちらかである。そうでなければ、フーコーやらラカンやらの難解な構造主義の知見にピタリとはまるたとえ話を次々と思いつくはずがない。・・・とにかく本書は究極の入門書と言ってもいいくらいわかりやすい。しかもそれは内容を薄めたわかりやすさじゃない。果実の味を果汁100%ジュースで味わわせてくれる ― そういうわかりやすさなのだ」と紹介されているが、現代思想特有の言葉の難解さは付きまとうとはいえ、専門外の私にも相当程度分かった気にさせてくれた。 著者が目指した通り、「入門者のための、平易に書かれた構造主義の解説書」となっている。 (2005年11月了)

Posted byブクログ

2015/11/30

ソシュール=構造主義の父(と言われている) ホッブズ ロック ジョンスチュアートミル ニーチェ 徴候 象徴 記号(意味するものと意味されるものがセット。シニフィアンシニフィエ)

Posted byブクログ