神様 の商品レビュー
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「離さない」がどうしてももう一度読みたくなって購入。 久しぶりの川上弘美さん。読んでいて自分の心が正しいところに戻ってきた感じがした。 思いのほか、「星の光は昔の光」が胸に迫ってきて、泣きそうになり焦った。 ニンゲンフシン、一緒に遊ぼうよ、ってならないこと。 でもやってみたら、さびしかった。 えび男くん。 今にも消えてしまいそうなえび男くん。でも彼は、強く優しい心をもっている。はかなく強く生きている。 そう思うと、たまらなくなった。 ほんとうに、川上さんの文章は、あったかくなる。
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つい最近くまが引っ越してきて・・・ ありえない設定だけど、違和感なく読める所が不思議。 童話みたいです。 最初の話「神様」が一番良かった。 くまさん、うちの近所にも引っ越してこないかな。
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中学生の時に読み、川上弘美作品を読み漁るきっかけとなった一冊。始まりも良く分からないし展開もラストもよく分からないけど妙に感動的な読後感に夢中になった。今読むとその時程は感動できないが普通にお話として面白く読める。魚を干すところ、パプリカの皮がするするむけるところが一番印象的。
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川べりに行く。 細長い魚が四角い範囲を繰り返し泳ぐ 何を見ているのか。くまの目にも人間と同じように見えているのだろうか、にきゅんとした 夏休みの白いいきもの。僕だめなのよ。色々だめ
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デビュー作「神様」から始まる連作短編集。 くまと散歩に行く話、河童に恋愛相談される話、小さな人魚に魅入られる話・・・など川上弘美さんならではの幻想的な話にほんの少し怖さをまぶしたような短編たち。 川上弘美さんの本の感想書くのってすごく難しいんだけど、(作品と作品の差をうまく表現...
デビュー作「神様」から始まる連作短編集。 くまと散歩に行く話、河童に恋愛相談される話、小さな人魚に魅入られる話・・・など川上弘美さんならではの幻想的な話にほんの少し怖さをまぶしたような短編たち。 川上弘美さんの本の感想書くのってすごく難しいんだけど、(作品と作品の差をうまく表現できない)今まで読んだ川上さんの作品の中で2番目に好きかも。 1番は「真鶴」。
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(2001.11.03読了) (「BOOK」データベースより) くまにさそわれて散歩に出る。川原に行くのである―四季おりおりに現れる、不思議な“生き物”たちとのふれあいと別れ。心がぽかぽかとあたたまり、なぜだか少し泣けてくる、うららでせつない九つの物語。デビュー作「神様」収録。ド...
(2001.11.03読了) (「BOOK」データベースより) くまにさそわれて散歩に出る。川原に行くのである―四季おりおりに現れる、不思議な“生き物”たちとのふれあいと別れ。心がぽかぽかとあたたまり、なぜだか少し泣けてくる、うららでせつない九つの物語。デビュー作「神様」収録。ドゥマゴ文学賞、紫式部文学賞受賞。 著者 川上 弘美 1958年 東京都生まれ 1980年 お茶の水女子大学理学部生物学科卒業 1982年より86年まで私立田園調布双葉中学高等学校に勤務 1994年 「神様」で第1回パスカル短篇文学新人賞を受賞 1996年 「蛇を踏む」で第115回芥川賞を受賞 1999年 『神様』でBunkamuraドゥマゴ文学賞、紫式部文学賞を受賞 2000年 『溺レる』で伊藤整文学賞、女流文学賞を受賞 2001年 『センセイの鞄』で谷崎潤一郎賞を受賞 2007年 『真鶴』で芸術選奨文部科学大臣賞を受賞
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最初は「え?くま?え?」みたいな感じで、よく付いていけなかったんだけど、じわじわはまってしまいました。 ファンタジーほどじゃないけど、ちょっと不思議な、でも違和感はない世界観。 子どもの頃に読んだ、絵本とおんなじで、ほっぺがほかほかする読後感。 こういう雰囲気って、絵本じゃな...
最初は「え?くま?え?」みたいな感じで、よく付いていけなかったんだけど、じわじわはまってしまいました。 ファンタジーほどじゃないけど、ちょっと不思議な、でも違和感はない世界観。 子どもの頃に読んだ、絵本とおんなじで、ほっぺがほかほかする読後感。 こういう雰囲気って、絵本じゃないと出せないんだろうな、って思ってたんです。でも、この作品は違ってた。絵なんてないし、文章もそこそこボリュームがあるし、お酒だって男と女の話だって、出てくるし。 多分、この作品の魅力や味って、子どもよりちょっと経験を積んだ大人さんの方が沁みると思うんです。恥をかいたり、突っ走ったり、でも譲れないところがあったりするような、そんな人たち。こういう作品に出会うと、色んな経験してて良かったなぁと思うんじゃないかなぁ。(私自身はまだ若造ですけど) 未来の礎になる経験もあるけど、でも経験の意義ってそれだけじゃない。「今」の世界と隣り合わせで、でもちょっと不思議な世界を感じられる、そんなきっかけを、私たちの過去は渡してくれているんじゃないか、そう思えるような作品でした。 *河童のいたすお話。
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ずっと前に新聞の書評を読んでから読みたかった。他の方がレビューで梨木香歩さんの「家守・・・」云々と書いておられたけど、私もちょっと感じた。 書評で気になっていた「春立つ」、良かった。 「離さない」、そういう落ち(というのか?)があったのか。ちょっと怖い。 そして最初と最期に出てくるくまなんだけど、最期が切なかった。
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川上作品はまだ3作目なんだけど、これが一番好きです。 あったかくて切なくて、ちょっと怖くてホノボノしてて。 全体的に梨木香歩さんの『家守綺譚』と似たようなニオイがします。 そして、家守綺譚の一節を思い出しました。 どれくらいの不思議まで人は 「まぁいいだろう」といって許せるものな...
川上作品はまだ3作目なんだけど、これが一番好きです。 あったかくて切なくて、ちょっと怖くてホノボノしてて。 全体的に梨木香歩さんの『家守綺譚』と似たようなニオイがします。 そして、家守綺譚の一節を思い出しました。 どれくらいの不思議まで人は 「まぁいいだろう」といって許せるものなのか・・・ 偶然にもテレビのニュースで、長野で熊が駅のホームを歩いていた! と騒いでいた。なんてタイムリー! もしや、あの熊さん?なんて思ってちょっとワクワクしたんだけど 射殺されたと聞いて即効現実に戻りましたよ(-。-;) 現実ってシビアだなぁ~
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一応、連作短編集なのだろうか?だといいな、と思いながら読む。神様、というのは、「クマの神様」らしい。川上弘美の原型がこれでもか、というくらいに表現されている。最近の川上弘美は文章がしっかりしているがそのかわり純文学性は薄れている気もする。少なくとも、「芸術的」という意味での純文学...
一応、連作短編集なのだろうか?だといいな、と思いながら読む。神様、というのは、「クマの神様」らしい。川上弘美の原型がこれでもか、というくらいに表現されている。最近の川上弘美は文章がしっかりしているがそのかわり純文学性は薄れている気もする。少なくとも、「芸術的」という意味での純文学性は薄れてしまっている。この頃はそれが色濃く表れている。しっかりとした文章はつづられていない、どちらかと言えばふわふわとした言葉の群れたちが独り歩きしているようなイメージである。自らの言葉を御しきれていないのかもしれない。だが、人外の登場人物たちとの淡々としたやりとりにリアリティがある。恐らくはどことなく突き放した視点で描かれているためにわざとらしさが感じられないからなのだろうと思われる。 ともかく、クマとのやりとりは心温まるものである。恐らく、「わたし」はクマが好きなのだろう。だから、素でいればいいのに、人間らしく振舞わなくてもいいのに、と感じている。クマが作り出す空気が好きなのだろう。それなのに、クマは人間らしく振舞うことに疲れて故郷へと帰ってしまう。結果として野生のクマへと戻っていく。やがて理性がどんどん失われていく。料理の仕方を忘れる、やがて、文字の書き方すらも忘れるだろう。クマからの手紙を、三回読み返して三回目に泣きそうになってけれど涙をこらえたわたしは、そのあとに少しだけ泣く。クマとの温かくも切ないやりとりである。伝えたい言葉を決して伝えられないと知って手紙にしたためる。伝えらえない言葉は、机の引き出しの中で眠る。ウテナ様とか、面白い短編はいくつかあったものの、神様はクマで始まりクマで終わるのである。クマならクマらしく、好きだと、伝えればいいのにね。
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