神様 の商品レビュー
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清川亜実です。 この「神様」という本はくまや妖精、死んだ叔父さん、河童、人魚などの生き物たちと人間の「わたし」が出会いと別れを繰り返していく話です。短編集になっているけれど、なんとなく話が繋がっています。 「くまにさそわれて散歩に出る」(9ページ)という文章から物語りは始まります。くまや妖精、河童などの生き物たちは日本語を話すといった、人間のような行動をとりますが、急に叫んだり泳いだりと動物らしい一面もあるところが面白いと思いました。 私は「神様」というのは「くま」のことではないかと思いました。
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この本が好きと言ってるけれど、読み返したのは久々で、前に読んだ時の気持ちも忘れてしまっていた。 『神様』『草上の昼食』は、くまが自分がくまであることを分かっていて、日常にいることが、切なくて、苦しい。 『夏休み』のあれは、前はすごく欲しくてきゅうううとなったし、(今回は泣いた)、...
この本が好きと言ってるけれど、読み返したのは久々で、前に読んだ時の気持ちも忘れてしまっていた。 『神様』『草上の昼食』は、くまが自分がくまであることを分かっていて、日常にいることが、切なくて、苦しい。 『夏休み』のあれは、前はすごく欲しくてきゅうううとなったし、(今回は泣いた)、『離さない』は、前はすごくこわくてはっとなったし(今回もはっとなった) 前に読んで記憶に残ってたのがこの4話だけど、全部いいじゃないか。と改めて思った。 うまく言葉にできなくてもどかしいけれど、やっぱりこれがいちばん好き。
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9話からなる神様のおはなし。 わたしのまわりにも出てこないかなぁ。 「くまにさそわれて散歩に出る」 そんな散歩をしてみたい(笑) 神様の愚痴とか聞いてあげたいな。
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くまやら河童やら人魚やらよくわかんない妖精っぽい生き物やら、現実には普通にありえなさそうな生物がさらりと当たり前のように登場します。メルヘンな内容でメルヘンなんだけど、登場“人”物がすごく普通の人で、しかも結構普通に受け入れちゃってるものだから、日常を踏み外していないように感じま...
くまやら河童やら人魚やらよくわかんない妖精っぽい生き物やら、現実には普通にありえなさそうな生物がさらりと当たり前のように登場します。メルヘンな内容でメルヘンなんだけど、登場“人”物がすごく普通の人で、しかも結構普通に受け入れちゃってるものだから、日常を踏み外していないように感じます。夢をみたかんじの不思議な感覚。うまくいえないけど、こういう話、好き。
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表題作「神様」を含む、九作品収録の短編集。 なんとも不思議な小説だと思う。 内容は、しゃべる熊や死んだ叔父さんなどが登場し、ふつうの人間である主人公と関っていく。簡潔に説明するとこんな感じの話です。 本来、架空の生き物が登場するのだから多少の違和感は仕方ない。けれど、この小...
表題作「神様」を含む、九作品収録の短編集。 なんとも不思議な小説だと思う。 内容は、しゃべる熊や死んだ叔父さんなどが登場し、ふつうの人間である主人公と関っていく。簡潔に説明するとこんな感じの話です。 本来、架空の生き物が登場するのだから多少の違和感は仕方ない。けれど、この小説ではふつうに架空の生き物たちが“生きている”のだ。 ご近所にしゃべる熊が住み、河童が突然相談しにくる。これだけ聞くと違和感だらけなのだが、読んでいくうちにその違和感が少しずつなくなっていく。 読みながら「川上弘美さんは天才だな」とすら思ってしまう。 ここまで絶賛しているのに、なぜ評価が3つ星かというと、単純に今の自分が読みたい作品とは違ったからです(汗) なので僕の評価を見て「そこまで面白くないんだな」とは思わず、興味があれば是非読んでみて下さい♪
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川上マジック炸裂なこの短編集。 表題は、くまと”私”がどうにかなりそうでどうにもならない感じに、切なくなる。 この本の中でとくに好きなのが”離さない”という話。 不思議な人魚との生活が淡々と描かれております。 川上さんの本を読んで思うのは、 くまとか人魚とか、そういう存在を当た...
川上マジック炸裂なこの短編集。 表題は、くまと”私”がどうにかなりそうでどうにもならない感じに、切なくなる。 この本の中でとくに好きなのが”離さない”という話。 不思議な人魚との生活が淡々と描かれております。 川上さんの本を読んで思うのは、 くまとか人魚とか、そういう存在を当たり前に人間世界に生かすのが上手すぎる、ということ。 当たりまえ、よく考えたらまぁ不思議。 たのしいせつない短編集です。
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くまにさそわれて散歩に出る。川原に行くのである―四季おりおりに現れる、不思議な“生き物”たちとのふれあいと別れ。心がぽかぽかとあたたまり、なぜだか少し泣けてくる、うららでせつない九つの物語。デビュー作「神様」収録。ドゥマゴ文学賞、紫式部文学賞受賞。 (「BOOK」データベースより...
くまにさそわれて散歩に出る。川原に行くのである―四季おりおりに現れる、不思議な“生き物”たちとのふれあいと別れ。心がぽかぽかとあたたまり、なぜだか少し泣けてくる、うららでせつない九つの物語。デビュー作「神様」収録。ドゥマゴ文学賞、紫式部文学賞受賞。 (「BOOK」データベースより) 日常に溶け込んでいるファンタジーが心地よい。全体的にほのぼのとした小説になっているが、その中に小さな孤独や悲しみが垣間見えせつなくなるのだと思う。表題作の神様も好きだけど、ウテナさんシリーズ(?)の河童玉・クリスマス・星の光は昔の光 が好き! 【神様】 くまに誘われて散歩にでる。熊が日常に溶け込んでいておもしろかった。くまとの抱擁に少しドキッとした。私だったらちょっと好きになる。 【夏休み】 梨の妖精たちが可愛い。一匹「ぼくいろいろだめなの」この妖精は食べることだけじゃなく食べてなくなることの怖さ自分のなくなる怖さを知ってる。それが切ない。 【花野】 叔父さんとの不思議なやり取り。嘘が下手で寂しがりやの叔父。好物が渋い。そら豆が食べたくなった。 【河童玉】 ウテナさん何者なんだろ。なぜか河童の世界で崇められている。河童っに下の相談をされているのがおもしろい。河童に誘いにのってしてみてもよかったかもっていうウテナさんがすき。 【クリスマス】 ウテナさんにもらったツボからコスミスミコが、現れる。どこで区切る名前かわからないのがおもしろい。下っ足らずな女子高生みたいでつらい過去ありな不思議な女の子。女子会なノリがいい。 【星の光は昔の光】 ちょっと哲学。えび男くんはちょっと大人びた小学生。哀愁の漂い方半端ない。星を見ながら「昔の光はあったかいよ、きっと」って少し泣きながら言うのとかもう反則。 【春立つ】 カナエさんと雪の時に現れる男。彼を愛していたのに意地はってうまくいかないのは相手が人間じゃなくても同じなんだね。最後まで気を許さずに自力で下界に戻る女は稀だったってのはわかる気がする。一緒にいたら好きになるよね、女の人って。 【離さない】 軽くホラー。人魚に魅入られるってこういうことか。人魚は狭い水槽でもいいから誰かと一緒にいたかったのかな。 【草上の朝食】 くまさんとごはん。日常に合わせるのに疲れたくまとの別れ。雷の中吠える姿が野生的でこの場面すき。食べ物がすごく美味しそう。鮭のソテーオランデーズソースかけ。なすとズッキーニのフライ。いんげんのアンチョビあえ。赤ピーマンのロースト。ニョッキ。ペンネのカリフラワーソース。いちごのバルサミコ酢かけ。ラム酒のケーキ。オープンアップルパイ。赤ワインバルバレスコ。ほんと夢のようだ。
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短編集。 昔気質なクマと散歩したり、河童の家に招待されたり、壺を擦ったら痴情がもつれた女が出てきたり、人魚を拾ったり、、、フィクション全開で、メルヘンでもあり、ファンタジーでもあるんだけど、なんだか普通にそれらを受け入れて読めてしまうフンワリした雰囲気の本。 面白いとか面白くない...
短編集。 昔気質なクマと散歩したり、河童の家に招待されたり、壺を擦ったら痴情がもつれた女が出てきたり、人魚を拾ったり、、、フィクション全開で、メルヘンでもあり、ファンタジーでもあるんだけど、なんだか普通にそれらを受け入れて読めてしまうフンワリした雰囲気の本。 面白いとか面白くないとか判断にはちょっと困ります。 肩肘張らず力を抜いてササッと軽く読む本かな。
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くまとピクニックする話。 梨畑の小人の話。 死んだおじさんが出てくる話。 河童の国に行く話。 壺のコスミスミコの話。 えび男くんの話。 雪の季節の男の話。 人魚の話。 くまが故郷にかえる話。 最初の話が何故「神様」なのか、最後までいまいち分からなかった。 どちらかといえば好きな...
くまとピクニックする話。 梨畑の小人の話。 死んだおじさんが出てくる話。 河童の国に行く話。 壺のコスミスミコの話。 えび男くんの話。 雪の季節の男の話。 人魚の話。 くまが故郷にかえる話。 最初の話が何故「神様」なのか、最後までいまいち分からなかった。 どちらかといえば好きな話が多い。 1番良かったのはおじさんの話、 1番好きじゃないのはえび男くんの話。 最後にコスミスミコはどうなったんだろう。
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『春立つ』 呑み屋の女将カナエさんが若い日を暮らした雪降る町での不思議な恋の物語。 雪の降るたびカナエさんは町のはずれで神隠しにあい、「あの人」の存在に抱かれて一冬を過ごす。 愛しい、そばにいたいと思いが募るほど「あの人」に町に返される。そしてまた雪の季節には「あの人」のそばにいる。そしてまた帰される。春が来る。春も夏も秋も幻のような雪の降る季節を待ちわびて暮らすカナエさん。 ある年カナエさんは雪の降らない町へ引っ越します。そして主人公の暮らす町で猫ちゃん達と一緒に呑み屋をはじめます。 「あの人」と静かに暮らした恋物語を主人公に茶目っ気たっぷりに聞かせるカナエさん。主人公はいつもこまごまと世話を焼いてくれる彼女の親切を素直に受けながら杯を重ねます。 そしてある時、張り紙一枚を残しカナエさんは主人公の町を去ります。カナエさんは残りの人生を雪の降る街で暮らすことにしたのでした。 雪のような、幻のような「あの人」を愛したカナエさん。雪の降らない町にあってもずっと「あの人」を思っていたカナエさん。 若かりしカナエさんの幸せ、「あの人」の幸せ、「あの人」がカナエさんに望んだ幸せ、年を重ねたカナエさんの幸せ。 雪に思い、春の桜にずっと思い続ける心。永遠に雪の中に生きながらあたたかな春へと大切な人を送り出す心。そばにいる幸せ、遠くで思う幸せ。 どちらも同じ愛情だとしても本当の幸せは自分の心にしかないことをあらためて思いました。相手を思えば思うほど、苦しくなるとしても。 雪に閉ざされた町で、「あの人」と女将さんはいつまでもいつまでも降る雪を眺めて暮らすでしょうか。そうだといいです。 しんしんと優しい、あたたかなお話でした。
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